side比企谷八幡
めぐり「呼ばれたから来たよー?何かなぁ?」
例の相談メールの確認をするべく、俺達はめぐり先輩を奉仕部へと呼んだ。
静「ええ。これなんですけど」
ジョジョはプリントアウトしたPN『めぐ☆めぐ』さんの相談メールをめぐり先輩に見せる。
めぐり「あ、良かったよー♪見てくれたんだねー?それ、私が出したやつだよー」
言いながらジョジョの所までトコトコ歩いてくるめぐり先輩。
めぐり「文化祭の時みたいに体育祭も盛り上げて行きたいんだ。協力お願い出来ないかな」
静「ええ…それは構いませんけど、具体的には?」
めぐり先輩はよくぞ聞いてくれましたとばかりに手を打つ。
めぐり「みんなに相談したいのはね、体育祭の男子と女子の目玉競技のアイデア出しなんだよ」
めぐり先輩がぴしっと指を立てて説明を始める。
そして、俺は頭のアホ毛を弄くる。
ジョセフ「次にお前さんは、『おい、キ○ロー』と言う」
八幡「おい、キタ○ー……しまった!やられた!」
ジョセフ「間抜けめ…アホ毛を弄っとりゃ、嫌でもわかるワイ」
ちくしょう……。でも仕方ないだろ?そんな想像をしてしまうくらいにはボンヤリとしていて、たまにジジイが「なんか面白い話をしてくれんかのう」って言い出すのに近い。そのくせ、なんか言うと「つまらんのぅ。ワシがテキーラ娘をやったときくらい滑っとるわ」とか言い出すんだ。面白い話なんてないって言うと、「かー!日本の学生はつまらんのう!」とか始まるし。どうしろっつーんだ!まぁ、大抵はそこからケンカが始まるわけなのだが。
まぁ、めぐり先輩はそういう人ではないとわかっているが、今の話ではちょっと具体性に欠ける。こっちとしてもどうすれば良いのかわからない。
仗助「めぐりよぉ、鈴美の時でもそうだったけどよぉ、時たまオメェって訳のわからねぇ時があるよな?」
仗助がボソッと言う。
結衣「どういうのですか?」
雪乃「そういえば去年は何をしたのかしら?」
相模「言われてみれば覚えてませんね?」
みんながそう言えば俺も私もあーしもと続く。かくいう俺とジョジョもだ。多分、中学の時みたいにならないようにテキトーな競技をテキトーに済ましただけで、後は屋上かどこかでジョジョと昼寝をしていた記憶がある。
目玉競技も何も見ていなかったような…」
徐倫「そう言えば、いなかったな……あんた達」
雪乃「人は辛い記憶を封印してしまうというものね」
静「あ~。まぁ、私達の体育祭って黒歴史の塊だもんね」
雪乃「あっさり認められると面白く無いのだけれど」
だって事実だもんな…。マジで黒歴史。
相模「あ、あははは…うちも大して覚えてないし…」
いろは「わたしは去年は中学生でしたから 」
いろはは知らなくても仕方ないよな?入学してなかったんだし。
仗助「何だ何だ?誰も覚えてねぇのかよ。情けねーなぁ」
八幡「そういうお前は覚えてんのかよ。確かPTA会長は来賓でいたよな?」
仗助「え?お、おう……と、当然だぜ?なぁ?城廻?」
覚えてねぇよな?その反応じゃあ。
めぐり「やっぱり覚えてないか……。コスプレースっていう、コスプレしてレースするのをやったんだけどね」
コスプレース…。なんだか、聞き覚えあるような…と思ったが、あれはコンプエースか。
やっぱ覚えてないわ。
材木座「おおっ!思い出したぞめぐり先輩!我の得意分野であったわ!」
そりゃあお前は普段からコスプレしているようなもんだろうから。どうせ黒歴史に変わったんだろうけど。
するとめぐり先輩がパーっと顔を輝かさせる。
めぐり「さすがは義輝くんだよー!ありがとー!」
めぐり先輩は材木座の手を握ってブンブンと上下させる。
結衣「むー………ヨッシー!めぐり先輩は露伴先生のなんだからね!」
由比ヶ浜の嫉妬が爆発!ぷくーっと頬を膨らませている。
めぐり「あ、ごめんねー?でも、義輝君くらいしか覚えて無いように、毎年地味なんだよね?だから今年は派手なのをやりたくてさ」
ほんわかとしていながらもやる気がみなぎった眼差しで俺達を見据える。そうなると頑固なのがこの人だ。
静「お話はわかりましたけど、いつまでに案を出せば?」
めぐり「それなんだけど、体育祭運営委員の会議があるからそこで考えるんじゃあダメかな?」
静「また実行委員会?今回は勘弁して欲しいんですけど。前回みたいなパターンになりそうだし。絶対にそっちが本命ですよね?」
また委員長をやれというあれだろう。
めぐり「うぅ~!ジョースターさんのいけずぅ!小さい頃に可愛がってあげたのにぃ!」
静「赤ん坊の頃の事なんて覚えてるわけないっつーの!しかもそれは杉本鈴美の頃の話でしょーが!」
図星だったらしい。
が、本命は………。
八幡「次にめぐり先輩は、『じゃあ比企谷君!』っていう、つもりでしょうから先に言います。だが断る!」
めぐり「じゃあ比企谷君!………うぅ~~~!やっぱりもうおうちに呼んであげないからぁ!」
いろは「…………ハチ君?」
八幡「待て!それは前回もやったから!露伴先生の家だから!」
勘弁してくれよ。何で同じネタで嫉妬するかなぁ。まぁ、そこがカワイイんだけどさ。由花子ショックが無ければ。
めぐり「ぐす……良いもん……引き受けてくれたら良いなぁ~程度のダメ元だったから……」
そのわりには言葉と裏腹に恨みがましく涙目のルカで睨んでくるのは気のせいですか?
