やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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当分はドンパチは無さそうです・゜・(つД`)・゜・


比企谷小町は兄離れすることはあるのか?1

side比企谷八幡

 

8月も中旬に差し掛かってくると夏休みという感じが薄くなる。俺には社畜生活があるから夏休みなんてナカッタニ等しいけどな!

特に千葉村の一件があったから迷惑をかけた分はいつも以上に働いたまである。

 

仗助『おめぇ、働きすぎじゃあねぇか?』

 

八幡『うおおおおおおおおお!』

 

馬車馬のようにキーボードを打ち込む俺。おれ、マジ社畜。

 

静『ハッチ?聞いてる?おーい』

 

八幡『うおおおおおおおおお!』

 

雑音が酷い。迷惑をかけたんだ。みんな助けてくれたんだ。人一倍働かなくちゃ!

一心不乱に印鑑を押す俺。

 

小町『お兄ちゃん?ねえ?ゴミぃちゃーん』

 

八幡『うおおおおおおおおお!』

 

雑音が聞こえるということは集中力が足りないんだ!もっと先へ!もっと速く!スピードの向こう側へ!

狂ったように鉛筆を走らせる俺。

 

ジョルノ『八幡が小町のゴミぃちゃんに反応しない…だと?』

 

八幡『うおおおおおおおおお!もしもし、関東支部の比企谷です。東北支部との合同企画について質問があるのですがよろしいですか?』

 

ジョセフ『電話だけは会話が成立しちょるぞ…』

 

承太郎『却って不気味だ……』

 

まだだ!まだこんなんでは遅れが取り戻せん!

 

八幡『うおおおおおおおおお!仗助ぇ!これが東北支部との合同企画の書類だ!目を通してくれ!なんなら日本支部の企画に変えても構わん!』

 

仗助『お、おう……』

 

静『そしてまたキーボード打ち始めた……』

 

仗助『見えてねぇよ…ありゃ完全に周りが見えてねぇ』

 

陽乃『こうなったら………いろはちゃん』

 

スピードの向こう側……スピードの向こう側……スピードの向こ

いろは『ハチ君♪デートしましょう♪』

う側なんてどうでも良い!

 

八幡『おう!今すぐ行こう!』

 

小町『お姉ちゃんの声だけには反応するんだ……』

 

ん?何かあったっけ?うおっ!仕事がめっちゃ進んでる!誰か代わりにやってくれたの?小人さん?あの異世界の二人のスタンド能力の影響で新たな能力に目覚めたのか?

天の声『トランス状態だったのか…』

 

……とまぁ、こんな調子で来月の業務すら進めてしまうレベルで社畜していた。え?しばらく仕事しなくて良い?また謹慎?何もしてないよ?今回ばかりはマジで。

 

小町「仕事が進みすぎて他の地方支部からクレームが来たんだよ……。それどころか関東支部全体が混乱しちゃってるよ。何で小町が他の県支部から怒られなきゃならないのさ……」

 

静「やる気を出されると厄介とか……逃げ腰の方が丁度良いって……」

 

仗助「お前は頑張り過ぎだから休め…いろはと小町も付けるから」

 

え?いろはと小町も休み?ヤッター!

 

陽乃「仕事が進みすぎて謹慎なんて初めて聞く事案だよね…」

 

 

 

……という訳で、働きすぎという事で強制的に夏休みが終わるまで休暇を取らされました。今は家で筋トレしています。千葉村の前の謹慎でも思ったけど、突然休みを貰ってもやることがない。

休暇が終わるまで何をするか……。

俺がカレンダーとにらめっこしていると、俺の足元に何かが這い寄ってきた。

 

八幡「……なんだよ」

 

見ればうちの猫、カマクラが不機嫌そうな顔で俺に視線を向けてくる。

千葉村から帰って来てしばらくしたら、すっかり元の可愛くない猫に戻ってしまった。だからこうして俺に近付いてくることは珍しい。

お互い見つめ合うこと数秒。カマクラはフンッと鼻を鳴らすと、俺の足の甲にゴロンと寝転んだ。猫だけに。

どうやらかまえということらしい。

そういえばここ最近は小町もサブレの方ばかりかまっていたなぁ。いろはも今は何かやっているし、ペットショップは散歩していていない。どうやらそれがご不満らしくて仕方なく俺のところに来たようだ。

俺はよっこいせと床に座るとカマクラの体を撫で回した。

最初は毛並みに従い頭からしっぽまでゆっくりと撫でさする。しばらくするとゴロゴロ言い出したのでマッサージのするように指をワシワシ動かしてやった。

カマクラはふすーふすーと鼻息を漏らしながら目を閉じる。まぁ、あれだけ動物組と遊びまくっているなら疲れるだろう。

 

