また、八幡がやる技はかなり危険です。
遊びでもお試しでも絶対に使わないで下さい。
side比企谷八幡
さて、今のところは劣勢。
どう出る?このままなら俺が出る。モード変更…。
この手の奴ならアイツのスタンドへの対処で良い。平塚先生のザ・オーガとアイツの対処法で。
アームストロング「俺を黙らせてみろ、他の奴らのように!」
アームストロングはその筋肉隆々の右腕を振りかぶる。ジョニィはそれを空手の外受けで軌道をズラしてそこから奴の顎に掌底を叩き込む。
空手の技だ。竜とかという奴に仕込まれた技か…。容赦なく打ち込んでくる奴のようで、体で覚えたのだろう。ジョニィ達にCQCを教えたオセロットはザ・ボス──承一郎の母に教わったらしい。残念だ。ここではそのCQCこそ適した技だった。
アームストロングは掌底で顔を上に向いたが特にダメージはない。
俺なら掌底をやりつつ指を顔面に密着させて目玉をえぐりながら首返しを食らわせ、大外刈で頭から落としつつ、全体重を乗せて失明させている。
アームストロングは左ストレートを放つ。今度は内受けで軌道をズラし、その勢いを利用して右肘を叩き込む。
まただ……考えれば承一郎やジョニィは様々な力の恩恵で大抵はそれで終わっていたのだろう。
だから力に対して力に頼る戦い方になる。コイツらが良いように俺やジョジョにやられるのはそこだ…。出番になるかもな。
アームストロングは少し怯みつつも、某ヤサイ人みたいに力を溜める。これはッ!
ジョニィは急いでバク転して距離を取った瞬間に俺の顔面スレスレに衝撃波が発生する!ザ・オーガのファイヤーウォールの衝撃波版か。やれやれ、本当に某マーベルコミックで出てくるような奴だな。出て来る作品間違えているんじゃあないか?
こいつはクレイトロニクス(微小な自己組織化ロボットが互いに連携して機能的な要素になる機械)技術を用いた、サンダウナー達とは別系統のサイボーグらしい。しかも硬化するナノマシンもあるのだろう。
ナノマシンとスタンド能力による相乗効果、だからあの『村雨』を掴みヘシ折る事も可能だったのだ。しかもサイボーグには電力をパワーに変換する能力がある。さっきの衝撃波もおそらくその類のものだろう。
電力が尽きるまで退却戦を仕掛けたいが奴はバカデカイエクセルサスの電力を吸収した。おそらく戦いで当分電力は尽きないだろう。
だが、対処法はある。気付くか?ジョニィ……。
ジョニィ「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ‼︎」
ジョニィは雷を帯びた拳のラッシュを叩き込む。
アームストロング「フン、生温い!」
だが野郎はケロリとしてやがる。こいつ、承太郎の『スタープラチナ』や俺の『ザ・ジェムストーン』クラスじゃあないか?つまり、サンシャイン・ルビーほどじゃあない。それに小町ほど体術に優れていない。
ジョニィは左手を奴の顎に向けて伸ばし、右手を俺のボディから顎のラインをカバーするようにして半身になる。空手の組手の構えだ。
アームストロングが右ストレートを放つ。ジョニィはそれを鉄拳ならぬ骨拳のカウンターの逆突きで合わせる。そこからさらに右足に鎧を纏わせてのサソリ蹴りを放つ。
アームストロング「ブン殴る!」
アームストロングは左右の腕を振るい、そこから蹴りを放つ。ジョニィはそれを骨装甲付きの腕で次々と剥げていく装甲を作り直しながら捌く。そこからさらに一発拳が放たれる。
ジョニィ「
俺はそれに右拳でぶつける!だが、
ベギィッ!
ジョニィ「ぐおおおおおッ!」
ちっ……拳を砕かれたか……。
奴はまた力を溜める。また衝撃波か!俺は後方に跳んで回避しようとする。
おいっ!
アームストロング「ハァッ!」
ジョニィ「なっ⁉︎」
さっきよりも一際大きな衝撃波が発生する!
ジョニィ「がはぁっ……‼︎ぐっ…ゴプッ!」
エクセルサスの胴体部に叩きつけられた俺は起き上がるが、吐血してしまう。クソッ、内臓までやられたか!
