side比企谷八幡
夜、マザーベース───
カズ「お前ら!今日は寿司だ!どんどん食えよ!」
カズという男の言葉と共に一斉に我先にとスタッフ達が寿司を食べ始める。まるで戦場だな。
スタッフ達「あっ!お前、俺の取ったな!」「早い者勝ちだろ!」「あーっ!俺の大トロがぁ〜っ!」「はっ、腹がぁ〜!」
承一郎「…すみませんね、今日はスタッフ達に寿司を食わせる約束をしていて。皆さんのは別にありますからどうぞ」
承一郎は空間を使って食堂(という名の戦場)から寿司を持ってくる。やっぱり便利だな、ブラッディ・ジャドウ。
陽乃「あ、ありがとう…」
あの陽乃さんですらドン引きしてる…だと?
雪乃「あの中に入っていく勇気はないわ…」
うん、俺もお前があの中で寿司の争奪戦をやっている姿は想像できんわ。
あの中で人をはね除けながら次々と寿司を頬張りつつ次の寿司を我先にと掴もうとする雪ノ下を想像してみる。プークスクス!
ジョニィ「まぁ、手の焼ける連中だがオレの事を慕ってくれている。物心ついた時から本当の親がいなかったオレにとってこいつらは家族みたいなものだ」
ジョニィは承一郎と入れ替わって電子タバコを吸う。
喫煙の習慣があったのか?
ジョルノ「タバコを吸うと体に悪いよ、ジョニィ」
ジョースター家の中で喫煙の習慣があるのは承太郎くらいだものな。仗助も吸ったことがないらしいし。
ジョニィ「電子タバコだ、問題ない。それに吸血鬼に健康もクソもないと思うが?」
ジョルノ「それもそうだね」
納得するのかよ…ジョルノ。
俺?吸わせてくれると思う?買い食いですら満足にさせてもらえないのに?吸いたいとも思わんが。
波紋の戦士に呼吸は重要。煙草は波紋に大敵だ。
そんな事を考えている時だった。
『汚れ無き光が闇夜を貫いて この瞬間が永遠だと 今 命が叫んでる ほら こころの奥にいつも君が映るよ 守るべき真実をただ 抱いてゆくんだ 〜♪』
急に着メロの曲が鳴り、
ジョニィ「…ん?」
承一郎はスマホを見ると、どうやら桐…桐…桐なんとかさんかららしい。
ジョニィ「…千棘からか。嫌な予感がするな…承一郎、パスだ」
承一郎「えっ⁉︎急に替わられても…。はぁ…もしも『バカもやしィ〜〜〜〜〜〜ッ‼︎!』」
承一郎が通話ボタンを押した瞬間、スピーカーモードでもないのにとんでもない由比ヶ浜ボイスが音量がマザーベース中に響いた。
千棘『ちょっとあんた!今日は急に倒れて起きたと思ったら急にいなくなってどういうつもり⁉︎明日はデートの予定があるでしょうが‼︎』
あまりの音量に辺りがシィーンと静かになる。
うわぁ、寿司争奪戦が止まったよ…。つうか、体を共有しているから俺もダメージが…。
同じ大声ならいろは声の小野寺妹にしてもらいたいと強く抗議する。
承一郎「…千棘さん、いきなり大声で叫ばないでくれ。鼓膜が破れそうだよ、まったく…」
千棘『それはこっちのセリフよ!まったく…どれだけ心配したと思ってるのよ…』
ハイハイツンデレツンデレ。
承一郎「ん?何か言った?」
おいコラ(# ゜Д゜)
テメェはどこの難聴系主人公だ。
リアルでそんなベタな奴は初めて見たよ。
千棘『何も言ってないわよ!…それで?一応言い訳を聞いておくわ』
何様だ(# ゜Д゜)
デレレレン↓
八幡の桐なんとかさんへの好感度が1下がった。
承一郎「ちょっとね…仕事の依頼が来ちゃってね。数日学校休むかも」
敵が相当因縁深い奴らしいからな。
例えテスト期間中だったとしても承一郎は休むだろう。
千棘『…ふーん…頑張りなさいよ』
承一郎「ああ、もちろんだ。それじゃあね」
承一郎は電話を切った。
承一郎「…なんだい皆、その顔は」
承一郎が周りを見ると皆ニヤニヤとしていた。
特にミスタとカズってやつが。俺が見られている訳じゃあないから本来はどうでも良いのだが、不愉快なのは変わらない。殴りたい…。ザ・ジェムストーンで。
ジョルノ「承一郎…青春してるな」
トリッシュ「ホントね、彼女さん向こうの世界で見たけど、いいカップルじゃあないの?」
カズ「ボスゥ、ニセの恋人って聞いたが随分と仲が良いらしいなぁ?」
承一郎「なんだいカズ、ちょっとムカつくなその顔。別に千棘さんは友人だよ」
お前にとってはな。チラリとジョニィを見ると…めっちゃメンチきってきた。あ?やんの?前の事を忘れたのか?
