やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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「最期」ではないですので勘違いしないで下さい。

ヒントはポルナレフです。


相模南の最後…

side空条承太郎

 

ジョルノに手足を再生されて立ち上がる川崎兄弟と陽乃。だが、魂レベルで…スタンドを切断された苦痛は並大抵の物じゃあない。

外見は直っていても、本来なら立ち上がる事さえ困難だったりする。

それを根性で痛みに耐えているんだ。

その勇気と覚悟は尊敬するが、とてもでは無いが戦えないだろう。

 

ジョルノ「君達を直したのは……特に川崎兄弟を直したのはトドメの一撃をさせないため。残念だけど、君達は後退すべきだ」

 

仗助「提案とかじゃあねえ。歴とした命令だ。気絶している三浦や戸塚、康一を連れて後退しろ」

 

俺も二人の意見に賛成する。

純粋に足手まといだ。それは俺達にも言えるがな。

「命令」という形式をとった以上、反論は許さない。

アーシスの作戦上での命令は絶対だ。

 

大志「でも!」

 

承太郎「大志。『命令』と言ったはずだ。次に反論しようとすればお前を除名する」

 

前世のシーザー・A・ツェペリのようにするわけにはいかん。大志を死なせればジジイ達が悲しむからな。

八幡だって許さんだろう。

 

大志「わかりました……救援、ありがとうございました」

 

沙希「ジョジョ達……相模の仇を…お願い」

 

俺達に託し、川崎兄弟と陽乃は下がった。

 

仗助「待てよ。後退する場所はここだぜ?」

 

仗助は懐からそれを出す。

それは………。

 

沙希「ココ・ジャンボ!見つかってたんですね?!ポルナレフさんは!」

 

承太郎「ああ……」

 

灯台もと暗し……とはよく言った物だがな…

ヤレヤレだ。

 

川崎達はココ・ジャンボの鍵に触れ、中に入る。

もうエンポリオの準備も終わらせてあるだろう。

 

横牛「勝てるつもりでいるのかな?いくらジョースターとはいえ、そう何度も奇跡は起きない。一人ずつ…確実に消していく」

 

俺達はここで一斉に嗤う。

 

横牛「何がおかしい?何か秘策でもあるというのか?」

 

ある。

お前は見せた。その能力を……。

そこに付け入る隙がある!

 

承太郎「勘違いするんじゃあない。お前と戦うのは…こいつだ」

 

ビシュゥゥゥン!

ココ・ジャンボからそいつは現れる。

銀色の逆立った髪の毛、年中変形タンクトップで過ごしている2Pカラーの二階堂○丸(ポルナレフの方がそれの元ネタだが)っぽい男………

ジャン・ピエール・ポルナレフだ。

 

ポルナレフ「メルシー承太郎。ここは私に任せてくれ」

 

承太郎「あいつの方は大丈夫なのか?」

 

この作戦はポルナレフ一人ではダメだ。あいつの力が必要だが、個人的には反対だ。この事態そのものが奇跡だと言うのに、わざわざ自分から飛び込んでくるなんて。

 

 

sideジャン・ピエール・ポルナレフ

 

ポルナレフ「まぁ、本人の意志だから仕方がないだろう。さて、ウルフス横牛」

 

横牛「その名で私を呼ぶな。貴様は誰だ……」

 

ポルナレフ「私はジャン・ピエール・ポルナレフ。お前を倒す者だ」

 

私はシルバー・チャリオッツを出現させて剣先を横牛に…相模南の肉体に向ける。

可哀想な娘だ。いつの戦いでも花の乙女が戦いに巻き込まれてしまうのは堪える。

しかし、ウルフスとなった以上は殺さなくてはならない。せっかく千葉村で助かったというのに…静の話では変わり始めていたというのに……。

私はそういうのを許さない。この肉体はもうウルフスだ。この娘を花の女子高生とはみなさない。

 

横牛「ジャン・ピエール・ポルナレフ……貴様の事は知っている。スタンドの更なる先を…レクイエムを発見した男だな?余計な物をDIOに吹き込んでくれた、奴のレクイエムは危険だった。もう既に始末しているがな」

 

何だと?八幡達も既にやられているのか!?