このまま何度もあの衝撃波を食らっていたらこっちが保たない。一気に短期決戦を仕掛けるしかない!
ジョニィ「うおおおおおおおッ、無駄ァッ!」
砕けた拳を再生させ雷を帯びてアームストロングの腹に殴りつける。野郎は平然としてやがる。
ジョニィ「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ‼︎」
拳を装甲ごと破損しても修復しつつひたすらラッシュをブチかます。
ジョニィ「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
さらにそこに『ブラッディ・シャドウ』を加えてのダブルラッシュを叩き込む。
ジョニィ「無駄ァッ!」
ジョニィは波紋入り諸手突きを放つ!しかし奴は少し後ずさるだけだった。
ジョニィ「クソッ、これだけ殴っても無傷だと…」
アームストロング「ハハハハハッ!あらゆる衝撃に対して一瞬で硬化するナノマシンとスタンド能力の相乗効果ッ!」ビリィ!
奴は自分のシャツを破り言い放つ。その胸には一際盛り上がった筋肉の筋が。その心臓部から肉体がズズッ…と黒く硬化する。
そして野郎は拳をエクセルサスの胴体部に叩き込む。嘘だろ、『村雨』でも手こずったあの装甲を素手で凹ませやがった…。
アームストロング「便利なものだろう、承一郎?いや、今はジョニィの方か?」
ジョニィ「無駄ァッ!」
俺は構わずアームストロングに殴り込むが、奴は黒く硬化して全然効いてない。
アームストロング「こそばゆい!」
アームストロングの拳が俺の腹に食い込み、吹っ飛ばされる!
ジョニィ「ぐっ…!」
アームストロング「終わらせてやる」
奴は俺に馬乗りになり、拳のラッシュを胸に叩き込む!
アームストロング「死ね!死ね!」
ジョニィ「ぐおっ!うおおおおッ!」
ボロボロになって剥げていく骨の装甲を作り続けるが、間に合わない!
アームストロング「死にやがれ!」
最後の一発が放たれ、
ドグォォォォーーーーーーz____________ンッ‼︎
エクセルサスがバラバラに粉砕される。そしてジョニィは…
ジョニィ「────ゴボッ!」
心臓にぽっかりと穴が空いていた。
クソッ、まさか二度も心臓に穴が空くなんてな…!急いで穴を修復しなくては…!
ジョニィは血の塊を吐き出して心臓に力を注ぐ。早くしなければ、手遅れになる!
アームストロング「おや、まだ死なんとはな」
アームストロングがジョニィに向かってやって来る。早く、早く心臓を再生させなければ…!
ジョルノ「『ゴールド・エクスペリエンス』ッ!」
突然、アームストロングの体に黄金の拳が叩き込まれる!
ジョルノ「感覚だけが暴走する」
ミスタ「いけッ、『セックス・ピストルズ』!」
感覚だけが暴走するアームストロングに弾丸が命中する!
ジョルノはジョニィの体を掴んで退避する。八幡が俺の能力で飛ばしてくれたのか!
ジョルノ「無茶をするね君は!」
ミスタ「そうだな、なんで俺達を帰したんだ?」
胸に風穴が空いて喋る事が出来ずにジョニィはスタンド越しで話す。
BS『クソッ、「村雨」をヘシ折るなんて…。奴は皆さんが戦った「ザ・オーガ」よりもナノマシンでさらにパワーアップしています』
ジョルノは適当な物でジョニィの心臓を作り、応急処置を施す。
ここで全員で戦うか?それでも良いだろう。
アームストロング「個人で敵わないなら、全員でくるか?良いだろう。お前にはそれがお似合いだ。
フン、
ジョニィ「なっ…⁉︎」
ジョニィ『それは…!その言葉は…!』
何かしらのタブーか何かみたいだな。
アームストロング「お前は知っているはずだ、この言葉を。我が部下、『マイク・O』をかつて殺したお前はな」
ジョニィ「こいつッ…!」
アームストロング「そう、俺があの時お前達の始末を命じたのだ。『奴』に指示されてだがな。お前だけが生き残るとは、奇妙な話だな」
こいつが承一郎達を取り巻く全ての元凶か。
アームストロング「部下の不祥事は上司であった俺が責任を持って始末しなければな」
