やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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土曜日の買い物回です。この話はオリジナルです。



突然ドンパチは幕を開ける

side戸塚彩加

 

海老名「あ!おーい!戸塚っちー!」

 

戸塚「おはよう、海老名さん!」

 

今日は土曜日。先日の約束をしていた奉仕部の買い物は、財団上級幹部を除いて学生全員が呼ばれていた。

 

葉山「俺まで呼ばれるとは思わなかったよ」

 

雪乃「相模さんも参加するからかしら?相模さんも普段慣れ親しんだ人がいれば安心するからじゃあないかしら?」

 

相模「うん。ごめんね?隼人君」

 

今日は仲間内のお出かけ会だけど、相模さんも誘ったのは気分転換をさせる為だ。

急な環境の変化で極度のストレスを感じているんじゃあ無いかという雪ノ下さんの配慮だ。

 

葉山「雪ノ下さんが南を誘うなんて驚いたよ」

 

雪乃「私も一学期に色々あったから、相模さんの気持ちは少しはわかるつもりよ。迷惑では無かったかしら?相模さん」

 

相模「ううん。ありがとう、雪ノ下さん」

 

葉山「俺まで良かったのか?雪ノ下さん」

 

雪乃「構わないわ。もう昔の事は気にしてないもの。私の事は昔のように呼んでも良いのよ?」

 

葉山「いや。これは俺の戒めだよ。同じ失敗を二度としないように……」

 

雪乃「あなた、変わったわね…」

 

葉山「そうかな?でも、それは雪ノ下さんも一緒じゃあないかな?」

 

雪乃「……それもそうね。姉さんと和解したからかしら?それともジョルノ兄さんのお陰?」

 

アーシスじゃあなくて個人的なんだ……。

そうなると、涙目になるのが……。

 

結衣「ゆきのん……あたしはゆきのんの力になれてないのかな……」

 

由比ヶ浜さんは雪ノ下さんの袖を引っ張って涙目になっている。

由比ヶ浜さんは雪ノ下さんの事が好きすぎるよね?

 

雪乃「そんな事はないわ。私が一番影響を受けたのはあなたの力が一番大きいのよ?由比ヶ浜さん」

 

結衣「ゆきのーん!あたし、ゆきのんが大好きだよ!」

 

ガバッと雪ノ下さんに抱きつく由比ヶ浜さん。八幡が言うように、本当に仲が良すぎるね。イギリスではあまりない距離感かな?

 

雪乃「こ、この距離感だけは慣れないわ…。相変わらず暑苦しい……」

 

そんな二人の様子を葉山くんは微笑ましそうに眺めている。以前は雪ノ下さんに何らかの感情を持っていたようだけど、それも吹っ切れた感じで、その笑顔には全くの他意を感じることがない。

 

葉山「あはははは。でも、雪ノ下さんのこういう姿が見れるようになったのは嬉しいよ」

 

材木座「うむ!あの世界の経験もあるのだろう!一時はどうなるかと思ったのだがな!」(第4章)

 

葉山「それは………俺も少し関わっているから複雑な気分だな……」(第3章)

 

材木座「済まぬ………そのつもりは無かったのだが、配慮が足りなかった……」

 

材木座君が葉山くんに頭を下げる。葉山くんは首を横に振る。

 

葉山「いや。もうあんなことにはならない。なってはいけないんだ…」

 

材木座「葉山殿。我からのアドバイスだ。罪を教訓にするのは良い。だが、罪の意識だけに囚われぬ事だ」

 

葉山「……重みがあるな。君にも何か罪があるのかい?」

 

そう葉山君が言うと、材木座君はちらりと僕を見る。

 

材木座「ある。前世の事ではあるが、我の前世のシュトロハイムは、柱の一族のサンタナ………そして、戸塚殿の前世であるスピードワゴン氏に対して大きな罪がある。サンタナを利用せんとし、それに対してスピードワゴン氏に対して拷問のような真似をした。生まれ変わろうとも、それが消えることはない。今はこうして共に同じ目的を持って仲間として一緒におるが、それだけは決して忘れてはならぬ罪だ」

 

