やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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文化祭の終わりです。


祭りの終わり

side比企谷八幡

 

俺達の体育館に向かう足は自然と急ぐようになっていた。

 

八幡「よっと」

 

葉山「待てヒキタニ。何でフェンスに足をかける!?自殺する気か!」

 

八幡「え?飛び降りた方が早くね?この程度の高さじゃあ着地さえしっかりすれば怪我すらしないぞ?」

 

葉山「そう言えばあり得ないジャンプ力と着地能力を持っていたな……この高さじゃあ空挺部隊の隊員だって怪我をするのに……」

 

大志「ああ、普通だったら怪我する高さだったっすね」

 

相模「既に常識というものがない……」

 

常識とは、破るためにある!(のっけからゲスい)

 

葉山「出来れば一緒に行きたいんだが、だめかい?」

 

それもそうか。

夢のようなライブを早く見たいから気持ちがはやっていたわ。せっかく和解し、仲間になったのにそりゃないわな?

俺達は校舎の中へと入る。ちらりほらりと残っていた生徒や来客達は音の出所を探す。

このタイミングでいる来客は一般来客だろう。チケット持ちは最初から我先にと体育館に向かったからな。となると、来客達はグランドへ、生徒達は体育館へと向かう。

世界でも有名な日本ジャズ界レジェンドの貞夫さん、イタリアンスーパースターのトリッシュさん、世界のスーパーギタリストの音石さん……。世界をまたにかけ、滅多に表舞台で揃うことのない夢のライブ。

俺達は関係者入口である横側から入り、舞台袖に戻る。

 

京華「さーちゃん!たーちゃん!はーちゃん!お帰り!」

 

沙希「ただいまけーちゃん。大活躍だったみたいだね」

 

川崎がけーちゃんを抱き上げ、その頭を優しく撫でる。

 

京華「うん!プンプンしてた人もみんなニコニコ!みんな変だよね?貞夫ちゃんや明ちゃんの歌を聞きたいくせに、聞きたくないみたいな言い方するんだもん!」

 

スージーさん……いや、けーちゃんらしいや。

この人の能力はこうあるべきだ。堕龍の黒曜石じゃあない。

しかし、こうなるとなかなか終わりそうもないよな…。

なんだかんだで普段から戦いというもっと過酷な状況で息を合わせているアーシスだ。がっしりと息が合っている。

貞夫さんも息子の承太郎と孫の徐倫と同じステージに立てて嬉しいのか、いつも以上に良い音を出している。

更に驚いたのは由比ヶ浜だ。由比ヶ浜とトリッシュさんは声質が似ているとは思ったが、歌声までそっくりだ。

モノマネ大会で優勝できるぞ。髪の毛もピンクっぽいし。

滅多にお目にかかれない夢の共演。会場も舞台と観客が完全に1つになっている。葉山がゆっくりでも良いと言うはずだ。

 

だが、どんな祭りでも必ず終わりはやってくる。

最後に貞夫さんが挨拶をし、熱狂のライブは幕を閉じた。

いつまでも忘れない。あの眩しいステージにはいないけれど。

舞台袖で眺めているだけだけど。

仲間達と作り上げたこの瞬間は…きっと忘れない。

 

 

エンディングセレモニーはつつがなく行われている。

相模の挨拶も良い感じで終わった。

優秀賞は2Eのジェットコースター、地域賞は陽乃さんのオーケストラだった。

え?貞夫さん達のライブ?プロは対象外だよ?そうじゃないと勝負にすらならないじゃん?

忙しかった委員長業務、途中ウルフスに襲われた事など思い返していたのだろうか、涙がポロポロとこぼれ落ちていた。

その涙を観客が受け取る印象は半々だ。

半分は感動からくる涙と受け取られ、『ガンバレー!』とか『最高だった!』とかそういう言葉が飛んでくる。

残りの半分は『あの副委員長のせいで!』とか『負けるなー!』とかの声だ。

俺はけーちゃんの耳を塞いでやり過ごす。けーちゃんの堕龍が発動したらヤバイからな。

承太郎達も目を瞑ってやり過ごす。本来なら「やかましい!何も知らない奴がうっとうしいぞ!」と怒鳴りたいところだろうが、この状態はわざとそうなるように仕向けた状況だ。つまり、組織の決定。だから黙って耐えてくれている。

舞台袖にはけてくる相模はメイクもどろどろに落ち、だいぶ疲れているようだった。戦闘もあったしな。ゴールしたマラソンランナーのように、付き添いの友達がすぐに迎いに来て、俺達から引き剥がされる。

 

相模「あ………」

 

