やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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ノースアイランド・サード

side海老名姫菜

 

H・G『ここまでだね。聞こえないと思うけど、わたしも最後まで足掻く為に身を守る必要があるから、ここから先は戸部っち達だけで行って。さようなら。戸部っち』

 

戸部「え、海老名さん!行くな!海老名さんも逃げるんだ!」

 

ハイエロファントとストーン・フリーは戸部っち達を下ろし、元の場所に戻るべく本体の方へと急ぐ。そんなとき、奇妙な光景が見えた。あれは……ジョジョっち?

でも、ジョジョっちは完全に気絶している。竹やぶよりも高いこの高さで無防備に落ちたらいくらジョジョっちでも無事じゃあ済まないよ!

 

S・F『くっ!本体から離れているから上手く行くかはわからないけど、ネット状にして受け止めれば!』

 

空条先生のストーン・フリーが網状に編みあがり、ジョジョっちを受け止める。やっぱりジョジョっちは完全に気を失っている。なのに、何でジョジョっちはここまで飛んで来たのかな……。

 

S・F『何かに引っ張られている……ジョジョはそれに引っ張られただけだ!』

 

静「………」

 

グググッ!

ジョジョっちの手がネットからはみ出し、戸部っちの方向へと伸びる。

そこから出てきたのは……

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

あれは……レクイエムの矢!?

ジョジョっちはアレに引っ張られて飛んで来たんだ!さっきアクトン・モリオンを使おうとして矢を召喚したから!その矢が……

 

バシュウウウウン!

矢は戸部っちの方向へと飛んで行って……。

 

戸部「ガフゥ!」

 

戸部っちの胸に刺さった。

 

あの矢はスタンドに適正がない人間に刺さったり傷を付けたりしたら、宇宙ウイルスによって刺さった人間は死んでしまう!アレじゃあ戸部っちは……

 

大和「戸部!」

 

大岡「心臓にもろに……これじゃあ戸部は……悪夢だ!こんなのは悪夢だ!」

 

大和っちと大岡っちはパニックになる。

そうだよね。普通ならば目の前で人が死んだらパニックになるよ……。

だけど……

 

戸部「あれ?俺、生きてるべ……」

 

大和「戸部?」

 

戸部「前にもこんなことがあったような……」

 

戸部っちにスタンドが!?

 

side戸部翔

 

そうだべ。前にもこんな矢で刺された事があったべ!夏休み前に平塚先生が赤い矢で俺を刺して……そして…

 

戸部「思い出した………」

 

全部思い出した!俺はブラッディ・スタンド使いとして覚醒し、肉の芽を埋め込まれて海老名さん達の敵として千葉村で戦ったんだべ!

隼人くん達のスタンドが見えていたりしていたのは中途半端にスタンドの力が復活しかけていたからなんだ!

それがこの矢の力に刺されたせいで完全にスタンドが甦ったんだべ!

 

戸部「ノースアイランド・サード!」

 

NIT『ベェェェェェェェェ!』

 

懐かしいべ!何で今まで忘れてたんだ!?

けど……何でも良い!これなら……。ノースアイランド・サードの力なら隼人くんの力になれるかも知れないべ!

 

H・G『戸部っちのスタンドが……』

 

俺は空条先生が安全に下ろしたジョースターさんの足元まで近付く。思えば千葉村で俺を倒したのはジョースターさんだったっけ?

俺のスタンドを倒したジョースターさんがきっかけで俺のスタンドが復活するなんて……皮肉としか思えないっしょ。そういえばあの時も今日、海老名さんに振られたようにジョースターさんに振られたっけ。

俺ってほれっぽいのか?今回は本気だったけど、新しい恋を見付けるのも案外早いかも知れない。

辛いのは確かだけど立ち直るのも早いかも知れないな。

それに……このままだったら立ち直るも何もないっしょ。海老名さんや隼人くんを見殺しにしてこのまま逃げる方がよっぽど辛い。

 

戸部「ジョースターさん。偶然かも知れないけど、ジョースターさんが矢を持っていたお陰で力を取り戻せたから……だから後は任せて欲しい。俺がみんなを助けるから……」

 

俺はジョースターさんを抱き上げ、大和と大岡にジョースターさんを渡す。

 

大岡「戸部……どうしたんだよ。大丈夫なん?」

 

戸部「大岡、大和。俺、隼人くん達を助けに行くから。だから大岡達はジョースターさんを連れてジョセフ・ジョースターさん達を呼んで来て欲しい」

 

大和「戸部……大丈夫なんか?」

 

わからねぇ。けど、俺ならばもしかしたらオロチに対抗できるかも知れない。

 

戸部「もしさ。お前らも俺と同じように力を持ったらさ、絶対に隼人くんを助けに行ってたっしょ?俺ら、親友じゃん?」

 

大和と大岡はキョトンとしたあとに笑顔を向けてくる。

 

大岡「恥ずかしい事言うなって!当然っしょ!」

 

大和「今さら」

 

俺達は笑いあい、頷きあった。そして大和と大岡はジョースターさんを抱えて走り出した。

頼んだべ。俺は俺の出来ることをやるからさ。

それに、こんなカッコいいのはないっしょ?力に目覚めて親友や振られたけど好きな人を助けに颯爽と現れるヒーローってのはさ。

 

H・G『戸部っち……今、わたし達はこっちに向かってる。葉山くんも……承太郎が一人でオロチを食い止めながら……』

 

空条博士が?