奴はゆっくりと、しかし確実な足取りでジョニィに近づいてくる。
ジョニィ『──こいつを、絶対に赦すな── 』
次の瞬間、ジョニィの視界にノイズが入り…俺の方にも記憶が流れ込んでくる。
──ここは…どこだ…?──
薄暗い、研究室のようだ。ジョニィの周りには何かガラス管が覆い、液体が埋め尽くしている。口には…酸素を供給するマスクが。
そして、そのガラス管の外側には二人の男女が。
ジョニィ『──おかしい、俺はこの二人を
奥からさらに男がやってくる。
男1『─────』
男2『─────』
女『─────』
会話は聞き取れない。何を話しているのか分からない。でも、
ジョニィ『──こいつらは、赦してはいけない──』
ジョニィ、そう思った。なぜは分からない。だがそう直感している。
メリ…メリィ…
男1『─────!』
男が叫ぶ。額から角が生える。
こいつらが元凶だ。こいつらが、いや、今やってきた男がジョニィの母を殺した犯人だ。
怒りが、憎悪が、目の前の世界をドス黒い真紅の色に染まっていく──
急に視界が元に戻り、ゆっくりと近づいてくるアームストロングの姿が見えた。
ジョニィ「──
ジョニィ『今、俺がやる事はただ一つ。
ほう?自分でけりをつけたいであろうに、こいつに譲るか……下手に感情に任せて暴走するようなら俺が出ていた…だが、その方法は……?
ジョニィ「──
バチィッ!と体が雷を浴びる。
ジョニィ『アームストロングの言った通りだ。俺達は出来損ないだ。人として決められた寿命を持ちながら再生するという矛盾した肉体。不老ではない不死、それは人の数倍も老いるスピードが速いという事。でも、それでも。俺は、俺達は。母が愛した、皆がいる世界を守る』
八幡『その力は、反動が伴うだろう?何分持つ?』
ジョニィ『八幡止めるな、まだ大丈夫だ。
八幡『出来るんだったら、お前が終わらせたらどうだ?』
ジョニィ『俺は居候なもんでね。決着をつける権利があるのは本来の持ち主である承一郎だ。まぁ追い込めるところまでやってやるさ』
ジョニィは全身に雷を帯びて立ち上がる。
八幡『承一郎が起きるまで持たせろ。そして反動の方は俺が何とかしてやる。万全の状態でお前らとジョルノ達を奴に送り届けてやるさ』
ジョニィ『陽乃さん達もか!?奴は危険だ!』
八幡『お前、やっぱりパッショーネや陽乃さんを甘くみているよ。特に陽乃さん。陽乃さんを交えた俺やジョジョの三人がなんて言われてるか知ってるか?』
ジョニィ『なに?』
八幡『性悪トリオ。因みに陽乃さん単独では魔王と呼ばれるまである』
ジョニィ『嘘だろ……』
お前の前では陽乃さんはその姿を見せてないからな。
基本世界ではトラブルの元凶とまでなっている人らしく、基本世界の比企谷八幡は特に陽乃さんを恐れている。
ただ親戚というだけでジョルノが陽乃さんを気に入る訳がない。パッショーネの理念と陽乃さんの本質はガッチリはまっているんだ。場合によっては俺やジョジョ以上に。だから陽乃さんは黄金の風に配置されている。
陽乃さんが俺達とガッチリ噛み合っていたら、四年前だってお前らに負けてはいない。
「茅ヶ崎陽乃」は行動を共にしながら、あくまでも単独だったんだ。だが、今ここにいるのは「茅ヶ崎陽乃」じゃあない。俺達とガッチリ噛み合った「雪ノ下陽乃」だ。更に目覚めた雪ノ下雪乃もいる。
ブチャラティの転生であるルミルミもいる。
ナランチャさんやアバッキオさんがいた時代にも負けない新生ジョルノチーム。
それがアーシス黄金の風だ。
ジョニィ『性悪コンビの片割れは静・ジョースター以外にもいたんだな。舐めてたよ、陽乃さんを。任せたぞ、八幡』
八幡『ああ』
アームストロング「…ん?ほぅ、やっと立ち上がったか。どこからでもかかってくる──がぁッ⁉︎」
ジョニィが切り札を使い、アームストロングを吹き飛はす。その元いた場所にはジョニィが立っていた。
ジョニィ「兄さん。まだやらせて下さい。八幡が場を整えてくれるそうです!」
陽乃「へえ?出来るの?君達に?」
陽乃さんが口端を吊り上げながら訊ねる。
