やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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出発の修学旅行

side比企谷八幡

 

修学旅行当日。俺はジョジョと合流して東京を目指す。

早く家を出るために普段よりも早く起きた。出勤前の両親と顔を合わせると、両親からもお土産を頼まれた。でもな?パパン、お酒を頼むならジョースター家の誰かか陽乃さんに頼んでくれない?今の時代はお使いでも未成年はお酒を買えないからね?まぁ、ジジイ達に合流した後に誰かに頼めば良いか。承太郎とか。

千葉から東京までは近い。むしろ東京に一番近い県だと言っても良い。つまり首都に一番近い県であり、転じてニアリーイコール首都という事でもうほとんど首都である。

東京駅までは総武快速線でつるっと一本でいける。あるいは京葉線という手もあるだろう。はやい。千葉早い。

だが東京駅における総武快速線ホームと京葉線ホームの冷遇されっぷりはヤバく、総武快速線は柱の一族の石像でも発掘に行くの?ってくらいに地下に潜らされるし、京葉線に至っては、これもう東京駅って呼んじゃいけないでしょ……っていうくらい離れた位置にある。とおい。ちばとおい。

なんなら新幹線に乗るなら品川の方が遠いけど便利なまである。

というか、考えてみたらホリィさんの空条家の方が近かったな。そっちで一泊すれば良かった。エンポリオととも話をしたかったし、最近ではエルメェスさんともなかなか会えていない。

今更な事を考えながら自宅最寄り駅から各停でぶらりと行き、津田沼から総武快速線に乗り換える。

ちょうど出発前の快速に急いで乗り換えると、そこに見慣れたポニーテールと視線がぶつかった。

川崎だ。

 

沙希「おはよう。そう言えば近かったね。あんた達」

 

八幡「おはよう。川崎」

 

静「中学の学区は道路を挟んで反対側だったっけ」

 

沙希「そうだよ。思えば中学時代に出会わなかったのが不思議なくらいだね」

 

俺達は自然と合流する形となる。川崎も俺達も能弁の方ではないので喋りたいときに喋り、後は無言で過ごす。東京駅までの30分はこうして過ごす。

東京駅に降り立つと、人混みのなかにちらほら見える総武高校の制服を着た生徒達。

ホームから延々続くと思われた階段を上り、ようやく地上に出る。といっても相変わらずの屋内なので太陽も青空も見ることができない。ホント、DIO時代は東京駅や新宿や横浜、梅田で生活していれば良かったんじゃあないの?あ、早々に承太郎にやられてるわ。

そんな乾いた大都市にも人はうじゃうじゃいる。早くも千葉が懐かしい。康一さんは毎日この中を出勤してきているんだよなぁ。

わんさかいる人波に流され、新幹線の乗り場を目指す。新幹線口にはうちの学校の連中が結構な数いて、ただでさえ人の数が多い東京駅はなおさら騒々しかった。

 

「八幡!」

 

学生集団の中から俺の名前を呼ぶ声がする。俺を八幡と呼ぶ同級生はほとんどいない。なんなら、比企谷(ひきがや)と正しく呼べる人間すら仲間内以外には皆無。

そして、親しみの情をこめて、ファーストネームを呼び捨てにしてくるのは……。

 

材木座「八幡よ……京の都が懐かしいな。我が魂の故郷よ。ルフランルフラン」

 

そうだね。こいつも俺の事を八幡って呼ぶよね。

 

静「私らは無視か。あとエヴァン○リオンのそのネタはやめとけって。ア○カの名字が式○じゃあなく、○流だった頃の劇場版を今でも覚えている奴はあまりいないんじゃあないの?」

 

材木座「ぬ、ぬう。あいすまぬジョースター殿に川崎殿」

 

相変わらず由比ヶ浜以外の女子は苦手そうだな。

 

八幡「なんか用か?というか、由比ヶ浜はどうした?」

 

確か一緒に東京駅まで来る約束をしていたはずだったと思うんだが?

 

材木座「ふむ、用などはない。ただ数日間は行動が別々であるがゆえにな。せっかく会ったのだから声をかけただけだ」

 

八幡「イコール必然的に由比ヶ浜とも行動が別々になるだろ。少しでも彼女と一緒にいろよ。俺らなんか相手にしてないで」

 

下手をしたら向こうで確実に合流するいろは以上に向こうで遭遇する可能性は低いだろう。最終日の自由行動以外は。

 

材木座「先程雪乃嬢と会ってな。我は少し席を外したのだ。雪乃嬢も結衣とはクラスが違うゆえに中々会えないであろうからな。なに、我の気遣いよ」

 

沙希「単に女子同士の話に付いていけなかったから、比企谷を探すのを理由に逃げただけじゃあないの?」

 

材木座「ふぐぅ!」

 

図星なのかよ。………と言うことは。

 

結衣「スタッチー!さきさきー!ヒッキー!やっはろー!」

 

