やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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第7のウルフスです!


狛のケルベロス

side雪ノ下雪乃

 

私達が枯山水の虎の子渡しをイメージしていると、由比ヶ浜さんがやってきたわ。

 

結衣「あ、ゆきのん」

 

ビックリした……。

いつの間に由比ヶ浜さんが傍まで来ていたわ。想像の世界に浸りすぎていたわね。私とジョースターさんの間に入って来ようとするけれども、ちょっと……いえ、かなり無理矢理に……。ああ!折角のカワイイ情景が台無しになってしまったわ!

もう………仕方ないわね………。

あら?そう言えば比企谷君がいないようなのだけれども。

気になった私は立ち上がる。

 

雪乃「姉さん、兄さん達。場所を変えて良いかしら?」

 

ジョルノ「そうだね。あっちで話そう」

 

私の聞きたいことを察したのか、ジョルノ兄さん達は真面目な顔をして答えてくれたわ。さすがは1を見て10を察するパッショーネね。

私は班の人達に一声かけてから行くことにしたわ。

 

雪乃「ごめんなさい。外すわ。先に行ってくれて構わないし、いつまでも戻らないようならホテルに戻って貰って構わないから……」

 

クラスメイトにそう声をかけると、彼女達は何故かキラキラした眼差しで「はい」と頷いた。……文化祭の時にも思ったのだけれど、この眼差しは何なのかしら?ジョースターさんは意味を知っていそうだけど、その表情が例の「ニタァ………( ゜∀ ゜)」だったから聞くのを止めたわ。ええ、知らない方が良さそうね。世の中知らないことの方が良いこともあるということは、この半年でイヤというほど知ったわ。

特に性悪コンビがこの表情をした時は特に!

 

エンポリオ「雪乃……この子達はまだ健全だよ?GDstの女子監なんてもっとすごいのが……」

 

雪乃「エンポリオ君……海老名さんの趣味と同じで、これは知らない方が良いと判断したの。お願いだからこれ以上はこの話題は避けて貰って良いかしら?」

 

犯罪者の巣窟はエンポリオ君を汚してしまったのね。でも、それでも真っ直ぐなエンポリオ君は……。

 

静「ニタァ………( ゜∀ ゜)」

 

……ジョースターさん?

私でも怒ることはあるのよ?

 

雪乃「何をしているの?あなたもよ?」

 

静「え?私も?」

 

当たり前でしょう?どう考えてもアーシス案件で話があるのだし、特にあなたは相棒でしょう?

方丈から出て、庭園をぐるりと回る事にしたわ。

ここには姉さん、ジョルノ兄さん、東方社長、ジョースターさん、由比ヶ浜さん、エンポリオ君が来たわ。

エンポリオ君はココ・ジャンボを持ってきたということはポルナレフさんも一緒ね。

隼人君は笑顔でごゆっくりって言ってきたわ。……隼人君…あなた、まさか……。あの様子では気付かれているわね。

タイミングを見計らって私達はココ・ジャンボの中に入る。内緒話ならココ・ジャンボの中が一番安全だわ。

 

雪乃「空条博士、比企谷君、一色さんがいないようなのだけれども、何かあったのでしょうか?」

 

結衣「ウルフスが二体、出てきたんだよ!ゆきのん!しかも1つはあのハーメルン!」

 

な、何ですって!?ハーメルン!?

私は忘れないわ……。あの戦いでは東方社長がいなければ私は死んでいたのかも知れないのだから。

もしかしてあの三人は……。

 

陽乃「大丈夫よ、雪乃ちゃん。重症とか負ったけど、死者はいなかったし、社長やジョルノ兄さんがいたからすぐに傷は治ったの。その辺りは安心して」

 

ほっ………それなら安心だわ。ジョルノ兄さんや社長がいると本当に心強いわ。

 

ジョルノ「問題なのは八幡の状態だ。昨日、八幡はレクイエムを使った。それも限界ギリギリまで……それが問題だったんだ」

 

確かに比企谷君はレクイエムの時にスタンドに皹が入り、本体である体もひどい状態に……。

 

雪乃「でも、体は完全に一色さんが治したはずですよね?」

 

それで体調は戻ったはずよ?なのに何故……。

 

エンポリオ「体は治ってもスタンドがボロボロになったのが問題なんだよ。スタンドパワーは精神パワー。あそこまでボロボロになったんじゃあ、ハッチの心は衰弱状態になっちゃってたんだ。そのせいで波紋もスタンドも使えない……一般人よりも今のハッチは危ない状態なんだよ」

 

そうだったわ。あそこまでボロボロになってしまったら相当精神が疲弊しているはず……。

普段通りにしているものだから気が付かなかったけれど…。

 

雪乃「それで……四人は今は?」

 

結衣「いろはちゃんがヒッキーについて癒してる」

 

エンポリオ「父さんと康穂は八幡を守ってる」

 

雪乃「………クラスが違うからとはいえ、力になれなくてごめんなさい……」

 