「大丈夫ー?」

「あいつらが文実でやらかさなかったら平気だったのにね…」

「あれで調子くるったよねー」

 

もはや文実大粛清は校内では有名だ。

文実に参加したアーシスの面々の評判は地に落ちている。

学校中の生徒からヒソヒソと俺達の事を言ってくる奴がいる。

それが総武高校……か。

 

戸部「あ、だべ?ヒキタニくんやジョースターさんマジひでぇから!夏休みのときもそんなんあってー」

 

おのれ戸部……。

 

葉山「戸部」

 

戸部「隼人くん!そうっしょ!?隼人くんからも言ってやるっきゃ……」

 

葉山「本人のいないところや、面と向かわずに影でこそこそとやるのは、好きじゃあないな。それに、彼らの頑張りがなければ文化祭は開催できなくなってても仕方なかったんだ。南もその事は感謝しているし、彼らを悪く思ってもいない。ある一部分だけを見て、彼らを悪く言うのはやめてくれないか?」

 

葉山…………。

 

戸部「べー……隼人くんカッコいいわー」

 

葉山「…………」

 

葉山は少しだけ、戸部に哀しそうな目を向ける。そして、二人は立ち去っていく。葉山はちらりとこちらに振り向き、ふっ………と下心ない、爽やかな笑顔を向けた。

 

三浦「へぇ………葉山もやるじゃん。ここでヒキオ達を庇うなんてね」

 

海老名「昨日の敵は今日のホモだ……ぶはぁ!」

 

三浦「ちょ、海老名!おまえマジで擬態しろし!ほら鼻血!ちーんしなちーん!」

 

ぶち壊しだ、海老名。

だが、その二人も…由比ヶ浜や戸塚も川崎も材木座も心配そうに俺達を見る。

安心しろよ。こんなことは中学で経験済みだ。むしろ、お前らがいるだけましなんだぞ?

俺達は何でもないといった体で手を振り、退場していくアーシスの面々を見送る。

全てのクラスが退場しても、文実の仕事は残っていた。

ステージ、音響設備、舞台裏…それらの撤収作業だ。本日最後の仕事は文実全員であたっていた。はたから見ると、なんだかんだでちゃんとした結果も生まれているように思う。まぁ、メンバーなのにはたから……というのはいつもの俺達らしいと言うべきか。

 

厚木「おう、文実集まれや!」

 

あらかたの仕事を終えると、文化祭の管轄的な立場である体育教師の厚木が声を張り上げた。厚木の前に文実がぞろぞろとより固まる。

 

厚木「おお、まだ事後処理なんかはあるけど、まずはご苦労さん。結果だけを見ておれば、俺が見てきた中でも最高の文化祭だった」

 

それを聞いて文実はほっこりする。

よく聞いてろよ。「結果だけを見れば」と厚木は言ったじゃあないか。つまりは……

 

厚木「だが、それを支えた文実は俺が見てきた中でも最低だ。多くは言わん。自分達でもわかっているだろうが、一部の者や途中でバカどもと交代させられた者以外は自分でもわかっているだろう?今回の事は小さくないけぇ、反省すべきところはしっかりせぇ。許されるのは学生の時までや。社会に出たとき、こんなことは決して許されん。その事を理解せぇ!この後打ち上げではしゃぎすぎて更に問題起こすんじゃあねぇぞ。じゃあの」

 

威圧的な呼び掛けに相応しい厳しいお言葉で。

途中で交代して入った文実のメンバーからしてみればいいとばっちりだったであろう。少なくとも半数は完全に被害者だ。

交代させられたバカどもの今後はどうなるんだろうな?それは学校が決める事なので俺達が関与する話じゃあないが、少なくとも内心はガタガタになったであろう。3年の推薦を狙う者達は絶望的かも知れない。もっとも、自業自得だ。誰が悪いわけでもない。自分達が悪いのだ。

重くなる空気。そこで本来なら最後の委員長が最後の挨拶をするところではあるが、この空気の中でそれをやったのならせっかく俺達に向けた悪意が相模に向けかねられないので、俺が前に出るべきだろう……と、思っていたら、城廻先輩が前に出た。

 

めぐり「さ、一応は無事に終わったし、ここで解散!言われたことは各自で吟味してね?私には関係ないけど。じゃあ、お疲れ様でした!」

 

「お、お疲れ様でした……」

 

おい!ここで自分にヘイトを向けるのかよ!女だけど漢だな!さすがは杉本鈴美!15年も杜王町で吉良を倒すためだけに居座っていないわ!

