やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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八幡の下校回です。


嵐の中のマンティコア1

side比企谷八幡

 

向かい風の中、カッパを着用して必死で自転車を漕ぎ続ける。一年以上、いろはによって大事に使われていたシティ・サイクルは悲鳴をあげていた。ギシギシと騒音を撒き散らす。

俺のパワーで自転車を全力で漕いだ場合だと、自転車がもたない。かといってあまり力を抜きすぎると風に負けてしまう。

降りて走った方が効率が良いかもしれないな。

近年まれに見る強風だ。俺は諦めて自転車を降りる。

日が落ちるのが早くなったとはいえ、それでもまだ太陽は沈んでいないはずだ。ただ、それを覆い隠すような厚い雲が湧いてきた。

等間隔に立てられた街灯が頼りなげに灯り、ビニール袋や空き缶が跳び跳ねる。

暗い中、湿気混じりの土のにおいが立ち上がると、アスファルトに黒い点がちらほらと生まれ始めた。

1つ、また1つと染みを増やしていく。滴は落ちる度に大きな音を立てる!

 

ぞくり………

 

敵意………だと?

こういう時は直感に従う方が良い。

俺は波紋の力を強化して何かに備える。場所はもうじき花見川……。

すぐ近くの民家へと身を隠す。戦闘の基本は身を隠し事から始まる。

普段なら幻影の波紋を使うところだ。しかし、万能な幻影の波紋も決定的に相性が悪い時がある。

それが霧を伴わない雨天だ。

幻影の波紋では付着した水滴の形をくっきりと浮き出してしまうため、雨天の時には幻影の波紋は使えない。

なので、身を低くし、民家の塀に隠れていたのだか。

 

ドカッ!

 

八幡「ぐうっ!」

 

背後から………だと?

背後から衝撃を受けて俺は宙に舞う。いろはの自転車も一緒に投げ出され、橋に落ちる。

自転車は完全に壊された。だが、そんなことはどうでも良い。

殺気も敵意も無かった……どういうことだ?

俺は痛みを堪えて立ち上がる。波紋と三戦立ちのガードを固める。

 

ドカッ!ドカッ!ドカッ!

 

鉄壁の防御の構え、三戦立ち。

これによってダメージをもらいつつも、敵の攻撃の正体がわかる。

 

八幡「モード………ゲブ神………」

 

雨によって周囲にたんまりある水……コレが攻撃か。

水が能力であるならば、俺の敵ではない。

 

八幡「コォォォォォ!青緑波紋疾走(ターコイズブルー・オーバードライブ)

 

水を操る波紋で俺の体からゲブ神擬きの水のスタンドを引き剥がす。

 

G・S「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!」

 

襲ってきた水をザ・ジェムストーンで殴り飛ばすも…

弾かれた水が再び集まり俺に攻撃する!

 

八幡「ぐぁっ!」

 

さしもの三戦立ちでも質量が増して強化された水の塊をぶつけられては堪らない。橋から転落する!

 

八幡「嘘………だろ?」

 

俺はそのまま……花見川に落ちた。

 

 

side鵠沼久遠(ウルフス・マンティコア)

 

んっんー……手強いとされているDIOもこうして不意打ちを食らわせれば大したことないじゃあん?

嵐の中では僕の能力は無敵なのさ。

このマンティコアの前には貧弱も良いところだ。

この鵠沼という男もついてなかったね。

僕の本体である鵠沼久遠という男は、いわゆるリストラ組さ。

毎日会社に行く振りをしては、公園で時間を潰してぶつぶつと世に対して恨み言を言っていた。

オロチの奴はその男を狙った。これだけ世を恨んでいるのなら力をやろうと。

確かに鵠沼は力を得た。体はな。目覚めたのはこのマンティコアで、鵠沼の魂はあの世に飛んでいったが。

 

マンティコア「さて、この道はあとジョースターの人間が数名通るはずだ。確実に潰す」

 

 

side比企谷八幡

 

危なかった……ハーミット・アメジストがなければ確実にやられていた。

俺は今、ハーミット・アメジストで橋の裏にくっ付け、ロープ代わりにして橋の裏に引っ付いていた。

 

八幡(はぁ……はぁ……。相手はやはりウルフスか?十二支の内のどれが現れた……ゲブ神に似た能力とは厄介だな)

 

俺は奴のスタンドが立っている橋の裏で隙を伺う。奴の次の目的はジジイの車に乗ったいろは達だ。その前に蹴りを付けてやる。

 

ポタッ…ポタッ…と橋から水滴が落ちる。

 

水滴?橋の裏に?

確かに台風で風が強いから橋の裏側に水が付着していても不思議ではないが…何かがおかしい。

勘が告げている。これはヤバいと。

 

マンティコア「イヤに簡単に倒れると思ってたよ。蜘蛛かお前は」

 

水滴が集まり、徐々に大きくなっていく!

くそっ!見つかった!

俺はスパイダーマンよろしく橋の下をうんていのように伝って橋の上に出る。普段なら川に降りて波紋で水の上に立ち、一気に橋の上にジャンプするが、それは悪手だとわかった。水のスタンドである以上は川に降りるのはまずい。

相手がどれだけのパワーを持っているのかわからない以上、川だけはまずい。

策で出たわけではない。誘き出されただけだ。

おまけに暴風雨でどこにでも水がある状態だ。

現在、奴はアクア・ネックレスのように水を集めて人の形を形成してやがる…。

前回のハーメルンも厄介だったが、今回は更にまずい。

 

八幡「く………お前は何者だ……」

 

マンティコア「僕は宇宙意思の1つ、マンティコアさ」

 

八幡「マンティコア……だと?」

 

確か人と蠍と虎のモンスター。寅の干支か!

だが、寅の干支が何で水を使う?五行は木、方角は東北東、陰陽は陽……まるでわからねぇ!

 

マンティコア「ふふ。ハーメルンが言わなかったかな?伝説に挙げられれば挙げられる程、僕たちの能力は増えていくと……特に………おっと、これは秘密だ」

 

八幡「どんな能力かなんて知る必要ない……お前を倒せば関係ない!」

 

俺はザ・ジェムストーンでマンティコアのスタンド体を殴りにかかる!

 

マンティコア「無駄無駄無駄無駄ぁ!」

 

奴の体は弾け、そして俺に集まる。

完全に覆い尽くされた!息が……!

 

マンティコア「この体が僕のスタンドだと思っていたのが君の敗因だよ。DIO、君はここで終わりだ」

 

奴は更に水を集め、体積を大きくする。

しまった……これは奴の能力で集めた水の集合体に過ぎなかったんだ……!敵の本体もスタンドも……別にいやがったのか!

敵に教えられるまで気付かなかったなんて……

 

マンティコア「DIO。今度こそ、台風で増量した川に落ちて……海の藻屑になるんだね」

 

俺を取り込んだまま、奴は……花見川にダイブした。

 

八幡(そうか……白虎の能力は……作品次第では風にも水にも土にもなったな…)

 

最後の最後で下らない事に気が付きながら……

 

いろは「ハチくーん!」

 

静「ハッチィィィィ!」

 

小町「お兄ちゃぁぁぁぁぁぁん!」

 

 

比企谷八幡(ザ・ジェムストーン)…生死不明

 

 

←To be continued




いきなり八幡が濁流に飲まれてしまいました!
どうなる!?
ただの下校回がまさかのドンパチ!


それでは次回もよろしくお願いいたします。

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