また催眠術かけんぞ?
カズ「寿司じゃあなくて…赤飯の方が良かったかな?ボスゥ!」
こいつ…殺してぇ。
承一郎「…コォォォォ…」
カズ「待ってくれボス俺が悪かったから波紋疾走はやめてくれ、頼むこの通り!」
いや、俺にやらせろ。溶かしてやる。
承一郎が波紋の呼吸を練るとカズは見事な土下座を披露した。
承一郎「許して欲しい?」
許すな!ロードローラーだ!タンクローリーだ!
カズ「許して下さい!」
承一郎が大人の威厳はどうした…と思っていると。
カズ「とっくのとうに風となって消えたんだ」
エスパーかっ!
承一郎「サラッと心を読むんじゃあない…。そうだね、許してあげてもいいかな?」
お?このパターンは!
カズ「本当か?なら「だが断る」ええっ⁉︎」
承一郎「
カズ「ひでぶっ‼︎」
ざまぁ♪承一郎の仲間も爆笑。多分いつものなのだろう。俺にとってのアーシスのような関係性かもな。
オセロット「…ボス、ここにいたのか」
夜のマザーベース、司令部のプラットホームで承一郎は夜風に当たっていた。
承一郎「オセロットか。寿司は堪能出来たかい?」
オセロット「ええ、おかげさまで」
承一郎「それは良かった」
オセロット「任務…受けたんですね。…やはり信乃の事もありますか?」
承一郎の記憶に見た奴か…あれは悲惨だったな。
承一郎「…そうだね、それが大半かな。サムエル・ホドリゲス…彼との決着は着けないと…」
オセロット「
承一郎「彼との決着を着けるなら
承一郎は持っていた刀を鞘から抜いて言った。その刀からは青白い輝きを放っていた。
承一郎「この高周波ブレード『村雨』は…」
承一郎は月明かりの下でそう言った。
翌日、マザーベース───
承一郎「…さてと、とりあえず皆さんの目的は僕の体に入った八幡の魂…でいいんですよね?」
ジョルノ「ああ、そうなんだ」
承一郎「なら僕から八幡の魂を引き抜けるかもしれませんよ?」
いや、いらんよ?出るときは自分の意志で……あれ?出れない。何で?
ミスタ「何?本当かよ承一郎?」
承一郎「ええ、ザ・ソロー、入ってくれ」
ドアから眼鏡をかけた長身の男が入ってきた。
ザ・ソロー「ボス、お呼びで?」
承一郎「ああ、僕の体に入った八幡の魂を引き抜いてくれないか?」
おう、頼むわ。自力じゃ無理そうだ。
ザ・ソロー「お安い御用です」
ザ・ソローという奴がそう言うと、彼の体からオーラのようなものを帯びる。スタンド能力か。
ザ・ソロー「『
ザ・ソローは承一郎の体を掴む。
承一郎「それじゃあよろしく」
ザ・ソロー「分かりました…ハッ!」ズズズ…
八幡『おおっ…承一郎の体から…俺が…』
承一郎の体から、八幡の魂がうっすらと浮かび上がり、体の半分が露わになった。しかし…
ウギャアアアアアアア!痛い!痛い!やめて!更に砕けるぅぅぅぅ!