しかし、この段階で委員長が決まっていないって言うのも問題だな。運営に支障が出てくるんじゃあないのか?
その危機感は前回と同じパターンをしてくる段階でめぐり先輩も抱いているようで、う~う~唸りながら体を斜めに傾けて目を瞑った。
めぐり「けど、委員長が決まらないのは困っちゃうんだよぉ」
相模「あ…………」
相模がおどおどし始めた。
うん、文化祭が終わったときにこの事は考えた。渡りに船かもしれないな。
八幡「めぐり先輩。それは誰でもいいんですか?」
めぐり「誰でも良いって訳じゃあ無いけど…。比企谷くん、誰かいい人を知ってるの?」
八幡「ええ。いるじゃあ無いですか。今、この場に」
めぐり「え?あっ!雪ノ下さん!?一色さん!?」
いろは&雪乃「え!?」
まぁ、文実の実績を考えるとそうなるだろう。それに、材木座と戸塚も適任だったりするのだが……。
八幡「相模。文実のリベンジ。やってみる気はないか?」
相模「え?うち?良いの?」
俺が相模を指名すると、全員がぎょっとした顔になった。
八幡「お前だって、悔しかっただろ?あんな形で文実の実行委員長がおわっちまうなんて…」
相模「……………」
相模は顔を俯かせる。本当に良いのだろうかと考えているのだろう。
そして、それを後押しする奴がいた。
三浦「相模。やりなよ。あんたがやるって言うなら、あーしはあんたを手伝うよ」
相模「優美子…良いの?」
三浦「あーし、言ったよね?もうあーしらは友達だって。当たり前の事を言うなし」
相模「優美子……ありがとう……」
相模は涙をポロポロと流しながら、三浦に抱きつく。
三浦「ちょっ!相模!泣くなし!ほらハンカチ!涙を拭きなって!また化粧がボロボロになってカワイイ顔が台無しっしょ!」
相模「だって………だって……ぅぅぅ……」
それを見守っていた者達は……例えば戸塚なんてはもらい泣きをしながら「戸塚彩加はクールに去るぜ…」とか言ってるし、ウッペリさんは「バイキング」がどうたらとか言ってるし、海老名は「これが男同士なら美味しいんだけどなぁ…」とか言っている。最後台無しだわ!めぐり先輩も「こういうのには弱いんだよ……」とか言ってもらい泣きをしていた。
いろは「考えてましたね?ハチ君」
八幡「ああ……相模の汚名返上についてはかんがえていた」
実行委員長が原因で失墜した信頼ならば、実行委員長で取り戻せば良い。
一通り泣いた相模は、涙を拭き取ってめぐり先輩に向き直る。
相模「城廻先輩。うちに……うちにもう一度チャンスを下さい。うちは今度こそ…今度こそ体育祭を成功させて見せます!体育祭運営委員長!うちにやらせて下さい!お願いします!」
相模は力強く、めぐり先輩を見据えてハッキリと言った。
めぐり「うん!お願いするよ!相模さん!」
まぁ、またバッチリ仕事をすることになるんだろうが、今のままよりは良いだろう。
めぐり「じゃあ、明日からまたよろしくね!ところで、みんな何組?私は赤だよ?」
八幡「赤」
いろは「赤」
運命の赤い糸!赤だな!
静「白」
何っ!?相棒が敵?と言うほど驚かない。大抵は体育祭では敵だ。
雪乃「赤」
結衣「赤!」
戸塚「赤」
川崎「白」
三浦「白」
海老名「白」
材木座「赤!」
相模「白」
ねえちょっとー。波紋の戦士の白率が高くなーい?いや、雪ノ下も波紋の戦士だけどさー。まだ駆け出しだしさー。ジョジョとウッペリさんが敵とかキツいんですけどー?
←To be continued
はい、今回はここまでです。
体育祭編が本格始動します!
それでは次回もよろしくお願いいたします!