いや、奴等の事だ。何がなんでも生きているいるだろう。

俺達のやるべき事は八幡達の安否を確認することじゃあない。

このウルフスを倒すことだ。

 

ポルナレフ「行くぞ、ウルフス!」

 

私は敢えて相手を挑発するように『ウルフス』と呼ぶ。

こいつらはそう呼ばれることを極端に嫌うからだ。

私は自慢のチャリオッツ捌きで横牛の懐に飛び込ませる。無造作に飛び込んだ訳じゃあない。

横に、斜めにと(チャリオッツにしては)ゆっくりと……それがチャリオッツのスピードだと誤認させながらじわじわと近付かせ、最後に意表を突くように一気に飛び込ませる懐の入り方だ。

予想通り、こいつらはスタンド使いとの戦い方は慣れていない。能力にあぐらを掻いている…。

沙希が指摘した通りだ。対して俺達は限られた能力のなかで如何に立ち回るかを考えている。

それが技量として差が出ているのだ。

私のチャリオッツは中距離型だ。多少の距離ならば本体である私の体から離れる事ができる。

 

ドスドスドスドス!

 

横牛「なっ!」

 

一足飛びに懐に入り込まれ、驚愕の表情を浮かべるウルフス。

シルバー・チャリオッツを……そして、私をなめるんじゃあない。

伊達にDIOや陽乃の前世、アヌビス神と渡り合っていない。

シルバー・チャリオッツの強さは、私の技量と合わさっての物だ。ディアボロとの戦いだとて、再起不能になっていなければ負けていなかったと自負している。

 

横牛「効かないよ!そんなものは!飛牛!」

 

ポルナレフ「ふっ!それを待っていた」

 

私はチャリオッツを引っ込め、飛牛を受け止める。

 

横牛「ぐっ!」

 

私の体から出た小豆色の拳が高速化して抑えが効かなくなった横牛の腹に突き刺さる。

と、同時に上手くカウンターが入ったとしても私の力では飛牛の勢いを抑えることは不可能で弾き飛ばされてしまったが。

 

横牛「カウンターは中々の物だったが、判断ミスをしたな。コレが貴様の剣だったのなら多少なりともダメージが入っただろうけど。すぐに縫い付けるけどね。アンタなんて、飛牛だけでじゅうぶ……」

 

ポルナレフ「生きている者に対してならばそうであろうな?だが、残念ながら私は死人だ。痛みなど感じはしない」

 

半分はハッタリだ。それに、今の一撃を与える事に意味がある。良く恐怖を克服できた物だ。

だが、痛みは感じないが、死人であろうと体にダメージを受ければ体の機能は低下する。

もっとも、それも問題はないが。

 

承太郎「スター・プラチナ!」

 

承太郎が時を止め私を回収し

 

仗助「クレイジー・ダイヤモンド!」

 

ダメージを受けて低下した機能を仗助が直し

 

ジョルノ「ゴールド・エクスペリエンス!」

 

ジョルノが生命力を与えてくれる。

 

横牛「ずるいぞ……貴様ら」

 

ポルナレフ「作戦だと言ってほしい。だが、お前の能力は私達には通用しないとわかったかな?」

 

横牛「図に乗るんじゃあねぇ!この下等生命体どもぉ!スラビー!」

 

横牛は男のマザコンを刺激する能力を発動してきたが…

 

承太郎「その能力は解析済みだ。恐らくはフェロモンの攻撃だろう。そんなものは鼻に物を詰めてしまえば対処できる」

 

ポルナレフ「ましてや何度も言うが、私は死人だ。フェロモン等といった攻撃は私には通用しない」

 

さぁ、ここまで挑発すればプライドを刺激された貴様がやることはひとつだろう?早くやれば良い。

 

横牛「ミノタウロス!&飛牛!」

 

ドスゥ!

奴のスタンドが私を殴り付ける。まずは確認だ。

私の見立てなら……

 

横牛「食らうが良い!私の丑の刻参りは死人だろうと関係ない!魂に呪いをかけるのだからな!」

 

ポルナレフ「そう、『呪い』。そこに付け入る隙があるのさ」

 

奴が能力を発動させる直前に私は自分自身の左腕をチャリオッツで切り落とす。

 

横牛「なっ!馬鹿か?自分で自分の腕を切り落とすなんて!」

 

ポルナレフ「バカはどっちかな?」

 

横牛「なにっ!ぐあぁっ!私の腕が!」

 