特に昨夜は私は何も出来なかったわ……。足手まといにしかなってなかった……。せめて何か出来ることは無かったのかと自己嫌悪に陥ってしまう。

 

雪乃「それで……今日も襲われたとさっき言っていたわよね?そちらは……」

 

ジョルノ「二ヶ所で同時に太秦映画村で襲われた。片方はさっき結衣が言っていたようにハーメルン。結衣と南が撃退した」

 

由比ヶ浜さんと相模さんが?さすがね。

私は由比ヶ浜さんと相模さんを信じていたわ。由比ヶ浜さんは前々から覚悟を決めたら信じられない行動力を起こして結果を出していたもの。

特に材木座君が暴走したときは凄かったものね。

そして相模さん。自分の体を奪われた時や体育祭の時の活躍は凄かったものね。本当の仲間とジョースターのみんなに認められたようで嬉しいわ。

 

エンポリオ「もう1つは辰のヒュドラ…。狙いはおじいちゃんだった……」

 

ジョセフ師匠が?確かに師匠は強いけれども、でもレクイエム・キャリアの静・ジョースターさんならばともかく、何故ジョセフ師匠が……

 

陽乃「ジョースターさんがやっぱり現状のジョースター家の……私達の中では精神的な支柱であり、戦いの年季の凄さを警戒されているからよ。ウルフスはジョースターさんの重要性をよく見ていた……それに、小町ちゃんの強さも……」

 

考えるタイプのウルフス……。いつかは現れると思っていたわ。確かにジョースターさんの存在は私達にとって大きい……そこを突かれたのね。

 

雪乃「色々と良くない状況ね……もし姉さんや兄さん達がいなかったと思うと、ゾッとするわ」

 

私達だけではとても凌ぎきれなかったわ。

いえ、マンティコアの段階で詰んでいた。

 

雪乃「ジョルノ兄さん。私も明日は一緒に行動して良いかしら?」

 

ジョルノ「…………何を言っているんだい?雪乃。最初からそのつもりでいたに決まっているじゃあないか」

 

え…………?

学外の人間はうんうんと頷いている。

 

陽乃「雪乃ちゃん?和解して初めてのちゃんとした旅行じゃない。私とジョルノ兄さんはそのつもりだったのよ?」

 

仗助「自由に歩き回りてぇんならともかくよぉ、あからさまな拒否でもねぇ限りよぉ、はなっからそのつもりだったぜ?」

 

………そういう人達だったわね。この人達は。

 

仗助「まぁ、現状としてはこんなところだ。それによぅ、敵はまだまだ出てくるっつーから、オメェも気を付けろよ」

 

そうね。私も気を引き締めないと…。

話が決まり、外に出たとき……。既にそこは異変が始まっていたわ。

枯山水が……素敵な情景を見せてくれたその場所は…炎に埋め尽くされていた…。

仲間達は全員、先に行ったのか既にいなかった…。

 

雪乃「そんな………素敵な場所が……虎の子渡しの枯山水が………」

 

「あ?虎の子渡しだって?下等生物の分際で何を言ってやがる?」

 

そこにいたのは……。筋肉質だが、どこかくたびれた感じの男に、黒い狼の顔を持つスタンドが立っていたわ。

戌の………ウルフス。

 

陽乃「いや………犬はいや………イヤァァァァ!」

 

雪乃「姉さん!」

 

姉さんの犬と川嫌いは筋金入りよ。

前世の死因が由比ヶ浜さんの飼い犬、サブレさんの前世、イギーに躓き、ナイル川に落ちて錆びた事がトラウマになっていると聞いたわ。

姉さんは強いわ。だけど、犬と川だけは前後不覚になってしまうほどの恐怖症なの。

私も過去に上履きを持っていかれたりして犬は嫌いなのだけれど、姉さんよりはマシだわ。

それに………。

 

静「犬……くっ………」

 

ジョースターさんも犬は苦手なのよね。

確か、赤ん坊の頃に荒野に放置され、そこで野犬に襲われそうになったのがトラウマになってしまっているのだとか。

あの世界では数日に渡って苦楽を共にしたサブレさんだけは友情で結ばれて平気になったのだとか言っていたのだけれど、サブレ以外の犬は相変わらず苦手なのだそうよ。

このメンバーの時になんてイヤなウルフスが……。

 

雪乃「エンポリオ君……。姉さんとジョースターさんを連れてココさんの中へ」

 

エンポリオ「でも雪乃!君も震えが……」

 

雪乃「私は……ちょっと苦手なだけよ。二人みたいにトラウマを抱えるほどの怖さはないわ……」

 

震えては駄目よ。私。

こんな時だからこそ、いつも助けてくれる姉さんやジョースターさんの力にならなければ。

 

「僕の名前はケルベロス。地獄の番犬とも言われるウルフスさ。フェンリルとかフレキとかオルトロスとか言われた事もあるかな?」

 

