やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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さがみんの初陣!


相模南のラスト・ノートact2

side由比ヶ浜結衣

 

前々からあたしはアーシスのメンバー達に引け目を感じていた。

あたしは足手まといだって。

リバースの力を上手く使いこなせていないって…。

ヨッシー、スタッチ、ゆきのん、優美子、姫菜、そしてジョースターのみんなは違うと言ってくれる。あたしでも役に立っているって言ってくれる。

でも、みんな優しいから……。

二度目のマンティコアとの戦いではあたしも少しは役に立つことが出来た。

でも、孫悟空との戦いでは何の役にも立てずにやられちゃった。

あたしは……何のためにアーシスにいるんだろう。

そんな事ばかりが頭をよぎっていた。

最初に現れたウルフスのハーメルン……。ヨッシーが倒したこのウルフスを克服することで、あたしも本当の意味でみんなの仲間になりたいんだよ!

 

結衣「頑張るんだ!あたしだって本当の意味でアーシスになるんだ!ゆきのんの助けになるんだぁ!」

 

R・T「気負いすぎてはダメです!マスター!流れはこちらに吹いています!落ち着いて下さい!」

 

静「由比ヶ浜!あんたはいつも役に立っているじゃあないか!自分を信じろ!」

 

仗助「お前は本当に頑張ってるんだぜ!今だって、これまでだって!」

 

ほら。みんな励ましてくれるけど……でも。

 

結衣「そんなことない!みんな優しいから、気を使ってくれてるだけだってわかるもん!リバースは役に立ってるけど、あたし本体は……ううっ!」

 

仗助「バカ野郎!悲観するんじゃあねぇよ!」

 

静「由比ヶ浜!後ろ!」

 

「があああああああ!」

 

またやっちゃった………。東方会長も、スタッチも周りの対処であたしをフォローする余裕がない……。

せっかく役に立てるチャンスだったのに……。スタッチに少しでも負担をかけないようにしたかったのに……。

 

L・N「ソラァ!」

 

バキィッ!

これは……さがみんのラスト・ノート?

さがみんが助けてくれたの?

 

相模「はぁ……はぁ……」

 

見るとさがみんが震えながら、恐怖で涙を流しながらもあたしを助けてくれた。

 

相模「結衣ちゃんも……うちと同じだったんだね」

 

結衣「さがみん……」

 

相模「大丈夫だよ。結衣ちゃんはちゃんとやれてるよ。だって、うちは言われたもの。亀の中に逃げろって…こうして戦いに参加させてすらくれなかったんだよ?」

 

さがみんは悔しそうに涙を流す。

 

相模「うちは……まだ完全に仲間として認めてくれて無かったんだよ……。それに比べて結衣ちゃんは認めてくれているじゃん…。歴戦のジョジョって呼ばれた人達にさ。それがうちにはとっても羨ましいよ……」

 

さがみんの言葉にあたしはハンマーで殴られたような思いにとらわれる。そうだ。さがみんは逃げろって言われた。スタンドを持っていて、戦えるのに……。

 

相模「うちだって……結衣ちゃんみたいに頼りにされたい!うちも役に立ちたい!結衣ちゃんみたいに!だから東方会長!うちにも……うちにも戦わせて下さい!」

 

さがみん……。ありがとう……。

さがみんの言葉で、あたしは冷静さを取り戻せたよ。

一緒に……

 

結衣「さがみん!一緒にやろう!さがみんだってあたし達の仲間だよ!そうでしょ!?東方会長!スタッチ!」

 

 

side相模南

 

結衣ちゃんがうちを仲間だと言ってくれた。

「友達」じゃあなくて「仲間」だって。

今のうちにはその言葉が凄く嬉しい。

 

L・N「ソラソラソラソラソラソラソラァ!」

 

ドバババババババ!