そうだね。確かに、僕はシュトロハイムから受けた仕打ちは忘れていない。でも、シュトロハイムだって最後はジョセフの仲間になっていたし、材木座君になってからは君も僕と一緒にジョースター家の支えになっている。

全く気にしていないと言えば嘘になるけれど、それでも一緒にこうして遊びに出掛けるくらいには気を許しているつもりなんだけどなぁ。

それに……

 

戸塚「僕だってそうなんだ。スピードワゴンは八幡の前世の片方、ジョースターさんと出会った時、最初はケンカを売っちゃったんだ」

 

葉山「ヒキタニ君の?信じられないな…」

 

戸塚「その日の内にジョースターさんの器に惚れ込んで、無理矢理一緒に行動していたけどね?でも、スピードワゴンだって、最初はそうだったんだ」

 

葉山「器の大きさか…」

 

戸塚「八幡はあんなだから、信じられないのも無理はないかもね。ディオのせいかな?それとも、ジョセフのせいなのかはわからないけど。スピードワゴンの人生はジョースターさんの為にあったと言っても過言じゃあ無いんだよ?それこそ君が雪ノ下さんに感じている物は、僕がエリナさん……いろはちゃんやジョセフを通じてジョースターさんに感じているものに似ているかも知れないね?」

 

葉山「戸塚……君は、今でも……」

 

戸塚「君よりも複雑かもね?僕も今では吹っ切れたつもりだけど。それでも僕は、これからもジョースターと共にあろうと思っている」

 

海老名「私もかな?隼人君、知ってるかな?私の前世の花京院典明の話」

 

僕の話を継いで、海老名さんが続ける。そうか、君も…いや、花京院さんも…。

 

海老名「私の場合は、千葉村の隼人君や相模さんに近いかも。花京院典明はエジプト旅行中にヒキタニ君のもうひとつの前世、DIOに肉の芽を植え付けられたんだけどね?それでジョースターさんや承太郎を殺す為の刺客にされちゃったんだ。あ、私が言うジョースターさんってのはジョセフ・ジョースターさんね?」

 

葉山「違和感があるよ。俺にとってのジョースターさんは静・ジョースターさんだから」

 

確かにね。僕にとってのジョースターさんはジョナサン・ジョースターさんだからね。

 

海老名「承太郎やジョースターさんに助けられて、花京院典明は優美子の前世、アヴドゥルさんと一緒に旅に出たけれど、それでも承太郎達を殺そうとした事実は変わらなかったんだ。それはポルナレフも同じかもね?ポルナレフは優美子に助けられたけど。それに、その旅で私は……花京院典明は死んじゃったから、従妹のいろはちゃんのお母さんには寂しい思いをさせちゃったかな…」

 

更に海老名さんは顔を伏せる。

 

海老名「それに、最近になって知ったんだけど、私なんだって。ヒキタニ君達がジョースター家と関わるきっかけになったのって。私の命日のお墓参りが、ヒキタニ君が前世を思い出すきっかけになって、そしてジョースターさん達の今があるんだ」

 

三浦「海老名……。だけど、それがあるからあーしらは今があるんじゃん?」

 

沙希「あたしだってそうだよ。あたしが波紋をジョジョに教えたから、ジョースター家は今でも戦いの宿命を背負っている」

 

材木座「うむ!我らはどんな形であれ、罪や因縁でここに集まっておる!」

 

三浦「けど、それを乗り越えてあーしらは仲間としてここに集まっているんだし。あんたも例外じゃあないっしょ?隼人」

 

葉山「そうか……。俺も、本当の意味でいつかは吹っ切れるかも知れないな」

 

南「うちも……吹っ切れるかな?」

 

戸塚「そうなれれば良いね?」

 

無責任になれるとは言えない。だけど、いつかは過去のものとして、整理が付けられれば良いんじゃあないかな?そうだよね?スピードワゴン…。

 

雪乃「そろそろ、行きましょう?時間は有限よ?」

 

結衣「待って?もう一人来るから」

 

あ、忘れてた。奉仕部のメンバーが揃ったから全員が集合終わった気になっていたけど、今回はあと一人、来ることになっていたんだった。

 

「遅れてごめーん!」

 

待っていた残りの一人がやって来た。

東京からわざわざ来てくれたのだから仕方がない。

 

