やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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葉山隼人は真面目に働く

side一色いろは

 

いろは「葉山先輩効果は少しは出てますね?」

 

翌週の実行委員会。出席者は少しは増えていた。わざわざ比較するまでもない。

葉山先輩が加わる部署の「女子」のメンバーは増えていた。

適材適所とは言うけど、客寄せパンダならぬ役員寄せ実行委員って……。

でも、そこ以外のメンバーはちらほら程度。

 

めぐり「連絡は、してるんだけど。やっぱり相模さんの提案、ちゃんとダメって言えば良かったかな…」

 

相模先輩の振りをしている敵の出した「クラスも大事に」という意見の事を言っているんでしょう。めぐり先輩が申し訳なさそうに言うと、ハチ君は書類を繰る手を止めました。

 

八幡「まぁ、問題出てきそうな所に葉山を投入すればそこは補えるからな。助かったな?いろは」

 

いろは「女子だけってのが気に入りませんけどね?」

 

八幡「男子寄せパンダがいないのはキツイけどな」

 

いろは「そうじゃあ無いですよ!ハチ君に変な虫が付かないか心配なんです!」

 

八幡「いや、俺なんて元々相手にされていないから。むしろ積極的に避けられてるから。必要以上に怖がられてるかキモがられているから」

 

まぁ、そうなんですけどね?ハチ君は基本的に男女問わず避けられています。

特に今回の文実で厳しいメンバーに対応を取っていることで敵が増えてますし。

一緒にストーン・オーシャンを旅した異世界の比企谷先輩の後輩を寄せ付ける力や、あの組織の比企谷隊長だったらホントにヤキモキしてました。

 

八幡「そもそも、女子寄せパンダに寄ってくるような女子なんぞに俺がどうかなるわけないだろ?それ以外でも俺はいろは以外には興味ない。これ、八幡的にポイント高い」

 

いろは「はいはい。いろは的にもポイント高いですよ」

 

八幡「いろはが塩対応だ……死にたい……」

 

ちょちょちょ!嘘でも夏休み中に死にかけたんですからやめてくださいよ!

後でたっぷり甘えさせてあげますから!マンティコアみたいな事になったらまた泣きますからね!?

それに、ハルさんとマチちゃんには一度陥落したじゃあないですか!康穂ちゃんも危ないなぁ……。由花子さんが黙ってないからまだいいけど。

実際、葉山先輩はかなりの効果を生みました。それに、蟻は真面目に働くのは2割だけなのだそうです。そして2割がまったく働かず、残り6割は働いたり働かなかったりするそうで、これは人間にも言えるそうです。

要するに、その6割は空気を読んでどちらかに付くか考えるようで…。あるいは波風立てない程度、申し訳程度にどちらにも属せるように行動する訳です。

今まではハチ君怖い、ハチ君ムカつくの風潮で真面目に働く蟻たちにとっては分が悪かったですが、葉山先輩の投入で女子達が盛り返して来ました。

でも、その分男子の率が少し下がった気もしますが。

でも、悪い流れが完全に無くなっていないのが痛いですね?

明確に行かないのではなく、行かなくてもいいという空気がそうさせています。

女子達にとってみれば葉山先輩に接近できるチャンスですが、男子達や全体の空気からすれば文実で頑張るのはトレンドでは無いということです。

いつの間にやらいつもの学校でのいつもの如く、わたしたちは少数派になってます。ここまでくると天命だとすら思えますよね?

