やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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奴が再びです。


暗闇の中のマンティコア

sideマンティコア

 

マンティコア「ククク……久しぶりだな……DIO」

 

呼び込みに扮して待っていた甲斐があったな。しかもDIO一行が釣れるとは思っていなかった。

 

八幡「なに!?ウルフスかっ!?」

 

ドズッ!

今回は出し惜しみ無しだ。最初から毒の一撃を食らわせてやる。

 

八幡「ぐぅっ!」

 

静「ハッチの悲鳴!?」

 

まずはDIO。暗闇に乗じて奇襲を仕掛ければ楽なものよ。ましてや店の関係者と思わせれば………

 

マンティコア「グホォッ!」

 

八幡「舐めるんじゃねぇ!テメェはマンティコア!いきなりやってくれるじゃあないか!」

 

毒が効いていない……だと!?

 

side比企谷八幡

 

チクッ!

 

肩を刺された感覚を味わった段階で、俺はザ・ワールドで時を止めた。

視界の端にあったのは蠍の尻尾。この形には見覚えがある。マンティコアの尻尾の毒針だ。

 

八幡「痛いだろうが、毒が回るよりかはましだな」

 

俺は時が止まって毒が一ヶ所に留まっている間に刺された肩の周りの肉ごと抉り取り、捨てる。

 

八幡「いってぇぇぇぇぇ!」

 

これは杜王町で、鼠のスタンド・ラットに刺された仗助を助けるために承太郎がやった手段だ。

ラットの毒によって体を溶かされる前に周りの肉ごと毒を抉りとるという応急手段。

警戒しておいて正解だった。お陰で痛みを感じた瞬間に

時を止めて対処する事が出来た。マンティコアの毒は厄介だ。小町が殺されかけたしな。

今はいろはも仗助もジョルノも近くにいない。だから毒を食らうのは非常に危ない。

 

八幡「まずはその厄介な尻尾を切り取ってやる!」

 

G・S「無駄無駄無駄無駄無駄ぁ!」

 

俺はザ・ジェムストーンでマンティコアの尻尾をへし折り、捨てる。そして……

 

八幡「不意討ちのお返しは不意討ちで返さねぇとな!」

 

G・S「無駄無駄無駄無駄無駄ぁ!」

 

ザ・ジェムストーンでマンティコアを殴る。

そこで時が動き出す。

 

八幡「はぁ………はぁ………はぁ………」

 

静「ハッチ!」

 

結衣「ヒッキー!」

 

三浦「どうしたん!?」

 

海老名「ヒキタニくん!」

 

葉山「ヒキタニ!」

 

戸部「どうしたん?比企谷君?」

 

俺が襲われたという事自体を理解していない戸部以外は全員が俺に異変があったことを察知した。

 

八幡「気を付けろ!マンティコアがいる!」

 

くっ!血管を損傷したのか、血がどくどく流れている。こいつはヤバいな!

これでウルフスは仗助みたいな倒し方をするか、矢を破壊しない限りは本当に何度も現れるという証明になったな……。

 

マンティコア「風を受けろ!白虎!」

 

ヤベェ!あの暴風攻撃か!

マンティコアの暴風が俺達を襲う。

 

ゴンッ!

 

鍾乳石が頭に直撃を………ヤッパリ俺達ジョースターが寄り道をすると碌でもない結果になる……な……

 

比企谷八幡(ザ・ジェムストーン)…再起不能(リタイア)

戸部翔…再起不能(リタイア)

 

side三浦優美子

 

静「く……ハッチと戸部がやられた!」

 

三浦「………ジョジョ。あんたはヒキオと戸部を連れて先に脱出しなよ」

 

あーしがそう提案する。

 

静「三浦!?ふざけんなっつーの!私だって……」

 

違う。一般人の戸部と気絶したヒキオを連れ出せるのはジョジョだけだ。それに、ジョジョの足の早さなら増援を呼びに行ける。その為の足止めくらいはあーしらだって出切るはずだし!

 

三浦「今、ここで動けるのはあんただけだし!あーしらがここで足止めしてる間に戸塚や材木座、南、川崎を呼びに行けし!」

 

葉山「それが出来るのはジョースターさんだけか…」

 

結衣「行って!スタッチ!ヒッキー、相当ヤバそうだったし!」

 

あーしらが叫ぶと、ジョジョはヒキオと戸部を担いぐ。

 

静「死ぬなよ……あんた達。アーシス!スクランブル!」

 

ジョジョのスクランブルがかかる。

気休めの心の支えでも、あーしらの士気が一気に上がる。

そして、ジョジョは二人を担いで走り出した。二人を担いでもなお、走ることが出来るのはジョジョだけだ。正直に言えばジョジョがいなくなるのはキツい。

だけど、ここであーしらが殿をしてジョジョが増援を呼んできてくれれば形成は逆転する。

ヒキオの容態だって何とかなるかも知れない。

 

海老名「頼んだよ、ジョジョっち……」

 

三浦「海老名、結衣、隼人……勝手な判断に巻き込んでごめん……」

 