その目は全てを見透かすように薄笑いを浮かべている。
ジョニィ『改めて見てみると……底が知れないな……お前や静・ジョースターと似た者同士……いや、下手をしたらそれ以上に性格が悪い……なんて人を侮っていたんだ』
やっと気が付いたか。
ジョニィ「──『
雪乃「…ジョニィ…?」
ミスタ「遅かったじゃあないか…」
ジョニィ「…すまない皆、待たせたな」
ジョルノ「…ホントに君は待たせてくれるね」
ジョニィ「…俺は前座さ。本命は承一郎と兄さん達だ」
ジョニィはそう告げ、アームストロングが吹き飛んだ場所へ音の速さで移動する。
音速、それは光速の次に速い速度。
その余りの威力に戦闘班プラットフォームが無駄に一つ海の藻屑になったのは『不可能を可能にする男』としてスタッフ達が酒の肴にしたらしい。
だが、その反動は余りにも大きい。制限時間が過ぎると痛覚抑制が解除され全身に想像を絶する痛みが全身を駆け巡る。元々、制限時間内は制限を外す事によってあらゆる筋繊維がズタボロになり、骨も全身粉砕骨折、立つ事すらも不可能になる事を行っている。
四年前の俺達との戦いでこれを使わなかったのはこの技は集団戦には向いてなく、音速の動きだと力の加減が難しいかららしい。
生身でここまでのスペックを引き出したか。
思い出すな……。アスタ何とかという世界の奴を。
それを無理矢理痛覚抑制で痛みによる反射を抑えているのだ。ハイリスク・ハイリターンとはよく言ったものだと苦笑してしまうがそれで良い。
ノーリターンで能力に胡座をかき、その領域にいる存在ならば俺は嬉々として潰している。
制限時間はたった1分。1分以内に敵を倒さなければならない代わりに圧倒的な速度を手にする事が出来る。
さて、時間は無さそうだ。
俺は俺の役目を果たすか。
(ここでジョニィは戦闘続行)
俺は意識の中…承一郎の体の中へと潜る。
丁度承一郎がゆっくりとその瞼を開ける所だ。ジョニィの戦いは夢という形で見ている。
俺が眠っているときもそうだったしな。
さて、ジョニィは覚悟を固めた。お前はどうだ?
八幡『よぉ、新兵以下。気分はどうだ?』
承一郎『新兵以下だと…?』
八幡『違うのか?刀が一本、折れた。ただそれだけだ。それで茫然自失か?』
承一郎『ただそれだけだと?村雨は信乃の…』
形見か………?ふざけるな……。
八幡『俺がレクイエムを使った時、材木座と由比ヶ浜を失った』
承一郎『!!』
承一郎は材木座はよく知らなくとも(声はそっくりな奴がいるけどな。暗黒○竜波ボイスが)由比ヶ浜とは面識がある。
八幡『放っておけば、あのまま全滅だった』
動けたのは俺だけだった。柱の一族に目覚めた由比ヶ浜だけなら何とか出来た。だが、それだと由比ヶ浜も材木座も、葉山達も死んでいた。だから俺は……
承一郎『……』
八幡『お前は言ったよな?何故お前を呼ばなかったって。何が出来たんだ?あの時の状況で、こんな脆いお前が。お前がいたとしても、結局俺はレクイエムを使うしかなかったんだよ』
消えるとわかっていても、レクイエムを使うしかなかった。あの場を何とかする方法が他にあるなら、喉から手が出るほど欲しかった!
こうなるしかなかった。
承一郎『僕だったら…』
八幡『何が出来る?誰が信じられるか。何かを失って…敵の前で棒立ち。新兵がかかるような病気に陥ったお前を……誰がお前を信じられるんだ?答えてみろ。ツェペリさんを失ったジョナサンは?シーザーや花京院を失ったジョセフは?アヴドゥルとイギーを失ったポルナレフさんは?シゲチーさんや辻彩さんを失った仗助は?ナランチャさん、ブチャラティさん、アバッキオさんを失ったジョルノは!F・Fさんやウェザーを失った徐倫は!みんな前に進んだ!少なくとも敵の前で棒立ちなんてしてなかったぞ!お前はホントにジョースターか⁉︎』
承一郎『……』
承一郎は答えられなかった。答えさせない。
反論しようものなら許さない。
八幡『今はジョニィがアームストロングと戦っている。お前が目覚めるのを待ちながらな。なのに本来の体の持ち主であるお前はここでただ突っ立ってるだけなのか?
