side比企谷八幡
由比ヶ浜が三浦達の所に戻り、再び俺とジョジョは千葉村の夜の事を必死に思い出そうとしていた。が、ふと気がつくと視界の隅で長いポニーテールが揺れた。
青みがかった黒髪をシュシュで1つに束ね、にっこりと笑って携帯をしまうと、今度は急につまらなそうな表情で俺達を見てくる。
八幡&静「ひっ!」
沙希「人を見て化け物を見たみたいな悲鳴をあげるの、やめてくれない?」
気配を消してやってくるからビックリしたんだよ。そんな芸当が出きる奴はそうそういないしな。
八幡「妖怪ブラコーンが現れたと思って……」
静「怪奇・シスコーン現る!」
ゴン×2
沙希「何かを考えているように見えたから心配して来てみれば、いきなり失礼だね。ブラコーンとかシスコーンとか、あたしはユニコーンか!」
八幡「でも、大志かけーちゃんにメールか何かをしていたんじゃあないの?」
俺がつっこむと、ウッペリさんは目を逸らす。
ほら、その通りだったじゃあないか!
沙希「そうだけどさ……。ブラコーンとかシスコーンはあんたらも同じじゃあないの?」
イエス、イエス、イエス、イエス、イエス……Oh my god……
確かにジョジョは完全無欠のブラコーンだ。だが、俺まで完全無欠のシスコーン扱いするんじゃあない。
俺のはある意味でシスタープリンセスだ!略してシスプリだ!」
静「ハッチハッチ、シスコーンより酷くなってる」
あれ?
沙希「シスコーンとシスプリ、どう違うのか教えて欲しいわ……で、何を考え込んでいたの?」
川なんとか沙希、略して川崎は呆れながらも聞いてくる。
静「いや、修学旅行の件でね…それと千葉村」
川崎「千葉村?比企谷がバカをやったことの件?」
バカな事って……確かにレクイエムを使って迷惑をかけたけどさ……。そこまでハッキリと言わなくても良くね?大体、お前だって横牛との戦いでは死にかけたじゃあないか。承太郎達が間に合わなかったら終わってたぞ?
だが、助けてくれた感謝は忘れてはいけない。
八幡「その節はお世話になりました」
沙希「あんたが素直ってのも気味が悪いんだけど?」
どうしろと?
沙希「で、千葉村の件って?」
静「ほら、修学旅行の件に関してあの世界の7代目ジョジョとかハッチのお母さんの同位体のあの人とかに忠告を受けたじゃん?それが気になってね」
ジョジョがそう言うと、川崎は同じように考え込む仕草を見せる。
沙希「………確かに、何かあった気がする……けど、思い出せないんだよね……これが時間の修正力ってヤツかな?波紋の予言も最近はからっきしだしね……。ウルフスが関係してるのかも知れないね」
川崎もそうなのか……何かが引っ掛かる……その程度くらいの認識しかなくなっているらしい。
戸塚「八幡」
その声は我が前世からの盟友、スピードワゴンこと戸塚彩加だった。
戸塚はどんなときでも俺の……ジョースター家の味方だった。前世でも……そして
元々基本世界でも戸塚彩加という男は他人の目をあまり気にしない男だ。それがスピードワゴンとなればより顕著だろう。
戸塚「話の事だけど、思い出せない以上はあまり気にしても仕方がないんじゃあないかな。それよりもLHRで修学旅行の班決めするんだって」
どこからか仕入れてきた情報を教えてくれる。うん、その辺りも相変わらずのスピードワゴンだ。必要な情報を仕入れては教えてくれる。一週間後に迫った修学旅行は三泊四日。一日目はクラス全体で行動し、二日目はクラス内のグループ、三日目は完全自由行動となる。最初から行き先を決められているのも一日目だけで、二日目以降は各人の自由行動となるため、クラスの話題も二日目、三日目の事ばかりだった。
つまり、次のLHRでの班決めは、修学旅行のおよそ3分の2を決定つけることになる。
どうせ形だけの班決めだ。少なくとも俺とジョジョ、いろはと小町にとっては。
八幡「まぁ、どうせ形だけの班決めなんだよなー。みんな大体決まってるだろ?」
戸塚「そうなのかな…。ぼく、まだ決まって無いんだけど?」
おーい、職場見学の時もそうだっただろう?