承一郎「痛ァッ⁉︎うおおおっ⁉︎」ズズズ…
俺の魂と一緒に、なぜか承一郎とジョニィの魂まで飛び出てしまった。
何だ!あれ?変なところに母さんみたいなのが何かしてる。何でいんの!?っていうか、そのゴスロリは誰!?
何で!?出させろよ!
ジョニィ『ソロー!魂の引き抜きを止めろッ!俺達まで抜けてしまうッ!』
ザ・ソロー「り、了解!」
ザ・ソローは俺達を承一郎の体に戻した。
あの母さんもどき…何が目的だ…。
承一郎「はぁ…はぁ…今のは…一体…」
ザ・ソロー「分かりません。しかしボスの体に入り込んだ聖なる遺体がボスの体と一体化してしまったからではないでしょうか?今までにない現象ですが…」
承一郎「…骨折り損の…くたびれもうけってわけか…骨だけに…」
陽乃「承一郎、大丈夫?」
承一郎「大丈夫です…。ソローの能力は見ての通り『魂への干渉』が出来るんです。それによって魂を掴む事が可能なんです」
デュオロン・オブシディアンみたいなものか?
いや、あんな恐ろしいのはそうそう無いだろうが。
ザ・ソロー「すみませんボス、私が不甲斐ないばかりに」
うん、君のせいじゃあないよ?
承一郎「いいんだソロー、これは例外中の例外だ。どうしようもない事なんだよ。ありがとう、元の配置に戻ってくれ」
ザ・ソロー「了解!」
ソローはドアから外に出て行った。
オセロット「…でボス、どうするつもりだ?どうせなら今回の任務の協力をしてもらうってのはどうだ?」
承一郎「う〜ん、どうするか…皆さんはそれでいいですか?」
ジョルノ「大丈夫だよ。君には前に助けてもらったからね、これくらい手伝わせてくれ」
ミスタ「そうだぜ。最初は敵同士だったがお前も『アーシス』の母体となった『
陽乃「それにあなたともう一回勝負をしたいしね」
あなた、そんな戦闘狂でしたっけ?
承一郎「…そうですか、それではよろしくお願いします。改めて自己紹介を。集英組次期組長兼このマザーベース、『
承一郎は改めて自己紹介した。
クリスタル・ファング!スクランブル!
……いいなぁ、それ。
承一郎「今回の任務はとある麻薬組織の壊滅です。けれどそれを遂行するには問題点があります」
ミスタ「というと?」
承一郎「その麻薬組織を警護しているPMC、『デスペラード・エンフォースメント』です。このPMCの特徴はサイボーグ兵です」
陽乃「サイボーグ?強化外骨格とか?」
それはあなたが付けていた心の仮面ですよね?
承一郎「ええ、それもありますがほぼ全身がサイボーグ化されています。紛争への介入だけでなく麻薬の取引、人身売買などにも手を染めているまさに無法者。しかし奇妙な点があるんです」
こわっ!材木座がたくさんいるみたいなもんかよ!
ここに三浦がいないは悔やまれるな…。
ジョルノ「奇妙な点?」
承一郎「はい、資金が豊富すぎるんですよ。ただの無法者の集まりじゃあない。何か裏があります」
確かにな。ただの芥子屋さんにしては装備が潤沢すぎる。
オセロット「ボス、依頼人クライアントの身元が判明した。個人の説明は省くが、この依頼人軍のハト派らしい」
カズ「それとボス、最近軍のタカ派がその麻薬組織とPMCに癒着の疑いがある」
おうおう、黒い黒い。だからパッショーネのほうが清廉とまで言われるんだよ。どこの政府や軍も腐ってら。
承一郎「なるほど、タカ派との癒着の証拠を隠蔽するためにPMCが警護しているのか」
オセロット「そうだな。だがそうなるとタカ派の連中は下手な真似は出来ないハズだ。今回はサイボーグ兵だけだと思ってくれ」
ミスタ「承一郎よぉ、サイボーグ兵ってどんだけ強いんだ?」
承一郎「そうですね、波紋の戦士と屍生人ゾンビを足して二で割ったような感じです。主な武器は高周波ブレード、これです」スラァッ!