それならそれで構わん。いっそ、ジョニィが今後は一条承一郎として生き、お前は一生影で震えていろ。奉仕部は飢えている癖に魚が調理されて差し出されて来るのを待っている奴に手を差しのべない。ただ冷たい目で嗤いながら、飢え死ぬのを見ているだけだ。魚を食べながらな』
むしろ魚の餌にするくらいまである。
八幡『選べ。ただのモンキーとして飢え死ぬか、ジョースターとして自分で魚を取るか』
殺気を醸し出しながら訊ねる。
何人も見てきたからな。能力で俺の上を行きながらも、本物の恐怖を目にしたとき、自分のスペックを十全に出せずに無様に俺の足元で寝転がるHACHIMANとやらを。
戦いがなんたるかをわからない奴が……御託をぬかしているんじゃあねぇ……。だったら最初から戦うな。
本当に失望したぞ……一皮剥けばこの程度だったお前に。HACHIMANと同じだったお前に……。
承一郎『……今の僕はお前の足元にもいないんだな…僕の方が強いはずなのに。強いではなく、怖い。何があったんだ?お前は……』
八幡『さぁな。平行世界を渡り歩けばわかる。苛つく事や呆れることばかりだ。お前が別の世界の戦う一条楽と会えば分かるかもな』
何人の俺から……HACHIMANから人の心があるのかと聞かれた事やら。
本当の戦いなんてこんなものだ。
さて……お喋りはここまでだ。
八幡『で、どうするんだ?俺はどっちでもいい。ジョニィの頼みだ。決着をつける権利があるのは本来の体の持ち主であるお前だってよ…。あいつは甘いな、お前に。俺だったらさっさと切り捨てているぞ』
承一郎『…彼は前に言っていたんだ。「俺達は未来のために戦うんだ」って…彼は僕よりも母を殺した世界を呪っているはずなのに…』
承一郎はゆっくり起き上がる。
承一郎『…ありがとう八幡、君も甘いと思うけどね?』
八幡『抜かせ。それでどうする?』
承一郎『僕にやらせてくれ……』
自分で終わらせるか。ならば、お膳立てはしてやろう。
確かにジョニィは圧倒的なスピードでアームストロングをタコ殴りにしている。だが、約束の1分までもう少しだ。これを打開できるのは俺だろう。
八幡『あんな技があったとはな…あれがお前達が戦っていた切り札か?』
承一郎『…狂った世界の
八幡『まぁな。見ていろ』
side比企谷八幡(ジョニィの記憶)
〜ジョニィside〜
ジョニィ「おおおおおおッ!」
あと少し!あと少しで全てが終わる!
ジョニィ「無駄ァッ!」
拳が叩き込まれるが…
ガキィンッ!と音を立ててアームストロングは白い人工血液を流しながらも全身を黒く硬化してガードする。
アームストロング「確かに速い…圧倒的だ。まさに
野郎、電力の消費を覚悟で全身を硬化し続けるとは…多少はダメージは入るがこれなら制限時間が来てしまう。
なら一撃必殺をお見舞いしよう。俺は距離を置いて、右手に手刀を構える。バチバチィッ!と腕に雷が収束する。要はアレだ、○鳥だ、雷○だ。
ジョニィ「食らえ、そして死ね!」バチィッ!
アームストロング「いいだろう、これで終わりだ!」ボォッ!
アームストロングも右拳に炎を纏い、思い切り振りかぶり、走り出す。
雷と炎が、衝突する。
永遠に思われた一瞬の拮抗が終わり、俺の手刀の突きが奴の拳の甲を斬り裂いてズレ、奴の拳は俺の頭を掠め、俺の手刀は奴の腹に命中する!
アームストロング「ぐおおおおおッ!」
突きの勢いでアームストロングは吹き飛ばされる。止まった俺は…
ジョニィ「ぐぅぅっ…!がああっ…!」
痛覚抑制が解除され、今まで溜めていたツケの痛みを味わっていた。全てがかき混ぜられるような苦痛が体の感覚を埋め尽くす。
…まだ、耐えられる。こんなもの、癒える事のない
アームストロング「ぐっ…めだか○ックスにNARUT○とは…パクリすぎだろう」←メメタァ!
