しかも回復役を担う仗助、ジョルノが!
どうなってしまうのか!?
side空条エンポリオ
狂犬病……発症したらほぼ確実に死ぬと言われている危険なウィルス。
明確な治療法が確立されていない病気だ……。
エンポリオ「イーハがいないのが悔やまれる……」
イーハのエメラルド・ヒーリングならば治せる可能性があるけれど、今はこの場にはいない。
ポルナレフ「エンポリオ……使う必要が出てくるぞ。あれを………」
エンポリオ「ダメなんだ!狂犬病に対してはあの力は使えない!やってはダメなんだ!」
それをやったら仗助達は死んでしまう!
あの力を……僕は使えるのだろうか。
でも、いざとなったら使うしかない。その為に彼は…。
雪乃「フリージングビーム!」
雪乃が仗助と由花子、結衣にフリージングビームを当てる。
雪乃「感謝するわ。ジョースターさん」
静「え?」
雪乃「あなた達がエンジェル・ダストの能力をソフト&ウェットと教えてくれたからこそ、こういう使用方法を思い付けるのよ……今、私は3人から狂犬病の特性を奪ったわ」
雪乃!何て機転だ!
もしかしたら使えるかも知れない!
雪乃「エンジェル・アルバム!ジョルノ兄さん!」
雪乃は氷を全身に纏い、炎の中に落ちたジョルノを助け出す。
でも、エンジェル・ダストの氷はじわじわと溶かされ、雪乃の体にダメージを与えていく。
雪乃「くうううう!」
結衣「ゆきのん!」
雪乃「私の事よりも由比ヶ浜さん達は亀の中に!」
雪乃………自分が一人で戦う気なんだ……
雪乃一人だけに苦労はさせられない!
エンポリオ「雪乃!内側から新しい氷を作り続けるんだ!究極生命体となったカーズは、カニの泡をヒントに火山の溶岩を克服したんだ!」
雪乃「!!ありがとう!エンポリオ君!」
雪乃は言われた通りに溶けきる前に内側から新しい氷を作り続け、気絶したジョルノを助けて亀の中に入れる。ジョセフおじいちゃんの言っていた事は正しかったんだ。そして、雪乃ならそれをやってくれるって信じていた!
でも、凄いよ……雪乃。僕は……君を尊敬する。
エンポリオ「雪乃!僕も戦うよ!僕にだって戦う力はあるんだ!」
僕は彼から託された光り、柔らかいそれを握りしめる。
あれから2年の月日が流れたけれど、使えるはずだ。
良いよね?君が遺してくれたこの力を……僕の大切な人の為に使っても。
だって、それは彼女が……
君ならば、僕と同じ場面でこれを使うはずだ。
雪乃「エンポリオ君。あなたのスタンドの力では戦うことは出来ないはずよ」
それは僕だけの力だからだよ。
だけど………。
エンポリオ「いくよ。ウェザー・リポート」
そう、ウェザーが…本名、ドメニコ・プッチが死の間際にエンリコ・プッチの力を利用して自分のスタンドをディスクにし、僕に託してくれた物……。
天候を操るスタンド、ウェザー・リポート。
静「エンポリオ……そんなものが……そんな切り札があったなんて……」
エンポリオ「これはウェザーが徐倫の為に僕に遺してくれた形見……ウェザーの精神そのものだ。徐倫の…そして僕の大切な人である雪乃の為になら、ウェザーだってこれを使うことを許してくれるはずだよ!」
雪乃「大切………本当?エンポリオ君……」
当たり前だよ雪乃。君は僕にとっても大切な家族だ!
それに……。
僕は静を見る。
エンポリオ「静……君は僕の憧れなんだよ。君と同じ僕にとって……」
わかるだろ?静……。君ならば僕の気持ちが。
side雪ノ下陽乃
エンポリオ君……。
彼はジョジョちゃんと同じ……。
ジョースターコンプレックスは……ジョジョちゃんだけが感じているものじゃあない。
承太郎の養子になったことで、エンポリオ君もジョジョちゃんと同じジョースターコンプレックスに悩まされていた。
更にエンポリオ君は能力が戦闘向きでは無いために普段の戦闘では亀の中でサポートするしかなかった。それが悔しかったんだ。そして、同じ立場でありながら、波紋やスタンドで前線に立っているジョジョちゃん。
エンポリオ君にとってはジョジョちゃんは憧れであると同時に嫉妬の対象だったに違いない。そして、ジョジョちゃんは7代目ジョジョとして、ついにジョースターの血筋の壁を越えた。
それなのに自分は……。
そんな感情がエンポリオ君にもあったんだと思う。
陽乃「わたしは…何をやってんだろうね?」
雪乃「姉さん?」
エンポリオ「陽乃……君は無理をしなくて良いんだ。ここは僕に……」
バキィ!
