やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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敵意の相互

side東方仗助

 

リアス達とアーシス面々に校庭を陣取っていると思われる堕天使・ドーナシークの迎撃を任せ、『ノトーリアス・B・I・G』と融合したレイナーレを引き受けた丈城、八幡、俺のジョジョ軍団。

 

八幡「クセなんて直さなくていい……もっとクセを出して走れッ!」

 

丈城「フザけてるだろ、絶対。大体その安っぽい張り子の馬どっから出したんだよ。ドク◯ケ城の城主かオメー」

 

マジでどこから出した!

承一郎の文化祭の時に取り出した半纏や扇子の時も思ったけどよ!

 

八幡「わたくし、おおまじですわ」

 

丈城「オッケイ、大真面目にふざけてるんだな。ジョセフの名言まで出しやがって」

 

あ、これは徐倫をからかうときの表情だ。

 

八幡「ブラボー!オー、ブラボー!」

 

丈城「面白い奴だな、気に入った。殺すのは最後にしてやる」

((ゴンッ!))

 

気に入った割には殺すのか。

 

仗助「口よりも足を動かせよゲスタンド使い共! この状況下でボケてるバヤイか! 大体フザけてんのオメーもだろーが! どこのシュ◯ちゃんだコノヤロウ! つーかいつ着替えた!?」

 

丈城「俺が早着替えをしたといつ錯覚した?」

 

あれ?確かに着替えた気がしたが……幻影の波紋か?

 

仗助「なん……だと……!? ってうるせぇよコラァ!」

 

思わず吉良になっちまっただろうがよ!

右端、某筋肉モリモリマッチョマンの変態スタイルの丈城。

その向こう、張り子の馬を引っさげた八幡。

 

速い速度を出すものに同スピードで襲い掛かるレイナーレから必死に逃げ惑う中、俺は他二名のボケに頭を痛めていた。まぁ余裕があるのは察せるものの、その間をボケで埋めずに策を考えることへ回してほしい。

 

しかし、今のところまだ続くようで。

 

丈城「来いよレイナーレ! 銃なんか捨ててかかって来い!」

 

八幡「丈城、あいつ銃持ってねぇぞ。スタンドはあるけど」

 

スタンドパワーを温存するときは小銃と銃剣で戦うのはお前だろ。しかも銃剣格闘をマスターしてやがるから射つわ斬るわ殴るわで器用に立ち回りやがんの。

 

丈城「じゃただのカカシですな。俺達だけで事足りる話……そうだよな?」

 

八幡「そういうこと!」

 

丈城・八幡「「YEAAAH!!」」

(ピシ、ガシ、グッ、グッ)

 

仗助「もうヤダこの二人!!」

 

八幡の野郎、何のしがらみがないからはっちゃけるだけはっちゃけやがって!

最早言いたいだけだろと突っ込みたいが、自分は絶対に違う人種だとばかりに走る事に集中する俺。状況的に自分達が一番ハードな戦いだというのに、真剣さがファーラウェイしてしまって全然締まらない。生半可な覚悟で一緒に行動するなんて言わなきゃ良かったとずっと後悔していた(でもあんなあどけない少女にこんな混沌コンビを押しつけるよりかマシかと内心思っていたりする)。

 

八幡「安心しなよ仗助。対策はちゃんと講じてるから問題ないって!」

 

仗助「じゃあ最初っからやれよ!」

 

この野郎。

 

八幡「さっきからずっとやってるぞ。ホラ」

 

八幡に言われて振り返ると、奇妙な事にレイナーレの速度が遅くなっている。しかもよく見ると、彼女が知らず知らずの内に変なものを踏んでいる。その度に動きが鈍くなっていた。

 

仗助「あれ……? あいつあんな遅かったっけ?」

 

丈城「敵から身を守るためには"敵"の文化をよく知らなくちゃあいけないって奴だぜ。確かに『ノトーリアス・B・I・G』の同速度追跡能力は厄介だ。でもその速度を俺達が意図的に落とすことが可能なら……できない話ではないはずさ」

 

そう言って丈城は手のひらにあるものを浮かばせる。『ドスン』と読めるそれを地面に落としてゆくと、ものの見事にレイナーレが踏んづけて速度が低下。追いつけなくなっている。

 

仗助「成程、『エコーズ』だな!」

 

康一のスリーフリーズか!