でも、空条博士の能力は比企谷くんと同じ能力だべ?比企谷くんだってあっさりやられたのに、同じ能力の空条博士一人だけだなんて無茶だべ!

 

戸部「俺が行くっきゃないっしょ!俺ならば空条博士の足を引っ張らないはず!」

 

S・F『そうか!あんたの能力は……』

 

受けた攻撃を相手に反射させる。それがノースアイランド・サードだべぇ!オロチの力が強ければ強いほど、俺の力が役に立つっしょ!

 

戸部「空条先生。俺は行くっスよ!」

 

俺は戦場に向けて走り始める。みんなを助けてヒーローになるっしょ!

 

海老名「戸部っち……承太郎を頼んだよ……」

 

葉山「死ぬなよ……戸部。雪乃ちゃんを頼んだ」

 

戸部「わかったべー!任せろっしょ!隼人くん!」

 

俺は空条博士の元へと急いで走る。

するとその先では……空条博士の体に無数の穴が空いており、今にも倒れそうな状態だった。

間に合わなかった……そしてオロチは空条博士に止めを刺そうと攻撃の構えを取る。

もう助からないかも知れねーけど、でもとどめは刺させないっしょ!何をするつもりかわからねーけど、頼んだべ!ノースアイランド・サード!

 

オロチ「さぁ………無に還りなさい!」

 

させないっしょ!

俺は空条博士の前に庇うように立つ。

 

NIT『ベェェェェェェェェ!』

 

ピカッ!

シュゥゥゥゥゥゥゥゥ………

ノースアイランド・サードの反射の能力によりオロチのスタンド体から煙があがっている。

げっ!これって比企谷くんの妹さんの得意技、何とかレーザーみたいな攻撃!?

っべー!隼人くんのオーラル・シガレッツや南のラスト・ノートのように能力が変わったいたらやられていたっしょ!

今になって怖くなってきたわー……。

 

承太郎「生きている……」

 

でも、空条博士を守ることは出来た…。

 

オロチ「な、何が起きたのですか!?何故私がダメージを負っているのです!?」

 

オロチが俺を睨む。こ、こええぇぇぇぇぇ!

考えてみたら俺、運動能力は高いけどケンカとかはまともにやったことがないわー!どうすっべ!

 

承太郎「戸部……その能力は……完全にスタンド能力が戻ったみたいだな……」

 

戸部「ジョースターさんが持っていた矢が飛んできて、俺に刺さったんっス!それで能力が戻ったっスよ!」

 

承太郎「そうか……何はともあれ助かった。スター・プラチナ!」

 

S・P『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!』

 

オロチ「ぐはぁ!」

 

空条博士は普通ならばもうまともに動けない状態なのに、それでも気力でスタンドラッシュをオロチに叩き込んだ。何て根性……本当にもうすぐ初老を迎える年なんか?その根性に憧れるわー。

 

承太郎「戸部。来てくれた事に感謝する。恐怖で足が震えているにも関わらず……」

 

戸部「は、ははは……勢いとノリで来ちゃっただけっスよ……今になって怖くなったっス」

 

承太郎「ヤレヤレ……勢いで来たのか。お前は昔のポルナレフのような奴だな」

 

ポルナレフさんって、確か千葉村で優美子を助けていたあの銀髪の人っスよね?

 

承太郎「本当の根性無しならばノリであろうとこんな所に来ようとなんて思いはしない。とても自分の告白を何とかして欲しいなんて依頼してきた奴と同じ人物とは思えないな……」

 

うっ!それを言わないで欲しいっス!あの時は自分でもどうかしてたって思うっしょ。

 

承太郎「だが、あんな奇襲が何度も上手く行くと思うな。後は俺に任せろ……」

 

戸部「無理っスよ!そんな傷じゃあまともに動くことだってできねーっス!後は俺に任せて下さいっス!」

 

承太郎「バカ野郎!戦いを甘く見るんじゃあない!」

 

いろは「本当ですよ。案の定、こんな状態になってましたか」

 

戸部「いろはす!」

 

いろは「は?なんですか?その変な呼び方は。エメラルド・ヒーリング!」

 

パアアアアア!