ただそうした少ないなかでも頑張っている人がちゃんといます。めぐり先輩や本牧先輩を筆頭とした生徒会の役員たちはさすがの団結力と責任力です!生徒会の通常業務と平行して文実執行部としても活動しています。

将来は財団にスカウトしてもいいくらいですね。財団はこういう人たちを必要としています。

野球で例えるならば、目立つエースピッチャーやアイドルホームランバッターは要らないのです。

要所要所で仕事が出来て堅実なバッティングとピッチングが求められるのです。

後は堅実な代打とリリーフを的確に判断できる監督…要は幹部を置けば良いわけで…。

現生徒会のメンバーの頑張りはめぐり先輩の人徳の成せる業なのでしょう。ほんわかと抜けている会長を支えようと役員達が力を合わせている。

もっとも、肝心のめぐり先輩は今回の文実の事態を知った露伴先生に怒られてしょんぼりしてますけど、それもあってか、それとも彼らに応えるように尽力していました。執行部の面々や出席している各人に声をかけて回っています。

 

めぐり「ちょっと集まりは悪いけど、ちゃんと来てくれる人もいるし、頑張るしかないね。じゃあないと露伴ちゃんも許してくれないし……私と関係が悪くなっている間に露伴ちゃんが浮気したらどうしよー!」

 

それはないと思いますよ?めぐり先輩がいなければあの人は一生独身でも構わないという姿勢でいますし。

 

めぐり「比企谷君!頑張ろう!おー!」

 

八幡「へいへい。そいつはどうも」

 

うわー。適当だなー。

生徒会の人達もムッとしてますが、勘違いですよ?

しっかり返事をするだけハチ君にしては心を許している方なのです。

わたしも鞄を置いて今日の仕事を確認します。やっていることが完全にハチ君のサポートになっているあたり、普段とまったく変わらないんですけど。

言うなれば副副委員長ってところですか?

ジョジョ先輩やめぐり先輩が当初に描いていたスタイルがこの形だったようです。ハチ君が委員長でわたしが副委員長ってスタイル。まんま関東支部じゃあないですか!

わたしは指サックとアームカバーを着けて「さあやるぞ!」とペンを握ると、とんとんと肩を叩かれる。

振り向くとファイルを抱えた葉山先輩がいます。気安く触らないで下さい。わたしにさわっていい男の人はハチ君だけです!

でも、この人はありがたいことに積極的に仕事をしてくれています。それも、毎日。劇の練習に影響が無い程度に。

しっかり手伝ってくれる辺り、柱の一族の呪いがなければいい人だとわかりますね。基本世界のわたしのように手を出すことは間違ってもありませんので、絶望したような顔になるのは止めてください?ハチ君。

 

葉山「作業しているところ悪いんだけど、30分だけ機材申請のまとめを手伝ってくれ」

 

いろは「わかりました♪では機材係の女子のみなさーん!葉山先輩が困ってるようなのでお願いしまーす!」

 

こっちはこっちで忙しいのです!ならばイケメンに近付きたい女子の皆さんに手伝ってもらうのがベストですよね?

 

葉山「いや、そういうことでは……」

 

いろは「みんな仲良く!たくさんの人達と共感できる葉山先輩の理想にぴったりじゃあないですかー?何が不満ですか~?」

 

葉山「確かにその通りだけどさ…出来れば真面目に仕事してくれる人にお願いを……」

 

いろは「大丈夫です!葉山先輩が関わるとなればみんな真面目ないい人になります!自信を持ってください!」

 

よいしょすることも忘れません♪リーダーが厳しいなら二番手が甘めに、逆にリーダーが甘めなら二番手が厳しめに。今回はハチ君が厳しめにいっていますから、わたしが甘めに行っています♪ちゃんとやっている人に限定ですけどね?

 

案の定、葉山先輩を餌にすると、多数の女子が殺到してきました。中には係外の人達も…。

 

ハチ君はチラリとそちらを見ますが、特に気にしていませんでした。もっとも、自分の仕事を投げ出して役職外の自主的な仕事をしたところで評価するほど甘いハチ君じゃあありませんが。

それぞれが仕事を進める中、徐倫がハチ君の方へと進んでいく。

 

徐倫「比企谷とジョースター、ちょっといい?」

 

ハチ君がチラリと徐倫に視線を向ける。『聞いているから話を進めてくれ』と言ってますね。返事するのもおしいみたいです。多分、表計算とは別に頭の中で計算をしてるんでしょう。打ち間違いがないかどうかの。