 

丈城「惜しい。正解は『イン・ア・サイレント・ウェイ』。こいつも音関係のスタンドなんだ」

 

一巡した世界の砂男のスタンド『イン・ア・サイレント・ウェイ』は、康一の『エコーズ 』と同じような能力を持つらしい。

act2に近いようで違うようだ。丈城はレイナーレとの接近戦は極力避けるべきと判断し、後の戦闘の下準備として彼女の移動速度を低下させる策に打って出たのである。

 

丈城「問題はここからだ。あれが通常の『ノトーリアス・B・I・G』なら倒すのは簡単だ。けど見た感じレイナーレの憎悪が諸々パワーアップさせているみたいで、結構危険な状態みたい」

 

八幡「そこで、丈城の持つ数多のスタンドを用いた変化球戦法を主軸にレイナーレを弱らせ、タイミングを見計らって一斉に叩くって手法にしたわけだ」

 

ドーナシーク、ミッテルト、カラワーナが如何様な改造を施されているのかは皆目見当がつかない。だが先の事件の首謀者であり、あと一歩のところで丈城に阻まれたレイナーレの魂のことである。逆恨みとはいえ抱く怨念は相当なものだろう。

だからこそレイナーレは『ノトーリアス・B・I・G』と完璧な融合を果たしたと思われる。

 

仗助「まぁ…とりあえずモード・ノトーリアス・B・I・Gの具体的な内容については理解できた。それで、今俺達はどこに向かおうとしてんだ?」

 

ジジイお得意の逃げるんだよォォォ!だな。

戦略的撤退なわけだ。

 

丈城「とりあえず新校舎裏のテニスコート。まずはそこを経由して奴を一旦そこに留めさせる。次に新校舎内へ移動し、そこからスタンドによる攻撃を行うつもりだ」

 

八幡「おっ、『マンハッタン・トランスファー』でも使うのか?」

 

仗助「それだとちょっとキツくないか? 『皇帝』使える定で話すけどよ、弾丸は速度があるから速攻でバレるし、留めたとしても俺らの潜伏場所がソッコーでバレるぞ」

 

狙撃は確かに練習してるけどよぉ、虫食いとの戦いでもそうだったように苦手なんだよな。

 

八幡「そうだった。ナランチャさんがそれでやられたんたっけ」

 

丈城「ああ。だから"どこから仕掛けているのか分からない方法"で攻撃するんだ。要は奴から俺たちが"見えなきゃいい"」

 

こう言うときこそブラッディ・シャドウが欲しいところだが、丈城は基本世界のスタンドしか使えない。

ナイチンゲール・エメラルドやサンシャイン・ルビーのような『平行世界』のスタンドは使用不能。

ブラッディ・シャドウも例外ではねぇみてぇだ。

そうこうしている内、一同は丈城が指定したテニスコートへとやってきた。一休みしたいところだが、まだ一仕事残っている。

 

八幡「この辺りに仕掛けるか」

 

丈城「だな。えーっと、確か……」

 

丈城が懐を弄り、あるものを取り出した。それはA4のコピー紙一枚を折りたたんだもので、表面には"ゴキ◯リ"と雑な文字で書いてあった。

 

仗助「……オイ、それなんだよ」

 

丈城「え? 何って『エニグマ』の能力でとっ捕まえた頭文字Gを保管する紙。因みに100匹セット」

 

『エニグマ』。多分そうだろうとは思っていたけど、嫌なものを出してくれるな。あれには俺も負けたからよ。

 

仗助「多いわ!!てか頭◯字Dみてーに言うんじゃねぇ! ドリフトもターンもできねぇだろが!」

 

よくそんな数を調達してきやがったもんだ。

ホイホイか?

それはともかくとして、丈城は躊躇いなく紙を開けて地面に投棄。泉のように湧き出たそれはテニスコート一面に広がり、瞬く間に緑の人工芝に動く斑模様が完成した。

 

仗助「う〜わ、気持ち悪りぃ……」

 

グロ耐性は出来ていても、この種のグロさは慣れているグロさとはまた別物だ。

 

八幡「気持ち悪がるのは分かるけど、行くぞ。あの速度ならもうそろそろ奴が追いつく」

 

レイナーレが追いつく前に撤退しなくてはゴキ◯リをばらまいた意味がなくなってしまう。気を取り直して、一同は振り返ることもなく新校舎へと向かったのだった。

 

 

キングクリムゾン!