微妙な空気のまま、文実は解散した。みんな無言で、バラバラに散っていく。相模は俺達に向かってペコッと小さく頭を下げた。

それでいい。今は被害者面をして大人しくしていれば良い。あとのことは任せろ。

ようやく終わった……。

去っていく文実の背中を見送り、長いため息を吐く。

本来なら今後の打ち上げの話でもしながら教室に戻るのであったはずだろうが、この空気では文実の打ち上げはないだろう。やるだけの神経を持った剛毛の持ち主がいるならば、是非とも見てみたいものだ。

そこにポンと肩を叩かれる。

 

めぐり「お疲れ様」

 

八幡「お疲れ様っす。でも良いんですか?最後のあれ。この前もそうでしたけど、わざわざめぐり先輩が泥を被る必要なんて無かったじゃあないですか。俺はそういうのは慣れてるから」

 

めぐり「やっぱり君はそういうところは直ってないし、最低だね」

 

めぐり先輩の表情は固い。少し怒っているように感じる。

え?俺、何か悪いことを言ったか?

 

八幡「すいません」

 

するとめぐり先輩は前屈みになり、人差し指を俺の目の前に立てて、もう片方の手は腰に当てていた。

 

めぐり「わたしが適任なの!もう半年したらわたしは卒業していなくなるんだから!何で君は毎回そうなのかなぁ!一色さん達が心配して目を離せないって言う理由がわかるよ!」

 

うっ!いろはの名前を出されるとキツい……。そうか、またやらかしかけてたのか…。

 

めぐり「だけど、わたし達は見捨てないよ?君の事を。君は杜王町を救ってくれた全てのジョジョの父だから。だから、わたしも止めるし、君が被ろうとしている泥は、一色さんやはるさん、雪ノ下さん達が先回りして代わりに被る!そして分散する!」

 

胸を張りながら、うんうん!と頷くめぐり先輩。あの露伴先生を陥落させた人だ。こうと決めたら決して意見を曲げないだろう。

 

八幡「うっす……その覚悟を尊敬します……」

 

めぐり「そして、楽しかったよ♪大変だったけど、君と一緒に出来たこの文実も、この文化祭も。仗助君のオフィスも、きっといつもあんな感じなんだね。高校最後の文化祭、期待通り、楽しい文化祭にしてくれてありがとう♪」

 

ほんわかとした微笑みを浮かべ、また後でねと去っていく。

……また後でね?

何かこの後約束してたっけ?

 

雪乃「比企谷君」

 

八幡「雪ノ下…」

 

雪乃「あなた達ジョースター家は、本当に誰でも救ってしまうのね」

 

はぁ?そんなわけがない。敵は救うどころか地獄の底に叩き落とすし、それに…

 

八幡「救えなかった事は多い。俺達は誰かを犠牲にしてここまで来た。ましてや死んだものは戻せない。クレイジー・ダイヤモンドでもゴールド・エクスペリエンスも…ザ・ジェムストーン・レクイエムだって死んだことが真実と判断されるなら、真実から弾くことは出来ない。世の中、そんな都合の良いことばかりではない」

 

雪乃「でも、ウルフスになった相模さんは、本来なら助からないはずだった。だけど、あなた達は救ったわ」

 

八幡「それは雪ノ下やアーシスの誰もが諦めなかったからだ。相模本人も含めてな。俺やジョースター家のお陰とは言えないんじゃあないか?」

 

答えると、雪ノ下ははぁ…とため息を吐く。

 

陽乃「またまたご謙遜を~♪」

 

陽乃さんが徐倫を伴って体育館の扉の脇から出てきた。

陽乃さんは着替えて帰り支度をばっちり整えて立っている。陽乃さんは俺の肩をバンバンと叩く。

 

陽乃「いやー、結局は八幡君は私達の起点だよ~♪ジョジョちゃんと二人揃えばもう完璧!好きだなー♪わたしは順番は気にしないからね?雪乃ちゃんももったいないよ?こんな優良物件逃すなんて」

 

雪乃「もったいないのは毎回同じ話をするこの時間よ」

 

雪ノ下があしらうように言うと、陽乃さんは大仰に傷付いた表情を見せる。

 

陽乃「雪乃ちゃん冷たい…。一緒にバンドやった中じゃない、仲良し姉妹じゃない!」

 

雪乃「バンドやらなくたって仲良し姉妹よ。そうやってコントにするものではないわ。一人で突っ走る姉さんのドラムにも息を合わせたでしょ?」

 

陽乃「プロの人達はともかく、雪乃ちゃんなら合わせてくれると信じてたからねー♪盛り上がったでしょ?」

 

八幡「総武高校始まって以来の盛り上がりかも知れませんね」

 

雪乃「見てたの?」

 

俺が見ていたとは思わなかったらしい。

 