葉山「良いんだ。頼ってくれて嬉しいよ、優美子」

 

結衣「頑張ろう。優美子…姫菜……きっとスタッチはすぐに来てくれると思うから……」

 

あーしは炎のレーダーを複数だして、灯りを作る。

目の前にはさっき呼び込みをしていたおっさんが立っていた。

 

海老名「こいつの能力はもうわかってる!厄介な攻撃は風と水だけ!」

 

マンティコア「おのれDIOめ……毒の尻尾を……」

 

やられてしまったけど、ヒキオの攻撃はあーしらの役に立ってくれた。特に厄介な毒の尻尾を切ってくれたのは大きい。

 

マンティコア「だが、強いのはお前ら二人だけ。後の二人は戦いなれてはいないな?」

 

気がかりなのは結衣と隼人の二人。特に隼人は今日、二度めの実戦だ。

 

結衣「なめないでよ!リバース・タウン!」

 

結衣がスタンドを展開する。

 

結衣「先手必滅!」

 

それを言うなら先手必勝だし!何かヨシオの影響受けてない?それに、不用意に近づくんじゃあないよ!こいつの能力は……。

ツルッ!

 

結衣「あ………」

 

水を操られて滑りやすくされたんだ。結衣が滑って転倒しかける。その隙を狙われたら!

 

マンティコア「神砂嵐!」

 

あれはワムウとかいう柱の一族の攻撃!あれを食らったら結衣は!

 

海老名「ハイエメラルド・スプラッシュ!」

 

それより先に反応した海老名の弾丸が結衣を弾き飛ばす。

 

結衣「きゃ、キャアアアア!」

 

結衣がスプラッシュに飛ばされて壁に激突するけど、神砂嵐をまともに食らうよりはダメージはないはずだし!

 

ゴオオオオオオオオ!

 

三浦「マジシャンズ・レッド!」

 

あーしは迫り来る暴風を熱気で軌道を逸らす。

風などは熱気の影響を受け、風向きが変わったりする。

わずかながら結衣に向かっていた竜巻のうねりは完全に逸らされる。

危なかったし……けど、結衣はやらせねーし!

 

海老名「優美子!」

 

三浦「やるっしょ!」

 

海老名&三浦「バーニング・エメラルド・スプラッシュ!」

 

葉山「それを追いかけて……オラオラオラァ!」

 

炎を纏ったエメラルド・スプラッシュをマンティコアに向けて放つと、それを追いかけて隼人がスタンドラッシュを仕掛ける。

 

マンティコア「ふん!水の壁よ!」

 

マンティコアが水の壁を作り、あーしの炎を消す。

けど、その程度の水ならあーしの炎が蒸発させるし!

けど、甘かった。奴の狙いは……隼人だった。

 

マンティコア「ぐう!だが、男の方は捕まえたぞ…叩きつけられて終われ!ブラッディ・スタンド使い!」

 

スプラッシュを当ててダメージを与える事に成功したあーしらだったけど、奴の水は隼人を包み込み、そして何度も壁にぶつけさせる。

 

葉山「!!!」

 

水中で悲鳴をあげることも出来ず、隼人は何度も叩きつけられて気を失ってしまう。

 

葉山隼人(オーラル・シガレッツ)…再起不能(リタイア)

 

海老名「隼人くん!」

 

三浦「マジシャンズ・レッド!」

 

あーしが隼人を包み込んでいる水を蒸発させる。

隼人の息はある……あのままだったら溺死させられていたし……。

く……一度倒してるスタンドだけど、ヤッパリ強い…。

まともに動けるのはあーしと海老名だけになってしまった……。

 

マンティコア「一度は俺を倒したから、簡単だと思って舐めていたな?ジョースターの仲間達」

 

油断なんかしてないし、舐めてもいない。

ウルフスの怖さは、あーしらは散々味わっている。

だからヒキオを下がらせた。だからジョジョに増援を頼んだ。仲間が揃えば勝ち目が出てくる!

 

三浦「クロスファイヤー!ハリケーン!」

 

あーしがクロスファイヤーを飛ばす。けれど、そんな単純な相手ではない。マンティコアはクロスファイヤーを水で防いで相殺してしまう。風の力も利用してきたかも知れない。

けど、少しでも時間が稼げればそれで良いんだ!

 

マンティコア「水圧の弾丸!」

 

マンティコアが圧縮した水の弾丸を発射してくる。

 

三浦「くぅっ!」

 

あーしはその弾丸を相殺しきれずに受けてしまう。

くっ!

 

三浦「まだだし!少しでも時間を稼ぐし!ジョジョが戻って来るまで!」

 

ダメージはそれほど大きくない。それまで少しでも…。

 

海老名「ダメだよ、そんな後ろ向きな戦い方じゃ」

 

海老名が走ってマンティコアに迫る。

海老名!何考えてるし!あんたのハイエロファントじゃあ接近戦は苦手なはずだし!

 

マンティコア「鴨がまた一人、餌食になりに来たか」

 

奴の水が海老名を死角から包み込む。

海老名までやらせねーし!

