やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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カーゴメカーゴメ♪

フランドール「呼んだ?」

いや、君は幻想郷で出てきたでしょ(^_^;)


後ろの正面だあれ?

side広瀬康一

 

丈城君達三人が復活したレイナーレを惹きつけている間、僕達は校庭にいるというドーナシークを迎え撃つべく奔走していた。

 

朱乃「部長、学園が乗っ取られているってのは本当みたいですわね」

 

リアス「そうね……旧校舎の廊下がこんなに長いはずはないもの。私達が談笑している間に支配下におけるなんて、以前より力をつけたのは間違いないわ」

 

毒づくリアスさんと朱乃ちゃん。

僕達はまだ旧校舎から抜け出せずにいたの。どうやらドーナシークの話はただのハッタリではなかったようで、校舎から出さない為の罠であろうか。

 

音石「ハァ…ハァ…出口はまだかよ!」

 

康一「さっき入った時はこんなに入り組んでなかったのに……! これもあのドーナシークって奴の仕業なのかな?」

 

露伴「わからない。彼の仕業なのか、もう二人の復活堕天使の仕業か……少なくとも、今はここを脱するしかない!」

 

露伴先生も珍しく語気を強める。彼もまたこの異様な気配に警戒を強めていた。

まるでティナー・サックスだ。

曲がり角に先の見えない直線の繰り返しを経て、僕達は漸く旧校舎の出口を発見。その向こうの空は異様なオーロラに包まれている。これもドーナシークらの仕業なのだろう。

 

リアス「出口ね!」

 

これで校庭に迎える、誰しもがそう思った。

だが、襲撃は突然訪れた。

 

木場「うわぁっ!?」

 

突如、何の前触れもなく最後尾にいた木場君が仰向けに転倒。驚いた一同が振り向くと、痛みに顔を歪ませる木場君が。しかし……

 

??『フフふフ……あらァ、い・イ・オ・と・コゲッと♪』

 

木場「くっ、こいつ! いつの間に僕の背に!?」

 

見覚えのあるイヤなの顔がちらりと覗く。これは…

 

朱乃「堕天使カラワーナですわ!」

 

露伴「ちょっと待って! あの顔ってまさか……!?」

「間違いない……乙雅三のスタンド『チープ・トリック』だ! 僕の次は木場裕斗に取り憑いたか!」

 

露伴先生…。千葉村では乙雅三の事を忘れていたのにチープ・トリックは覚えていたんですね…。

僕と露伴先生の記憶に残る強敵『チープ・トリック』。背中を見られたら最後、取り憑いた宿主を死に至らしめ、次にその背を見た人間に取り憑くという恐るべき能力を持っているのだ。『ノトーリアス・B・I・G』同様、厄介なスタンドの一体だ。

 

僕は『モード・チープ・トリック』の対策として木場君とここに残る事にした。僕が

 

康一「皆、ここは僕に任せて先に行って!」

 

露伴「康一君、わかっていると思うが『モード・チープ・トリック』だぞ! 気をつけたまえ!」

 

康一「はい!」

 

ゼノヴィア「なら私も残ろう。同じ『騎士』を人質に取るような奴を許すわけにはいかん」

 

そこへゼノヴィアさんも加わり、チープ・トリックには計三名が挑む形となった。

 

リア「裕斗、ゼノヴィア、絶対に勝ちなさい! 康一君、二人のことをお願いね」

 

康一「わかりました!」

 

高校生に君づけ呼ばわりされてる僕って…。

 

億泰「よっしゃ! 俺たちは校庭だ。行くぞ!」

 

リアスさん達はそのまま出口へ直行。その背を見送らず、僕は『エコーズ』を。ゼノヴィアは制服を脱ぎ捨てて黒い密着スーツ姿に着替え、己の得物であるデュランダルを空間の歪みから抜き出す。

一方の裕斗は『チープ・トリック』の危険性を知っているのか、背を見せないように壁にくっついて対策を講じる。そして自らも神器で剣を生成。戦う姿勢を崩さない。

 

カラワーナ『あらラァ? わたシに敵ウと思っテるのカシらぁ? 随分オ熱いノね♡』

 

ゼノヴィア「とりあえず、仲間の一人に感化されたとだけ言っておこう!」

 

その目に宿る闘志は二人とも悪を決して許さない正義そのものであった。ジョジョの仲間に相応しいね。

 

