やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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基本世界から少しずつ変わり始める文化祭編。
今後はどうなることでしょう!


やはり俺が嵌められるのはまちがっている。

side比企谷八幡

 

ジョジョに嵌められ、俺が副委員長をやることが決まってしまった。

 

八幡「部活、中止するんじゃあ無かったのかよ」

 

完全にジト目になった俺がジョジョを睨む。当然その声音は冷たくなる。その事に気が付いたジョジョはもちろんあの顔……

 

( ゜∀ ゜)ニタァァァァ

 

と真っ正面からニタニタ顔でこちらを見ていた。

だよなぁ♪さすが相棒。この程度で罪悪感を覚えるタイプではない。

 

静「大丈夫大丈夫♪元々難癖つけて副委員長にする予定だったから♪」( ゜∀ ゜)ニタァ

 

なおたちが悪い。予定調和だったのかよ…。

 

雪乃「いつも通りね。普段と変わらないわ。何となくだけどこうなりそうな予感がしたわ」

 

このやり取りに慣れたのか雪ノ下はため息混じりに言ってくる。

それに……文化祭…実行委員。

プロテクトがかかっている基本世界の記憶が何か言っている。介入しろと……。

 

結衣「みんなでやった方がよくない?」

 

ジョセフ「大丈夫じゃ。文化祭実行委員会の事なら元々八幡を介入させるつもりじゃった。実行委員会に選出された段階からのぅ」

 

仗助「普段からそれ以上の指揮を取ってるんだ。三部長室の五人中、三人がいれば効率が良いだろうよ」

 

確かにその通りだ………って。

 

いろは「わ、わたしもですか」

 

静「ハッチがやルとなればイーハもやるじゃん?で、ついでに相模から相談を受けたことも片付く一石二鳥の手段が思い付いたってわけ♪」

 

八幡「おいこらマジふざけんな最初(はな)から俺を巻き込む気満々じゃあないか昨日みたいに相模の隣で上手くコントロールして何とかしろよこのアラレちゃんでもいろはが一緒にやってくれるなら俺としては何も言うことはないからそこだけは良くやった」

 

静「たまに出るハッチ版高速お断りが出た。でもアラレちゃんはハッキリ聞こえたから殺す!」

 

八幡「あ?」

 

静「お?」

 

鼻がくっつきそうなくらいの距離でメンチを切り合う俺達性悪コンビ。

はたから見たらキスをする直前に見える事だろう。

 

結衣「何でここでケンカを始めそうになるし…。つうかいろはちゃん、ヒッキーとスタッチがキスしているようにも見えるけど、止めないの?」

 

このくらいの距離でガンの飛ばし合いをする俺達だ。他の女(小町含む)が相手に顔をここまで近付ければいろはの嫉妬が発動するが、相手がジョジョなら例外だ。

 

いろは「止めるは止めますけど、ケンカを止める以上の意味は無いですね。この二人の間には本気で互いに恋愛感情とかの男女のアレコレが無いんですよ。むしろ仗助やマチちゃん以上に兄妹みたいな関係ですよ?この二人。互いが下着姿でうろついてても無反応ですし」

 

いろはが俺を背後から抱き締めながら由比ヶ浜に説明をする。

ちっ!命拾いしたな、ジョジョ。今回はお前に乗せられてやろう。

だが、責任はとってもらうぞ。具体的には仕事で。

あっちはあっちで仗助に頭をポンッとおかれて撫でられ、「そこまで」だと言われて機嫌を直していた。

まぁ、こんなのはわりかし日常的に良くあることだからイチイチいろはたちも慌てない。時にはそのまま殴り合いのケンカを始めても止めないことがあるし。

 

結衣「え?そうなの?」

 

八幡「ジョジョの下着姿を見たところで何とも思わん。変な下着を付けていたら笑い飛ばすまである」

 

静「それはこっちだって同じだっつーの。大体、あの「I love 千葉」のTシャツはそろそろやめてくれないかな。こないだなんて千葉支部の企画部長が困っていたんだけど。「失礼を承知で直訴します!あのTシャツをベースに会社のロゴを入れたイベントやるとか関東支部の支部長が本気で命令書に盛り込んで来てるんですけど、日本支部の方で止めてください!」って……」

 

なっ!大船部長がジョジョにチクったのかよ!

あと少しだったのに!

 

小町「あ~……そう言えば大船部長が本気で辞表を出しかねなかったって言ってたね……後で泣きながら言ってきてたよ……頼むから間の小町を通り越して直接命令は止めてよね…あの人は千葉支部のやり手なんだから止めてよね?…あれは立派にパワハラだよ?ゴミいちゃん」

 

バカな……あのシャツの良さが何で伝わらん!