うちのラスト・ノートが拳で敵を殴る。

うちのスタンドは近距離パワー型の力もなければスピードも出るタイプのスタンドじゃあない。でも、射程は短いし、姫菜ちゃんのハイエロファントのように弾丸を飛ばす能力もない。

だからと言って、何もしなければ…ポルナレフさんに助けてもらって以降のうちの努力が無駄になっちゃうような気がして……。せっかくわかり合えた優美子ちゃんとかの友情も、虚像になっちゃうような……そんなのは絶対に嫌だった。

 

仗助「相模……悪かった。お前をまだ見くびっていたぜ。お前も歴とした仲間だったよな。一緒にやろうぜ?南よぉ!オメェもグレートな俺達の仲間だぜ!」

 

静「一緒にやろう!相模!」

 

東方会長がうちを「南」と言ってくれた…。

そして、うちの能力が意外な形で役に立ってくれた。

 

「貴様のお陰で俺は役者を諦めなければならなかった!」

「お前は上司にゴマをするだけで東映で!」

「お前が彼女を奪ったお陰で俺は演劇にやる気を無くした!」

「金を返せぇぇぇ!」

 

うちのラスト・ノートact2の能力…。

怨嗟を呼び起こし、相手の罪悪感が敵を攻撃する能力が次々と役者を攻撃する。

 

「ぎゃああああああ!」

「助けてくれぇ!」

「俺じゃあねぇ!俺がやったんじゃあねぇよぉぉ!」

 

ハーメルンに操られていた人達が次々と気絶していく。

でも、ハーメルンの能力相手では……

 

ハーメルン「無駄だって言ってんだろ?何かワケのわからねぇ攻撃をしてくちゃってるけどよぉ!気絶させても無駄なんだよ!無駄無駄!」

 

ハーメルンが能力をまた発動させて来た。

だけど………

 

「ぎゃああああああ!また!許してくれぇ!」

「悪夢よ!何度も何度も!こんなのは悪夢よぉぉ!」

 

起き上がった劇団の人達は、何度も何度もうちのラスト・ノートが呼んだ怨嗟に攻撃され、再び昏倒してしまう。

 

静「これが………ラスト・ノートの本当の恐ろしさ」

 

仗助「相模が能力を解除しない限り、起きても何度も攻撃を食らう………。嵌まれば恐ろしいぜ……」

 

うちのラスト・ノートが……本当に役に立ってる…。

 

ポルナレフ「君が勇気を持って切り開いた一筋の道ってものだよ、南。君の覚悟が、君の能力の真価を引き出したんだ。私が期待した通りだったよ。南。そして、結衣。君はあのジョルノが妹同然の扱いとして可愛がっているんだ。我らがジョジョは、半端な覚悟の者は絶対に認めない。君は、既に認められ、そして仲間として頼りにしている。自分を信じるんだ」

 

相模「ポルナレフさん……」

 

結衣「ポルナレフさん……。はい!」

 

うちと結衣ちゃんは互いに顔を向き合わせ、強く頷き合う。うちらが決めるんだ!そこに気が付かせてくれたポルナレフさんの期待に応えるためにも!

 

エルメェス「ここで、あたしの能力が役に立つぜ!キッス!」

 

エルメェスさんのスタンドがうちと結衣ちゃんの両腕にシールを貼る。

すると、うちらの腕が4本になる。

何これ!?

 

エルメェス「あたしのキッスのシールは、貼った物が二つに増えるんだぜ。オメェらの攻撃は、これで2倍になるって奴だぜ!オメェらの覚悟、それにあたしはかけるぜ!やっちまえ!結衣!南!」

 

エルメェスさんの能力……凄いサポートだよ!これならばスピードが足りないうちのラスト・ノートでも、手数を増やして戦える!

 

結衣「でも……確かキッスのシールを剥がすと、1つに戻って破壊されるんじゃあ………」

 

え……後で凄い痛い思いをするって事?

 

エルメェス「そんなの、オメェらの今見せたガッツなら何でもねぇって!気にすんなよ!」

 

凄い軽く言ってくれるよ!うち、耐えられるかなぁ。

いや、千葉村の時はジョセフさんや小町ちゃんにかなりボコボコにされたっけ……。

あれよりは痛くないと信じよう。よしっ!覚悟オッケー!