ゼノヴィア「堕天使カラワーナ、神の名の下に……いや、我が正義に基づいて貴様を断罪する!」

 

木場「地獄より迷い出でし魂よ、再び冥府の彼方に消え去るがいい!」

 

康一「…え? え、えーっと……よし! お、お前なんか全然怖くないぞバ──ッカ!!」

 

とりあえず僕も仗助君に倣ってやってみる。

先攻はカラワーナ。翼の代わりに得た複数の触腕を展開し、まずは前方のゼノヴィアや僕に掴みかかる。

 

カラワーナ『わたシノ能力は"背中に取り憑いたり"、"喋ル"だけジャナイのヨ……。こんな風ニ腕を伸バスことだっテでキルのヨ!』

 

ゼノヴィア「図に乗るなよ! でぇぇいっ!!」

 

康一「当たらなければどうという事はないよ!」

 

 

デュランダルを振り回し、触腕を次々と裁断してゆくゼノヴィアさわ。一方の僕は卓越した身体能力を駆使して攻撃を回避。かわしきれない攻撃は『エコーズ ACT2』の尻尾文字を用いて防御。

僕とゼノヴィアさんが立ち回る間、木場君は一本では足りないとばかりにもう五本の剣を生成。某BAS◯RAの六爪流を彷彿とさせる構えで本体に挑む。

昔のチープ・トリックよりも厄介になっているなぁ。

 

木場「手出しはさせないよ!」

 

カラワーナ『甘イわ!』

 

木場「くうっ…!」

 

しかしカラワーナに背後を取られ、動きが制限されている木場君では思うように攻撃ができない。すぐに触腕によるスリーパーホールドを決められてしまい、行動を封じられてしまった。

モード・エンプレスも追加した方が良いのかも。

 

ゼノヴィア「裕斗!」

 

康一「ここは僕が! 尻尾文字の更なる応用編!」

 

モード・屍生人。

カラワーナの攻撃パターンを読んだ僕が救出に走る。尻尾文字を『コォォォッ』という擬音に形成し、自らの喉へ貼り付けた。

 

康一「コオオオオオオオオオオッ」

 

波紋独特の呼吸音と共に、康一や『エコーズ』の周囲に黄金色のオーラが纏われる。千葉村で吉良吉影に指摘されて体得した波紋の力だ。思い付いたのがあの吉良吉影と言うのが気に入らないけど。

 

カラワーナ『舐めルナぁ!!』

 

カラワーナは更に触腕を増加させて僕に襲いかかる。しかし所詮ワンパターンな上に狙いがバレバレだ。僕は冷静に触腕の一本に狙いを定め

 

康一「ズーム・パンチッ!」

 

正拳突きの要領でズーム・パンチを繰り出した。波紋は人体に太陽エネルギーを作り出す方法であり、僕はジョースターさんや比企谷君の波紋法を散々見てきたからやり方は知っている。

そして、相手が屍生人のそれだと思えば波紋は有効だと思う。

彼女の触腕はその拳を掴もうとしてあっという間に瓦解し、他の腕もそれに続くようにして塵と化してしまう。狙いは的中だったみたいだ。

 

カラワーナ『ぎィィィィエぇぇぇエエッッ!ナンだこレはァァッ!?』

 

康一「どうだ! これがジョースター家に伝わる波紋の力だ!」

 

僕はどや顔で叫ぶ。だけど…

 

ゼノヴィア「広瀬康一、その女に当てるのはいいが気をつけてくれ! 取り憑かれている裕斗や私は悪魔なのだから、その力は逆に命取りになる!」

 

康一「あっ、そうだった。了解です!」

 

あっちゃー。取り付かれた木場君も吸血鬼みたいなものなんだ…。世の中上手くはいかないなぁ…。

デュランダルを巧みに使いながら、僕の纏う波紋のオーラに複雑な感情を吐露するゼノヴィア。種族が悪魔であるグレモリー眷属にとっては諸刃の剣のようだ。

 

カラワーナ『ヌウううっ、小癪ナァッ!』

 

木場「はなっ……せッ!!」

 

カラワーナ『あアッ』

 

ここでホールドしていた触腕を切り裂き、木場君も攻撃に移る。依然として動けずにいるが、三人の手によって廊下は触腕の残骸によってどんどん埋め尽くされてゆく。

ここでカラワーナの攻撃が止んだ。

何かを思い付いたな…。警戒しておかないと。

すると……攻撃は足元から来た!

