やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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忍&承一郎チーム

中国・後漢

三國時代(恋姫無双)

 

とある世界線……ここに住む人物達の管理者が、『外史』と呼んでいる世界。

英雄達の殆どが女性のこの世界でのある日、呂布奉先…真名『恋』は、いつも通りに見回りを兼ねた散歩を軍師である陳宮…真名『音々音』と共にしていたところ、妙な物を発見した。

鉄で出来た巨大なドーム形の卵のような物である。

鉄卵は扉のような物が開いており、中には簡単に入り込めそうである。

 

呂布(恋姫)「???」

 

見たことのない妙な物を発見した呂布は、何の躊躇いもなく中に入り込む。

 

陳宮「恋殿!危ないですよ?こんな得体の知れないものに乗り込んじゃ………」

 

呂布「ん…………何かげったぁに良く似た物が色々ある……」

 

前々からゲッターをいじってみたいと思っていた呂布。

これもゲッターの1つだと思ったのだろう。

陳宮の忠告も聞かず、呂布はピコピコ突起物やら何やらをいじり始める。

ガー。

入口がしまり………

 

キュイイイイン!

 

機械類が起動を始めてしまう。

 

陳宮「な、何か動き始めたんですけど!?恋殿、げったぁを動かせるんですか!?」

 

呂布「ん……………」

 

呂布の返答に安心感を覚える陳宮だったが……

 

呂布「…………わからない」

 

陳宮「!!!!!」

 

顔がムンクのようになる陳宮。

 

????「は、博士!タイムマシンが!」

 

???「こんなところに放置しておくからですよ!」

 

白衣を着た男と、青と赤の服を着込んだ男が絶叫をあげる。

 

ブラウン博士「まずい!タイムスリップが起動体勢に入っておる!ハンゾウ、フウマ!何とかならんのか!」

 

ハンゾウ「無茶を言うな!タイムスリップ前のタイムマシンをどうしろと言うんだよ!」

 

呂布「???」

 

フウマ「てめぇハンゾウ!呂布やDIOを取り逃がすからこうなるんだぁ!」

 

呂布(恋に何か用だった?でも、あんな男は知らない。DIO………は聞いたことがあるような?)

 

実は彼等は別の時代から時空を超えた犯罪組織、『ダクト』のゼウスやそれが作り出した金属生命体、『DIO』と戦っている最中に、捕らえていた彼らの世界線の『呂布』を取り逃がし、それを追って三國時代に来たのだが、何かの拍子に別の世界線に迷い込んでしまった。

これもゲッターの導きなのか、それとも彼等の世界で発生しようとしている地獄門の影響なのか……。

逃げた『呂布』を探している間に放置されていたタイムマシンを、別の『呂布』が動かして起動してしまうとは皮肉な話である。

 

うぃぃぃぃぃん!ばしゅぅぅぅぅん!

 

マシンが起動し、そして呂布と陳宮を乗せたタイムマシンは時を超え、アメリカのサウスタウンへと飛んで行く。

それは、呂布達の主である東方仗助や藤崎忍達が元にいた『ゲッター』の世界ではなく、様々な世界が混ざり合う「ゆらぎ」の世界だった。

 

 

アーシスの世界…東京ひびきの市

カフェ『Sunny Light』

 

忍「いろはちゃんと陽乃ちゃんが消えた?」

 

呂布が三國の世界から消え、「ゆらぎ」の世界のサウスタウンに現れた頃、『アーシス』の世界の藤崎忍の元に慌てた東方仗助から電話が入った。

仗助の話では一緒にSPW財団のオフィスで仕事をしていた二人が、まるで神隠しにあったかのように忽然と姿を消したのだという。

新たなスタンド使いの攻撃を疑ったアーシスは急いで捜索を開始したのだが、見つからず。

とりあえず知り合いに声をかけているという。

 

忍「さぁ……今のところ、あちしの所にはなにも……あら?」

 

店の電話で通話していた忍だが、一瞬だけ風景が変わる。まるでアメリカの都市部のような風景が。

 

忍「何かしら………今の………?」

 

ジジジ………ジジジジジジ……

 