後は何とでもなれ!

 

仗助「安心しろって。後で俺が治してやっからよぉ」

 

静「私からもサポートだよ。由比ヶ浜、相模。アクトン・クリスタル!」

 

ジョジョちゃんがうち達を透明にする。

そっか………これならば、透明人間となって敵に見つからない!

 

相模「行くよ!結衣ちゃん!」

 

結衣「うん!行こう!さがみん!リバース!」

 

L・N「ソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラ!」

 

R・T「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

うちらの攻撃が次々と……恐らく戦いの場所から一歩引いて見ていたハーメルン本体以外の全ての人達を殴り飛ばす!

あいつがハーメルン!

 

ハーメルン「こ、この小娘どもがぁぁぁぁぁ!」

 

静「お前なんか、モリオンを使うまでもない……。まぁ、使いたくても矢が無いし、何故か前みたいに転移されて来ないんだけどね。何かレクイエムの波動も感じるし………別の場所で誰かがレクイエムを使ってるせいなのか、それともあんたなんかにレクイエムさんは役不足なのかはわからないけど」

 

えっと………よく勘違いされるけど、「役不足」って言葉は役者に対して役の方が合っていないって意味なんだよね。

例えば一流の役者さんにエキストラをやらせるとか、役の方が演じる役者さんに不足してるって事。

間違った使われ方の方での……実力不足という意味での言葉は「力不足」って言葉。

つまり、ハーメルン程度にレクイエムが出るまでも無いって事でジョジョちゃんが言ったみたい。

うちだって進学校の総武高校の生徒だから、このくらいの知識は………

 

結衣「え?レクイエムでも倒せないの?」

 

結衣ちゃん………。流石にそれは……。

 

ハーメルン「けっ!忘れたのかよ!俺のペストをよ!」

 

ペスト!?

ヤバいウィルスじゃん!そんなのにやられたら…。

 

静「それも無駄無駄無駄。ハーメルン。あんたは花火大会でその能力を使ってる。私達全員、あの場にいた。その意味がわかる?」

 

どういうこと?

 

静「私達は全員、あんたの能力のペストのキャリア。つまり、全員があんたのペストに対して抗体をもっている。あの時、あんたの強化ペストのウィルスは、イーハの……一色いろはのエメラルド・ヒーリングによって治され、そして抗体を持った。何度も同じ手が通用するようなジョースター家じゃあないっつーの」

 

仗助「つまりよぉ、オメェの絶対の切り札であるペストの攻撃はよぉ、実はたった一度限りの……本当に切り札って事だったんだよぉ!」

 

ハーメルン「な、な、何ぃ!」

 

え?確かにあの花火大会ではうちも会場にいたけど…。それがうちもペストを封じる幸運になっていたってこと?

 

結衣「あ、アハハハ……リバース・タウンの運を奪う能力が、後にも響いてるなんて………。本当に不運だね」

 

と、とにかく。これでもう、何の心配もいらないんだ。

だったら……。もう……。

 

静「今回、勝利の立役者は由比ヶ浜と相模、あんた達だよ」

 

相模「結衣ちゃん!」

 

結衣「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

R・T「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

L・N「ソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラソラ!ソラァ!」

 

うちと結衣ちゃんのスタンドラッシュがハーメルンの本体をボコボコにする。ハーメルンは全身が曲がってはいけない方向に曲がり、そして………

 

ハーメルン「ギャアアアアアアアアア!」

 

自らの駒にしていた役者さんが持っていた鋭利な小道具に心臓を貫かれた。

 

ハーメルン「おのれ………またしても………由比ヶ浜結衣………そして………相模南…………覚えて…ろ…。材木座義輝と一緒に………必ず………貴様らを……」

 

ハーメルンはそう言い残し、絶命した。

正確には乗っ取られていた宿主が……だけど。

 

元東映役者、辻堂(ハーメルン)…死亡

 

やった……うちらが……うちらが勝てた。ウルフスに勝てたんだ……。

 

エルメェス「よくやったぜ!結衣、南!最高だ!オメェらはよぉ!」

 

エルメェスさんがうちらに抱きついて来た。そのついでと言うように……。

ペリッとキッスのシールを剥がす。

え!?まだ痛みを受ける覚悟が出来て無かったんだけど!?