八幡「楽しかったか?」

 

カマクラ「フンッ」

 

鼻で息をして返事をするカマクラ。やっぱり可愛くねぇなこいつ。

だが、それでも俺を助けるために来てくれたんだ。憎たらしいところもある猫だが、感謝してもしたりない。

その気持ちをマッサージにしてもふもふしていると、リビングのドアが開いた。

 

小町「お兄ちゃん。およ?珍しい組み合わせだ」

 

声をかけられて顔をあげると、サブレを抱っこした小町だった。いや、飼い主と飼い猫なのに珍しいってどういうことだよ。

 

八幡「俺は猫とはそれなりに相性いいぞ?」

 

小町「お兄ちゃん、猫科っぽいもんね」

 

どういう意味だこら(# ゜Д゜)

気まぐれとでもいいたいのか?縄張り意識が強いって意味か?

 

八幡「OK、酒が飲めるようになったら大虎になってやる」

 

小町「なに言ってんのさ。たまにジョセフやミスタさんとか億泰さんと一緒にこっそり飲み交わしてるの知ってるからね?」

 

な、なにぃ!結構上手く隠れて飲んでいたのに何故バレてるんだ!

 

小町「匂いとかまでは誤魔化せないよ。まぁ、お姉ちゃんや陽乃さん以外の女の子の匂いとかじゃあないから見て見ぬふりしてたけど、もし知らない女の匂いがしてたらゴミゴミしてたからね?ちなみにお姉ちゃんも知ってるよ」

 

なら今後はいろはも引き込むか。

天の声『お酒は二十歳になってから!』

 

サブレ「ばう!」

 

サブレが一声するとカマクラがむくりと起き上がり、「今は勘弁して」と言うように欠伸をしてからどこかへ去ってしまった。

 

八幡「で、何か用か?」

 

よっと立ち上がって聞くと小町ははっと思い出したように答える。

 

小町「おー、そうそう。お兄ちゃんのスマホ貸して」

 

八幡「別に良いけど……。何に使うの?」

 

小町「うん、イヌリンガルっていうアプリがあるらしくてさ、それで鳴き声拾うと犬の気持ちがわかるんだって!」

 

八幡「はぁん、そんなんあんのね」

 

便利なもんだな。ヒトリンガルも出ないかねぇ。人間も言っていることと本当の気持ちが一致しているなんてまずあり得ないからな。

早く早くっ!と小町に急かされ、俺は机の上に放り出してある携帯を取った。

アプリをダウンロードするべく画面を指でぺろぺろくぱぁと操作する。表示された一覧の中にはイヌリンガルのほか、ネコリンガルなんてのもある。

 

小町「お、そのネコリンガルもついでにお願い」

 

八幡「あいよ」

 

言われるがまま、件のイヌリンガルとおまけにネコリンガルたらというアプリをダウンロードした。

 

八幡「ほれ」

 

イヌリンガルを立ち上げて小町に渡してやった。小町は抱き抱えていたサブレを下ろすとさっそく試してみる。

 

小町「ほらほら、サブレ。何か言ってみて」

 

サブレ「ばう!」(構え)

 

八幡「まぁ、こんなもんだろうな」

 

イヌリンガルに表示されているメッセージは俺の予想を越えるものではなく、犬の欲求としてはかなりまともな部類だ。

その後もしばらくサブレにイヌリンガルを向けてみる。サブレは携帯に向かってちゃんと鳴いてくれた。

 

サブレ「ばう!」(構え!)

 

サブレ「ばう!」(構え!)

 

サブレ「ばう!」(構え!)

 

サブレ「ばう!」(構え!)

 

……え、何これ。コピペ?

 

小町「お兄ちゃん。これ壊れているんじゃあないの?」

 

八幡「いや、壊れるほど使ってねぇから。この携帯」

 

試しに自分で犬の鳴き真似をしてみる。これで表示される文字が変わればイヌリンガルは正常に作動していることになる。

さっそく俺は未来(あす)への咆哮をした。

 

八幡「BOWBOW」(逃げるんだよォォォ!)

 

恐ろしい精度だった。エキサイト翻訳さんでもこんな鮮やかに訳さねぇぞ。

 

八幡「壊れてないみたいだぞ?」

 

小町「そうだね。壊れているのはお兄ちゃんの方だったね……何から逃げるのかはともかく」

 

小町は呆れるどころかもはや諦めの境地に近い。阿闍梨がごとく悟った表情をする。肉親に温かい目で見られるとさすがの俺でもちょっと傷つくことがあると家族やジョースターのみんなには(主に徐倫)には知っておいてもらいたいです。

 

 

side空条徐倫

 

徐倫「だったら性悪な根性をどうにかしろぉぉぉぉ!ハッチィィィィィ!」

 