再びノイズが走ったのかと思うと、次の瞬間には先ほどの風景の中に忍は立っていた。

そして、同時にアーシスの世界からも藤崎忍の姿が消えた。

 

光「忍ちゃん!?」

 

仗助『おい忍!どうした忍!』

 

目の前で夫が突然消えた藤崎光と、電話の受話器から響く東方仗助の声が虚しく店内に響いていた。

忍が立っていた場所は………「ゆらぎ」の世界のアメリカでも治安の悪い三大都市として「ニューヨーク」「メトロシティ」に並ぶ都市……格闘家達の聖地「サウスタウン」だった……。

この次元転移は、『ゆらぎ』の世界の地獄門の影響か、それともD4Cの多用が原因で不安定になっている境界と『ゆらぎ』が偶然に繋げてしまったものなのか……

 

 

アメリカ・サウスタウン

 

承一郎「は?」

 

優秀な助手として、偽装の恋人・千棘の母である「華」から度々駆り出される承一郎。

真面目に仕事していた承一郎が、何の前触れもなく景色が変化したことに驚いていた。

オフィス内で普通に華のスケジュール調整をしていたはずの承一郎。それが突然、お世辞にも治安の悪そうな街並の外に立っていれば驚くのも無理はない。

 

承一郎「ここは……どこだ?」

 

サウスタウン…。栄誉栄華を極める歪な摩天楼が軒を連ねるこの街を承一郎は知らない。

華やかなこの街…KING OF FIGHTERS発祥の街として、格闘技が栄えているこの世界では、ストリートファイトのメッカとも呼ばれている街。

しかし、それは表向きの姿。

一度入り組んだ路地裏に入れば、そこは血と暴力が支配する魔窟そのもの……それがサウスタウンだった。

 

承一郎「特にあんな特徴的な高層ビルがあれば、忘れるはずが無いんだがな……」

 

摩天楼が連ねる街の中でも、一際存在感があるビル。

それはギースタワー。この街を拠点する企業、ハワードコネクションの本社ビルであり、この街のボス、ギース・ハワードの存在と力の象徴であるのだが、もちろん承一郎がこのタワーを知るはずもない。

しかし、この街の不穏な空気を感じることができる。

 

承一郎「………」

 

??「懐かしい顔だな………」

 

承一郎「お、お前は………サム!なぜ生きている!」

 

アーシスの世界から見て1年前、比企谷八幡の魂が砕けた際に死闘を演じ、辛うじて承一郎が勝利をおさめた相手……それがサムだ。

 

サム「何故だろうな………あの空の穴が関係しているようにも思えるが………」

 

承一郎が空を見上げると、普通には見えない空の穴が見えた。

地獄門………。

あの世とこの世を隔てる門だ。

 

???「ほほう………あれが見えるのか………」

 

いつの間に近くに停まっていたのか、高級リムジンから一人の男が出てくる。金髪をオールバックにし、高級スーツを着こなした明らかに堅気ではない存在。

この街のボス、ギース・ハワードだ。

 

承一郎(何だ………こいつは。この威圧感は……)

 

サム(バカな……DIOと同じかそれ以上!何者だこいつは!)

 

ギースのキャッチコピーは『悪のカリスマ』である。

テリー・ボガードに一度敗れるまでは世界最強と呼ばれた男だ。

 

ギース「ほう、そこそこに強そうだ……私はギース。ギース・ハワード。1つ、腕を試してやろう。かかってくるが良い」

 

承一郎&サム(ピクリ……)

 

威圧にこそ圧倒されている二人だったが、自身もそれなりには強者。それをそこそこ扱いするギースに苛立ちを覚える。

手招きをするギース。

 

サム「………面白い!行くぞ!後悔しても遅いぞ!」

 

殴りかかるサム。しかし………

 

ギース「ハッ!」

 

ガシッ!

古武術……そして八極聖拳の達人であるギースは巧みにその力をいなす、サムを崩して背後へ受け流す。

ギースを代表する技の1つ、当て身投げ。その変形技の中段当て身うちである。

そして………

 

ギース「烈風拳!」

 

承一郎(あれは……気!?気の波だと!?なんだあれは!)

