やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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八幡「あのさぁ」

はい?

八幡「普通だったらここで観光を止めて迎撃体制を取るよね?なんでわざわざ観光を続けてるの?」

………………………
スティッキー・フィンガーズ!

八幡「逃げるんじゃあねぇ!あと留美はここにいねぇよ!どこに消えたぁ!」

いろは「わたし達も出番下さ~い!」

康穂「あたしは!?あたしも京都にいることになってるよね!?」

めぐり「留守番組にも出番~!」


竜安寺まではバスで行こう

side静・ジョースター

 

次なる目的地は洛西エリアだ。太秦からはバスで移動することになるんだけど……。

洛西は金閣寺をはじめとする人気観光スポットの多いエリアでもあり、紅葉もまだ続いている今はバスが激混みだよね。

そのうえ、映画村からの帰りの客も相まって、結構な時間を待つことが容易に予想できるし……。

私は満員電車が嫌いな女である。痴漢とかもいるし。処理するけど……。満員電車に乗るくらいなら、ダッシュで走るまである。

したがって、今、この市バスに乗ることは何としても回避したかった。

方法ならあるしね♪

 

葉山「………ねぇ、ジョースターさん。ちょっと良いかな?」

 

静「何?葉山」

 

葉山「何でジョースター家のバスに乗り込んでるのかを聞かせてくれないか?」

 

静「え?逆に聞くけどこのまま激混みの市バスに乗るの?バカ正直に?」

 

結衣「でも、これってジョースターさん達のバスじゃん。なんかズルいっていうか………」

 

なんかこいつ、変に真面目だよね。お金関係でも妙にキッカリしているし。

だったらそこから攻める。

 

静「いい?由比ヶ浜。このバスはうちのチャーターバス。お金はパパ持ちだし、パパの次の目的地も同じ龍安寺。というか、うちらの観光先はパパの目的地を元に計画されてる。ここまでは良い?」

 

結衣「う、うん。でもそれが?」

 

静「このバスにはまだ座席に余裕がある。つまり無駄が存在するよね?私達が乗ることに誰も損は無いどころかむしろ得!良い?誰も損は無いんだよ!むしろ私達が乗ることを想定していつものマイクロじゃあなくてこの観光バスが用意されている!良い?私たちはお金を損しない!パパ達のお金もより無駄が少なくなる!良い?」

 

そう、誰も損がない!

そこに反応したのが川崎。川崎はアーシスでの稼ぎも家に入れるほど家庭は苦しい。

魚一匹、釣れました。

 

静「さらにこの激混み回避に待ち時間の解消!更に言えばむしろ誰にとってもWINーWIN!」

 

結衣「何で?」

 

静「私達が抜ける分、後につかえている人達の分が早まる!数人分が早くバスに乗れる!私達はぎゅうぎゅう詰めに巻き込まれなくて済む!家族や仲間といっしょに楽しめる!時間と金の節約になる!どこに悪いところがあるのか教えてもらいたい。さぁ、さん、にぃ、いち、ハイッ!」

 

結衣「う、うぐっ!で、でも、パンフレットにはバスを推奨って……」

 

静「推奨ってことは絶対にバスを利用しなくちゃならないという意味じゃあない!逆に推奨していないという事はやってはいけないという意味じゃあない!つまり何ひとつ問題はない!」

 

結衣「でも普通は……」

 

静「普通、常識的にという言葉をよく聞くけど、それって誰にとっての普通や常識だろうねー。ちなみにここでうちのバスに乗るのが私にとっては普通であり、常識なんだけどねー?」

 

結衣「うぐっ!」

 

伊達に屁理屈大王ハッチの相棒をやってはいない!女ハッチと呼ばれていないっつーの。

 

静「っつーわけで、葉山もそれで良い?」

 

葉山「屁理屈も暴論もここまで来ると感心するよ」

 