ケルベロス……恐ろしい地獄の番犬ね。冥王ハーデスの作った地獄。そこに流れ着いた魂は素通りさせるけれど、逆の場合は襲いかかって貪り喰われる。

フェンリルは神殺しの異名を司る神狼。

フレキやゲリも北欧の神話の狼のはず。

オルトロスは双頭の魔犬……。

どれも獰猛で有名な伝説の犬や狼だわ。

 

ケルベロス「顔が真っ青だよ?そこの三人」

 

ケルベロスが私達に声をかける。

すると東方社長、ジョルノ兄さん、由花子さんは私達を庇うように前に出た。

 

仗助「おめえらよぉ、俺達もいることを、忘れるなよ」

 

ジョルノ「君達は僕達が守る。カワイイ妹分達を、やらせはしない。君達はここで置いていく。必ず修学旅行を終わらせ、故郷へ連れ帰る」

 

由花子「カワイイ娘と約束したからね。あなた達を守るって」

 

結衣「ゆきのんはここで見てて。犬が相手なら、あたしが適任だよ!」

 

社長、ジョルノ兄さん、由花子さん、由比ヶ浜さん……

 

ジョルノ「歴史的建造物を破壊するのは気がひけるけど、ゴールド・エクスペリエンス!」

 

まずはジョルノ兄さんがゴールド・エクスペリエンスで岩を殴り、岩が木の橋へと姿を変え、火の海と化している枯山水の上を走る。

 

由花子「東方仗助!由比ヶ浜結衣!行きなさい!ラブ・デラックス!」

 

由花子さんがジョルノ兄さんと由比ヶ浜さんを髪の毛で掴んでケルベロスに向けて放り投げる。

 

仗助「行くぜ!由比ヶ浜ぁ!」

 

結衣「うん!合わせるよ!東方社長!」

 

C・D「ドラララララ!」

 

R・T「うわぁぁぁぁ!」

 

二人の近距離パワー型のラッシュがケルベロスへと向かうわ。でも………

いけない!ケルベロスの能力はまだ判明していない!先手必勝と考えているようだけど、それは悪手だわ!

 

ケルベロス「WOOOOOH!」

 

ケルベロスが吠え声を上げる。すると………

 

仗助「なっ!」

 

結衣「リバースが……消えた?」

 

ケルベロスの吠え声の衝撃を受けたクレイジー・ダイヤモンドとリバース・タウン、そして二人の後を追っていたゴールド・エクスペリエンスとラブ・デラックスも消されてしまった……。

 

ケルベロス「知らないの?犬の吠え声には幽霊を退ける退魔の効果があるんだよ。君達のスタンドは、本体に引っ込んで貰ったよ」

 

スタンド使いがスタンドを強制的に封じられる……そんな攻撃を受けたら………

 

ケルベロス「ミリオン・ファング!」

 

ガブガブガブガブガブガブ!

ケルベロスの頭が3つに増えると、社長、由花子さん、由比ヶ浜さんの3人が何回も噛まれてしまったわ!

嘘よね……たった一当てで歴戦の東方社長と、それなりに実戦を積んだ由比ヶ浜さんが!

更に………

 

仗助「熱が………」

 

結衣「ゥゥゥゥゥ………唾を飲むだけで痛みが…」

 

由花子「体が痙攣する……何をしたのよ!」

 

3人が謎の苦しみを始めたわ……

 

エンポリオ「喉が痛い………だって!?まさかその症状は!」

 

雪乃「………狂犬病。まずいわ!早めに処置しないと命に関わる……」

 

ジョルノ「仗助さん!由花子さん!結衣!」

 

エンポリオ「ダメだ!ジョルノ!狂犬病患者は!」

 

仗助「う、うわぁぁぁぁ!来るな!来るんじゃあねえ!」

 

そう、狂犬病は恐水病、恐風病とも言われるわ。

飲み込む動作とかで痛みを覚える為、水を恐れる。そして一種の脳炎症状から極度に錯乱状態になり、更に興奮状態になる。

無闇に近付こう物ならば………

 

C・D「ドラララララ!」

 

ジョルノ「がぁっ!」

 

3人を助けようと近付いたジョルノ兄さんがクレイジー・ダイヤモンドに殴り飛ばされ、炎の海に落ちかけてしまう!

兄さん!

 

東方仗助(クレイジー・ダイヤモンド)…狂犬病

由比ヶ浜結衣(リバース・タウン)…狂犬病

広瀬由花子(ラブ・デラックス)…狂犬病

ジョルノ・ジョバァーナ(ゴールド・エクスペリエンス)…再起不能(リタイア)

 

←To be continued




いきなりピンチです!
出したスタンドを引っ込められ、狂犬病に冒される。地味にヤバい能力ですね。
歴代ジョジョ二人が……しかも回復役を担う仗助とジョルノがやられ、更に由花子と由比ヶ浜も狂犬病に!
どうなる!?

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