 

地を這う気の塊をぶつけた後に……

 

ギース「邪影拳!」

 

素早い動きで背後から青い炎を伴って突進、肘打ち。そして掴んで投げる。

完全に崩されていたサムはまともに受けるしかなかった。

 

ギース「ふん!はぁぁぁぁぁぁ!」

 

倒れたサムに向け、少し飛び上がると………

 

ギース「阿修羅疾風拳!」

 

空中から何発も気の弾を連発する

 

サム「ぐはぁ!」

 

承一郎「お前!」

 

宿敵とも言えるサムだが、この一方的な展開を見過ごせず、承一郎が救援に入る。

 

ギース「ふん。レイジングストーム!」

 

ギースが地面に気を叩きつけると、それが地面に反射して凄まじい気の竜巻が発生する。

二人まとめて吹き飛ばされる承一郎とサム。

 

承一郎(何だ………こいつは………俺とサムがこうもあっさりと………)

 

ドサッ!

 

ギース「時間の無駄だったか?」

 

ハイン「ギース様。怒部隊が近付いて来ているようです。恐らくアックス小隊やワールドヒーローズかと……」

 

ギース「ウィップにワールドヒーローズか………少々面倒だな………引き上げるとしよう………」

 

承一郎「待て………」

 

サム「このままでは済まさんぞ……」

 

フラフラと立ち上がる承一郎とサム。

 

ギース「…………ほう?レイジングストームを受けてもまだ生きていたか……少しは出来るようだな……ハインよ。お前に届いた招待状を渡してやれ。KOSFに出場できる力はあるだろう。もしかしたらベガやルガールと手を組んだ愚か者への刺客程度にはなるやも知れん」

 

ハイン「分かりました」

 

ハインと呼ばれた執事姿の若い男がおもむろに近付いて来る。

 

承一郎「ぐぅ!」(何だ………これは!まるでエコーズact3のような!)

 

圧倒的な重力に押し潰されそうになる承一郎。ハインの特技だ。

 

ハイン「大人しくしていれば何もしませんよ。これをお渡しするだけです。ギース様のお役に立って下さいね」

 

承一郎の懐に1通の封筒を差し込むハイン。

 

ハイン「KING OF STREET FIGHTERS。あなたや私と同等の力を持った者達が集う格闘の祭典です」

 

ギース「もし優勝することが出来れば、再び私と会うことが出来るかも知れんな……優勝できる事が出来ればだが……フフフフフ………ハハハハハハハハ!」

 

車に乗り込んだギースとハインが去っていく。

 

承一郎「ぐ………ギース・ハワード………」

 

サム「この屈辱は忘れん………」

 

二人の元に複数人の集団が現れる。

 

ジャンヌ・ダルク「大丈夫かしら?あなた達」

 

時代遅れの鎧を着込んだ美女。

 

ラスプーチン「ギースは逃がしてしまったようですね」

 

ロシアの服装をした某心理教教祖チックな顔の男。

 

マッドマン「ハンゾウやフウマは何をしてるざますか?」

 

上半身をすっぽり覆う程の大きな仮面を付けたギニアのシャーマン。

 

ブロッケン「必要なら我がドイツの技術でサイボーグにでもなるか?」

 

ジョセフ・ジョースターの戦友を思い起こすようなサイボーグ。

奇妙キテレツで統一性のない集団が現れた。

 

承一郎(シュトロハイムか!大体なんだこいつら!)

 

承一郎「ど、どなたですか?あなた達は」

 

ジャンヌ「よくぞ聞いてくれたわ。私はジャンヌ・ダルク!フランス革命のジャンヌ・ダルク本人よ!」

 

ラスプーチン「私はラスプーチン。ロシアのラスプーチンであるが、知らぬか?」

 

マッドマン「マッドマンざます」

 

ブロッケン「我がドイツの科学は世界一ィィィィ!ブロッケンである!」

 

ジャンヌ「我らはドクターブラウンにより集められた歴史犯罪集団、ダクトと戦うそれぞれの時代の英雄!その名もワールドヒーローズ!オーホッホッホッホッホ!」

 

承一郎「えっと……そういうコスプレですか?」

 

