side三浦優美子
ポルナレフ「花京院に続いてイギーの生命力まで弱まって来たぞ!」
く……海老名…サブレ…。
痛い…。仲間が傷付いているのにそれでも前に進まなきゃならないなんて…。
文「すいません!サブレさんを助けに行ってきます!このままではサブレさんは危ないです!」
あーし達が返答する前に射命丸文が音速の壁をぶち抜いて下降していった。目的の門まではあと少し…。
三浦「頼んだし…。射命丸…」
ポルナレフ「くっ…姫菜…イギー…死ぬなよ……」
霊夢「サブレの事は文に任せなさい。わたし達は先に進むわよ」
霊夢が進軍を促し、先に進もうとする。
だが、一人だけ動こうとしない者がいた。
魔理沙「…………」
霊夢「魔理沙?行かないの?」
霊夢が魔理沙に聞くと、魔理沙は真面目な表情で霊夢に振り返る。
魔理沙「どうやら、イギーは一人突破されたみたいなんだぜ。そいつはわたしに用があるみたいなんだぜ」
魔理沙は箒を掴んでいた右手を放し、懐からミニ八卦炉を取り出す。
霊夢「アリスね。食い止めるというなら止めないわ。でも、これは既に弾幕ごっこなんかじゃない。死なないようにしなさい。魔理沙」
魔理沙はキョトンとして霊夢を見る。
霊夢「何よ」
魔理沙「いや、何でも無いんだぜ。早く行きなよ。霊夢と承太郎、承太郎博士」
魔理沙が声をかけると霊夢は承太郎達を先導して更に上空へと飛んでいく。
そろそろ雲の上に到達する。
あーしは少し迷ったけど、魔理沙と一緒に残ることに決めた。
魔理沙「優美子。お前まで残る必要ないんだぜ?」
優美子「勘違いすんなし。あーしはここで海老名やサブレを待つだけだし」
魔理沙「お前は野菜の星の王子様か?アリスは同じ魔法使いとして戦うだけだぜ?」
三浦「あんたこそツンデレっしょ。友達を救いたいんっしょ?それは今のあーしも同じだし」
海老名、サブレ…。
二人だけじゃあない。
根本的な問題、一色やヒキオ、それにヒキオをこんなことにしてしまって罪の意識に囚われている結衣。
あーし個人が出来ることはほとんど無いけれど、それでも仲間を救いたい。
その気持ちは承太郎やジョジョだけじゃあない。
他の世界に飛んで行ったアーシスの残りのメンバーも同じはずだ。
三浦「で、あんたは何で霊夢の様子に驚いていたん?」
あーしが尋ねると魔理沙は少し戸惑いながら答える。
魔理沙「ああ……霊夢なんだけどさ、あいつは昔は一匹狼気質というか、異変で一緒に戦っていても基本一人で戦っているような奴でさ。だからわたしが傷つこうが何しようが気にも留めない奴だったんだぜ?それがさっきわたしを心配してくれたのがさ。それにビックリしてたんだぜ」
へぇ…確かにあーしの世界で見た霊夢はこの世界の霊夢と違って少し冷めたような感じがあった。
あれが本来の博麗霊夢なのかも。
魔理沙「それが承太郎と出会ってから少しずつ変わっていったんだなぁ…って。あの霊夢がわたしの事を心配するなんておかしいと思わないか?」
あーしは本来の博麗霊夢を知らないからわからない。だけど、少なくともあーしは霊夢が嫌いじゃあない。
どことなくエジプトを旅していた頃の承太郎に似ている気がするからかも知れない。
魔理沙「だとしたら、ちょっと嬉しいんだぜ。霊夢とは古い付き合いだからな」
わかる気がするし。あーしも再会したジョースターさんやポルナレフが涙を流しながら喜んでくれたことを今でも覚えている。
承太郎までもがあーしとの再会に喜んでくれた。
魔理沙「だから、もう一人の友達も助けないといけないんだと思うんだぜ」
三浦「アリス・マーガトロイドの事?」
魔理沙「ああ。あいつは魔法使いのくせに優しい奴なんだぜ。森に迷い込んだ奴を出口まで案内したり、夜が深まっていると家に泊めてやったり…。たまに貞操が危ないんじゃ無いかって心配したくなるんだぜ。カワイイしな」
そういう魔理沙の表情はどこか優しげだ。
魔理沙「だからこんな異変に狂わされているあいつを見るのは我慢できないんだぜ!来るなら来いってやつだぜ!なぁ、アリス!」
そう叫んだ魔理沙の声に呼応するように、1体の小さな人形が飛んできて弾幕を射ってきた。
魔理沙「いきなり飛ばして来るか?ミニ八卦炉!」
ドババババババババ!
