やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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君、最低だね

side比企谷八幡

 

葉山「有志の申込書類、提出に来たんだけど…」

 

葉山は雪ノ下の姿を認めると、そう話しかけた。

 

雪乃「申し込みは右奥よ」

 

キーボードを打つ手をとめずに答える様は接客業なら0点だし、営業等でも失格だが、雪ノ下だからしょうがない。研究職志望だしな。

雪ノ下のそういうところは葉山も充分に理解しているようで「ありがとう」と爽やかに言い残し、申し込みに向かった。

これで葉山の用事は済んだわけだが、おかしなことにまだいる。それどころか俺の近くに寄ってきた。

 

葉山「人、減ってないか?」

 

まぁな。ただで終わらす気は無いが。

 

八幡「ああ、なんかな」

 

葉山「ふぅん……」

 

葉山は何か考えるように襟足をかきあげる。何だよ。髪が鬱陶しいなら切れ。それとも何か?仗助やジョルノのように拘りがあるのか?それだったらあそこまで奇抜にしてからやれよ。

というか、相変わらず俺の側にいるのが妙に鬱陶しいんだが?

 

八幡「……で、何か用か?」

 

耐えきれずに尋ねると、ニカッと微笑まれた。

Oh my god…。イケメンの爽やかスマイルに灰になるわ。ディオの魂が昇天するわ。やめろよ、ザ・ワールドはまだ必要なんだから。

 

葉山「いや、別に。書類の審査待ちなんだよ。不備がないかどうか見るんだってさ」

 

まぁ、それは確かに必要だわな。帰られた後に不備が見つかって呼び出すなんて二度手間で時間の無駄無駄無駄ぁ!だし。

で、何で俺の近くにいるんだよ…と思ったが、それがこいつの習性なのだと思い出した。何でかわからんが連中、特に用がないのに群れたりするからな。知っている顔を見付けると近付かずにはいられないんだろう。子犬ちゃんだと思えば気にもならない。出来ればペットショップとかサブレだったら良かったのに…と思わなくもないが。

そうこうしているうちに一人また一人と来客がある。

有志団体の申請の他に、クラスでの出展、部活での出展にも申請が必要になるのだ。有志についてはステージの兼ね合いや機材の問題もあり、有志統制部の管轄となるが、それ以外の申請については執行部が、食品系のものについては保健衛生部にも回され、審査、承認を受けることになる。

まぁ、その後には俺も点検するんだけどな。

手続きの期日が近いこともあって、今日は特に来客が多い。サボっている連中の数と来客の数が反比例するというタイミングが悪いせいで、それぞれの窓口が人手不足でてんやわんやしだした。

すると、行き先迷子な申請者達も出てくる。

困り顔の一年生らしき女子がたまりかねて話しかけて来た。葉山に。

まぁ、俺に話しかけたくないのはわかるけどな。(学校一の問題児)

 

女子「あの……、有志って…」

 

葉山「有志団体の申し込みならあっちだよ」

 

まるで文実であるかのような自然な対応。それが勘違いを招いてしまったのか、申請にやってきた人がまぁ葉山に聞くこと聞くこと。

 

女子「書き方がわかんないんですけど、教えてもらって良いですか?」

 

葉山「ああ、俺で良ければ」

 

多分葉山だから聞いてるんだと思うぞ?その女子。

あの世界の二人の俺なら…かたやお兄ちゃんスキルが強すぎてファンクラブが出来ているあいつや、目が腐っていなくて葉山を超えるイケメンなあの組織の俺なら俺のところに来ているかもしれないが、残念ながら俺は目が腐っているし、おまけに鋭い目付きだから後輩なんて特に寄ってこない。

いろはや小町や大志、留美やけーちゃんくらいだよな?俺に近寄ってくる年下って。

いいんだけどさ。いろはがいるし、有象無象が寄ってくるなんて鬱陶しいし。だけど目から汗が出てきそうなのは何でだろ…。

葉山が丁寧に教えていると、その後ろに列ができていた。

 

葉山「ちょっとこっちを頼めないか?」

 

八幡「悪いがこっちだって手が一杯だ」

 

親切で手伝ってくれたんだろうが、それで俺の手が止まってしまっては本末転倒だ。

 