 

 

丈城「おーおー、食ってる食ってる。ゴキ◯リにしといて正解だった」

 

仗助「……なんか見ていて物悲しいな。同情ってワケじゃねーけどよ」

 

 

『イン・ア・サイレント・ウェイ』によって速度を強制低下させられたレイナーレは、融合した『ノトーリアス・B・I・G』の性質のまま、速く動くゴキ◯リに反応して延々とそれらを追っている。新校舎一階・テニス部部室の窓から顔を覗かせる俺達は気がそれた事を確認し、いよいよ攻撃に転じようとしていた。

 

 

八幡「丈城、『チョコレイト・ディスコ』で攻めるのはどうだ?」

 

仗助「『チョコレイト・ディスコ』?」

 

聞いたことあるよう。

 

丈城「あぁ! それいいな! ……って、何でお前が『チョコレイト・ディスコ』の能力知ってるんだ?」

 

八幡「平行世界の丈城の意識に聞いた」

 

聞いたばかりの能力を早速使おうとする辺りチャレンジャーだな。だが、丈城が反対しないあたり妙案なのだろう。

八幡の提案により、チョコレイト・ディスコをしようすことに決定した。座標指定して攻撃エネルギーをそこへ落下させる能力らしい。これも一巡した世界の能力らしい。

能力発動兼攻撃担当を丈城、座標の伝達を八幡、攻撃用の物体放り投げを俺が、それぞれ担当してレイナーレを追い詰めることに。

 

まずは丈城が能力を発動してテニスコート上にアルファベット付きのマス目を展開し、ダイヤルをつけた左腕をスタンバイさせる。

 

八幡「よーし行くぞ。レイナーレは……8のF!」

 

チェスみてぇだな。

 

仗助「よし、ホレッ!」

 

丈城「あ、ポチッとな」

 

俺がコンクリートブロックを放り投げると、『チョコレイト・ディスコ』によって瞬間移動。テニスコート上、八幡が指定した場所にコンクリートブロックが現れ落下。

 

レイナーレ『GAN!?』

 

攻撃は成功。コンクリートブロックが見事にレイナーレの後頭部を直撃し、彼女は一瞬後ろを振り向くもすぐに目の前のゴキ◯リにかぶりついた。

シュールだな……。

 

仗助「効いてるみたいだな。血が滲んでるし、この調子でガンガン攻めようぜ!」

 

八幡「よっしゃ! 丈城次だ。10のA!」

 

丈城「あいよ!」

 

今度は隅の方へ動き、『クレイジー・ダイヤモンド』の手から放たれたナイフがレイナーレの背中に深々と突き刺さった。

 

レイナーレ『UGAAH!!』

 

八幡「ビンゴ! 2HIT!」

 

丈城「ベネ(よし)! いいペースいいペース!」

 

似た者同士め……。気のせいかテンションが上がっていやがる。

精密動作性が高いクレイジー・ダイヤモンドが調節するだけあって、レイナーレが反応しないギリギリの速度で攻撃がヒットする。二人のモード・ノトーリアス・B・I・Gが見事に功を奏した。

 

八幡「6のP!」

 

丈城「ほい!」

 

八幡「4のDに移動!」

 

丈城「モジュー◯オン!」

 

八幡「7…いや9のB!」

 

丈城「まだチョロチョロ動いてやがんのかアイツ!?」

 

 

その後も連携プレーで攻撃を加えてゆき、着実にレイナーレにダメージを与えてゆく一同。

兵法の基本だ。自分の安全を確保しつつ効果は最大限に。

チキンだの卑怯だの言う奴は本当の戦いの中に身を置くといい

 

『チョコレイト・ディスコ』によるモード・ノトーリアス・B・I・Gを開始してから数刻後。

ゴキ◯リに気を取られ、その隙に様々なものが落下して全てヒットした結果、レイナーレに疲弊と消耗の様子がはっきりと見られるようになった。もうゴキ◯リを追える速度が出せず、自らの滴り落ちた血溜まりの上で四つん這いになって動こうとしない。