八幡「見てない方がおかしいだろ。あんだけ長い時間やってれば」

 

つうか、あれだけアンコールにアンコールを続けりゃ、一旦昼寝をしてから行ったって間に合う。

 

雪乃「あれは完璧とは程遠いわ。貞夫さんや音石さんのフォローがあったから出来たことよ」

 

八幡「あんなに沢山ギターがいたらどれが誰のギターかわからねぇよ。でも、しっかり乗れてたんだからよかったと思うぞ。俺なんて歌以外は楽器の才能無いって貞夫さんに言われてるからな。なんでもそつなくこなすお前ら姉妹がマジで羨ましいわ」

 

その代わり、歌は自信あるけどな。(CV江口拓也)

 

雪乃「意外ね。そういうのは何でもこなすと思っていたのだけれど」

 

八幡「悪かったな。期待を裏切って。前世と違ってその手の事が苦手なんだよ」

 

ジョナサンもディオもそういうのはやらなかったからな。

 

陽乃「雪乃ちゃん、誉められて照れてる~♪」

 

雪乃「はぁ……姉さん、どうせまた後で会うんだから、早く帰って。もう大分時間が遅くなっているのだから」

 

陽乃「はいはい。帰りますよ。義姉ちゃんにもしっかりアピール出来たしね♪プププ」

 

雪乃「!?まさか、姉さん………!」

 

陽乃「気付かないと思ってたのぉ?バレバレだよ♪」

 

雪乃「!?!?!?エンジェル・ダスト!」

 

陽乃「やば……アヌビス神!八幡君!覚悟!」

 

何か知らんが、いきなり陽乃さんが俺に襲いかかって来た!斬られてたまるか!

 

八幡「無駄ぁ!」

 

ザ・ジェムストーンで陽乃さんを迎撃する。アヌビス神でガードする陽乃さん。何がしたかったんだ?

 

陽乃「ありがと♪その速さと力、覚えたわ♪波紋の力を上乗せして…逃げるのよォォォ!」

 

ダダダダダ!

 

雪乃「ア、アヌビス神の力を逃げるのに使ったのね…比企谷君!なに乗せられてるのよ!ザ・ジェムストーンの力とスピードで逃げられたら勝ち目がないじゃない!待ちなさい姉さん!エンジェル・アルバム!」

 

陽乃「オホホホホ!八幡君、また後でねー!今日はオールナイトだよォォォ!」

 

二人は騒がしくおいかけっこを始めた。仲良いことで。その先にはジョルノがそれを見守り、俺と目が合うと、ふっ…と先程の葉山のように微笑んでから手を上げて雪ノ下姉妹を追う。

 

徐倫「ハッチ」

 

八幡「ん?」

 

徐倫の声は優しさと……少しだけ呆れが混じった声で俺を呼ぶ。

 

徐倫「副委員長お疲れさん。おじいちゃん達を呼ぶのに相応しい舞台を作れたのもハッチの力が大きいわ。やっぱりあんたは自慢の弟分よ」

 

八幡「大事な家族の晴れ舞台だったからな。一生懸命になるさ。けど、徐倫に言われれば報われるよ」

 

徐倫「嘘言うな。一番言ってもらいたい人間がいるだろ?だから、あたしはお説教だけするわ。ハッチ、あんたのやったことは誇らしいわ。けど、百点じゃあない。全てを手放しには誉められない。スローガンの時といい、さっきといい、あんたは率先して自分が傷つくことをしようとする。そこが減点箇所よ。ハッチはみんなを助けようとする。だけど、その為にハッチが傷付いて良いなんて、そんな考えは許さない。めぐりや雪乃みたいにあたし達があんたのやることに先回りして潰すわ」

 

八幡「そんなものを見せられるは…」

 

仗助「つれぇだろ?八幡」

 

八幡「仗助…ジョジョ…小町…」

 

舞台袖から一番の兄弟分が現れる。

 

静「ハッチ。それがあんたが私達に与えていることよ」

 

小町「お兄ちゃん?お兄ちゃんの周りには本物がいっぱいあるんだよ?」

 

仗助「これだけおめえを守ろうとする本物があるんだ。オメェがやりそうなことなんて誰かが気付く。そして先回りしてオメェの覚悟を潰してやる。それが俺達の覚悟だ。オメェも覚悟しとけよ?オメェのその本質が直らねぇって言うんなら、オメェの身代わりに俺達は分散してなってやる。オメェ一人では背負いきれねぇかも知れねぇそのジョナサン・ジョースターの気質と重みは、みんなで背負えば重くねぇ」

 

静「それが仲間であり、家族でしょ?ハッチ」

 