結衣「康穂ちゃんだー!ヤッハロー!」

 

康穂「結衣さぁん!ヤッハロー!」

 

広瀬康一さんの娘、康穂ちゃんだ。

由比ヶ浜さんは以前の勉強会のお礼として、康穂ちゃんも誘っていた。

以前から度々会っていたけど、それはジョースター家を交えての話だったので、こうして個人として会うのは初めてだった。

 

康穂「今日はお招きありがとうございます♪ハッチがいないのは寂しいけど」

 

小町ちゃんや陽乃さんばかりが目立つけど、この子も八幡の恋人の座を狙うダークホースだったりする。

なんというか…どこか僕とシンパシーがある気がするのは気のせいかな…。

 

葉山「はじめまして。僕は……」

 

康穂「聞いてるよ?葉山隼人さんでしょ?そっちは相模南さん。新しいハッチの仲間だよね?この間の打ち上げにはいなかったけど」

 

葉山「え?ああ……うん。ところで君は?」

 

康穂「あたしは広瀬康穂。広瀬康一の娘だよ。ふーん…正統派のイケメンかぁ。ハッチの周りにはいないタイプだね♪よろしくね♪」

 

葉山「ハハハ…………」

 

葉山君が困ったような乾いた笑いを浮かべる。

康穂ちゃんが値踏みするように葉山君を見る。

何でも最近、東方常秀という人間に付きまとわれて疲れているとのこと。

いくら好きな人がいると言っても聞かないらしい。

ちなみに、その東方常秀という人は東方会長とは無関係とのこと。何故か八幡とかは「東方常秀……ね。まさかな。けど、閣下もいるわけだし……ぅーん…」と、ぼやいていたけど何だろう?

 

雪乃「こんにちは。康穂さん。今日はよろしくおねがいするわ」

 

康穂「はーい!よろしくです。雪乃さん!……同じ雪ノ下でも陽乃さんと違ってあなたとは仲良く出来そうだわ」

 

いろはちゃんの恋敵という点では君も同じなんだけどね?

雰囲気が悪くなるから言わないけどさ。

 

雪乃「それでは改めて、行きましょう?」

 

雪ノ下さんが一区切り付いた段階で声をかけてきた。今日はいつもと違って仕切る人がいないから、今一つ場のしまりが悪いよね?

社会的な立場じゃあ僕が、奉仕部としては元部長の雪ノ下さんが、普段の仕切りでは三浦さんや葉山君が、ジョースターの師という立場では川崎さんが…という立場ではあるけれど、今一つまとまりに欠けている。

それぞれが遠慮とかあるしね。

 

葉山「そうだね。今日一日、よろしく頼むよ」

 

戸塚「そうだね。じゃあ、ララポまで行こっか?」

 

ジョースター家を介さない、奉仕部の集まりのお出かけがはじまった。

 

 

キングクリムゾン!

 

船橋駅

人通りが全くなく、僕達以外の人がいない通りで、僕達は談笑しながら進んでいた。

 

相模「康穂ちゃんって千葉詳しいの?」

 

康穂「パパの会社のイベント関係で良く来ますから」

 

相模「あ、ジョースター関係ではあまり集まらないんだ」

 

康穂「うーん……ほら、ハッチの関係であまり呼ばれないんだ。パパはよく仗助さんの家に呼ばれるけど、あたしは…ね。ジョースター家のパーティーは東京の空条家でやる場合が多いし…」

 

今はジョセフは千葉に仮住まいしているけど、本来は東京の空条博士の実家に住んでいるからね。

それに、康穂ちゃんが呼ばれないのはわかる気がする。だってあの母親だもん。雪ノ下陽乃さんですら怖がってる人を、あの子がどうにか出来るとは思えないんだよね。

 

結衣「あの由花子さんがお母さんなんだよね?ヒッキーには中々会えないんじゃあないの?」

 

康穂「まぁ、禁止はされてますよ?会おうと思えば会えますけどね?時間はかかるけど」

 

雪乃「千葉と東京はそれほど離れてはいないと思うのだけれど……」

 

康穂「あれ?雪乃さん、聞いたことないの?あたしの能力のこと」

 