魔理沙は人形の射ってきた弾を八卦炉から弾幕を出して相殺する。
アリス「見つけたわ、魔理沙。待ち構えてるなんて余裕ね。それも霊夢も承太郎も咲夜も先に行かせて…例の異世界の外来人も一人だけ残っているみたいだけど、後のメンバーは他の戦いで残すか先に行かせたみたいね。私を甘く見ているのかしら?」
まるで人形のように美しい金髪のショートカットの少女があーし達の高度まで上がって来た。
魔理沙「アリス。お前を甘く見るなんてことはしないんだぜ?そんなの自殺行為だろ?」
アリス「口ではそう言っているけど、どうだか…今日こそは決着を付けるわよ。魔理沙」
魔理沙「わたしが決着を付けたいのは今のアリスじゃ無いんだぜ。そんな黒い瘴気に冒されて狂ったお前じゃなくてな!正気に戻してやるんだぜ!魔符・スターダストレヴァリエ!」
魔理沙が複数の魔方陣を展開し、そこから星形の弾幕がアリスに向かって飛んでいく。
アリス「蒼符・博愛の仏蘭西人形」
アリスも応戦して6体の人形を展開して魔理沙の弾幕を相殺する。
これが本当の魔法使いの戦い…。
や、本調子ならパチュリーだってこういう戦いが出来たのだろう。
割り込めない…。これだけの弾幕を操る術はあーしにはない。
だけど、流れ弾くらいなら相殺できる。
三浦「クロスファイヤー・ハリケーン!」
幻想郷に来てから少しパワーが増しているクロスファイヤーがアリスの弾幕を消す。
これはあーしの力じゃあない。幻想郷の力によってパワーが増しているだけだ。
アリス「マジシャンズ・レッド…。あなたがモハメド・アヴドゥル…。あの方が言っていたジョースターの仲間ね」
アリスはあーしに標的を変えて人形を飛ばして来た。
魔理沙「アリス!勝負の相手はわたしだろ!」
アリス「知らないわ。あのお方の命令が最優先よ!白符・白亜の露西亜人形」
あーしの周囲に多数の人形が配置され、そこから隙間なく全方位に弾を吐き出される。回避ができない!
でも、やられるだけじゃあ何の為にここまで来たのかわからない!せめて相討ちにするし!
三浦「同じやられるなら1体でも多く人形を溶かしてからにしてやるし!クロスファイヤー・ハリケーン・スペシャル・オールラウンド!」
あーしは全方位にクロスファイヤー・ハリケーン・スペシャルを発射する。
海老名との模擬戦で半径20メートルのハイエロファントの結界対策の為に考えたあーしの新技だ。
空を飛んでいる今だからこそ気兼ねなく使える技。
普段だったら火事の心配から使えない技だ。
M・R「クエエエエエエエ!」
クロスファイヤー・ハリケーン・スペシャルが周囲に散る人形を一掃する。だけど、隙間なく連続で発射された弾幕があーしに命中する!
三浦「ああああああああ!」
魔理沙「優美子ぉぉぉぉ!」
激痛があーしを襲う。
ここまで?あーしは……ここで終わる?
アリス「とどめよ。蓬莱人形」
レーザーのような攻撃があーしを襲う。
どうやらここまでのようだし…
だけど!
ただでは終わらないし!
三浦「まだまだぁ!あーしを……人間をなめんなし!レッドバインド・オーバーチェーン!」
せめて魔理沙が楽になるように…あーしはアリスの人形を帯状にした炎で全て焼く。
魔理沙…後は任せるし…。
さようなら…海老名…結衣…承太郎…。
そこであーしは力を失い、落下する。
魔理沙「優美子ぉぉぉぉ!許せアリス!恋符・マスタースパーク!」
魔理沙の必殺技、マスタースパークがアリスを吹き飛ばす。
アリス「ギャアアアアアア!」
防御する人形を全て失っていたアリスは飛ばされ、あーしと同様に落下を始める。
魔理沙「マスタースパークのエネルギーを上に向けて…その出力で優美子を追う!」
魔理沙は上空にビームを向けてあーしを追ってキャッチする。
魔理沙「アリスは!あそこかっ!間にあえぇぇぇぇ!」
魔理沙は再びアリスとは逆の方向にマスタースパークを発射してその噴出力で加速してアリスをキャッチ。
すごい芸当だし。
だけど、被弾してあちこちをやられたあーしはもう…。
魔理沙「アリスは気絶しているだけだが優美子はまずい!くそっ!治療の魔法を練習していたら助けられるのに!それに……さすがに三人分の重さを支えて飛ぶのはきついんだぜ…」
三浦「もう良い……あーしを捨てろし…。魔理沙まで落ちちゃうし……あーしは……もう…」
魔理沙「諦めないんだぜ!優美子!諦めるな!誰も死なせないんだぜ!お前も、アリスも!お前が死んだら承太郎が悲しむんだぜ!承太郎博士も!パチュリーも!わたしだって悲しいんだぜ!それに、アリスを人殺しなんかにさせないだぜぇぇぇ!負けるなぁ!優美子ぉぉぉぉ!」
何だ…。
あんただって優しいじゃあない。
このままでは三人とも助からない…。
ならせめて魔理沙やアリスだけでも…。
海老名「優美子ぉぉぉぉ!死んじゃだめぇぇぇ!」
サブレ「ワオォォォォォォォ!(死ぬなぁ!元ブサイクの炎の女王ぅぅぅぅ!)」
文「あややややや。こっちもですか。妖力譲渡!」
射命丸の声が聞こえたと思ったら、体が楽になった。
慧音「魔理沙!アリスをこっちに渡せ!」
魔理沙「慧音!射命丸!花京院!イギー!アリスと優美子を頼んだんだぜ!」
魔理沙は魔力のエネルギーであーしとアリスを慧音達に投げ飛ばす。でも、魔理沙の落下は止まらない!