奴の腕とミノタウロスに杭が打たれる。

やはりな……呪い返し。呪いが失敗すればその呪いは自分に帰ってくる。人を呪わば穴二つ…とはよく言ったものだ。

呪いをかけるべき私の腕が切り落とされたのだから、その呪いの矛先は横牛の左腕に跳ね返る。

 

仗助「クレイジー・ダイヤモンド!」

 

仗助が切り落とした私の腕を直すと、私の腕は私の腕にくっついた。

一方、横牛は能力を解除したのか、杭が消えていた。

そして、その傷が塞がれる。

 

ジョルノ「あの世界の兵器みたいだね。その再生能力は」

 

八幡を助ける旅ではそういう存在と戦い続けたらしいジョルノがそう漏らす。雪乃がいたら楽だったかも知れないが。もっとも、私自身がそんな決着は望まないが。それに彼女も。

 

横牛「残念だったね。ジャン・ピエール・ポルナレフ。苦肉の策も、私自身が能力を解除すれば問題はないわ。しかし呪い返しとは考えられたものね。全ての伝説を再現するというのは良いことばかりでもないと言うことね。もっとも、私には無意味だったけど」

 

無意味ではないさ。さぁ、覚悟の決め時だ。

既に罠は効いているだろう。

 

ポルナレフ「覚悟は出来たかな?私達は出来ている」

 

横牛「何を覚悟すると言うの?そのシルバー・チャリオッツでは何も出来ないでしょ?今度は確実に仕留めるわよ♪ミノタウロス&飛牛!」

 

ドカドカドカドカ!

 

今度は4発、私はミノタウロスのパンチをもらった。

承太郎達とは反対側に飛ばされる。

それと同時に奴は丑の刻参りを発動させ、私の手足は全て杭に打ち付けられた私は地面に縫い付けられる。

 

横牛「これならば、さっきみたいな呪い返しは出来ないでしょ?チェックメイトね」

 

承太郎「ポルナレフ!」

 

仗助「ポルナレフさん!」

 

ジョルノ「ポルナレフさん!」

 

横牛「その距離からじゃあトドメを刺す方がはやいわよ?空条承太郎。時間を止められるとして、何秒とめられる?たしか5秒だったわよね?それよりも早く、私はジャン・ピエール・ポルナレフにトドメを刺せる!幽霊と言えども、魂の死は避けられない!」

 

ポルナレフ「言ったでしょ?うちら(・・・)は覚悟が出来てるって!」

 

横牛「ならばトドメを心臓に刺してあげる♪苦労させられたわ?ポルナレフ」

 

ドカッ!

奴の……ミノタウロスの拳が私の体へと突き刺さり…。

 

横牛「心臓に……丑の刻参り♪」

 

奴の能力が発動した。

そして……。

 

ポルナレフ「うちの覚悟の勝ちだ!横牛!」

 

横牛「グフゥ!」

 

奴の……相模南の心臓に杭が打ち込まれた。

 

横牛「な………なぜ………?」

 

ポルナレフ?「ラスト・ノート発動!考えるやる気をなくしちゃえ!」

 

横牛「がはっ………」

 

こうして、相模南の肉体は死んだ。

相模南のスタンド、ラスト・ノートで再生能力を使わせる前に。

そう、カウンターのボディ・ブローと最後の丑の刻参りを食らった時の私の体を使っていたのは私…ジャン・ピエール・ポルナレフじゃあない。

聖なる遺体となって5人の体の中に入っていた八幡のように、私の体の中に入っていた相模南の魂だ。

呪い返しが発動した理由は、相模南と操る魂を変えたことでもう一度左腕から呪いを打ち込まねばならなかった所をフィニッシュの心臓の呪いを打ち込んだ事に起きたことだ。

これを我々は狙っていた。

 

相模(肉体はポルナレフ)「あんただけは……あんただけはうちの手で倒したかった!よくも……よくも!」

 

南はその場で泣き崩れる。

自分で自分の肉体を殺す羽目になるなんて…あまりに残酷だった。

だが、君は運が良い。

 

ジョセフ「横牛の魂は完全に相模の体から抜け出しとる!承太郎!仗助!ジョルノ!手遅れになる前に!」

 

ジョースターさんがハーミット・パープルで繋がったスマホを見ながらココ・ジャンボから飛び出す。

 

ジョルノ「わかってます!」

 

承太郎「スター・プラチナ・ザ・ワールド!」

 

承太郎の時を止める能力で一瞬で到着し、次にジョルノが相模の心臓を作り出して嵌め込み、最後に仗助が生命力を与える。間に合ったか!?

