やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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孫悟空戦のエピローグです。


戦いが終わり、夜は更けていく

side平塚静

 

いろは「ハチくぅぅぅぅぅん!しっかりして!エメラルド・ヒーリング!」

 

仗助「ジョルノ!雪ノ下!由比ヶ浜!葉山!相模!平塚!あとそこのアンタ!しっかりしろ!クレイジー・ダイヤモンド!」

 

駆け付けた一色や東方仗助が私達を治療して回る。

周辺は酷い破壊の痕跡だらけだ。

 

八幡「よっと!」

 

いろはに治療された比企谷は、立ち上がろうとして……。

 

八幡「あれ?」

 

すぐに貧血にでもなったようにふらついて倒れてしまった。

 

静「限界以上にレクイエムを使うからだよ。体はともかく、精神がズタズタになってるっつーの。まったく…無理をしたもんだよ?相棒」

 

なるほど。重症なのは体じゃあなく、精神の方か。

砕ける寸前だったものな……。

 

いろは「ハチくん!わたしに掴まって下さい!」

 

八幡「……ああ。助かる。いろは………」

 

比企谷は一色に助け起こされ、立ち上がる。

まぁ、こんな自然にいつもいつも……。

 

由花子「うんうん♪やっぱり、この光景が一番良いわぁ♪やっぱり、八幡君にはいろはちゃんよね?」

 

広瀬由花子さんは二人の様子を見て満足そうに頷く。

まぁ、カップルがいちゃつくのを見るのは正直腹立たしい物だが、比企谷は頑張ったし、生徒が幸せなのならばそれで良いか。

 

材木座「おおおおお!結衣!結衣ぃぃぃぃぃ!済まぬ!我が付いていればこんなことにはぁぁぁぁ!我も八幡に付いて行けば良かったぁぁぁぁぁ!」

 

見れば材木座も由比ヶ浜に抱きついてオンオンと泣いている。ほぉ?あの由比ヶ浜が材木座とな……。爆発しろ!

はぁ………私の春はいつ来るのだろうか?

いや、その前に新しい就職先を探さねばならんか…。

結婚したい……。

 

静「ジョルノ兄さんもレクイエムを使ったでしょ?大丈夫だったの?」

 

ジョースターはジョルノさんの所に駆け寄る。ジョルノさんはトリッシュ・ウナを抱き寄せて情熱的にキスをした後に、ジョースターに向き直る。

くそっ!これだからラテン系の外国人は!

 

ジョルノ「まぁ、殆どは由花子や八幡、平塚がやってくれたからね。僕はトドメを刺しただけだよ。それと、静。僕もどうやら到達出来たみたいだ。真実に」

 

静「に、兄さんが!?」

 

驚くジョースター。そこにジョセフ・ジョースターさんが近付く。その面持ちは硬い。

 

ジョセフ「どうなったんじゃな?今回のウルフスは…」

 

ジョルノ「僕のレクイエムが始末しました。申のウルフス、孫悟空は多分、二度と現れる事はありません。奴はゴールド・エクスペリエンス・レクイエムによって、永遠に消滅し続ける事でしょう。僕達は2つ、ウルフスを倒した事になります」

 

承太郎「そうか……。真にウルフスを倒すには、やはりレクイエムしかないのか……」

 

仗助「いや、他にもあるじゃあねぇかよ。由花子が見たっつー黄金の矢を壊すとかよ」

 

由花子「ええ。あたしは見たわ。オロチと名乗った男が、孫悟空を生み出した瞬間を」

 

空条博士がそれに反応する。

 

承太郎「それは確かなんだな?広瀬由花子」

 

由花子「ええ。写真に収めてあるわ」

 

広瀬由花子さんはスマホの画面を見せる。

すると、過剰に反応したのは陽乃だった。

 

陽乃「ね、ねぇ!雪乃ちゃん!この人!」

 

承太郎「こいつも……こいつもウルフスだったのか!」

 

雪乃「都築さんの義理の弟の……立場さん!この人がウルフスだったなんて!」

 

どうやら、雪ノ下に縁のある人間だったようだ。

 

承太郎「くっ!俺は総武高校文化祭期間に一度コイツに会っていた!あの時にわかっていれば、俺があいつを倒していたのに!」

 

空条博士は地面を強く殴る。

 