 

いろは「だから言ったじゃあないですか…バレたら却下ですからやるだけ無駄ですよって…今度新しいの買っておきますから、あれはそろそろ諦めて下さい。ね?」

 

チュッ!っとホホチューしてくるいろは。

ぐっ!ここまでされたら諦めるしかないのか……

あれは良いシャツだったのに!魂が砕けた時、せめてあれを着て砕けたかったと言うのに!

 

 

 

この時、全俺が泣いた。

比喩ではない。全ての平行世界の比企谷八幡が泣いた。

 

 

あれ?そもそも………

 

結衣「あれ?あたし達って何の話をしてたっけ?」

 

雪乃「脱線に脱線を重ねたからわからなくなってしまったわね」

 

静「ん?由比ヶ浜が雪ノ下の代わりに訓練するとかという話じゃあなかったっけ?」(⌒‐⌒)ニコニコ

 

そうだったっけか?何か違ったような……

んんん?

 

ジョセフ「そうじゃったそうじゃった。結衣、ジャージに着替えて訓練開始じゃ!」

 

あー……確かに最初は雪ノ下が訓練していた所から始まった気がするけど……

この釈然としない気持ちは何だ?

 

静「じゃあ、私は先に城廻先輩の所に行って準備をしてくるから、また後でね~♪」

 

( ゜∀ ゜)ノシ≡≡………ソソクサァ♪

 

ガラガラ、ピシャッ!

 

静「オーホッホッホッ!グレートよぉ!」

 

ダダダダダダダダダダダダダダ…………

 

廊下をダッシュするな、廊下を……でもなんだったっけ?

はて……?

 

結衣「うん?取り敢えず着替えに更衣室行ってくるよ」

 

あ、俺達もそろそろ行かんと。

由比ヶ浜は踵を返して歩き出し、腑に落ちないながらも考えている訳にはいかないので俺といろはと雪ノ下も鞄を背負い直すと、由比ヶ浜に続いて部室を出た。

部室には仗助とジョセフと小町の三人。

じじいが肩を竦めていた。

 

ジョセフ「見事に催眠術にやられたのう。まだまだじゃな?八幡」

 

仗助「あのにらみ合いの時か。やるなジョジョ」

 

 

ー廊下ー

 

リノリウムの床をべしべしべしと上履きが叩く。

 

結衣「なんだかなぁ……」

 

八幡「ん?」

 

前を歩いていた由比ヶ浜がいつもの「たははは」となっていた。

 

いろは「いきなりどうしたんですか?結衣先輩」

 

いろはが質問すると、由比ヶ浜は言い辛そうに身を捩った。

 

結衣「……ちょっとイヤな話、していい?」

 

雪乃「何?」

 

言わんとしていることがわからず、生返事をする雪ノ下。由比ヶ浜は不安そうに俺達を見回してもう一度確認してきた。

 

結衣「嫌いに、ならないでね?」

 

八幡「約束しかねる」

 

雪乃「内容によるわ」

 

いろは「確約はできません」

 

結衣「え、困る……」

 

由比ヶ浜はピタッと動きを止めて固まってしまう。

そもそもこいつはアホなのか何なのか、綺麗な所だけを見せる奴ではない。不意に打算的な女らしさも出すが、そんなのは別に何とも思わん。

女とはそういうものだとわかっているし、上澄みの部分だけで互いの印象を変えるような時期はとっくに終わっている。

 

八幡「……まぁ、大丈夫じゃね?大半の人間は俺は嫌いだ」

 

雪乃「特に有象無象は嫌いね」

 

いろは「今さらちょっとやそっとじゃあ人を嫌いにはなりませんよ?」

 

結衣「何か理由が三人とも悲しくない?」

 

ガチの同情の視線を受けた俺達三人だった。

 

雪乃「別に良いと思うけれども…。それで、嫌な話ってなにかしら?由比ヶ浜さん?」

 

話の先を促す雪ノ下。由比ヶ浜は小さく深呼吸して口を開く。

 

結衣「うん……。あのね、あたし、さがみんってちょっと、苦手、なんだ」

 

雪乃「当然でしょうね。千葉村では相模さんが決定打を打ったわけだし」

 

いろは「それで、嫌な話って何ですか?」

 

結衣「今のがそうなんだけど……」

 

八幡「は?」

 

俺達三人は互いに顔を合わせ、ファービー人形並みに目をパチクリさせてしまう。

 

八幡「ナデナデシテー」

 

ホントにファービー人形みたいなことを言った俺の頭をナデナデしてくるいろは。

互いにポカンとしている為、無意識の行動だ。

 

雪乃「あの……由比ヶ浜さん?今のの何処が嫌な話だったのかしら?」

 