 

仗助「もうそろそろいいんじゃねぇか? 各自が気をつけて接近戦に持ち込めば勝てるところまで来たみたいだ」

八幡「だな。万が一の場合は俺か丈城のどっちかが対処するし。なっ、丈城」

 

丈城「任しとけ! カウンターだろうが何だろうが切り抜けてやるぜ!」

 

あとはレイナーレを三人で叩くのみ。そう判断して、彼らは早速行動を起こそうとした。

 

……………だが

 

八幡「……? んんっ?」

 

丈城「? 八幡、どうした?」

 

八幡「シッ」

 

突然八幡の動きが止まり、何かを聞き取ろうと耳に手を添えた。その行為が気になった丈城と仗助は顔を見合わせ、その真意を聞き出そうとする。

 

八幡「…………………」

 

仗助「…なぁ、どうしたんだよ。なんか変な音でもしてるのか?」

 

八幡「ぁぁ……。なんだろう……キーンって耳鳴りみたいな甲高い小さな音が聞こえた気がして……」

 

仗助「甲高い小さな音?」

 

そう言われて、俺達も耳を傾ける。確かに耳鳴りのような音が微かに聞き取れる。一体何の音なのだろうか。

 

すると今度は、丈城の方がある変化に気がつく。

 

丈城「……レイナーレの奴、上なんか見上げて何見てんだ……?」

 

見ると、先程まで不動だったレイナーレの姿勢が逆の姿勢になっている。彼は直感的に彼女もこの音を聞いたのかと思い、つられて窓越しから夜空を見上げてみる。

 

 

 

 

 

その瞬間、驚愕のあまり彼は凍りついた。

 

 

 

 

 

丈城「オイ、あれ!」

 

八幡 仗助「「!」」

 

 

目の前に移った光景は、なんとテニスコートに墜落してくる航空機の機影だった。しかも一機だけではない。見える範囲であと二、三機は視認できる。

 

 

丈城 八幡 仗助「「「な、なんじゃこりゃああああァァァ────────ッッ!!」」」

 

 

そう。八幡が聞きつけたあの耳鳴りのような音の正体は、この墜落してくる航空機の音だったのだ。レイナーレも『ノトーリアス・B・I・G』化しているとはいえ、この音を耳にして体位を変えたのである。

 

さらにレイナーレはそのままゆらりと立ち上がると、最後の力を振り絞って跳躍。落下速度でぐんぐんスピードを上げる航空機三機に向かっていってしまった。

 

仗助「……なぁ。この後の展開、ちょっとマズくないか?」

 

このパターンは康一がシアー・ハートアタックにact2の尻尾文字の熱で嵌めたと思って安心していた時と同じパターン?

 

八幡「ちょっとどころか……かなりマズイぞ、コレ………」

 

丈城「…と、とりあえずだ! 屋上! 屋上に登って確認すっぞ!!」

 

 

最悪の展開が脳裏を過るが、実際目にしないと信じられない。いや信じたくはない事だ。そんな思考になった三人は急いで屋上に急行。階段を数段飛ばして駆け上がり、扉の前で一斉にブレーキがかかる。

 

 

丈城「………開けるぞ?」

 

 

生唾を飲んで頷く二人の顔は真っ青であった。おそらく丈城も同じ表情であろう。それでも扉の向こうに向かわなくてはならない。

 

 

 

 

 

(ガチャッ)

 

 

 

 

 

そして、扉が開け放たれた。

 

 

 

 

 

丈城 八幡 仗助「「「ッ!?」」」

 

 

目の前には見覚えのある体表。視線を上げてみれば、こちらをジロリと見下ろす赤い相貌が目を惹く。獣のような荒い息遣いが大きく響き、その主は復活の喜びとも取れる咆哮を轟かせた。

 

 

 

 

 

レイナーレ『GUGYAAAAAAAAAA───────ァァァッッ!!』

 

 

(←To Be continued…)




レイナーレ戦、なんかヤバそうな感じに…果たして仗助達は大丈夫なのか!?

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