ジョセフ「オロチ……そいつがウルフスを生み出していた者か……アーシスに通達を出さんとな。立場の行方を追えと……」

 

ジョセフ・ジョースターさんは沈鬱な面持ちで言う。

この人の事は良く知らないが、雪ノ下の話では普段はおちゃらけた好好爺だと聞く。

おじいさん……と言われてもあまりピンと来ないほど若いが…。40代半ばと言われても信じてしまうくらいに若々しい。

そんな普段は明るいと聞くジョセフ・ジョースターさんが、こんなに目を鋭くさせるなんてな。

だが、ウルフスは不味い相手だと言うのはよくわかった。

 

八幡「ところで由花子さん。どうしてあなたが京都に?」

 

由花子「康穂も今、修学旅行で京都に来ているのよ。そんな中で二度もウルフスが現れたって言うじゃあないのよ。いてもたってもいられなくて、康一さんにお願いして……それはもう、じっくりとお願いして、京都に来させて貰ったわ。財団の力を駆使して、あたしもジョースターさん達と一緒に行動出来るように」

 

静「それって……お願いというより、脅したんじゃ…」

 

八幡「もしくはOHANASHI……」

 

由花子「なあに?ジョジョちゃん?八幡くん?」

 

八幡&静「いえいえいえいえ!何でもないです!」

 

あのジョースターと比企谷が……。性悪コンビを封じるなんて凄いな……。

 

由花子「来てみて正解だったわ♪康穂も小町ちゃんも雪ノ下陽乃もいるし、何より雪乃ちゃん達と一緒に夜遊びに出掛けようとしてるんだもの♪」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

 

由花子「芸者遊びとか、康穂も含めて浮気なんかした日には………どうなるかわかってるんでしょうねぇ!比企谷はちまぁぁぁぁぁん!」

 

八幡「してないですししないですから!今夜だってジョルノに拐われただけですから!そうだろ!?葉山!」

 

葉山「俺に振るな!確かにそうだけど!」

 

ストン♪

 

由花子「そう。いろはちゃんを裏切った訳じゃあないのね?良かったわぁ♪楽しい修学旅行が台無しにならなくて良かったわね?八幡くん?」

 

八幡「どうなるの!?いや、いろは以外に流されないつもりだからそうはならないハズだけど、誤解が解けなかったら俺はどうなっちゃうの!?止めてくれね!?レクイエムの副作用でボロボロだしいつも以上にメンタル弱まってるし今日は二度も死にかけたんでそろそろ俺にも優しくしてくださいごめんなさい!」

 

ジョルノ「君の高速お断りは間に合ってるよ。八幡。僕はいろはの高速お断りが見たいんだ」

 

いろは「そうなんですか?夜遊びという単語を聞いて、丁度やりたかったところなんです。では……」

 

八幡「いろはも勘弁してくれぇぇぇぇ!ここで高速お断りをされたら俺のメンタルが死ぬ!魂がまた砕ける!ホントに勘弁してください!ごめんなさい!」

 

いろは「むぅぅぅぅぅ………」

 

八幡「むくれてもダメ!」

 

いろは「はぁ……仕方がないですね。今回だけは、勘弁してあげます!でも、次に夜遊びしたら、遠慮なく由花子さんにお仕置きしてもらいますからね!」

 

八幡「………はい」

 

強いな……一色。あの比企谷を……。

緊張した空気から、全員が笑って和らぐ。

東方仗助さんも、周囲の状況をスタンドで元に戻して事件の痕跡は全て消していた。

凄いな……クレイジー・ダイヤモンド。

そういって全てが丸く収まっていた時……。

 

大井「平塚さん……」

 

さて、そろそろ現実を見つめよう。

今回みたいな事がこれからも起こるのでは、私も関東に戻った方が良いかも知れん。

 

平塚「大井先生。短い間でしたが、お世話になりました」

 

大井「はっ?何を言っておられるのですか?まるで最後のお別れみたいな事を……」

 

大井先生には私のザ・オーガを見られてしまった。私達スタンド使いの宿命を知られてしまった。調べれば私のやった所業もわかってしまうだろう。例え、狂わされた血の宿命や、肉の芽によって操られた結果だったとしても、私の罪が消えることは決してない。

 

平塚「ザ・オーガ……あれが私の本質です。あの醜い姿が、私の能力です。失望されたでしょう?大井先生。もう私は、あなたの前にはいられません」

 