あれ?そういえば僕も聞いたことがない。

康一さんも由花子さんもスタンド使いだし、そもそも康穂ちゃんが八幡を好きになる切っ掛けってスタンド使い同士の惹かれ合いみたいなものだと聞いたことがあるから、スタンド使いであることは知っていたけど…。

 

雪乃「いいえ。知らないわ。姉さんからはスタンド使いということは聞かされていたけど……」

 

康穂「あー……あたしの能力ってパパやママと違って戦闘向きでは無いからなぁ。でも、一応はアーシス予備隊員なんだよ?支援要員に近い扱いだけど」

 

結衣「そうなの?知らなかった」

 

康穂「だよねぇ。で、あたしの能力は……」

 

沙希「………待って。何か様子がおかしくない?休日のここって、こんなに人通りが少ないわけ無いよね?」

 

………何だって!?

そうだ、ララポ周辺がこんなに人通りが少ないわけがない!

 

戸塚「しまった!休日のここがこんな閑散としてるわけがない!これは敵の攻撃を僕達は受けてるんだ!でもいつから!?」

 

そんな兆候は全く無かったのに!

それに、ジョースター家の人間がいないから大丈夫だろうって高を括ってた!

 

康穂「!!!しまった!」

 

おもむろに康穂ちゃんはスマホを取り出した。康一さんに連絡を取るつもりなんだろうか?

すると、突然周囲の地形がメチャクチャになった。

僕達の周囲もぐにゃぐにゃと道が歪んで、分断されてしまう。

地形が上に、下に、横にと異世界に放り込まれた状態になってしまった!どうなってるの!?

周りにいるのは僕と康穂ちゃんと海老名さんだけだ。

 

戸塚「道もわからないし、どうすれば良いんだ…」

 

康穂「こんなことになるなんてね。……ペイズリー・パーク!」

 

康穂ちゃんがスタンドを出す。

まるで地図のように縦横無尽に模様とも言えない線が入っている人型のスタンドだ。

 

康穂「さっき言いそびれていたよね?あたしの能力」

 

康穂ちゃんの表情が先ほどまでの年相応のあどけない顔ではなく、一端の戦士の顔になった。

 

康穂「あたしの能力は、こういう時にこそ役に立つ。敵のウルフスのこの能力は……あたしが天敵。戸塚さん、海老名さん。あたしから絶対に離れないで。そして、どんなに無意味と思える行動でも、あたしを信じて!」

 

どういう事なんだろう?

 

康穂「あたしが……アーシス実行部隊をウルフスまで届ける。二人を……みんなと合流させる!そこからのドンパチは任せるわ」

 

海老名「なら、私のハイエロファントがはぐれないように繋げるよ?意味がわからないけど、康穂ッチの能力が頼りなら、私は信じるよ?」

 

海老名さんがハイエロファントを紐状にして僕達を数珠繋ぎにする。

 

康穂「あたしは戦闘向きじゃあない。海老名さんもあたし達を繋げるので精一杯。戸塚さん、もし敵が現れたら……お願いするから!」

 

僕達の命運は……僕に委ねられた。

 

←To be continued




さて、いきなり敵のスタンドの攻撃にはまりました!

康穂の能力は!?
まだ自分の能力がわからない葉山は!?
戦闘に慣れていない相模は!?
安定感に欠ける由比ヶ浜は!?
八幡達もジョジョ達も不在の状態ではじまった突発的なバトル!
果たして戸塚たちは切り抜けることが出来るのか!?

そして、以前から時々登場していた康一の娘、康穂の参戦です。
康穂は第8部、ジョジョリオンの登場キャラクターで、一巡した世界における杜王町が舞台において、康一のポジションを務めている大学生ですが、本作においては康一の娘という設定から小町と同い年という形になっています。
………つまり康一と由花子はほぼ高校生の段階で出来ちゃった婚をした形になるわけですが…。
これは由花子の策略?
はるか前に出ていた由花子やヴァレンタインよりも先に康穂がドンパチに加わるとは思っていませんでしたが、今回のウルフス相手だと、康穂が適任となります!
康穂の活躍にご期待下さい!

それでは次回もよろしくお願いします!

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