僕が高周波ブレード『村雨』を鞘から抜く。
雪乃「これが…」
八幡『材木座が喜びそうだな』
あと川尻隼人さんとかエンポリオ辺りが。
承一郎「一振りで鉄もバターのように切断出来る業物です。高周波ブレードの斬れ味はそのベースになっている刀によりますね」
陽乃「あれ?じゃああの時はなんで使わなかったの?」
承一郎「あの時は突然あっちの世界に連れて来られたので持ってきてなかったんですよ。だから『クリスタル・ボーン』の骨で造った物で戦ってたんです」
陽乃「へぇ…」
あの時に使われてたらヤバかったな…陽乃さんもそこまで強くなかったし。
承一郎「とにかく、今日は現地のボリビアに到着、作戦を練り、その後麻薬カルテルのボスを始末。後はウチのスタッフ達に任せるという形でいいですか?」
ミスタ「ああ、俺達は全然問題ないぜ」
ジョルノ「それでジョニィ、これからどうするんだい?」
ジョニィ「まずは麻薬組織と敵対している反乱軍とコンタクトを取る。中学の三年間は世界中の汚れ仕事ウエットワークに介入していたからな。政府にも反乱軍にもコネがある」
バラバラバラ…!とローター音を出しながらピークォドが降りてくる。
承一郎「今回はちょっと人数が多いので少し機体を変えます。いつものピークォドよりも大きめのやつで行きましょう」
機体は代わってもピークォドという名は役割の通称だ。だから名は変わらない。
僕達(+DD)は順番に乗り込んで行く。
承一郎「よしピークォド、飛ばしてくれ」
ピークォド「了解、上昇開始!」
DD「ワン!」
DDは操縦席の隣の席に行儀よく座る。
承一郎「すみませんね、ちょっと散らかしてて」
僕はいつも任務時に使っていた荷物をどかして全員が座れる場所をつくる。荷物はミサイルや狙撃銃などといった武器がほとんどだ。
承一郎「いつもは僕とDDだけなので広いんですけどね」
トリッシュ「ねぇ承一郎、このヘリって探知されたり迎撃されたりしないの?」
承一郎「問題ありません。カズの『TOKYO通信』は探知機の情報の上書き、オセロットの『
雪乃「…すごいスタンド能力ね」
まったくだ。アーシスにも欲しいぞ。
承一郎「ええ、オセロットとか敵の戦闘ヘリを何機撃墜したか…さて、そろそろ行きますよ」パチン!
僕が指を鳴らすと、ピークォドの前に空間が作り出され、その中を進む。そして、空間を繋いでボリビアの空中へ。
ボリビア、『毒蛇』の
留美「…すごい能力だね。八幡は『時を止める』事が出来るけど…
承一郎「八幡の前世、DIOは『世界を支配する』能力だけど、ジョニィの能力は『世界を創り出す』能力なんです。空間の中は一つの世界として成り立っていますから」
うわぁ…小町のルビーレーザーの練習場所として1つ欲しいわ。未だに指からの射撃以外はノーコンだし。
ピークォド「こちらピークォド、まもなく
承一郎「こちら『
ジョニィ「パック・カタリ、久しぶりだな」
パック「やぁ友よ、君も元気そうだ」
ジョニィ「皆紹介しよう、こちらは四年前ボリビアの麻薬カルテルを潰した時に協力してくれた反乱軍のリーダー、パック・カタリだ」
パック「君達が『毒蛇』の言っていたお仲間か?私はここの反乱軍のリーダーをやっているパック・カタリだ。前は世話になったな、『毒蛇』…いや、『
何その二つ名。
承一郎「パック、その呼び名はやめてくれ。普通にジョジョでいい」
陽乃「『VICBOSS』?」
パック「ああ、四年前急に現れて私達に革命の協力をしてくれたんだ。その時に広まった『
承一郎「やめてくれ、パック。革命だろうがなんだろうが、銃を一度取れば…暴力に訴えれば皆地獄に落ちる。…僕がやった事はただの人殺しさ。僕は英雄なんかじゃあない。これまでも、これからも」