悪く無かったのだがな。いや、悪くないどころか、楽しかった。大井先生の塾の講師仲間や、生徒達とのやり取り……。講師という物も悪くない、楽しくなっていたと言うのに……。いや、それが私の罪であり、罰か…。

 

大井「行かないで下さい!平塚さん!いえ、静さん!」

 

平塚「え?」

 

私の空耳か?引き止められた気がするのだが…。

 

大井「静さん!やっぱりあなたは私が見込んだ素晴らしい女性です!キレイでスタイルが良くて、キッパリとしていてかっこよく、そして時々見せるカワイイところとか、前から良いなとは思っていたんですよ!」

 

へ?え?何だこの誉め殺し。

大井先生が?私をカッコいい?カワイイ?え?え?

聞き間違いだよな?

え?だって、大井先生には私なんかよりももっと可愛くかったり美人だったり、そして若くて女らしい女性講師や事務員、それに外の人間にだって口説かれているじゃあないか。

 

大井「それにザ・オーガが醜い?そんな事ありませんよ!生徒達を守ろうと、希望を守ろうとしていた静さんはとても美しかったですよ!まるで正義のヒーローのようでした!」

 

う、美しい!?あのザ・オーガが?いやいやいやいや!

あり得ないって!こんな事が現実に起こる訳ない!

 

大井「強くて、かっこよくて、美人でカワイイあなたは私の理想だ!誰にも渡したくない!私の前から消えるだなんて悲しい事は言わないで下さい!」

 

平塚「いやいやいやいや!じょ、冗談は止めて下さい!大井先生!私なんかより、あなたにはいっぱい素敵な女性がいるじゃあないですか!」

 

大井「嘘なんかじゃあない!私は本気だ!本気で静さんが良いんだ!」

 

そ、そ、そんな事が起こるはずがない!

 

葉山「オーラル・シガレッツ」

 

ポンっと葉山が大井先生の肩をスタンドで叩く。何をしているんだ?葉山。

 

葉山「大井先生。今の言葉に嘘はありませんね?」

 

大井「もちろんだ!結婚を前提に付き合って欲しい!平塚静さん!」

 

け、け、結婚を前提に!?

い、いや……本気なのか?

 

葉山「平塚先生。俺のオーラル・シガレッツの能力は、嘘を消す能力です。オーラル・シガレッツに触られた者は、嘘を吐けない。平塚先生。大井先生の言葉は、全部本気です。後は平塚先生の気持ち次第ですよ?」

 

本気……なんですか……?大井先生……。

嬉しい………こんな素敵な人が私と結婚を考えてくれているなんて。

でも………。

 

平塚「私は………えぐっ!私は罪があるんですよ?…柱の一族の……汐華の眷属で、ジョースター達を傷つけ、人間の敵になりかけた過去が!ううっ……今日のウルフスのような過去が………えぐっ!」

 

大井「関係ありません!それでも私はあなたが良い!それに、その罪だって、あなたがやろうとしてやったものじゃあないでしょう?私だって、ジョースターの一族の事は良く知っています!東方朋子さんから、よく聞いていましたから!あなたの罪を背負うだなんてカッコいい事は言えない!私にはあなたを守る力は無いかも知れません!逆に私が守られる方でしょう!でも、それでも私はあなたが良い!あなたじゃあなければダメなんですよ!静さん!」

 

平塚「ひぐっ!ううっ!大井先生……大井センセぇぇぇぇぇぇぇぇ!ヒイイイイイン!」

 

私はフラフラと大井先生の腕の中に収まり、子供のようにグシグシと泣きわめいた。

 

平塚「ひぐっ!わだしも!わだしも大井ぜんぜいが…大井ぜんぜいがずぎでずー!わだしのぼうごぞ!よろじぐお願いじまず!」

 

大井「本当ですか!やった……やったぁぁぁ!」

 

大井先生は私を抱き締め、喜んでくれている。幸せだ…諦めかけていた女の幸せが…私にも……

 

八幡「おお、脱独神か。これはめでたい」

 

小町「ゴミぃちゃん!しっ!水を差さないの!」

 

八幡「ぐふっ!ぐはぁ!止めてくれね?ただでさえ今は精神がボロボロなんだからさぁ」

 

うるさい!比企谷!幸せな気持ちに水を差すな!