ジョースターさんや比企谷君ののハーミット・パープルみたいに地面を這わせて来たんだ!

いつも散々やられているのに気が付かなかった!

二人ならこういう時には体にハーミット・パープルを巻き付けてガードを固めているのに、僕にはそれが出来ない!

 

康一「! うわぁッ!?」

 

カラワーナ「なんだこれは!?」

 

木場「ゼノヴィア! 康一君! カラワーナ貴様ッ!」

 

だから何で君達は僕を君付けで呼ぶかなぁ…。

もう僕は三十代なんだけど?

 

カラワーナ『あハはハハはッ、いイ気味ね! 調子付いテいるカラよぉ〜!』

 

隙を突かれたゼノヴィアと僕。『エコーズ』が触腕に釣り上げられてしまった。流石にデュランダルや波紋を纏った腕は掴めず、上手く剥がした床板を使って押さえつけて封じてくる。

まるでラブ・デラックス…。

僕は愛妻の由花子さんを思い出す。

 

カラワーナ『ケケけけけ───ッ、聖剣だロウがスタンドだろウが関係ナいわぁ! たかガ三人如キに負ける私じャないワ! あッハハははハはッッ!!』

 

まるで切れたときの由花子さんだ。

うまくいったとゲラゲラ嘲笑うカラワーナ。どうやらこのまま木場君の背中を向けさせ、全滅を目論んでいる様子。

 

カラワーナ『リアス・グレモリーのとこロヘ行ってモ無駄ヨォ〜。たとエ『滅びの力』でも私ヲ消し飛バス事はアナタの背中ヲ消し飛ばス事なんダカらぁ♡』

 

木場「『チープ・トリック』の能力は把握しているのか……」

 

康一「露伴先生の時は背中を見せるためにコソコソ小細工していただけのスタンドが……これだけの機動力を有してしまうなんて……」

 

チープ・トリック、エンプレス、ラブ・デラックス…。対策法を間違えた。ハーミット・パープルやラブ・デラックスの厄介さは知っていたつもりだったのに、その対策を講じていなかった!

絶体絶命のピンチ。しかし下手に引き剥がしにかかれば木場君にダメージが及んでしまう。一同の表情に焦りが出始めた。

 

side木場祐斗

 

木場(こんな時……ッ、こんな時なら……ジョジョ君ならどう動く? 落ち着くんだ……!

 

ライザー・フェニックスとのレーティングゲームでも、彼は後輩の小猫ちゃんと共に丈城思考で策を練った結果勝利を収めることに成功している。今回も然り。危機に陥ったこの時こそ勝利への活路を見出す絶好のチャンスだ。

 

────相手が勝ち誇った時、そいつは既に敗北しているようなモンだぜ、裕斗────

 

(敵が勝ち誇っている……今か!!)

 

不意に脳裏をよぎったジョジョ君の言葉。

僕の目には勝ちを確信して高笑いするカラワーナの姿。策を仕掛けるなら今しかない。

 

僕は康一君とゼノヴィアに交互に視線を送り、口をパクパクと動かして策の詳細を伝える。カラワーナは全く気付いていない。

 

ゼノヴィア(成程……ジョジョが思いつきそうなアイデアだな)

 

康一(一発勝負か……わかったよ裕斗君! やってみる!)

 

内容を察した二人は首を縦に振り、策に身を委ねることに。

 

カラワーナ『さぁサぁ、アナタの逞しイ背中を見セて上げマシょうよ。ネッ』

 

トドメをさすべく、カラワーナは背中を壁から引き離そうと触腕で壁を押し始める。その間上半身は僕の顎に手をかけて顔を近づける。美人ならまだしも、『チープ・トリック』の顔のまま近づかれるのは下手なホラーより怖い。

 

カラワーナ『ウふふフッ。あたシねぇ、アナたみタイな男だァーイスきなノ。あなタニ取り憑イたのもちゃント狙ってノ所業よ。れロォォン♡』

 

木場「…………………ッ」

 

蛇の様な舌先が僕の頬をなぞる。しかし僕の手に、起死回生の刃が作られている事に気がついていない。僕は注意を惹くため、屈辱の攻めを耐え続ける。

背後では康一君が喉元の尻尾文字を剥がし、『シャアァァッ』とも読める擬音を生成。ゼノヴィアと裕斗の間に投げて貼り付けた。

 

康一(木場君の一手……お願い! 繋がって!)