闘う者の業だな。俺のように割りきるか闘うのをやめるか…承一郎は前者を取ったようだが。
パック「…すまない、私も少し無遠慮だった」
承一郎「いや、大丈夫だ。パック、今回も君達の力を借りる事になる。よろしく頼むよ」
パック「分かった、他の同志達にも伝えておこう。友よ、私達はあと少しでカルテルのボスを倒せたのだが、そのあと少しのところでPMCのサイボーグ達に阻まれてしまったのだ」
承一郎「すごいな…幹部メンバーは全滅、残るはボスただ一人…だからPMCを雇ったのか」
パック「そうだ、私達も止めを刺そうとして奴らに手痛い反撃を食らった。生き残った同志達は、『狼』と『巨人』がいたと言っている」
承一郎「『狼』と『巨人』か…分かった、あとで調べよう。すまないけど今日はここで滞在しても?」
パック「もちろんだ、四年前の恩もある。君達を無下にはしないさ」
キング・クリムゾン‼︎…とやりたいが今回はファントム・シガー‼︎
ガチャガチャ。カチカチ、シャカシャカ。シュー…カチカチ、キュッキュッ。
夜のセーフハウス、作戦計画を練った結果、決行は明日の早朝に行われる事になった。ジョルノ達は疲れもあって眠ろうとしていたのだけれど、ミスタさんが床に座って金属音を立てて何かをしていた。銃の整備か。
ジョニィは外に出て葉巻を吸っていた。
………まずっ!やっぱ俺は煙草は要らんわ。本城は元喫煙者だが…(メメタァ!)
雪乃「ミスタさん?」
承一郎が葉巻を吸っていると、中にいる雪ノ下達の声が聞こえてきた。
ミスタ「あ?ああ、わりぃ。起こしちまったか?」
雪乃「それは良いのですけれど、何をなさってるんですか?」
ミスタ「ああ、銃の整備さ。商売道具だからな。毎日の手入れは欠かせねぇんだ。ここのところ酷使してるしよ」
まぁ、千葉村で大分射ったしな。
銃の硝煙に付いているガスとかは錆の原因になる。
放置して錆びさせると性能に関わるしな。
雪乃「そうなんですか。こんな暗闇の中でですか?」
ミスタ「もう二十年も毎日分解して整備している銃なんだぜ?目を瞑っていたって整備はできるさ」
そう言いながらミスタさんは手際よく銃を整備している。ブラシを使い、ウエスで拭き取り、油を塗る。
ミスタ「ん?」
ミスタさんが何かに気が付いてしげしげと部品を点検する。どうやらバネのようだ。
雪乃「どうしたんですか?」
ミスタ「………いや、引き金のバネがとうとうダメになっちまったらしい。あんま交換とかしたくねぇんだけどよぉ。まぁ、こりゃ仕方ねぇや」
ミスタさんがバックから何かを取り出す。
雪乃「それは?」
ミスタ「分解してある予備の銃さ。これのバネで応急処置をする」
予備の銃があるのならそっちを使えば良いのではないのか?と思う人間もいるだろうが、実は違う。
ミスタ「予備の銃は不慮の事故とかで銃を無くしたり、急な破損とかですぐに直せない場合用に持っているだけさ」
雪乃「同じ銃に見えますけど……」
ミスタ「同じ会社の同じ型式の銃だぜ。だけど、違う銃だ」
確かにそうだ。いつもと違う物を使うと、戦場では支障をきたす時がある。
ミスタ「学生のお前なら、ペンで例えた方が分かりやすいかもな。全く同じシャーペンでも普段使っているシャーペンと、別のシャーペンでは使い心地が違うって場合がないか?」
ミスタさんは組み立てながら答える。
実に分かりやすい例えだ。同じシャーペンでも指の馴染み方が違うから、違和感があるものだ。
雪乃「分かりやすいです。指の馴染み方が違って字がおかしくなった気がしますもの」
ミスタ「銃も同じだぜ。いや、ペン以上に馴染みって言うのが如実に出るんだよ。全く同じ照準をしても銃ごとにクセがあるからな」
カチッ!パチン!カチッ!パチン!
