side比企谷八幡
家に帰って明日からの修学旅行の準備を始める。
といっても着替えくらいしか持っていくものがない。むしろ手ぶらで行っても後発で来るいろは達が持ってきてくれるまである。
そうなると本当に持っていくものがない。一応は着替えくらいは自分で持っていこう。甘えっぱなしも悪いしな。
パンツと靴下は多めに準備しておけば多い日も安心。何が?
後は洗面用具だ。こういうのは宿にあるだろうけど、自分のを使うのがベストだろう。日またぎの出張セットを持っていけば良いかな?後はパソコンとプレゼン資料と書類と………って出張モードに入ってるじゃん!今回は出張じゃあない!向こうで書類を広げてどうするんだよ!
出張セットから洗面セットだけをバックに詰めて終了。俺の荷物はカバン1つで事足りる。
きゃー!立派に旅なれていて旅行好きのジョースターっぽーい♪ウノやトランプ、麻雀牌、みんな物が多くて大変だよね~♪
え?俺らはそんなのをやればダービーさんやジジイに仕込まれたイカサマありのゲームになるから参加できるワケないじゃあないか♪中には据え置きゲーム機持ってくるツワモノがいるから恐れ入る。
今の世の中は困っても旅先で大抵の物は手に入るし、携帯一つあれば大抵の事は調べられる。地図を片手に現地で偵察をしなければならなかった近世のヨーロッパに比べたら旅も便利になったものだが、どこか味気ない。
四年前……いや、時期的にはもう五年前のアメリカの旅や、砕けた魂の行ったあの異世界くらいがちょうど良いくらいなんだがな。
まとめ終わった荷物をリビングに持っていき、ポイと投げてから、ペットショップを呼ぶ。クルルルル♪と鳴いて喜ぶペットショップ。
明日は朝が早いので、ペットショップを少しだけ可愛がったら早めに寝ておこう。集合場所は東京駅。新幹線で京都まで向かう。
ジジイ達は良いよなぁ……後発の新幹線で、しかもグリーン車で来るんだから。
むしろわざと集合に遅れてそっちで行こうかなー。後でさりげなく混ざれば良いんじゃね?切符代が無駄になるか。みんなにも迷惑がかかるし。特にわざとやろうものなら承太郎と徐倫からオラオラされるだろう。
ペットショップを撫でながら、ドサッとソファーに沈み込むと、小町がトテテテテっと小走りで寄ってきた。床が抜けるから家の中で走るのは止めなさい。
小町「お兄ちゃん、忘れ物」
言ってストラップがついた精密機械のそれをプランプランさせる。
八幡「……カメラなんかいらん」
携帯とハーミット・アメジストで事足りる。むしろ被写体にレンズを向けなくても目で見たものをそのまま念写できるまである。
小町「ならVita?」
これまた専用ケースに入れ、ストラップまで付けてあるVitaちゃんをプランプランさせた。
八幡「前に持ってったら承太郎に壊されたろ……何のために旅行に行くんだって……」
後で仗助に直して貰ったけど、メモリーは無事じゃあ無かった。
小町「それもそだね。後は小町?」
八幡「勝手に付いてくるじゃあないか。現地にお届けされるだろ」
小町「受け取りはお兄ちゃんの唇でいいのです」
八幡「由花子さんに殺されるんだよなー」
あと、ちゃんとVitaちゃんは返してね?あと、こっそりとパワプロのサクセス選手のキャラをパスワードで盗まないでね?良いピッチャーが出来たんだから。
小町「でも、そうするとお兄ちゃんは何を持っていくの?」
八幡「どうせアーシスや葉山なんかとで固まるんだから今回に限っては暇潰しは要らないんじゃね?最大のオモチャである徐倫も同行するし」
ジョジョもいるからさぞかし良いオモチャになるだろう。徐倫は胃薬を手放せないだろうが。そう言えば最近は胃薬の補充が届かなくなったな。
小町「ゴミいちゃん……さすがにそれは徐倫お姉ちゃんがかわいそうだよ……」
八幡「良いんだよ。修学旅行といいつつ、お前らが後から来るんだから殆ど家族旅行だろ」
小町「一応、仕事だよ?自費だけど」
八幡「当たり前だろ。経費で行ったら完全に空出張の横領だっての……」
無意識の内に視線が遠くなる。ほんと、もう修学旅行を休んで普通に家族旅行で好きな場所に行けば良くね?まあ今回はみんなもいるから完全に家族旅行って訳じゃあないけど。
小町「忘れるところだった。はいコレ」
渡されたのは白いもの。紙切れかな?紙切れじゃあないよ。下着でした。
八幡「いらねぇよ!何に使うんだよ!」
小町「間違えた。こっちでした。あ、そっちもあげるよ?」
代わりに今度は本当に紙切れを渡してきた。
…………下着を回収してくれね?
八幡「だからいらねぇよ!渡されても困るよ!リアクションに困るよ!出○じゃあねぇんだから!いろはのならいるけど!」
いや、コータ○ーじゃあないから幼なじみの下着を収集する趣味は無いけどさ。何が悲しくて妹の下着を持っていかなくちゃあならんのだ?それなら彼女の下着の方が良くね?頼めばホントにくれそうだし。
小町の下着をカマクラの方へと放り投げ(ちなみにカマクラはそれがオモチャだと思ったらしく、じゃれつき始めた)、紙切れを開く。
小町「ああっ!せっかくの小町の好意を!」
悪意だろ!いらねぇっつってんの!その中身はこう書かれていた。
小町のオススメ!おみやげリスト!
八幡「………お前らも来るのに要らないだろ…お土産」
小町「違う違う。シーザーとかスージーとか留美ちゃんとか、あと杜王町の人達にもあげないと恨まれるよ?毎年誰かしらの分を忘れて恨まれるじゃんか。あ、やっちゃんの分は忘れて良いよ?」
康穂の分を忘れたら忘れたで康一さんに恨まれるんだよなー。それに、一応お前、幼なじみだろ。酷くね?
まぁ、一応は見てみるか。
第三位!生八つ橋。
京都のお土産の定番だな。硬い方も結構いけるんだよなー。
第二位!よーじ屋のあぶらとり紙。(ママンと白○さんの分までよろしく!)
いやいや、平行世界の分は買わねぇよ!?キリが無いだろ!あ、幻○郷には良いかもな。あとは沙○さんの分も。異世界には無いだろうし。
第一位!発表はCMの後で!
……さて、寝るか。
八幡「おやすみ、小町」
小町「一位は!?聞いてってよ!」
八幡「イヤな予感しかしねぇんだよ!毎度毎度変なネタをぶっ混んで来るだろうが!」
小町「そんな!大した物じゃあないよ!?小町との一夜のアバンチュールな思い出話だよ!」
八幡「誰が得するお土産だそれは!完全に詰むわ!俺の人生が!」
小町がにっこにっこにー……いや、にったにったにーと笑う。あざとムカつく。
小町「北野天満宮とか音羽の滝とか色々縁結びあるしさ、一緒に結んで来ようよー!」
八幡「その類いの名所はいろはとしか結びませんので他を当たってください。お前も早く寝ろ。少し遅くなるだけでお前だって早いだろうが」
小町「はいはーい♪」
まぁ、大量注文で現地で受けとれば良いか。最悪は通販で買えば良いまである。
あと行かなければならないのは……特にないな?うん。
←To be continued
はい、今回はここまでです。
久々の小町登場ですが、相変わらずぶっ飛んでます。
それでは次回こそ修学旅行に出発です。
次回もよろしくお願いします。
葉山くん!スタンバっておいてね!?
葉山「え……」