静「あ、戸塚はハッチと同じ班なのは最初から決まってるから、職場見学の時みたいな無理矢理な理由を着けて入り込もうとしなくてもいいよ?あと、川崎も私と組むことにしようとしてるんだけど、構わない?」
戸塚&沙希「なっ!」
めちゃくちゃビックリしている戸塚と川崎。
そろそろ気付こうよ。そういうのに最初から有無言わさず決めてるってさ。
まぁ、そうなるとあと二人なんだよなぁ…。絶対に三浦達は三人組で組むだろうし……。まぁ、適当で良いか。
戸塚「後はどこに行くか考えないと……」
八幡「どうせジジイ達次第なんだよなぁ…」
沙希「は?」
静「どうせ日程に合わせて無理矢理仕事を最寄りの支部にねじ込んで来るから。私達もイーハやマーチの修学旅行ではそうだったし。ハルさんも巻き込まれるかも?」
結局は無理矢理仕事を作って乗り込んでくるジジイどもに拐われるのが毎度のパターンだ。まぁ、当然の如く学校をサボってそれに随行してくるいろは、小町、陽乃さん達と過ごす方が楽しいし、何よりも今はウルフスが現れているいま、アーシスが固まるのは戦術的にも当然かも知れない。
戸塚「ってことは………」
八幡「間違いなく拐われる。多分、俺達全員」
沙希「やりすぎでしょ…ジョセフ達…」
そうだとは思うけど、もう毎回過ぎて驚かなくなってしまった。
静「まぁ、残りのグループが決めたヤツで計画を提出して、それで後は拐われるだけだね」
戸塚「拐われるのが当たり前なんだ……」
あのジジイがやることだぞ?あのジジイが!
八幡「まぁ、適当にな。まぁ、冗談はさておいて、承太郎が言うには関西の調査をするらしい。具体的な事はまだわかっていないがな」
関西方面へと行ったあの人も関わりがあるのかも知れない。いつもの悪のりとは違う雰囲気もあったしな。
ぼちぼち授業も始まりそうだ。呆れ返っている二人をやんわりと席に送り出す。
すると、相模と葉山が戻ってきた。そういえばいなかったな。あの二人。
戸部「っかー、隼人くん、どこ行ってたん?マジ単独行動とかそれナニスターさん?ナニタニくん?」
葉山「何でもないよ。トイレくらい一人で行かせてくれ。っていうか、お前そのネタそろそろやめろよ。使いすぎ」
葉山が笑顔のまま、戸部の頭を小突く。
戸部「っべー」
軽いツッコミに戸部が呼気とも言葉もつかぬものを漏らすと、追随するかのように、大和も大岡も葉山に続いた。
大和「だな。やり過ぎると白けるわ」
大岡「むしろ戸部るわー」
戸部「今度は俺かよ!マジ勘弁でしょー」
笑い声が重なり、広がっていく。
その間も戸部るの戸部らないのと戸部をいじるようなやり取りが続き、クラスのトレンドは戸部になった。
さすがはオピニオンリーダー、葉山グループ。
俺達のネタは過去の遺物となってしまった。
葉山は肩越しに俺達を見て爽やかに笑う。
…………やるな、葉山。
お陰で今夜も安心して眠れる。
海老名「ふーん……またいろはちゃんやジョースターさん達が来るんだ……だったら………」
んん?どうしたんだ?海老名…。
←To be continued
はい、短いですが今回はここまでです。
それでは原作との相違点を
悲鳴をあげるのは八幡を気にし始めた川崎→気配なく近付いてきた川崎にビックリした八幡と静…からのブラコーン&シスコーン
川崎は悲鳴をあげて逃げる→そのまま加わってきた戸塚との会話に入る
毎度の如く介入してくるジョースター家
例の相談をしていた葉山と海老名→どこかに行っていた葉山と相模
それでは次回もよろしくお願いいたします