そう言って葉山は観念して私達のバスに乗り込む。

一応、戸部と海老名の席について見てみると…。相変わらず海老名は三浦と二人のコンビで動いている。もう相棒同士だね。

一方で戸部は葉山と二人で座っている。戸部は海老名と座りたがっていたようだけど、三浦の壁は厚い。別に三浦はわざとやっているわけでは無いようだけど、打倒ハッチを掲げて切磋琢磨していた二人の絆の強さはそうそう破れない。

まぁ、気にしてはいるけど、うちらは動かない。

 

静「『静・ジョースターは動かない』のだよ。戸部くん!」

 

仗助「なに言ってんだ?オメェ」

 

隣のお兄ちゃんがジト目を向けて私に言った。ちなみに私は迷いなく空いていたお兄ちゃんの隣に座る。ここはイーハが座っていた席だったらしい。私物がちょっとだけ残っている。

 

康穂「あー!疲れたぁ!ねぇねぇ、ママ!あたしも乗っけてぇ!」

 

ドヤドヤとヤッチの班であろう中学軍団が入って来た。

考える事は同じらしい。

 

由花子「あんた……断る相手が違うでしょ?それに、これは洛西方面行きよ?」

 

康穂「大丈夫大丈夫!結衣さんから班別行動の計画を聞いてハッチ達と巡るコースは同じにしてあるから!」

 

ヤッチ……あんたもやるね。そして由比ヶ浜。情報漏洩は社会人だと結構罪が重いから気を付けなよ?

 

康穂「いやー、助かったぁ♪市バスは激混み激待ち状態でやばかったんだよねー!SPW財団サイコー!ねっ!ハッチ!」

 

あー、時間節約や出費節約よりも目的はハッチだったかー。でも残念だよねー……。

ハッチはまだ………

 

side空条承太郎

 

映画村

 

いろは「すー………すー………」

 

八幡「くー………くー………いろはぁ……」

 

やれやれだ。別々で同時にウルフスが出てきたというのに、この二人はそんな事は関係なく眠ってやがる。

だが、レクイエムで砕ける寸前まで無理をしやがった八幡を癒すことが出来るのはいろはだけだ。

互いに正面から抱き合い、互いの匂いを交換しながら眠っている。

青臭くて見てられねぇが……。まぁ、このまま八幡を戦わせるワケにはいかねぇ。奴らの狙いがオーバーヘブンである以上、弱った八幡が戦ったら最悪の事態になる。

天国を発動させられる事はもちろんのだが、何よりも元DIOとはいえ、今のこいつは家族だ。

家族をやらせる訳にはいかねぇ。

まぁ、今日はゆっくりしていろ。俺がその間は守ってやる。

ガラ……。

 

承太郎「ん?」

 

誰かが入って来た。

 

承太郎「お前は……ふ、有難い。ここでお前が来てくれたのは…心強いぞ……」

 

この場面では、俺以上に頼りになる奴だ。その瞳には、絶対の覚悟が宿っている。

よくアイツが許した物だ。

 

バイツァ・ダスト!

side静・ジョースター

 

康穂「つまり……ハッチはまだ映画村の中?」

 

静「そういうこと。ヤッチには悪いけど、今のハッチってかなりまずいからイーハと二人きりで休ませた方が良いって判断で」

 

康穂「あ、あたしも気分が悪くなってきたから先に行ってくれない?」

 

静「コオォォォォ………」

 

康穂「ジョ、ジョジョちゃん!」

 

静「ちょっとやそっとの怪我や病気はこれで治るはずだよ?ヤッチ?」

 

悪いけど、ハッチ争奪戦に関してはイーハの味方だよ?ヤッチ。それに、普段ならともかく、今だけはハッチの為にも邪魔はさせない。

これで答えを出してくれれば良いけどね。

 

康穂「あ?あたし映画村に忘れ物……」

 

由花子「康穂?」

 

ビクゥ!