けど、海老名は笑っていた。

 

マンティコア「ぐあああああ!」

 

あれは……

暗闇の中で輝くエメラルドの光がマンティコアの周囲から集中攻撃される。

マンティコアは痛みの為か、海老名の水の結界を解いて解放してしまう。

 

海老名「マンティコア。あなたの能力、見切ったよ」

 

海老名がニヤニヤしながらマンティコアに言い放つ。

 

海老名「以前、ヒキタニ君を襲ったときに使えた水の能力、それは水辺で、そして嵐の中だったから。だから豊富に水の力が使えた。でも、ここの洞窟内にある水分では満足に水の力は使えない。もし使えていたならば、さっさと私達を激流で流してしまえば終わっていたはず。それをしないって事は、自力で水を生み出す能力はマンティコアにはない。せいぜい、人一人を閉じ込めるので精一杯」

 

あんた……よくそこまで見切れるし……。

 

海老名「私を包み込めば、防御の水の壁を展開するだけの水の量は……無くなる」

 

だから海老名は敢えて攻撃を受けたんだ!そして、張り巡らせたハイエロファントの結界から、スプラッシュを全方位からマンティコアに浴びせた……。

肉を切らせて骨を断つ……。凄い覚悟だし……。

更に、あーしらの猛攻は続く。

 

R・T「うわああああああ!」

 

マンティコア「ぐはぁ!」

 

あーしも忘れていた。結衣の事を。

そうだ、結衣はまだ倒れていなかった。

暗がりの中でこっそり近付いていたんだ。そして、あーしらに気を取られている隙を狙ってリバース・タウンでラッシュをかけたんだ!

海老名はそれも視野に入れたんだ!

 

海老名「ナイスだよ!結衣!」

 

結衣「えへへへへ♪あたしだってやれるんだぞって、わかってくれた?優美子!」

 

そして結衣の攻撃が決まったことにより、極限まで運が下げられたマンティコアに、不幸が襲う。

ガラガラガラガラ!

天井の岩盤が緩んでしまっていたのか、マンティコアが殴り飛ばされた天井が崩落を始め、マンティコアの本体の体を埋める。

その崩落した天井は、奇しくもさっきあーしが逸らした神砂嵐が直撃した場所だった。

 

マンティコア「くそっ!DIOに尻尾さえ切られていなければ!こんな奴等に!」

 

足掻くマンティコア。だけど、ガッチリと瓦礫に埋もれてしまっているマンティコアは、もう動けない。

海老名と結衣が決めてくれた……。

 

三浦「あーしと隼人、要らなかったんじゃね?」

 

海老名「そんな事はないよ?隼人くんがやられた時の水の量、あれで最初の疑問が出来たわけだし、後は優美子が水を蒸発させてどんどん弱体化させてくれていたし、何よりマンティコアの意識を逸らしてくれていたお陰で結衣がこっそり近づけていたわけだし。今回は実質的には優美子の大金星だね♪」

 

なーんか、納得いかないけど。でも、勝ちは勝ち。

あーしはマジシャンズ・レッドの手のひらをマンティコアに向ける。

 

三浦「このまま放っておいても死にそうだけど、他のウルフスに助けられでもしたら厄介だし……もう一度、死ねし!マンティコア!バーニング・ファイヤー!」

 

あいつのお陰で強化されたあーしの最大の技で、マンティコアを焼き尽くす!

 

マンティコア「ちくしょおおおおお!せっかく復活したのに!これでは………俺の立場が………がああああ!」

 

本体がきっちり灰になったのを確認し、あーしは炎を消す。

 

三浦「終わった……」

 

ガクッ!

戦闘の緊張で感じていなかった痛みが、今になって襲ってきた。見れば結衣も海老名もその場に崩れている。

 

葉山「ううん……はっ!優美子!姫菜!由比ヶ浜!」

 

隼人が目を覚まして立ち上がろうとするけど、隼人が一番ダメージを負っている。次に結衣とあーし。海老名が一番ダメージが軽い。

 

三浦「終わったよ……隼人。あーしらが、マンティコアを倒したんだ」

 

このメンバーでマンティコアを倒せるとは思わなかった。旧葉山グループも、捨てたもんじゃあないね。

 

海老名「でも……ジョジョっちを外に行かせて正解だったかも……動けない……」

 

ホントだね。それに、ヒキオも忘れちゃいけない。アイツが最初に毒を封じてくれたから、あーしらは勝てたんだから……。

けど、一つ言えるのは………

 

三浦「もう、寄り道はこりごりだし……」

 

結衣「ホントにジンクス通りになっちゃったよね……」

 

ヤレヤレだし……

 

←To be continued




はい、今回は旧葉山グループ……というか、スタンドを現段階で持っている原作の葉山グループに今回は活躍して頂きました。原作で洞窟に入ったメンバーの活躍回とも言えますが。静は運搬&外部との連絡役です。

次は誰に活躍して貰いますか………。(2月22日現在)

それでは次回もよろしくお願いします。

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