物好きな奴等だ……。率先して悪意を向けられる立場になりたいだなんて……。

だが、こんなに心強く、暖かいなんて……。思わず目から汗が出るじゃあないかよ……。

 

仗助「そういうこった。部室で待ってっからよ。後でな」

 

そう言ってジョースター家と小町は去っていく。なんだよ、置いてくなよ。寂しいじゃあないか。

 

ふわさ………。

そんな俺を、柔らかく、暖かい感触が支配する。

暖かく、柔らかく、良い匂いがする、五感全てにおいて慣れた、それでいて一番安心する感触……。

 

八幡「いろは……」

 

いろは「わたしが言いたいことは……みんなが全部言っちゃいました。だから、わたしはご褒美だけをハチ君にあげちゃいます」

 

そう言っていろはは俺の前に回り込み、正面から抱きついてくる。

ああ、俺にとっては最高の感触と重み、匂いだ…。

 

いろは「ハチ君は本当に頑張りました。わたしはそんなハチ君のそばにいられるのが、本当に嬉しいです。一回、思いっきりひっぱたいちゃいましたけど」

 

八幡「あれは痛かった…ほほじゃあなくて、心が…」

 

いろは「そうじゃなくちゃ、意味がありません。これからは何度だって、ひっぱたいちゃいますからね?ここぞと言うときは、遠慮なく」

 

八幡「それは堪える。おまえのビンタと涙は、エメラルド・エクセスより強烈だ」

 

いろは「ですです。でも、それがハチ君なんですよねだから……遠慮なんてしません。これまで以上に、わたしはハチ君から離れません♪わたしはどんなハチ君でも受け入れちゃいます。受け入れた上で、ひっぱたきますから覚悟してくださいね?」

 

それ、受け入れるとは言わないじゃね?とか思わなくもないが、それがいろはなりに出した結論なのだろう。

 

いろは「ハチ君……本当にお疲れ様でした」

 

八幡「ああ、いろはもお疲れさんな。そして、またよろしくな」

 

いろは「ええ……」

 

俺達は顔を近付けさせ、そして……唇を重ねる。

もう、言葉はいらない。

夕日に輝き、金髪に見えるそのあま色の髪を撫でる。

その姿がエリナに見える。エリナ、そしていろは…俺の本物の中の本物……。

いろはの体を抱きしめ、俺は幸せを噛み締める。

今、俺の腕のなかにいろはがいるこの幸せを…。

 

 

sideジョセフ・ジョースター

 

承太郎「美味しいところは全て持っていかれたな、ジジイ」

 

ジョセフ「かーーー!これで出ていったら完全に間抜けじゃわい!仗助と徐倫にかっさらわれたのう」

 

承太郎「出待ちなんかしてるからだ…」

 

ジョセフ「しかし、よくもまぁ、あんな結論を出したものじゃ。『みんなで肩代わりする』なんて斜めな結論を。上なのか下なのかはわからんがのう。あんな黄金の精神で周りを囲まれておるなら、八幡はもう大丈夫かも知れん。わしらが杜王町で仗助達に見た、黄金の精神を全員がもっちょる。ワシにはそれが誇らしい」

 

承太郎「その黄金の精神には当然俺達も入っているんだろうな?ジジイ。まだ俺は、この町を離れるつもりはないぜ?」

 

ジョセフ「当たり前じゃ。ウルフスはまだまだ襲ってくる。ワシもお前さんも、離れられんよ。ワシはな、戦いのしがらみが無くなるまでは死ぬつもりはない。全員のウェディングを見て、満足してから導かれし小道に行くんじゃ。スージーのようにの」

 

承太郎「気の長い話だな。まぁ、殺しても死ななそうなジジイだ。エジプトのようにな」

 

舞台袖で、ワシらは長い口付けをかわす八幡といろはを眺めていた。我らがジョースターの父母なる魂を受け継ぐ二人の若き二人を。

いつまでも飽きずに時間を忘れて見ておった。

 

←To be continued

 

総武高校都市伝説

 

・カラーギャングは総武高校の文化祭に近付くな。ヨーロッパ最大のギャングに拐われる。

 

・総武高校の女子はレベルが高いがナンパしたら干し柿にされる。

 

・総武高校文化祭には空条貞夫がライブをやる年がある!ファンは見逃すな!

 

・恐怖のトロッコあらわる!最優秀賞を受賞したジェットコースターよりもスリル満点のトロッコが裏で有名になる。

 

・文化祭実行委員は真面目にやらないと将来が危ぶまれる。




文化祭終了です。
残るは奉仕部の一場面とぼーなすとらっくです。

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