いろはすのエメラルドの弾丸が空条博士の傷を塞ぐ。

今にも倒れそうだった痛々しい傷が一瞬で治った。ホントに凄い能力っしょ。

このビッグウェーブに乗るっきゃないっしょ!

 

戸部「行くべぇぇぇぇぇぇ!」

 

俺はオロチに向けて駆ける。

 

オロチ「光のバリア」

 

NIT『ベェェェェェェェェ!』

 

バリィィィィン!

 

オロチ「ぐふっ!また攻撃が……」

 

戸部「今っしょ!」

 

承太郎「調子に乗るんじゃあない!戸部!」

 

NIT『ベェェェェェェェェ!』

 

ダメージでよろけているオロチに俺はスタンドラッシュを叩き込む。

しかし、ノースアイランド・サードはパワーが弱いのか、全然ラッシュが通用していなかった。

 

オロチ「ふ………惜しかったですね。スター・プラチナ並のパワーがあれば多少なりともダメージを受けていたのですが、あなたのスタンドのパワーでは私にダメージを与えることは不可能のようですよ?」

 

オロチは俺の前で不敵に笑いを浮かべていた。

 

オロチ「何をしてくるかわかったものではありませんね。少し距離を取った方が得策ですか」

 

オロチはバックステップで俺から距離を取る。

逃がさねぇっしょ!

 

承太郎「チッ!本当にポルナレフみたいな奴だ!調子に乗るんじゃあないと言っているだろう!言うことを聞け!間抜けが!」

 

俺の攻撃が効かないなら、向こうから攻撃をさせてカウンターを取れば良いっしょ!

あれ?ここの足場ってぬかるんでいたっけ?

 

戸部「ギャアアアア!」

 

バリバリバリバリ!

ぬかるみに足を取られ、そこから感電してしまう。

 

オロチ「味方の忠告は素直に受けとるものですよ?あなたのスタンド能力は既に見切りました。あなたの能力は反射ですね?」

 

も、もう俺の能力がバレたんか!

 

オロチ「確かに恐ろしい能力ではありますが、種が割れれば大したことはありません。弱点は2つ。間接的な攻撃には弱い。そして反射の能力はスタンドだけにあり、あなた本体に反射をさせる能力はない。このようにね!」

 

バキィ!

オロチのストレートパンチが俺の頬を捉える。

言われるまでわからなかったっしょ!俺自身に反射の能力が無いなんて!

 

承太郎「あの一瞬で能力を見破り、水の力でぬかるみを作ってそこに電撃を仕込んでいやがったのか……。だから調子に乗るんじゃあないと言っておいたのに……」

 

イテェ!超イテェ!

こんなパンチ、何度も受けられないっしょ!

空条博士の忠告をしっかり聞いとくべきだったわー!

 

オロチ「おやおや、痛みでスタンドのコントロールが疎かになってますよ?いきなり実戦でヒーローのようになろうだなんてとんだナルシストがいたものです。そんなものは小説の主人公だけなんですよ」

 

ズブズブズブズブ……

俺の体がどんどん沈んでく……ワワワワ!どうすれば良いんかわからねー!

 

オロチ「手こずらせてくれたお礼をしなければなりませんね。このままリアルサンドバッグにでもなって頂きますか」

 

三浦「クロスファイヤー!ハリケーンスペシャル!」

 

海老名「エメラルド・スプラッシュ!」

 

三浦&海老名「クロスファイヤー・スプラッシュ!」

 

炎を纏った海老名さんの弾丸が俺とオロチの間を飛んでいく。

オロチはそれをまともに食らって少し飛ばされる。

 

承太郎「スター・プラチナ!ザ・ワールド!」

 

空条博士の声が聞こえた次の瞬間には俺はぬかるみから助け出されて空条博士の足元にへたりこんでいた。

 

承太郎「ナイスアシストだったぜ?アヴドゥル、花京院」

 

三浦「こんなん、ポルナレフを助ける時に何度もやってっから慣れてるし」

 

海老名「危ないところだったけどね」

 

……べー。俺、足を引っ張ってね?助けに来たのに逆に助けられてね?

 

三浦「あんころに戻った気分っしょ。承太郎」

 

海老名「それってポルナレフをディスってるよ?それにジョースターさんとイギーが足りないんじゃない?」

 

承太郎「ふ………言われてみればそうだな。調子が出てきたじゃあないか。あの頃のパターンならば、ここからが俺達の反撃の時間……だな」

 

空条博士と優美子と海老名さんが並び立つ。

ちょっ!俺を忘れちゃ困るっしょ!

 

←To be continued




戸部、復活!
今回のメインは実は戸部でした!
それにしても戸部とポルナレフ、どこか似ている感じがしますね。
即席疑似スターダスト・クルセイダーズ結成!反撃開始です!

それでは次回もよろしくお願いします。

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