文「まったく…皆さん世話が焼けますねぇ」
そう言って射命丸は急降下を開始して魔理沙をキャッチした。
良かったし…誰も死なずに済んだし死んでいない…。
ぞぞぞぞ…
九死に一生を得たあーしは今頃になって震えだした。
安心したら急に死ぬのが怖くなったし…。
危なかった…今回ばかりは本気で死を覚悟した…。
慧音「まったく…どいつもこいつも死ぬような戦いばかりを…」
文「本当ですよ。何回肝を冷やしたかわかりません。幻想郷で客人を死なせるなんて、天狗の沽券に関わりますよ!まったく……」
本当に助かった…。見ればあーしだけじゃあ無く、海老名もサブレもボロボロだ。
魔理沙「でも、凄い根性だったんだぜ、優美子。さすがはアヴドゥルなんだぜ」
三浦「魔理沙…」
魔理沙「わたしは友達を見捨てないんだぜ。絶対に。優美子、お前もわたしの友達なんだぜ。短い付き合いだけど、今日でお別れかも知れないけど、それでもお前はわたしの友達だ。わたしが友達だと迷惑か?優美子」
魔理沙はあーしに手を差し出した。
三浦「こっちからもお願いするし。あんたの事をあーしは忘れないし」
あーしは回復した霊力を使って自力で浮く。
傷は痛むけど、自分で浮いて魔理沙の手を取らなければならない気がした。
文「出ましたね…魔理沙さんの天然同性たらし…」
慧音「承太郎並に女性をたらしこむからな…魔理沙は」
海老名「マリユミ…きましたわ?うーん…性別が逆なら美味しいんだけどなぁ」
こんなときにまでオメーは!擬態しろし!
アリス「うぅ…ここは…」
アリスが目を覚まして自力で浮く。
アリス「魔理沙…うっすらと覚えているわ…。私は負けたのね…」
魔理沙「それは異変でおかしくなったアリスであって、本来のアリスじゃないんだぜ。それよりも何があった?」
魔理沙が尋ねると、アリスはガタガタ震えだす。
アリス「水色の男…抵抗も無意味に殴られて…。スタンド…そう、スタンドに殴られたの…スタンドは…水色のザ・ワールド…いえ、ザ・ジェムストーン…」
ザ・ジェムストーン!?ヒキオがこの異変を!?
いや、ザ・ジェムストーンにそんな力はないはずだし。
何かが引っかかる。
一体水色の男は何者なんだし!?
魔理沙「わかった。もうアリスは帰って休んだ方が良いんだぜ!後はわたし達に任せるんだぜ」
アリス「悔しいけどそうさせてもらうわ…人形は彼女に全部やられちゃったしね。負けたわ、三浦優美子。今度会うときがあったら、負けないから」
魔理沙、パチュリー、アリス…三人の魔法使いにあーしは気に入られたようだし。
これはもっと強くならなきゃなんないっしょ!
魔理沙「お前も戻るか?優美子」
ここまで来たら戻れないし。それに…
三浦「あーしはこのまま進むし。ヒキオを問い詰めるし!」
それに…この異変の原因と思われるザ・ジェムストーンの事が気になる…。
異変が始まってからヒキオは出てきていない。
そこも気になるところだし。
慧音「そうか…三人とも、無理はするな。決して軽い怪我ではないのだからな」
わかってる。もう本格的な戦いは無理だし。
だけど、このままじゃあいられないし!
あーしらは再び上昇を開始した。待ってろし!ヒキオ!
アリス・マーガトロイド(主に魔法を使う程度の能力)…
三浦優美子(マジシャンズ・レッド)…
←To be continued
今回はここまでです。
魔理沙、かっこいいですね。
そして射命丸…本格的にいろはポジションに収まりつつありますね…。回復役的な意味で。
承太郎と合流できればクレイジー・ダイヤモンドで治して貰えそうですが、かなり先行しちゃいましたしね。
次は騒霊戦です!
幻想郷のメンバーより弱いアーシスの面々が苦戦の連続を強いられていますが大丈夫なのか!
そして、異変の原因は八幡のザ・ジェムストーンなのか!?
次回もよろしくお願いいたします!