結衣「その、人と仲良く出来ないっていうか女の子同士のいざこざってるのかって、そういうのあんまり良いことじゃあないと思うんだけど……」

 

え?今さら?まぁ、確かに普通はそうなのだろうな。普通の一般的な考えなんて俺達にはわからんが。

生活そのものが一般的な普通とは逸脱している自覚はある。由比ヶ浜の感覚だとプラスイメージでは無いのだろうが、俺達にはわからん。

本気でわからない俺達の沈黙をどうとったのか、由比ヶ浜は胸の前で小さく手を組み、もじもじと逆三角形を作る。

 

結衣「………やな感じのとこ、見せたくなかったんだけど」

 

視線を廊下の隅へと追いやってそんなことを言う。

 

八幡&いろは&雪乃「アホか(ですか)(ね)」

 

結衣「みんな酷い!」

 

異口同音で言ってしまった。

だったら俺達の日常なんてどうなるんだよ。普通にドンパチとかやってるだろうが。上澄みの中でも超上澄み。

表面張力の部分とも言える部分まで言えるくらいの上澄みの部分。

そんなんで変わる段階か?アホ。

 

八幡「俺達がやって来たことが、そんなんで揺らぐくらいの薄っぺらい日常だったか?」

 

いろは「転生者との出会い、ブラッディ・スタンド、リゲイン・オブ・ジェムストーン…数々の戦いは、そんなもので変わる程度の信頼関係ならとっくにどこかで死んでいましたよ?」

 

雪乃「むしろその程度で私達があなたを嫌うと思ってしまっている事が嫌いよ」

 

本当にそうだ。戦闘状況なんて極限状態を乗り越えたんだ。俺達にその取り繕いはマジで無駄無駄無駄。

 

結衣「そっか……これが本当の意味での友達なんだろうね。だったら、あたしにとってもさがみんは友達じゃあなかったって事なんだ。好きじゃあ無かったし」

 

八幡「最初から友達ではなかったんじゃあないか」

 

いろは「友達(笑)ですね」

 

結衣「あははは…。みんなに指摘されるまで気が付かなかった」

 

相変わらず一般的な女子の友達の定義はわからん。

 

結衣「向こうもそうじゃあなかったんだね。嫌われてる感じだし」

 

八幡「まぁ、そうなんじゃね?良くわからんが。見てりゃあわかる」

 

嫌うというのとは少し違うだろうが、良い感情ではないことは分かりやすすぎるくらいなまである。その事についてもう少し話そうかと三人が由比ヶ浜を見ると、妙なポーズで距離を取っていた。

 

結衣「………ヒッキー、いろはちゃんの目の前で見ていると言うのはちょっと………それに、あたしにはヨッシーがいるし」

 

雪乃「そういう意味ではまったくないと思うのだけれども」

 

いろは「あのですね、結衣先輩?ハチ君は普通に人間観察の一環として見ていただけですよ?部下の人間関係を見るのは上司の役目です」

 

いろははため息をついて説明する。由比ヶ浜は財団に就職希望でもあるし、それでなくてもアーシスの隊員だ。

ならば上司として由比ヶ浜を取り巻く人間関係を常に観察しておく必要が俺やいろはにはある。

 

結衣「え?でもそういうプライベートなところまで踏み込んで良いの?」

 

八幡「踏み込んでねぇよ。ただ、普段の態度とかそういうのはそれなりに見てるもんなんだよ。人間関係とか、何かトラブルを抱えていそうだってのはな。相模にしたって昨日とさっきとでは明らかに違った。理由はジョジョという逃げ道を見つけたから、安易な逃げに走ろうとしたんだ。ジョースターの戦略的撤退の逃げとは違う、戦いそのものから逃亡する逃げにな。そういうのを見抜く必要があるんだよ。幹部ってのはな」

 

結衣「そうなんだ………ちょっと意外だな」

 

由比ヶ浜はふと遠い目をする。

 

結衣「さがみんとは一年のとき、同じクラスだったんだけどね」

 

八幡「ふーん、仲良かったのか?」

 

結衣「まぁ、今を知ったらそうでもなかったなぁとは思うけど、当時のあたしとしてはそこそこわりとって思ってたんだ」

 

由比ヶ浜は微妙な表情を浮かべる。

 

いろは「つまり仲良くなかったんですね」

 

結衣「今にして思えば……だけど」

 

あっさりといろはの言葉を肯定する由比ヶ浜。

 

結衣「その時はあたしとさがみん、わりと目立つグループでさ。結構その事に自信持ってたのかな、さがみん」

 