野郎、やはり防御に全力を出して突きを防いだか…!
ジョニィ「二次創作って時点ですでに誰かの作品から着想を得て創られた
ついでに言うと荒木先生は『進化』だ。『パクリ』ではない。異論は認めん。
八幡『おい、急にメタ発言多くなってきたぞ?』
ジョニィ『気にすんな。で、どうだ?あのバカは起きたかよ?』
承一郎『君が頑張っている以上何が何でも立ち上がらないとね』
ジョニィ『やれやれ、最後の大トリで復活かよ…お前はホントに待たせてくれる。八幡、悪いな。失望しちまったか?』
八幡『まったくだ。それも切り札はそれか。提案するぞ。これが終わったら平行世界を渡り歩け。ノーリスクでそれが出来る奴がごまんといるぞ?ブラッディ・シャドウみたいな能力もな。お前の暴走もそこで何とかなるかもな。さて……依頼は半分終わった。残りの依頼を果たす。お膳立てが終わるまで俺と代われ。ジョニィ』
ジョニィ「なに!方法はあるのか!?八幡!じゃあ、頼んだぜ!八幡!」
まったく……世話の焼ける。ジョニィと代わり、俺が承一郎の肉体を支配する。
走る激痛。だが……この程度なら……。
八幡「コォォォォォォォ………」
他人へのベホイミは苦手でも自分へのベホマは得意だ。
承一郎やジョニィレベルの波紋では無理でも俺の波紋ならば……それも吸血鬼に影響力を及ぼさない方法で可能だ。ジジイやウッペリさんの技術と俺の吸血鬼としての経験、承一郎の特異な体がミックスされて初めて出来る芸当。免許皆伝なめんな。
アームストロング「貴様……ジョニィでも承一郎でもないな……」
場を支配する俺の殺気に充てられるアームストロング。
ジョルノ「出てきたね?八幡。そろそろ痺れを切らす頃だと思ったよ」
八幡「まぁな。まぁ、ここは俺に任せろ。ジョルノ達の出番は最後の最後だ」
俺はアームストロングに向けて足を進める。
アームストロング「誰だ?貴様は」
八幡「誰だは無いだろう?お待ちかねの奴が(ポン!)登場したのによ」
アームストロング「グッ!」
さりげなく会話をしながら、何でも無い風に拳銃を発砲した。攻撃する意志を一切見せない攻撃。
素早く動いた訳でもない。だが、世の中どういった攻撃が一番怖いか……。
こういった攻撃だ。このタイミングは無いだろう?という攻撃。実はそういった攻撃こそ対処が難しい。
八幡「DIO……訳あって別の世界から魂だけが流れて来た。それを承一郎が拾い、体を共有している」
ジョルノ「僕達はその世界から彼を回収しに来ただけだ。もっとも、お前を放置する気は無いけれどね」
陽乃「この世界にもわたしや雪乃ちゃん、八幡くんもいるんでしょ?だったら始末しないとね?八幡くん?わかっていると思うけど、モード変更だよ?」
八幡「了解ですよ。アイツの対処法ですね?」
陽乃「劣化も良いとこだけどね♪」
はは。確かにだ。しかも天然物じゃあない。
アームストロング「ほざけっ!」
テレフォンパンチが襲ってくる。
八幡「承一郎、ジョニィ、見ていろ。こういう脳筋はこう対処する!ザ・ジェムストーン!」
アームストロングはその筋肉隆々の右腕を振りかぶる。俺はそれを空手の外受けで軌道をズラしてそこから奴の顎に掌底を叩き込む。ここまではジョニィと同じ。違うのはここからだ。生身かスタンドかの違いはあるが、生身でもやることは変わらん。
掌底を振り抜くのではなく、顎に当てたまま首を後ろに反らせる。日本拳法首返し。俺は更にアレンジを加え、相手の顔に張り付けた指先を目玉に突き入れる。
アームストロング「ギァアアアアア!」
だが、まだ終わりじゃあない。完全に首を反らされ、海老反りになっている奴の腕を反対の腕で手首返しをしながら一歩前に踏み出し、大外刈りの要領で奴の軸足を刈る。もちろん、全体重を顎に置いている手に加えて頭から落とすように(しかもガラクタの角に向けて)する。
頭から二人分の体重を顎に乗せられ、腕関節を極めつつ、頭から落ちる投げ。加えて落下と同時に更に目を抉るおまけ付きだ。
まぁ、そこまでしなくても常人ならこれで死んでるけどな。
アームストロング「グアアアアアア!目が!目がぁぁぁぁぁぁ!」
八幡「はい♪一回死亡。弱いな、お前」
ついでに決まったままの腕を更に捻り、そのままボッキリとへし折る。
ここまでのポイント。俺は大して自分の力を入れていないこと。死に体になっていたアームストロングの体に一工夫しただけだ。
ジョニィ『つえぇ……普通ならこれで終わってる…』
承一郎『しかも相手の力を利用して複数の攻撃を僅かな動作でやっている…それも躊躇いなく…これが今の八幡…』
自分の力が通用しないなら、敵の力を利用する。
当たり前だ。
アームストロング「き、貴様ぁ……」
電力を使って回復したアームストロング。
おやおや、まだやられ足りないか?