 

それを視認した僕がそこに向けて剣を放る。剣は音の上に見事に着地し、音の通りに滑ってゆく。そして触腕の残骸に乗り上げると、そのまま宙を舞ってゼノヴィアの元へ。

 

康一&ゼノヴィア((届けッ!!))

 

 

side広瀬康一

 

僕達の願いは……

 

 

(パシッ)

 

ゼノヴィア(フッ……バトンは繋がったぞ! 二人とも)

 

 

届いた。

デュランダルをしまって木場が生成した剣を持ち直し、アンカーのゼノヴィアが反撃のチャンスを伺う。

 

遂にその時が訪れた。

 

カラワーナ『ハハはハ──ッ!ねッ、はハハははハハ───ッ! 諦めタようネェ─ッ!』

 

ジョースターさんならこう言うだろう。

 

ジョセフ『ワシが嫌いな言葉は一番が頑張るで、二番目が諦めるなんじゃよ!』

 

カラワーナが抵抗をやめた木場君の身体を180度回転させようと動く。運良く方向はゼノヴィアさんからであり、カラワーナの胴体が見えている。ビリヤードのキューよろしく彼女ら剣を構え……

 

カラワーナ『やったワッ! これデ我が無念ヲ……』

 

ゼノヴィア「そこだアアァァァ──────ッッ!!」

 

標的に向けて放った。

 

だがタイミングがワンテンポ遅れ、その刃が捉えたのはカラワーナではなく木場君の二の腕であった。

 

木場「くっ!」

 

カラワーナ『ぬゥッ!?』

 

咄嗟にカラワーナは身を引いて飛んできたものを確かめる。三人の起死回生の策が彼女にバレてしまった。

 

カラワーナ『こンな小細工ヲォォ……小娘ぎゃあアアアあっっ!』

 

ゼノヴィア「ちぃっ!」

 

心底悔しそうにゼノヴィアさんは舌を打つ。それを見て更に口角を上げたカラワーナは思い切って木場君の身体を反転させ、ゼノヴィアと康一に見えるように彼の背を見せつけた。

 

康一「! ま、マズイ! 木場君の背を見てしまった……!!」

 

ゼノヴィア「くそっ、誰に取り憑くつもりだ!?」

 

カラワーナ『サァて、今度ハ誰にぃ取リ憑こうカシらぁネェェ……』

 

気味の悪い含み笑いをしつつ、僕とゼノヴィアさんに向けた視線は品定めするように行ったり来たりを繰り返す。

そして次の憑依先を口にしようと、彼女が口を開いたその時。

 

カラワーナ『決めタワ! あの青髪のクソガキ二取り憑いテ─────』

 

どうやらゼノヴィアさんに狙いを定めたようだけど…。

 

木場「─────残念でした。これも、策の一つだよ」

 

木場君が比企谷君だったら意地の悪い笑いを浮かべていたかな?

突如、木場君の背中に張り付いていたカラワーナの腰から下の吸盤がまるでシールを剥がすようにめくれ上がった。息つく間もなく彼女の剥離は進行し、完全に剥がれた彼女の肢体は先程ゼノヴィアさんが放った剣に一直線。

 

カラワーナ『なッ……!? 何イイイイイ──ッ!?』

 

ものの数秒の出来事。カラワーナは木場君から離れ、壁に突き刺さった剣に憑依してしまった。

 

カラワーナ『ねっ! 何故ダァ! どうシテ離れナイはずの私ガ離れタのだァァ──ッ! ねッ!』

 

康一「まんまと引っかかったね、『チープ・トリック』。ここにはあの世に通ずる道は無いけれど、代わりに心強い人達がいる。君は将棋やチェスでいう"詰み"にはまったんだ」

 

触腕で剣を引き剥がそうとするもビクともしない。その表情が一転して絶望の一色に染まる。

 

木場「君が今取り憑いているその剣は、悪霊に憑依されている人に斬りつけると、身代わりとしてその人から悪霊を引き剥がしてくれる『剥憑剣』だ。斬りつけるといっても厄払いみたいなものだから、ダメージは発生しない。だから斬りつけたその時から憑依先が強制的に変更されているから、僕は背中を見られても死なずに済んだってわけ」

 

ゼノヴィア「裕斗の腕に剣が当たったのはミスショットじゃない。最初からそれを狙っていたのさ。その剣に背中は無い。一生お前はそこから抜け出すことは不可能だ」

 