 

川崎沙希がココ・ジャンボから飛び出して相模南の体を点検する。

 

沙希「……………」

 

ジョセフ「どうじゃ!無事なのか!?」

 

沙希はスッと立ち上がると………。

 

沙希「間一髪って所だったよ。相模は生きている。ポルナレフさんみたいに死んだ状態で生きているという状態じゃあないよ。後は相模、あんたの魂がこの体に戻れば全てが上手くいく」

 

沙希が最終確認をしおえ、南が生きているとわかると、全員が胸を撫で下ろした。

 

相模「戻れるの?うち、死なずに済んだの?」

 

ジョルノ「ええ。奇跡の連続でしたが……良かったですね」

 

前例があったからな。完全に死亡する前に体を再生されれば、私やブチャラティにのように死にながら生きる状態にならずに済む……。

皮肉にもそれを証明したのはジョルノ自身だ。

私のレクイエム…シルバー・チャリオッツ・レクイエムが発動した時の話だ。

シルバー・チャリオッツ・レクイエムの能力は他人の体が入れ替わるという能力だ。ジョルノとナランチャが、ブチャラティとディアボロが、ミスタとトリッシュの体が入れ替わった際にそれは起きた。

ジョルノの体に入ったナランチャが殺された。

ジョルノはすぐにナランチャ…つまりは自分の体を再生させたが、魂は……ナランチャは逝ってしまっていた。

死んだジョルノの体は完全に戻ったというのに…。

起きた出来事は悲しい事だったが、それは十四年前の話だ。悔やんでも仕方がない。

重要な事は殺されたジョルノの体のように、死んだ体でも死後すぐに再生されればブチャラティや私のようにならなくて済むという事だ。

今回は間に合って良かった…。

 

八幡「おーい!」

 

丁度静や八幡達もやって来た。あの葉山という男もいる。

 

八幡「上手く行ったようですね。ポルナレフさん」

 

静「いつ知ったの?ポルナレフさんが無事だったって」

 

八幡「さっきの承太郎からの電話で。万が一の事もあるから黙ってろって言われてな」

 

静がむくれる。何とか相模に憑いたウルフスを引き剥がし、ギリギリのタイミングで相模を蘇生させるという作戦を知るのは私が発案し、知っているのはジョースターさんと承太郎、仗助、ジョルノ、八幡と一部のみだった。他人の体に魂が入ったことのある経験が無ければ八幡にだって黙っているつもりだった。

失敗率の高い作戦だったからな。呪い返しを直前で思い付かなければ上手くはいかなかっただろう。

 

葉山「何が……どうなっている?これは…」

 

戦いの惨状を見て葉山が驚愕の顔を見せる。

一般人には理解しがたい状況だろう。こいつは千葉村の一件も忘れているからな。

 

雪乃「そこから先を知るか、今見たことを忘れるか…あなた次第よ。けれど、知らない事をお勧めするわ」

 

葉山「…………知る。何かが引っ掛かっていたんだ。千葉村の事や大和の事……平塚先生の事を……もう、知らない事はイヤだ!俺も知りたい!例え後戻り出来なくとも!」

 

ほぅ………。この男も変わりつつあるようだな。

 

仗助「………良いぜ。覚悟があると見なす。けど、後戻りは出来なくなるぜ?」

 

葉山「わかっています。それでも、知りたいんです」

 

ポルナレフ『万が一の事がある。ココ・ジャンボの中で体に戻ってみよう』

 

相模「うん………」

 

全員がココ・ジャンボの中に入る。

当然、問い詰められるだろうな……ヤレヤレ。

 

←To be continued




はい、今回はここまでです。

サブタイトルの『最後』は相模が失ったはずのスタンド、『ラスト・ノート』の事を指しています。
原作俺ガイルキャラを殺す真似は避けたかったので、こういう形にしました。
この結末はあの屋上シーンでやりたかったのですが、いくらなんでもそろそろ不自然な状況を続けるのも限界だったので、この段階での横牛戦にしました。
難産でした……(^_^;)
この不自然さが。

今後、文化祭編はどうなるか?問題解決?いえいえ、ウルフス戦が終わっても横牛のやったことの後始末をする必要があります。
あの名場面はどうなるやら。

とりあえず、ポルナレフと相模の空白の数日間の事も含め、次回以降に。

それでは、次回もよろしくお願いいたします。

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