わたしは自分の頬に拳を入れる。
陽乃「エンポリオ君。わたしだって、それに雪乃ちゃんだって、今はジョースターだよ?」
雪乃「姉さんと私が……ジョースター?」
だってそうでしょ?
陽乃「ジョルノ・ジョバァーナ兄さんは……汐華初流乃兄さんは、ジョースターとして認められた。わたしと雪乃ちゃんは、汐華の……ジョバァーナの血筋…義理とはいえ、わたし達はジョースターの血筋に連なる者になったよね」
そうだよ……ずっと……ずっと気にしていた。
わたしだって、ジョジョちゃんと同じジョースターコンプレックスを持ってたんだ……。
ジョルノ・ジョバァーナの妹という立場であるならば、その精神はジョースターであるべきなんだ……って。
陽乃「犬がトラウマだからって……そんな事を言って戦いを避けていたら……わたしは真のジョースターに…ジョバァーナの家系にいる資格は無いんだよね……」
それに……。
陽乃「波紋の讃歌は勇気の讃歌……」
雪乃「勇気の讃歌は人間の讃歌……」
エンポリオ「人間の讃歌はジョースターの讃歌……」
だから静ちゃんも……
静ちゃんは指を掲げる。
静「ジョースターコンプレックスを持つ四人!だけど、その精神はジョースターと共にある!私達四人は、黄金の精神を持つジョースターだ!ジョースターの讃歌はジョジョの讃歌!ジョジョの讃歌は勇気の讃歌!7代目ジョジョが号令します!アーシス、スクランブル!」
陽乃&雪乃&エンポリオ「了解!」
side雪ノ下雪乃
言われるまで気付かないものね。私も、ジョースターの資格を持つジョルノ兄さんの妹分。私だってジョースターの家系に連なっていたのね。
いえ、血筋だけでは無いわ。大切なのは、ジョースターの名に連なる精神こそが重要なのよ。
その精神はジョースターの名の下に集まる精神性。黄金の精神こそが大切なのよ!
雪乃「一緒に戦いましょう!姉さん!エンポリオ君!ジョースターさん!」
陽乃「犬なんて……犬なんて大っっっ嫌いよぉ!全部ぶっ殺してあげるわぁぁぁぁぁぁ!」
犬がトラウマなら、憎めば良い……全部殺してやる……。犬恐怖症を犬憎悪症に姉さんは置き換えたみたいね。姉さんらしい結論だわ。
以前の姉さんは気に入った物を壊れるまで構う。気に入らない物は全部壊す……そういう考えだったわね。久し振り過ぎて忘れていたわ。姉さんのその気質。
それが姉さん流の勇気の出し方なのね。ならば…私は私らしい勇気の出し方を!
雪乃「犬が嫌いだからといって、犬に負けっぱなしなのは私のプライドが許さないわ。ジョースターは勝ち続けなければならない。引き分けはないの。私もジョースターならば、乗り越えて見せるわ。その名と精神に賭けて」
陽乃「らしくなったじゃない!雪乃ちゃん!」
エンポリオ「ウェザー・リポート!この一帯に雨を降らせるんだ!」
ゴロゴロ………ザアアアアアア!
物理法則をねじ曲げる超能力…スタンド能力。
記録で読んだことがある空条先生やエンポリオ君の亡くなった仲間、ウェザー・リポートさんの能力は物理法則をねじ曲げて天候を操る能力だったわね。
この雨は、エンポリオ君が私の為に降らせてくれている雨!
雪乃「エンジェル・ダスト!この雨と水蒸気を凍結させるのよ!」
これで石の庭に…枯山水の上で燃えている炎は、全て凍結されて消火されるわ。それに、エンポリオ君の狙いはそれだけじゃあないはずよ。
ケルベロス……。犬という特性に縛られていることがあなたにとってウェザー・リポートが天敵なのよ!
ケルベロス「あ、雨……雨だと!やめろ!雨は苦手なんだ!」
そう。犬は雨やシャワーを嫌がるの。
いえ、動物全般が雨を嫌うものよ。
今の内に……
雪乃「エンジェル・アルバム!」
私は氷の上を滑る。それに続いて姉さんもジョースターさんも私と同じように氷の上を滑って追いかけてくる。
静「波紋!同調!」
雪ノ下姉妹「コオォォォォ!」
ジョースターさんの波紋を起点に私達姉妹が波紋を同調させる。
ケルベロス「ワオオオオオオオオオオ!」
ケルベロスが吠え声を上げて私達のスタンドを無理矢理引っ込めさせたわ。だけど、その能力には弱点があることに私達は気が付いていたわ。
その能力の弱点……
雪乃「その能力はスタンドを引っ込めさせるだけよ。一度発動させきった能力までは消すことが出来ない!」
ジョルノ兄さんが作った木の橋。スタンドが消されても、それが消える事は無かったわ。
だから、私が作ったスケートリンクやエンポリオ君が作った雨、そしてジョースターさんが透明にした物は能力が消されることはないのよ。それに……エンジェル・アルバムは消されても、今の私には関係ないわ!