木場君の能力は本人のイメージに沿った魔剣を生成できる『魔剣創造』。作った『剥憑剣』のイメージは難しく思えるかもしれないが、ぶっちゃけ『チープ・トリック』の能力の裏返しだと思えば簡単な話である。

 

康一「君の悪あがきも、企みも、背中にひっつく厄介なスタンド能力もここまでだ」

 

木場「"相手が勝ち誇った時、そいつは既に敗北している"。君達が侮った人間がここにいたらそう言うだろうね。今の君にピッタリだ」

 

君は勝ち誇る時を間違えたんだよ。相手が勝ち誇った時、そいつは既に敗北している。キッチリトドメを刺してから勝ち誇れ。

ジョースター家の家訓の1つだ。

 

カラワーナ『グワァァアアアッッ! そんナ展開望ンデねぇェェェええンダヨォォォッ! こンノ (自主規制) ! (自主規制) ! (自主規制)────ッッ!』

 

最早汚い言葉しか羅列出来ないほどヒステリックになるカラワーナ。それを冷めた目で一瞥した僕達は顔を合わせ、同時にトドメをさすことに。

 

康一「うるさいなぁ。僕音にはうるさいよ? 君のその耳障りな音は……大っ嫌いだ」

 

ゼノヴィア「続きは地獄の鬼にでも聞いてもらえ、堕ちた天使」

 

カラワーナ『お願イしまスゥゥッッ! 殺さナイでぇェェェッ! 死にたクナいィィッッ!』

 

覚悟が道を切り開く。パッショーネの人間が一番嫌いなタイプだと思う。

こんな奴は何度も見てきた。慈悲なんか与えるか!

命乞いをするも後の祭り。裕斗の禁手『双覇の聖魔剣』、ゼノヴィアのデュランダル、僕の『エコーズ ACT3』がスタンバイし、一斉攻撃までの秒読みに突入した。

 

カラワーナ『やめロ…! ヤメてぇ……ッ!』

 

エンプレスだね。

ミドラーさんの養子、ネーナちゃんの名前の元になったエンプレスの本体が頭をよぎる。

 

エコーズ『S・H・I・T。ウルセェカラ、チャッチャト片付ケルゼ。『エコーズ 3 FREEZE』!!』

 

act3…こんな口汚かったっけ?

 

木場「アリーヴェデルチッ (さよならだ) !!」

 

ゼノヴィア「消え失せろォォッ!」

 

カラワーナ『うワあアああアあアアアああアあアあッッ!!』

 

刹那、『エコーズ ACT3』の掛け声と共に木場君とゼノヴィアの渾身の一閃が放たれた。二本の剣は重量を増し、カラワーナの脳天から真っ二つに大切断。ガラスが割れるような音と共に砕け散った。

 

康一「ハァー…ハァー……か、勝てました……ね。なんとか……」

 

木場「あぁ、そうだね。でもまだ一体目。先に行った部長達が心配だ」

 

ゼノヴィア「とにかく後を追うぞ。これだけ訳の分からん連中がウヨウヨしているのなら、人手が必要になってくる。休んでいる暇はないぞ」

 

そろそろ目上の人に対する言葉使いを注意するべきかな…。社会人はその辺り厳しいよ?特にパッショーネとかは。

肩で息をしながら、大きく嘆息する木場君と僕。ゼノヴィアも同様だが、先に行った皆のことを懸念して出口に足を向ける。そう、まだ勝負が終わったわけではない。

 

木場「よし、じゃあもう二頑張りしようか。康一君、行こう!」

 

康一「………そろそろ言葉使いを気を付けてね?僕、一応は君達より2倍は生きてるからね?そんなんだと社会に出たとき苦労するよ?あの比企谷君だってその辺りはわきまえてるからね?仗助君に対して対等に接しているのは家族だから。比企谷君だって僕にはさん付けで呼ぶし、敬語だよ?」

 

木場「す、すみませんでした。康一さん…」

 

頬をパンパンと叩いて立ち上がり、先に校庭へ向かったリアスさんに合流するべく気合を入れ直す。

 

木場「お待たせしました。さぁ、第2ラウンドです!」

 

ゼノヴィア「あぁ!」

 

康一「今行くよ、皆!」

 

 

旧校舎を飛び出し、三人はリア達の後を追うべく走り出した。

 

(←To Be continued…)


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