ヨロヨロと立ち上がるアームストロングは先ほど同様に左ストレート。それもジョニィ同様に軸をずらした後に……ゴスッ!
膝で金的を食らわし、下ろす足でアームストロングの足を踏みつける。そしてアームストロングの脇を潜りつつ再び手首を極める。肘を相手ののどにかけ、俺は素早く背後に回って奴の軸足を俺の太ももの上に乗せる。再び死に体になったアームストロングの喉から落ちるように自分ごと倒れ込む。
倒れたと同時に二人分の体重を乗せたエルボードロップが喉に落ちる。
俺はすぐさま後方回転の要領で立ち上がる。
八幡「二度死亡。もう止めといた方が良くね?サンドバッグにしかならんわ。まだマネキンの方が練習になる」
承一郎『更に敵の心を抉り込む口の悪さ……』
ジョニィ『俺達の苦戦は一体……』
八幡「テレフォンパンチの隙だらけ。苦戦する方が間抜けだろ。何で投げねぇんだよ。何で急所攻撃一発で満足してるんだよ。ここまでやれよ。いや、マジで」
承一郎&ジョニィ『マジでこえぇ……最初の不意討ちと良い、この殺意高い投げ技といい、普段のアレはマジで遊びだったんだな……こいつは』
何を言ってるんだコイツら?戦場格闘技なんてこんなもんだろ。ケンカじゃああるまいし、殺しが前提の闘いだろ。
さて……大分回復してきたか?
八幡「つまらん。お得意の衝撃波も対処法はパッと考え付く限り、3パターンあるしな。このまま俺がやっても構わんが、やるべき人間は魂だけの存在がやることじゃあない。後は承一郎とアーシスのパッショーネ組がやるさ」
そう言って俺は倒れて動けないままのアームストロングから距離を取る。
最後くらい、俺がやっても良いだろう。
八幡「モード、ガンズ・アンド・ローゼズ!」
そう……コイツは劣化材木座だ……。
中途半端なガンズ・アンド・ローゼズ……それがコイツのスタンド能力。
さぁ……言うぞ、今だ……言うんだ!
指を掲げて吠える!
八幡「アーシス、スクランブル!決めろ!パッショーネ!雪ノ下姉妹!承一郎!」
俺は叫び、承一郎にコントロールを返した。
←To be continued
今回は以上です。
八幡が使った技は日本拳法で実際に使われる技を更に実戦風にアレンジされた技です。
くどいようですが、絶対に真似しないで下さい。本当に命に関わる技です。
さて、ここで出てきた日本拳法。
馴染みがない人ばかりではないでしょうか?
それもそのはずで、部活動とかにも大学生クラスでやっと習うことが出来るくらい実戦的かつ危険な攻撃技を前提とした武術です。
投げあり、関節技あり、膝や肘を使った技あり、ダウンした相手への追撃あり……。
投げや関節技も八幡がやったように打撃を複合して行われます。
それでも目潰しして頭から落としたり、喉に肘を置いて捨て身投げをするのはやりすぎのアレンジ技ですが…。
それでは4-5の最終決戦、後編もよろしくお願いいたします。