案の定だ。由比ヶ浜が雪ノ下を伴って大きく手を振って近付いてくる。おいおい、大声で呼ぶなよ。出勤中のサラリーマンの人達が何事かと振り向いてるじゃあないか。東京駅でも目立ちまくってるぞ。あ、すぐに何事もなかったように人混みが動き始めた。

流石は何でもありの東京駅。奇人変人が多い街だから、むしろ由比ヶ浜クラスは普通のレベルなのね。

一方で雪ノ下は少し頭を押さえてため息を吐いている。そりゃ、悪目立ちしたのだから恥ずかしいだろう。中には二人の美少女に見惚れている奴もいる。コレが新宿とかだったらナンパが沸いていた可能性もあるな。

 

静「おはよう。雪ノ下、由比ヶ浜」

 

沙希「おはよ。雪ノ下は一人で東京駅まで?」

 

雪乃「おはよう。ジョースターさん達。ジョルノ兄さんや姉さんと一緒に来たわ。今は学生組に気を使って空条先生達と一緒にいるけど。あなた達も空条先生や東方会長と一緒に来れば良かったと思うのだけれど?」

 

まぁ、出る家が近所だしな。でも、そのまま一緒にジョースター家の集団で行っちゃいそうだったから、自重したんだよな。だってあっちのが楽だし。グリーン車だし。

 

八幡「うっす……。そのままジョースターご一行京都ツアーの方に参加しちゃいそうだから家から自力で来ることにしたんだよ。いろはもあっちにいるし。つぅか、よくお前は流されなかったな。そのままあっちで学校と合流しろとか言われなかったか?」

 

雪乃「………特にジョルノ兄さんを振りきるのに苦労したわ……」

 

言われたんだな。ジョルノの奴、ウンガロとかの代わりに雪ノ下姉妹を可愛がりすぎだろ。

愛され過ぎてて逆に疲れている感じだな…。構いすぎてその内嫌われても知らないぞ……。あいつにだってこっちのジョルノは家族愛が強すぎてたまについていけないとか言われていたしな…。

 

それにしても……俺は改めて材木座を見る。

 

八幡「材木座。すげえ荷物だな。山にでも籠るのか?エア・サプレーナー島を紹介しようか?あそこの方が修行になるぞ?」

 

材木座の背後にはパンパンに膨れ上がったドラムバック。一体何が入ってるんだ?材木座はそのバックをポンと叩くと、クイッと眼鏡を中指で押し上げた。

 

材木座「応。ちと鞍馬山に剣の修行にな」

 

八幡「鞍馬か…。ちょっと離れた場所をチョイスしたな」

 

もちろん鞍馬の方も人気があるスポットではある。京都市内からややはなれている為、効率よく色々回ろうとすると難しい場所でもある。美食倶○部が仕入れている水が鞍馬の水でもあるから、水が旨い事でも有名な場所だ。

 

材木座「うむうむ。まぁ、我が決めたわけではないが、天狗と修行するのもまた一興かと思ってな」

 

静「呼ぼうか?幻○郷から。っつうか、あんた会ってるじゃん?射○丸に」

 

リアル天狗に確かにあったよなー。あれ、普通に強すぎると思うんだけどな?あの鴉天狗。多分こっちにもいるだろうから、あの神社の巫女に頼めば修行させてくれると思うぞ?

 

材木座「八幡が突っ込んでくれぬから寂しかったのだが、流石は相棒の相棒!恩に切る!」

 

材木座は口を尖らせて俺を睨む。大体突っ込みどころが多過ぎてどこから突っ込めば良いのやらわからん。

 

材木座「八幡はどこにいくのだ?」

 

八幡「まぁ、色々だ。大体ジジイの計画にもよるな。お前も多分、三日目は巻き込まれる。由比ヶ浜と一緒だろうけど、二人きりは無いから諦めろ」

 

材木座「なぬっ!?う、うむ……だが、結衣と一緒にいられるのなら満足よ!」

 

とか言いながら、すこし落胆した表情になる材木座。

二人きりになるタイミングを期待していたのだろうが、そこはあのジジイ。絶対に由比ヶ浜共々二人を拐うことだろう。

 

八幡「ぼちぼち集合の時間だな」

 

材木座「ボッチだけにな」

 

いや、最近はボッチとは無縁の生活だと思うぞ?何だかんだでアーシスの名の下に集まるし。

 

材木座「では結衣!八幡!皆の衆!京都で会おう!」

 

八幡「おう。また向こうでな」

 

会いたくなくても絶対に会うだろう。

 

雪乃「ではみんな。向こうで……」

 

雪ノ下も名残惜しそうにクラスの方へと向かって行く。

材木座と雪ノ下と別れた俺達はクラスの連中がいそうな所を探す。探し方は簡単だ。騒がしい所を探せば良い。

………ほらいた。葉山達だ。葉山がいるところは必ず騒がしい。だからあの辺りがうちのクラスだ。

そしてその外角には三浦達の姿もある。一声かけておくか。

 