いろは「こっちに回して下さい。そっちは本当に手が一杯なので」

 

流石はいろは。状況を察して助けに来てくれた。

だが、俺は見逃していない。葉山と接触できるチャンスを逃した女子のガッカリフェイスったらね。

よくある事だ。特に承太郎と一緒に仕事をしているときの女子社員なんて、もぅ………。

良いけどね?俺やいろはもそういうのには慣れてるから。

いろはと目が合う。キャルン♪

 

比企谷八幡(ザ・ジェムストーン)…再起不能(メロメロ)

 

って俺の手が止まってどうする!とりあえず帰ったらいろはをナデナデしまくろう。ついでにその柔らかい髪といいにおいを堪能しよう。

途中から城廻先輩も駆けつけてくれて三人で捌いている。三人になってからしばらくして申請ラッシュは過ぎ去った。

 

めぐり「ごめんね。ありがとー」

 

ようやく一段落がついたところで城廻先輩はお茶を淹れてくる。葉山に。手伝ってくれたから、そのお礼なのだろう。

と思っていると、いろはが俺にお茶を淹れてくれた。そういう事ね。確かにそっちの方が嬉しいわ。これ、八幡的にポイント高い。

葉山は城廻先輩にお礼を言いつつ、一口飲んでから口を開いた。

 

葉山「人手、足りてるか?」

 

八幡「まぁ、優秀な人間で効率よく動いているからな。実働が動くこと以外は足りているっちゃあ足りている」

 

葉山「ヒキタニ君の担当部署は?」

 

八幡「あ?」

 

葉山「……比企谷の担当部署は?」

 

八幡「副委員長。次にお前は『似合わないな』…という」

 

答えると葉山の目が見開かれる。

 

葉山「似合わないな……ハッ!」

 

八幡「だろうな。自分でもそう思うぞ」

 

ケンカ売ってんのか?とも思えるが、学校での俺の評価なんてそんなものだろう。学校一の問題児と言われているみたいだし?

ん?雪ノ下が今度は驚いてる。ここで俺が怒ると思ったのか?甘いな。自覚はあるし、俺が葉山でもそう思うだろうから何とも思ってないぞ?

これまでの状況を見て大体の事を把握したのか、葉山は訳知り顔で頷いた。

んー、そういうのって結構腹が立つんだよなぁ。悪意が無いだけ余計に。

 

葉山「なるほどな。じゃあ大変だな」

 

八幡「いや、別に」

 

問題はない。逆に問題が無いことが問題な訳だし、ポルナレフさんの事があるから一番の問題が処理できていないわけだが、これは私事だ。

文実のほとんどの事は俺といろはとジョジョと雪ノ下で処理してしまっている。

いつものメンツってところだ。雪ノ下は雪ノ下でも陽乃さんではなくて雪乃だが、雪ノ下雪乃も実際は有能だ。対人スキル(と胸)が乏しいだけで、陽乃さんと遜色がない。

 

雪乃「比企谷君?後でウリャウリャして良いかしら?」

 

何でわかった?

 

特に問題はほとんど見当たらない。

 

葉山「でも、見る限りじゃあ君達や雪ノ下さんがほとんどやっているように見えるけどな」

 

葉山は振り返ってファイルの山と格闘している雪ノ下に水を向ける。

しばし沈黙していた雪ノ下だが、答えを待っているような葉山の温かみのある視線に耐えかねて口を開いた。

 

雪乃「……その方が効率が良いし」

 

葉山「でも、そろそろ破綻する」

 

そりゃ雪ノ下一人だけならな。俺達は分担して作業を振り分けている。俺はその旗頭に過ぎない。

だが、葉山隼人にしては珍しく突き放すような言い方だった。空気の変化に敏感に反応した城廻先輩。だが、取り乱す事はない。そんな精神ならば15年も吉良吉影から杜王町を守ろうと導かれし小道で勇者を待つような杉本鈴美さんの生まれ変わりは務まらない。

 

雪乃「………」

 

雪ノ下は黙っている。だが、葉山が言っていることへの肯定じゃあない。わずかに笑いすら浮かべている。

葉山はそれが見えなかったのか、雪ノ下の沈黙を肯定と受け止めたようだ。

 