 

由花子「洛西地区に入るまでに、一歩でもこのバスから降りてみなさい?その先は……言わなくても分かるわよね?」

 

ヤバい……豹変寸前だ。

それがわかってるのか、ヤッチはコクコクと涙目で首を縦に振りまくる。

 

由花子「………わかって頂戴、康穂。今の八幡くんは身も心もボロボロなのよ……。今、八幡くんが襲われたら、大変なの。八幡くんが拐われたり、殺されたら世界は一巡され、知的生命体たる人類は終わりなのよ」

 

するとヤッチはポロポロと涙を流し始めた。

 

康穂「……イーハとの邪魔はしない……。せめて、ハッチを守りたい……それでもダメ?ママ……」

 

由花子「康穂……」

 

由花子さんはヤッチを抱き締める。その表情は豹変の兆しはない。

 

由花子「康穂…優しい子…。大丈夫よ、康穂…。今、八幡くんには最強の護衛が…承太郎さんが付いているから…。康穂の想いも背負って、承太郎さんが付いているから……」

 

康穂「うう……ハッチ……」

 

由花子「信じましょう?いろはちゃんと承太郎さんを」

 

康穂「…………ママ。やっぱりあたしはここに残る。絶対にイーハと承太郎さんの邪魔はしない。アーシスの広瀬康穂として、あたしがみんなを守る」

 

ヤッチの目が変わった。

そこに打算や下心は一切見えない。

 

由花子「康穂?」

 

康穂「万が一、ハッチが襲われるような事態になったら、承太郎さんだけでは厳しい。ここで必要なのはペイズリー・パークの力。危険に絶対に遭わない力が必要」

 

……確かに、ヤッチの力がハッチの為だけに使われたのならば……。ハッチは絶対に安全だ。

 

康穂「ジョジョちゃん、マーチ」

 

静&小町「………」

 

私とマーチは目線でヤッチの呼び掛けに応える。

 

康穂「多分、この京都でウルフスはまだまだ仕掛けてくるよ。迎撃体勢が整っている千葉なんかよりも、あたし達アーシスが分散されている今がウルフスにとってのチャンス」

 

小町「逆を言えば、ここを凌げば、反撃のチャンスが生まれる……ヤッちゃんはそう言いたいの?」

 

静「つまり、覚悟を持て……そういうことだね?ヤッチ?」

 

ヤッチはコクりと頷く。ウルフスの攻撃が激しかったのは、ここで決着を付ける為。

ヤッチはここでハッチに絶対の防衛戦を敷く。

その代わり、私達が囮となってウルフスの攻撃に晒される事になる。

 

ジョセフ「………ふ、康穂の学友さん達。君達は別の場所に行きなさい。洛西は危険なのでのぅ。なに、お詫びの感想文に関してはワシらの方で作っておくから安心するのじゃ」

 

康穂の友人「は、はぁ………」

 

パパはヤッチに厳しい目を向ける。

 

ジョセフ「康穂や。ワシらの事は心配せんで良い。こんなことはしょっちゅうじゃ。その代わり、承太郎達の事は絶対に守り切るのじゃ。出来るな?」

 

康穂「はい。絶対に……」

 

しばらく考え込んでいたパパは、クワッと目を見開く。

 

ジョセフ「康穂。アーシス、スクランブルじゃ。なんとしてでも八幡を守り切るのじゃ」

 

康穂「了解!ママ!ジョジョちゃんやマーチを頼んだよ!」

 

姿勢を正してヤッチは答えると、ヤッチはバスから降り、太秦映画村へと戻る。

 

由花子「ふぅ………あんな目をするのね。子供が成長するというのは、嬉しいものであり、寂しいものね」

 

由花子さんは涙を流しながら、ヤッチを見送る。

 

由花子「でもね?康穂。簡単には親を越えさせないわよ?あなたの信頼に、応えてみせるわ」

 

バスは洛西エリアに向けて走り始める。

ヤッチ……頼んだよ。私の家族達を。

 

 

←To be continued




連続ドンパチはまだまだ続きます。

八幡の守りは完璧になる一方で、より危険が高まった静達一行!
最強のスタンド使いの承太郎、最凶のスタンド使いの八幡、最強のヒーラーのいろは、無敵の守護者の康穂と安全牌が切られる中、果たして無事に切り抜ける事が出来るのだろうか?
もはや原作のように戸部の告白どころではない状況!
どうなる!?アーシス!

それでは次回もよろしくお願いいたします!

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