でも、文句を言っても剥がされた事実は変わらない。

 

結衣「キャアアアアアアアアア!痛ぁぁいぃぃぃ!」

 

相模「痛い痛い痛い痛いぃぃぃ!いきなりやるのは止めてくださいぃぃぃぃぃぃ!」

 

エルメェス「あ、わりぃわりぃ!ついな」

 

エルメェスさんはドレッドヘアーの頭を掻きながら、言葉とは裏腹に笑顔で言ってくる。

悪いなんて思ってないでしょ!

ううう………痛いよぉぉぉぉぉ!

 

仗助「たくう……クレイジー・ダイヤモンド!」

 

東方会長がうちらの腕を元通りに治してくれた。本っ当にメチャクチャ痛かった!

泣きそう………。

 

ポルナレフ「南、結衣………」

 

ポルナレフさんはうちらに声をかけてくる。

 

結衣&相模「は、はい?」

 

ポルナレフ「Bravo!Jolies filles!」

 

ポルナレフさんが母国語であるフランス語で言ってきた。

ブラボーはよくやった……とか、素晴らしいってわかるんだけど………。

 

静「『よくやった。カワイイ乙女達』って言ったんだよ。本当に……あんた達はよくやった!」

 

カワイイ乙女……うちが?

凄い……嬉しい。ありがとう。ポルナレフさん。

 

仗助「グレートだぜ。結衣、南」

 

東方会長はうちらの肩に手を置いて誉めてくれた。

その手が……凄く暖かく感じる。

やっと……うちも本当の仲間になれたのかな…。

うちの目に、また涙が溢れて来た。結衣ちゃんにも…。

でも、この涙は……嫌じゃあない。

 

遠藤徹(ハーメルン)…死亡

 

←To be continued




はい、今回はここまでです。
相模をメインに由比ヶ浜の活躍を描いてみましたが、いかがでしたでしょうか?
一方で普段はメインを張る静をサポートに、仗助とエルメェスにも活躍してもらいました。
特にエルメェスは出てくること自体が久々でしたし。

それでは次回はヒュドラ戦を終わらせた小町&ジョセフチームとハーメルン戦を終わらせた相模&由比ヶ浜チームの両チームが合流します。

それでは次回も……

八幡「ちょい待てやコラ(# ゜Д゜)」

え?

八幡「最近、俺の活躍があまりにも少なくね?この流れだと原作の見せ場である嘘告白も完全にフラグをバッキリ折っちゃってるし。どうすんの?俺、いらない子になってね?」

いやぁ、だって登場キャラに極力見せ場を持たせるのがジョジョって作品だしさ。
主人公無双なのって第1部と第2部の波紋編だけだよ?
第3部以降は多かれ少なかれ脇役にも見せ場があるよ?

八幡「いやいやいやいや、持たせすぎだろ!」

大丈夫!君は主人公だ!ここぞって時には活躍するさ!ドンパチだらけの修学旅行だしさ!
あの嘘告白の代わりにスッゴいドンパチが用意されていて、そこで活躍出来るさ!

八幡「………何で目を逸らしながら言ってるの?こっち見ろよ。なんか嘘臭いんだけど?葉山ぁ、オーラル・シガレッツで本城を殴ってくれね?なんか言ってる事が信用できないんだよ」

……………(ダラダラダラダラ)

い、言えねぇ……。実は別のメインを既に考えてるって……八幡は修学旅行編では完全に脇役って決めてるって言えねぇ……。

八幡「やっぱりか!ふざけんな!」

しまった!逃げるんだよォォォォ!

八幡「待てコラァ!」

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