葉山「そうなる前に人を頼った方が良いよ」

 

雪乃「そうね。その言葉をそこの副委員長に言ってくれないかしら?大変な目に遭ったものね?」

 

そう言って軽く俺を睨んでくる。

千葉村の事を言ってるんだろうな。何でも一人でしょいこもうとし、魂が砕けた時の事を…。

 

雪乃「でも、それはこの文実の話ではないわ。実際、比企谷君達や私達だけの方が効率が良いもの。やることにロスが少ない。普段からやっているからかしら?」

 

実際に残っている文実の人間は良く動いてくれている。

動けるものは動かし、役割が破綻している現状ではそれをばらして適材適所に配置した。能力とやりたい仕事が不一致な事はよくある話だ。それを宥めて配置替えするのには骨が折れたが、見た目ほど文実の仕事は破綻していない。先程の事は例外とも言える。

だが、葉山はわずかに目を細め、少し憐れむようにふぅと短い息を吐いた。

 

葉山「それで上手くいくならいいよ?だけど、現状回っていないわけだし、遠からず破綻する。なら、方法を変えていくべきだろう?」

 

まぁ、傍目からみたらそうなんだろうけど……。こっちは完全に慣れてしまって、回ってしまってるんだよなぁ。

 

葉山「だから手伝うよ」

 

葉山がそう言った。

 

めぐり「でも、部外者の人にやってもらうには…」

 

城廻先輩の制止にも葉山は笑顔で答える。

 

葉山「いえ、有志団体の取り纏めだけ、やります。有志団体側の代表というだけで」

 

(☆∀☆)キラーン!

葉山の申し出に俺とジョジョといろはの目が光った。

今なら目からルビーレーザーが射てる!

ヤマピカリャー!

 

八幡「よく言った!葉山!」

 

静「うんうん!ガンガンこき使うから!ねっ?」

 

いろは「ですです♪せっかくの好意を無下にするのも申し訳無いですし!」

 

雪乃&めぐり&葉山「え…………?」

 

まさか食いついて来るとは思わなかったのだろう。葉山はともかく雪ノ下も城廻先輩も固まっていた。

ふ………まだまだ甘いな。雪ノ下。

 

徐倫「下手な人間に好意を出すと痛い目を見るって覚えなさい?葉山。投げ出したらこいつらは何するかわからないわよ?下手したらプーだわ。あんたの色々なものが。性悪コンビとその嫁の手で……」

 

いろは「当たり前ですよ。空条先生!立ってるものは親でも使え!日本の良き言葉です!」

 

静「ただ、勝手に役職を自分で決めるのは良くないなぁ♪副委員長~♪こいつはどこに配置しますか~♪」

 

八幡「何でも屋だ。葉山は人望、体力、学力、更にお人好しでも一級品だ!マンパワーが足りない所に随時配置する!女子の役員の復帰も望めそうだな!必要なら廊下で告知するからよろしくな!」

 

葉山(ポカーン)

 

あんぐりと口を開けて固まる葉山。

 

雪乃「そうだったわ……この人達はこういう人だったわよね」

 

めぐり「露伴ちゃんの盟友なだけあるよね……忘れていたよ……この人達がジョースターだって事に…」

 

葉山「は、早まったかも知れない……」

 

八幡「そうだな。葉山だけに葉山ったな?」

 

ビュオオーーーー!

 

あれ?雪ノ下、エンジェル・ダストを使うのは良くないぞ?この部屋の温度が凄く下がってない?

それにエンジェル・ダストに時を凍結させる能力が付いたの?エンジェル・ダスト・ザ・ワールド?

みんな時が止まったように動かなくなったのは何故?

 

めぐり「比企谷君?」

 

城廻先輩が絶対零度の視線を俺に向けてきた。

 

めぐり「君のギャグセンス、最低だね!」

 

八幡「がはぁ!」

 

城廻めぐり(ハーヴェスト)の口撃!効果は抜群だ!(ポケットモ○スター)

 

静「コンビ解消して良い?」

 

八幡「ぐふぅ!」

 

静・ジョースター(アクトン・クリスタル)のドララ口撃!クリティカルヒット!(ファイ○ルファンタジー)

 

徐倫「ハッチ?親戚付き合いをやめていい?」

 

八幡「アウチッ!」

 

空条徐倫(ストーン・フリー)のオラオラ口撃!会心の一撃!(ドラゴン○エスト)

 

雪乃「小町さんの代わりに言うわ。あなたのギャグのセンスが無いことだけはよくわかりました。よくぞここまで寒いギャグを飛ばせるものだと感心します」

 

雪ノ下雪乃(エンジェル・ダスト)のウリャウリャ口撃!