子供の転から一色がいたお前なんかに、私の今の幸せなんて解るわけが無いだろう!

まったく……コイツだけは変わらんな!空条先生もさぞかし苦労しているだろう。私には比企谷の相手は無理だ。

 

ジョセフ「これはめでたい!そうじゃ!平塚くんの婚約祝いに、みんなでパーっとやろうではないじゃあないか!今夜はワシがみんなのご馳走をしよう!」

 

おいおい。ジョセフ・ジョースターさん……総武高校は今、修学旅行中だろ?

 

静「パパ………」

 

ジョセフ「何じゃ?ジョジョ」

 

流石のジョースターもここでは止めるか……。

 

静「グッジョブ!」

 

パァン!ピシッ!ガシッ!グッ!グッ!

違った。乗っていた。安定の静・ジョースターだな。

同じ静なのに……。

 

雪乃「はぁ……諦めましょう、平塚先生。こうなったら誰にも止められないです……この人達は」

 

エンポリオ「そうだね。流石はジョセフグランパ。いっそ開き直って楽しんだ方がいいよ?雪乃」

 

雪乃「え、ええ……そうね。エンポリオ君」

 

おや?ほほぅ。あの雪ノ下がねぇ。

こうなったら止められないみたいだし。皆が祝ってくれるんなら、私もやぶさかではない。

 

ジョセフ「さぁ!今日はお前さんが主役じゃ!平塚静!何が食べたい?何でもええぞ!?京懐石でも、本膳料理のフルコースでも、満漢全席でも何でもござれじゃ!」

 

ふむ?私が決めて良いのか?

そうだな………。では……。

 

平塚「ラーメン……」

 

一同「は?」

 

平塚「ラーメンが食べたいです。ジョセフ・ジョースターさん」

 

いろは「いえ、女性として、祝いの席にラーメンって…どうなんですか?平塚先生」

 

うるさい一色!今、私は無性にラーメンが食べたいんだ!それも、高級感が漂う上品なラーメンじゃあなく、どこにでもあるような場末のラーメン屋のラーメンが!

 

大井「そこですよ!そこ!その飾らないカッコ良さが静さんの良いところですよ!そこに痺れる、憧れる!」

 

うむ!この人の前でなら、私は飾らない平塚静でいられる!私の相手は……この人じゃあなければダメだ!

愛してますよ!大井先生!

 

ジョセフ「良いじゃろう!たまにはラーメンも悪くないわい!」

 

承太郎「この人数が入れて、そして旨いラーメン屋がある。昔、俺が京都で見つけた店だ。今からそこを予約しよう」

 

仗助「おっ?昔連れてってくれたあの店ですか?承太郎さん!流石は承太郎さんッス!」

 

八幡「え?何それ?俺、初めて聞いたけど?どゆこと?何で俺も連れてってくれねーの?」

 

徐倫「そうよ父さん!あたしだって連れてってもらって無いわよ!」

 

静「むぅぅぅぅぅ!お兄ちゃんだけずるい!おじさん!私も連れてって貰うからね!?今度は別の店で!」

 

ジョルノ「日本のスープパスタか?そう言えば僕も食べた事がないな。良い機会だね。トリッシュ」

 

承太郎「ヤレヤレだ……機会があったら連れてってやる……」

 

ジョセフ「ワァーッハッハッハ!パーティーじゃパーティーじゃ!ラーメンパーティーじゃ!略してラーパーじゃあ!」

 

何とも騒がしいラーメンになりそうだ。

だが、今日は大変な日だったが、最高の1日だ…。

私達はいつの間にか呼び寄せていた妙なマイクロバスに連れ込まれ、移動を開始する。

移動中、疲れきっていた比企谷が眠りに就く。

飛鳥………お前の求めたDIOはもういないかも知れない。

だが、それでも紛れもなく比企谷はDIOだ。

お前の願いである比企谷の守りをいつまでもするわけにはいかん。

だが、私は本当に比企谷が危なくなった時には、奴の助けになろう。

誰でもない、お前の願いだからな……飛鳥。

だから、安らかに眠れ……そしていつの日か、また転生して出会えれば良いな。

お前と…比企谷の転生が……。

…………私は御免だが。

 

←To be continued




はい、今回はここまでです。

ラーメン回はカットします。

それでは次回もよろしくお願いいたします。

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