何故かあたしはハッチの声がした気がしたので職員室で叫んだ。

 

鶴見「空条先生?どうなされたんですか?」

 

隣の席に座る鶴見先生があたしに心配の声をかけてきた。

 

徐倫「いえ、比企谷の声が聞こえた気がしたので…」

 

鶴見「疲れてますねぇ……一度カウンセリングを受けてみてはいかがてすか?比企谷君とジョースターさんの担任は苦労しそうですし」

 

徐倫「いえ……まぁ、もう慣れましたんで。親戚付き合い長いですから……おまけに東方会長やジョースターおじいちゃんが加わるともう………」

 

それにあたし以外であの二人を扱える教師はいないわよ。ホントにあの性悪コンビが……

 

朋子「ああ、ノリで更に被害が拡大するわね。似た者同士で固まってるし。承太郎君や徐倫ちゃんみたいなストッパーがいて助かってるわよ」

 

わかってるなら助けてください。朋子さん。

おばあちゃんと言うと存外傷付くのであたしは朋子さんと呼んでいる。

ジョセフおじいちゃんとは内縁関係だしね。

感覚的にはお母さんって感じだけど。

 

鶴見「大変な家庭ですね……ジョースター家は。ただでさえ複雑な環境ですのに。まぁ、いつでも相談に乗りますよ?空条先生」

 

鶴見先生に慰められてしまった。おのれハッチ……。

あたしはその怒りを二学期の授業計画書にぶつけることに決めた。帰ったら比企谷家に乗り込んで拳骨しよう、そうしよう。

 

 

side比企谷八幡

 

八幡「とにかく遊んで欲しいみたいだ。ホントにイギーなのか?こいつ」

 

小町「んー。じゃあお散歩でもさせようかな?」

 

八幡「ああ、そうしろそうしろ」

 

これでしばらくは髪の毛むしられかけなくて済むな。可愛いは可愛いが四六時中走り回られても困る。

 

小町「じゃあリードを取ってきて」

 

八幡「はいはい」

 

サブレは頭の良い犬だからリードを付ける必要は無さそうだが、何があるかわからんしな。

俺は由比ヶ浜から託されたお世話セット一式からお散歩用リードを取ってくる。

 

いろは「あ、ハチ君。サブレを散歩させるの?」

 

俺の部屋で在宅でも出来る仕事をしていたいろはが話しかけてきた。

 

八幡「ああ。小町と一緒にな。いろははどうする?」

 

いろははう~ん……とペンを下唇に当てて考える。なにその自然な仕草。メチャメチャ可愛い。

 

いろは「もう少し集中していたいからやめておく。たまには兄妹水入らずも良いでしょ?」

 

ペンを俺の唇に当ててウインクしながら答えるいろは。

あざとい!あざといぞいろは!

でも間接キスは嬉しい。

一緒に散歩が出来ないのは残念だが、俺のせいで仕事が滞っても可愛そうなのでお言葉に甘えて小町と二人で行くことにした。

下に降りてサブレの首輪にリードを付ける。

 

八幡「ほれ、これで良いのか?」

 

小町「うん、そのままレッツゴー♪」

 

小町はそのまま俺の腕に自分の腕を絡ませて俺を引っ張る。

はいはい。行きますよ。

俺は小町の腰をポンポンと叩きながら玄関に向かった。

 

八幡「行ってくるぞー。いろはー」

 

小町「お姉ちゃん、行ってきまーす♪」

 

二階に向けていろはに声をかける。

 

いろは「はーい♪ゆっくりしてきて良いからねー♪」

 

上からいろはの声が響く。ああ、癒される……。

 

←To be continued




はい、今回はここまでです。

それでは恒例の原作との相違点。

SPW財団での様子と「特攻の○」のネタを加筆。

サブレに追いかけ回されてカマクラはお疲れ。加えて小町がサブレばかり構っているのが気に入らない➡サブレとカマクラの仲は良好なのでカマクラは単に遊び疲れている。もっとも、小町がサブレにかかりきりなのは変わらないのでそこだけは不満。

百獣の王ネタ➡隠れて飲んでいる

イヌリンガルの八幡の叫びは「働きたくないでござる」➡逃げるんだよォォォ!

徐倫の総武高校の様子を加筆。

リードを取ってくる場面でいろはとの会話を加筆。

小町は八幡の運動不足を解消させるために八幡を散歩に行かせ、自分も着いてくる➡それほど八幡は引きこもりでは無いので自発的に八幡はサブレを散歩させる。小町的には散歩デート的な感覚。

それでは次回もよろしくお願いいたします。

まったく関係ありませんが、私本城の誕生日です。またひとつ、歳を重ねてしまった(^_^;)
映画「君の名は」で糸守に彗星が落ちた日でもありますね。

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