なぜなら。
陽乃「今はスタンドを出していない!」
静「私達が使っているのは波紋!」
雪乃「スタンドが消されていても、波紋は消えない!」
ケルベロス「だったら直接攻撃するまでだ!ミリオン・ファング!」
ケルベロスのファングラッシュが私達を襲う。
そう来ると思っていたわ。
だけど、私達は同時に囮でもあったのよ。
ジョルノ「カブトムシ達よ!陽乃達を守れ!」
ジョルノ兄さんが作った無数のカブトムシが私達の間に割り込んでくる。
それを噛み砕いたケルベロスは………
ケルベロス「ギャアアアアアア!何で痛みが俺に跳ね返って来るんだ!」
ゴールド・エクスペリエンスの第一の能力、作った動物が受けたダメージを相手に返す。
更に………。
仗助「クレイジー・ダイヤモンド!」
東方社長が能力を発動させる。
ドスドスドスドス!
見えない何かがケルベロスを背後から貫く!
静「ナイス!お兄ちゃん!」
仗助「おめえが投げた岩を治したぜ!コレが俺の自動追尾弾だ!」
ジョースターさんは破壊された虎の子渡しの岩を透明にして投げていたの。その意味を汲み取った東方社長が岩を治して背後から貫かせたんだわ。
ジョルノ「ジョースターの名前を出されたんじゃあ…」
仗助「本家本元のジョースターが寝てるわけにはいかねぇよなぁ!」
ジョルノ兄さんと東方社長…いえ、仗助……兄さんが黙っているはずがないわ!だって、歴代ジョジョの二人だもの!
静「雪ノ下姉妹!いくよ!」
陽乃「震えるわよハート!」
雪乃「熱くなるほどヒート!」
静「サンライト!」
陽乃「イエロー!」
雪乃「オーバー!」
静&陽乃&雪乃「ドライブゥゥゥ!」
静「ドラララララララララララララ!」
陽乃「ウリャリャリャリャリャリャ!」
雪乃「ウリャウリャウリャウリャウリャウリャ!」
メキャメキャメキャメキャメキャメキャ!
私達三人の
静「ドラァ!」
雪ノ下姉妹「ウリャァ!」
メメタァ!
三人のフィニッシュがケルベロスを吹き飛ばした。
これで終わりよ。ケルベロス。
ケルベロス「………くそ………せめて……道連れに……地獄の業火で…………焼け死ね………」
ケルベロスは3つの犬の口に炎を溜める。
エンポリオ「それを待っていたんだ……その炎を!ウェザー・リポート!」
ケルベロス「何っ!ウオワァァァァァァァ!」
ドカァァァァァァァァァァァン!
ケルベロスが口に溜めていた炎がいきなり爆発したわ!
ケルベロスの頭は跡形もなく吹き飛び、本体の人間の頭も無くなってしまった。エンポリオ君の勝ちよ…。
でも、エンポリオ君は何をしたのかしら?
エンポリオ「寅のマンティコアとの最初の戦いの時に、ジョセフおじいちゃんがやった水素爆発を、今度は高濃度の酸素で応用したんだよ。これだけ氷や水蒸気があるのなら、水素と酸素はいくらでも作れるから。仮に爆発が失敗しても、80パーセントを超える高濃度の酸素を吸入したら、人体にとっては毒。空気中に含まれる酸素が多すぎても少なすぎても、人体には毒なんだ」
エンポリオ君……流石だわ。
ウェザー・リポートの能力を、有り余る科学知識で完璧に使いこなすなんて……。
私達はスタンドの能力を解除する。
仗助「クレイジー・ダイヤモンド!」
仗助兄さんは能力で荒れ果てた竜安寺を元に戻したわ。
仗助&ジョルノ「くっ!」
狂犬病の影響でフラフラなのを無理したせいか、二人のジョジョが倒れようとしてしまう。
ガシッ!
静&エンポリオ「ジョルノ兄さん!」
陽乃&雪乃「仗助兄さん!」
私達は二人を支える。
仗助「陽乃……雪乃……おめぇら……」
ジョルノ「エンポリオ……君、今……」
陽乃「失礼だったかな?雇い主に対して」
雪乃「嫌ならば止めるけれども……」
仗助「いや。グレートだぜ?その呼び方。今後も兄さんで構わねぇ」
仗助……兄さん!
ジョルノ「君から兄さんって呼ばれるなら、本望だよ。良く頑張った……エンポリオ」
エンポリオ「ジョルノ兄さん……うん!」
仗助&ジョルノ「おめぇらは(君達は)、立派なジョースターだ!」
今日、私達に新たな家族が出来た。
善行善夫(ケルベロス)…死亡
←To be continued
今回はここまでです。
四人のジョースター・コンプレックス達の奮闘はいかがでしたでしょうか?
それでは次回もよろしくお願いいたします。