数字との格闘は話しかけられたく無いですから。

 

徐倫「うん、改めて聞かないとあんたらの場合はわからないから聞かないといけないのよ。文理選択、まだでしょ?」

 

八幡「サイコロ転がして奇数なら文系、偶数なら理系でお願いします。空条先生」

 

静「私もハッチと同じで良いですよ?空条先生」

 

徐倫は拳を握って振り上げそうになるのを堪えてプルプルと震える。計算中なのがわかっているので手が出せないようですが、そうでなければ拳骨が落ちてましたね。

そうとわかっているので徐倫をからかったんでしょうけど。

 

徐倫「あんたら……その適当さ加減を何とかしなさいよ!」

 

八幡「安心してください空条先生。理系を選んでも文系の学部に合格して見せます。なんなら専門大学でも」

 

静「逆もおなじですよ?文系を選んでも理系で合格して見せます」

 

徐倫「あんたら、三年の役員が睨んでるわよ?受験生にケンカを売ってるとしか思えないわね」

 

八幡「え?そんなケンカを売るだなんて………」

 

静「返り討ちにして干し柿にするまであるに決まってるじゃあないですか!」

 

ゴン×2

 

徐倫『だから何で毎回変なネタを持ち込んでくんな!その干し柿はやめろ!』

 

相変わらず徐倫のツッコミは冴えてますねぇ。だから弄くられるのに…。

 

八幡「先生まで仕事の邪魔をしないで下さい」

 

静「ただでさえ色々立て込んでるんですから」

 

徐倫『あたしが悪いの!?おかしくね!?明らかにあんたらがわりぃよな!?』

 

八幡「すいません。計算中なので静かにしてもらって良いですか?」

 

静「私も業務予定を組み立てている最中なのでお静かにお願いします。それとお茶のおかわりをお願いして良いですか?」

 

徐倫「え?あ、うん……ちょっと待ってて……いや、ちょっと待て!教師をパシリに使うんじゃあねぇ!」

 

八幡&静「静かにすることもできないんですか!?このネイティブ教師は!」

 

徐倫「もう嫌だ!コイツらホントにイヤだぁぁぁ!」

 

拳骨を落としたいところをそうも出来ないのでとうとう嘆き始める徐倫。満足したのか黙々と作業を始めるハチ君達。

 

徐倫「………とにかく、文化祭が終わってからでいいから。どうせあんたらは問題児として一括りに扱われるだろうし…どうせ意識調査程度みたいなもんだし。あまり深く考える………事もないか。あんたらは」

 

特にハチ君達は茶々を入れることもなく、黙って頷いて仕事に集中している。普段だったらここで徐倫をいじくるけど、今は本当に忙しいですから息抜きのいじくりもここまでのようです。

徐倫は作業の進捗状況を確認すると、ポルナレフさんの捜索も兼ねた外回りの仕事へと戻っていく。

ハチ君もジョジョ先輩もその手の提出物を忘れるなんてよっぽどですね。

どっちでもいいからさして興味が無かったとも言えますけど。周りを見ると、雪乃先輩と葉山先輩の手が止まってます。

 

いろは「はいはい!仕事を再開してください!」

 

わたしが手を叩いて仕事を促す。

今日も仕事をがんばりますか!

 

←To be continued




今回は以上です。

葉山の扱いがギャグっぽくなってきたような…。
彼が敵として出てくることも(原作ではともかく)無いですから、必然的にそういう扱いになっちゃうんですが。


それでは恒例の……

視点は八幡→いろは

文実の出席率は更に悪化→葉山効果を利用♪出席率増加

文実に行くのはトレンドではない→女子は葉山がいるから少しはトレンドになりつつある

原作いろはは葉山を狙っていた(途中から八幡?)→興味なし

それでは次回もよろしくお願いします。

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