結衣「やっはろー!優美子、姫菜、さがみん、宮ヶ瀬さん!丹沢さん!」

 

南「おはよー。結衣ちゃん」

 

宮ヶ瀬「お、おはよう」

 

丹沢「おはよう、由比ヶ浜さん」

 

相模が手を振って由比ヶ浜に応える。

そして相模グループの宮ヶ瀬と丹沢も相模に合わせて応える。二人は相模と違って普段はうちらアーシスメンバーとはあまり絡まないのだが、今回は二人とも同じ班だから必然的に固まる事になる。

 

三浦「ん?おはよ」

 

対して三浦は携帯を弄りながら軽く応える。

 

海老名「はろはろ~。ギリギリだよ?結衣、ジョジョっち、ヒキタニ君♪」

 

海老名は手をフリフリしつつ、愛想よく応える。

俺達も適当に手だけで挨拶をするが、コレはコレで馴れてしまっているのか、全員特に気にしていない。

むしろ宮ヶ瀬達は俺とジョジョにはあまり関わりたく無いだろうな。

そして定刻。

ゆるゆると広がっていた集団は収束し、やがて整列。

徐倫による点呼の後に入場。行進。軍隊や自衛隊かよ。

ここでグループの点呼、確認も行われる。

そこでやっと戸塚と合流できた。先程までは泉や青葉のテニス部と一緒にいたらしいからな。

テニス部を退部しても、相変わらず仲が良い。めぐりあい宇宙!でも俺達は哀!戦士達!

 

戸塚「八幡!」

 

八幡「おはよう。戸塚」

 

戸塚「うん、おはよう」

 

葉山「おはよう戸塚」

 

戸部「おはよっす!」

 

ここで今回のグループの葉山と戸部も合流。ジョジョや三浦達、相模、大和達も加わって大所帯になる俺達。

年度の始めからしたら信じられないな…。ジョジョと二人だけの交流しか無かったクラスが、いつの間にかクラス最大のグループになるなんて…。

まぁ、戸部や大和、大岡に宮ヶ瀬と丹沢は俺たちの事情を知らないから本当の意味では違うが。

そして新幹線に乗車する。珍しいよな。東北方面には杜王町に行くために月イチで乗るけれど、東海道新幹線には滅多に乗らない。基本的には会社の用事で行くし、その場合はハイヤーを使うし。

新幹線の座席はなかなか不思議な作りだ。

一列が五席あり、三席と二席に別れている。こうなると四人班での座り方は難しい。まあ、なるようになれだな。

 

八幡「俺は二人側の方に座るわ。な?いろは」

 

「……………」

 

あ、いつものクセでいろはと二人きりになる前提で選んでしまった。寂しい……。

とはいえ、本来は学年が違うから四日間は会えないはずだったんだよな。それを考えれば会えないのはほんの数時間だけなんだから、俺達は恵まれていると思わなければ。川崎なんて大志やけーちゃんとは全く会えないんだよな。

 

静「ほら、詰めなよ。私が隣に座るから」

 

ああ、そう言えばジョジョも普段は仗助と座るはずだが、今回はジジイ達と一緒に後発で来るからいないんだっけ。そうなると必然的に俺達性悪コンビが隣り合う形になる。

 

戸部「べー。自然だわー、比企谷くんとジョースターさん。隼人くん、二人は付き合ってるんかなー」

 

葉山「いや。幼なじみらしいよ。ヒキタニは一年の一色と付き合ってるし、ジョースターさんはジョースターさんで婚約者がいるらしい」

 

戸部「マジで!?あの距離の近さで彼氏彼女が別々にいるなんてあやしいわー」

 

そして当然のように戸塚が席を回転させて俺の前に座り、その横に川崎が座る。まあ、自然にこうなるな。

残るは……

 

三浦「あーし、窓際が良い」

 

海老名「あ、わたしは途中で移動したりするかもだから通路側で。結衣は真ん中に座りなよ」

 

そう言って通路を挟んで反対側の窓際に三浦が座り、由比ヶ浜が真ん中に、通路を挟んで俺の反対側に海老名が座った。

あちゃー。戸部は海老名の隣に座りたがっている様子だったけど、赤緑コンビに先手を打たれたかー。

そうなると必然的に相模か由比ヶ浜になるんだろうけど、普段のつるみかたから由比ヶ浜が真ん中に来るのは自然だよな。御愁傷様。

その反対側は葉山が三浦の正面に座る。そうなると、必然的に戸部がその隣となり、相模が最後に隣に座る。

相模も少し残念そうだ。

まぁ、相模はアーシスの中では三浦と仲が良いし、葉山と隣同士が良かっただろうし…。上手くはいかないものだな。ままならぬものよ。

 

←To be continued


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