喋りながらミスタさんは空射ちを始める。
ミスタ「………引き金が重くなりすぎてるな。イヤなタイミングでバネがいかれちまいやがった。出来れば馴染むまで試射したかったんだがよぉ」
雪乃「そんなに違うんですか?」
ミスタ「引き金の重さはバカに出来ねぇんだぜ?かかる力が違うってことは馴染んだタイミングで撃てねぇし、何より手に余計な力がはいっちまう。バネの一本にしても照準に狂いが出るもんなんだよ。特に毎日使っている物だとその違和感は大きいんだぜ?それを体に染み込ませる為に試射をするんだ」
承一郎「なら前にもらった銃の部品ならどうですか?」
外で葉巻を吸い終わった承一郎は中に戻って言った。
ミスタ「あれは俺の感覚からだと四年も手にしていない銃だ。当時のクセと今のクセじゃあまるで違う。それだったら予備銃の方がまだ今の銃に近い。ち……何発か試射したいぜ」
そして、夜が明けていく。
おまけコーナー♪
side比企谷八幡
ある日の昼休み、俺がトイレに行こうとすると妙な気配があった。
あれは…閣下!違う!別の世界の閣下だ!
狙いは俺をどジャアアアンすることだな!?今まで何度もあったからわかっている!
八幡「ザ・ジェムストーン!時よ止まれ!」
丁度俺と入れ違いで教室に入ろうとする葉山がいた。
丁度いい!こいつを巻き込もう!(鬼畜)
それにハーミット・アメジストを巻き付けて幻影の波紋で俺を透明に、葉山を俺の姿に変える。
これでよし。そして時は動き出す。
ヴァレンタイン(ニセコイ)「どジャアアアン!」
さぁ、どこの誰だ!俺を利用とする間抜けは!
……と思ったら、目の前に承一郎がいた。
葉山(俺に幻影されている)「え?え?何だ?」
何か個人装着用のロケットを葉山(俺の幻影)。
承一郎「八幡。肉体の強さも必要だとは思わないかい?僕が特別に招待してあげるよ。そこでみっちりCQCの訓練を積んでくるがいい」
いらん。
CQCは中国拳法や柔術をベースにイギリスで開発された軍隊格闘技だが、俺はこの数年間でその源流たる中国拳法や柔術をある程度は奥義も含めてマスターした。ジジイによって無理矢理。
今さら食い散らかしをやってなんになる。
葉山「お、俺はヒキタニじゃあ……ギャアアアア!」
葉山はそのままロケットに連れていかれた。おっと、俺まで飛ばされてしまう。俺はハーミット・アメジストを葉山から離す。そのまま透明人間でやり過ごそう。
承一郎「ふぅ……これでスッキリした。反省しなよ八幡。では閣下。ありがとうございました」
ヴァレンタイン「構わない。CIAが君にしてきたことを思えば、これくらいはお安いご用だ」
そう言って承一郎と閣下は去っていった。
ほぅ……これで事実上開戦だな。
とりあえず今日はこのまま帰ろう。次はとびきりのを用意してやる。
俺は幻影の波紋を解除し、そのまま時計型通信機で自分の世界の閣下に救助してもらった。
あれ?何かを忘れてるような…。
まぁ、忘れるってことは大したことじゃあ無いだろう。
俺は閣下にどジャアアアンされて総武高校に帰った。
sideなし
オセロット「さぁ!CQCの訓練だ!比企谷八幡!」
葉山「俺はヒキタニ君じゃ……」
オセロット「関係ない。やれ」
葉山「ギャアアアア!」
葉山(何で俺がこんな目に……おのれヒキタニ……)
後にオーラル・シガレッツを得たとき、肉の芽で狂った葉山がこのときの事を思い出し、更に八幡に恨みを抱いたのはいうまでもない。
←To be continued
はい、今回はここまでです。
この先はどうなるのでしょうか!
それでは次回もよろしくお願いいたします!