雪ノ下の元○の一撃!!(桃○郎伝説)

 

八幡「げぼばぁ!」

 

静「イーハ、とどめをよろしく(⌒‐⌒)」

 

まさか………まさか………第2章以来、出てこなかったあの言葉が………

 

いろは「ふう………バカ、ボケナス、八幡」

 

八幡「バカな!このジョジョが……このDIOがぁぁぁ!」

 

一色いろは(ナイチンゲール・エメラルド)の無理無理口撃。

一色いろはの渾身の一撃!(天○魔境)

 

ジョナサン『いや、もうジョジョを名乗るのをやめてくれないかな?』

 

八幡『切れた……決定的な何かが……』

 

ジョナサン・ジョースター(ハーミット・パープル)の口撃!

もういっちょ!もういっちょ!(半○英雄!ああ世界よ○熟なれ)

 

 

DIO『貴様など、このDIOの生まれ変わりなどではない!』

 

八幡『前世にまで拒絶されたぁ!しかもディオにまで!』

 

ディオ・ブランドー(ザ・ワールド)の口撃!

DIOは頑張った!(ファ○コン版RPG青狸)

 

今夜は枕を涙で濡らしてやるぅ!

 

葉山「ホントに早まったかな…俺」

 

この恨み、葉山にぶつけてやる!←パワハラ決意

 

天の声『人、それを逆恨みと言う』

 

←To be continued




今回はここまでです。
葉山、起用されました♪


それでは原作との相違点を。

第四章のあの二人を思い出す。

葉山はさばききれなかった女子達を八幡に流し、八幡はなしくずし的に受けてざるを得なかった➡八幡も手がふさがっていて対処不能。いろはが対処

めぐりは葉山にしかお茶を出さなかった。というよりもめぐりはこの段階では八幡を個人認識していない➡めぐりが八幡にお茶を出さなかったのは一緒だが、いろはが八幡のお茶を用意していたので気を回した

八幡は記録雑務。葉山はその担当部署に対して「似合うな」と言う➡副委員長。次にお前は『似合わないな』…と言う。

文実は回っておらず、破綻寸前➡配置を変えて上手く回している。だが、さしもの八幡でも一人ではさすがに無理。適材適所や本物が周りを固めているお陰。また、雪乃でも原作とは違って八幡との関係も不協和音になっておらず、陽乃とのトラブルもないので副委員長が雪乃でも同じ結果だったと思われる。つまり葉山の先入観による勘違い

めぐりはおろおろする➡おろおろしない

一人では破綻するということをわかっている雪乃は葉山の言葉を無言の肯定をしてしまう➡思わず笑ってしまっている。また、案外雪乃は千葉村の事を一人で抱え込んだ八幡に怒っているのでチクリと刺す

葉山が手伝うと言った際には少し一悶着がある➡良いように性悪コンビといろはに利用される

一悶着の際に、八幡が本心を隠して皮肉を込めて言った言った言葉に対してめぐりが最低だねと言うのはほぼ本気(ここでめぐりアンチが発生する話がたまにあるが、本城的な解釈ではほぼ初対面のよく知らない人間が、ひねくれている八幡の心情を悟れと言うのは無理からぬ話と思う)

八幡の寒いギャグに対して最低と言う。書いた本城自身も第三章執筆中に変換した際にたまたま「葉山った」と出てきたので、いつか使おうと考えていたのでめぐりのアンチ潰しに利用した……が、ちょっと寒すぎる所については反省しています…けど、アンチ潰しに役に立ったので後悔はしていません。重い部分をギャグに変えることができたので良かったです

各RPGのクリティカルネタ(しかもレトロゲームよりチョイス)


それでは次回もよろしくお願いいたします。

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