相模と由比ヶ浜、その他のメンバー。彼女達がクラスの中心的なたち位置にいる、という姿を想像するのは難しくない。

由比ヶ浜は容姿のこともあるが、人と上手くやる。案外、アーシス内でも合わせるのが得意な奴だ。だから、派手で目立つノリに合わせることも出来るだろう。

一方の相模も組み合わせ次第ではそういうポジションを狙っていける存在だろう。文実でもすぐに自分の仲間、一緒にいる相手を見つけてグループ化してしまった。対人スキルの高さと自己アピールの力は強い。

それが2年になると二人の立ち位置が変わった。慢心、環境の違い、惹かれ合うスタンド使いの特徴。

最大のポイントは三浦だろう。

女王に君臨するカリスマを持った三浦が、スタンド使い故か、前世からのおかん体質の故かはわからない。由比ヶ浜という存在に惹かれ合ったのは確かだろう。

そして、三浦はどうだかわからないが、三浦が抜けた葉山グループにすぐに自分達が収まった事を鑑みるに、相模はカースト意識が高いのではないかと思う。

しかし、三浦は良くも悪くも女王。いくら男子のトップカーストのグループに収まっても相模は三浦からトップカーストを奪った訳ではなかった。

それどころか孤高の存在だったジョジョや川……うっぺりさんすらも抱き込み、更には戸塚もグループに加えたことで更に女王に君臨した。本人的にはどうでも良いことだったのだろうが。

更に三浦が不動のカーストを築いた点はもうひとつある。

氷の女王(と影では言われている)雪ノ下までとも本当の友情を築いたことだ。それが相模を2位グループへと確定させてしまった。(え?俺達はアウト・オブ・カーストだよ?カーストの外にいる存在扱い)

その事はカースト意識を強く持つ相模にとっては屈辱的な事だったに違いない。自分がトップカーストにいないのはまだ仕方ないにしても、同列であった由比ヶ浜がそこにいる、という事が好意的に受け止められなかったのだろう。

だが、相模はカーストとかの殻を打ち破ろうとしている。

 

結衣「だから、何かかつてのあたしを見ているようでちょっと嫌だなぁって……。でも、あたしみたいに変わっていくかも知れないんだね」

 

由比ヶ浜は少しうつむく。

 

結衣「女の子ってめんどくさいから色々あるんだよ」

 

まじめくさって言うのが何かおかしくて笑ってしまった。

 

八幡「おいおい。男だってめんどくさいぞ。派閥だってあるし葉山みたいに仲良しグループもある。女子だけが特別だとおもうなよ?」

 

結衣「そうなの?」

 

八幡「まぁな」

 

結衣「そうなんだ。人間ってめんどくさいね」

 

いつものたははと由比ヶ浜は笑う。

人間ほどめんどくさい生き物はない。そういったところがウルフスを呼ぶ要因なのかもしれない。

全ての人間がそういった面倒なところを捨てればウルフスは来ないのだろうか?頑張って取り繕うのを放棄し、すべてが本物になれば良いのだろうか。

……いや、どっちにしろ人とウルフスは争うことになるだろう。

 

結衣「ねぇ。あたしからの依頼を聞いてくれる?ゆきのん、ヒッキー、いろはちゃん」

 

由比ヶ浜は立ち止まり、じっと俺達の目を見つめ返してくる。

 

結衣「さがみんが間違えそうになったら、直してあげて欲しい。きっと、誰もが正しい自分でいたいと思うから」

 

八幡「出来る範囲でな。哲学を語るつもりはないが、何が正しく、何が間違っているかなんて人それぞれだ。あまり俺にその辺りを期待するんじゃあない」

 

結衣「そっか」

 

八幡「ああ」

 

何故か由比ヶ浜は満足そうに答える。俺は否定もしていなければ、肯定もしていない。なのに何故かそこには無条件に寄せられる信頼があった。

ああだこうだと理由をつけられていては矛盾を見いだすことは出来るだろうが、笑顔一つで済まされてしまうと、それ以上のものを見つけられない。

 

結衣「じゃあ、あたしは着替えて奉仕部に戻るから」

 

軽く手を振ると由比ヶ浜はたっと駆け出す。俺達は手を挙げてそれに応えるとまた歩き出した。

 

←To be continued




今回はここまでです。


それでは恒例の。

雪ノ下の役割は八幡(静の謀略)。

この時点での雪ノ下と八幡の関係は微妙だが、それはない。

八幡の高速お断りはゲーガイルのいろは編を元にしている。

八幡の副委員長化に伴い巻き込まれたいろは。

由比ヶ浜との会話は八幡のみ➡プラスいろはと雪ノ下

由比ヶ浜の頼みは雪ノ下のピンチを助けること➡相模の成長を促して欲しい


それでは次回もよろしくお願いいたします。

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