傷が痛むのも忘れ、唖然とする承一郎。

このお遊戯軍団とも取れる集団、ワールドヒーローズに所属しているのは信じられない事に、本物のジャンヌやラスプーチンなのである。

 

ジャンヌ「ギースのレイジングストームを受けてその程度で済んでいるなんて、あなたは強いのね?」

 

承一郎「手も足も出ませんでしたが……アベンジャーズのヒーロー相手でも戦えるつもりでいましたが……」

 

マッドマン「お主、何を言っているざますか?」

 

承一郎「いや、信じられないかも知れないですが、それくらいの自信はあったんですよ」

 

ラスプーチン「それくらい、格闘家なら当たり前じゃないか」

 

承一郎「…………は?」

 

そう。この世界は格闘家の強さの基準があまりにも違う。普通にミュータントやらのマーブルヒーローズやタツノコヒーローズと渡り合えるのである。

 

「わー!ストリートファイトだ!」

「武器を持った中国武将同士のストリートファイトだぞ!」

 

ジャンヌ「あら?どこかでストリートファイトが発生したようね?」

 

マッドマン「行くざます!」

 

 

サウスタウン

パオパオカフェ前

 

呂布(恋)「変な所にわぁぷした………困った……」

 

陳宮「恋様!だから変に弄くらなければよかったんですよー!」

 

タイムマシンが降りた地、サウスタウンに運ばれた呂布と陳宮。

自身の武器、方天画戟を携えながらキョロキョロと辺りを伺う呂布(恋)。

 

呂布(WH)「むむっ!貴様……どこでそのタイムマシンを手に入れた……それに方天画戟!貴様、何者だ!何故貴様が俺の方天画戟を持っている!」

 

そんな呂布の前に現れたのは、ワールドヒーローズが探していたこの世界の三國志最強の男、呂布。

正史と外史の違いはあれど、同じ呂布奉先なのならば、持っている武器もおなじである。

 

呂布(恋)「それは恋が言う言葉………方天画戟は恋の武器………」

 

呂布(WH)「ならば方天画戟の使い手としてどちらが相応しいか勝負だ!俺は呂布!字は奉先!」

 

呂布(恋)「恋も呂布。字も奉先。真名は恋」

 

陳宮「恋殿!真名は敵に教えちゃだめなのですー!」

 

呂布(恋)「音々音……危ない。これ、強い………」

 

呂布(WH)「行くぞぉ!」

 

襲い掛かってくるワーヒー呂布。一方で恋も応戦するのだが……

 

陳宮「え?え?恋殿と互角!?こんなのあり得ないです!」

 

性別、性格等色々と違えど同じ呂布同士。アベンジャーズ級の強さのぶつかり合い。(基準=リュウ)

互角なのは当然なのだ。

 

ワーヒー呂布「この俺と互角とは!貴様……やるな!」

 

恋「ん………………ちょっと不利。ぐれーとに不利」

 

恋は背後からの敵も感知していた。

 

切り裂きジャック「ひゃはははは!こんな小娘相手に苦戦してるじゃねぇか!呂布よぉ!」

 

ダクトの歴史破壊の協力者、切り裂きジャックが背後から奇襲してきた。

 

陳宮「陳宮ぅぅぅぅぅぅぅ!きぃぃぃぃぃぃっく!」

 

ギャラリー「おおっ!互いのストライカー攻撃で吹き飛んだぞ!これはKOSFのデモンストレーションなのか!?奴等は出場者か!」

 

ストライカー攻撃とは四人一組のKOSF……いや、ネスツ主催のKOF時代のルールの特徴である。先鋒、中堅、大将以外の一人が支援専門で決められた回数だけ乱入が可能というルールである。

別に陳宮も切り裂きジャックも狙ったわけでは無いのだが、互いの一撃が見事に相殺し、それがギャラリーにはストライカー動作に見えた。

 

忍(何よこれ!何とか海賊団みたいな戦いが何でこんなところで起きてるのよ!そもそもここはどこ!?とにかくあの娘を助けなきゃ!)

 

たまたまゆらぎに巻き込まれ、サウスタウンに来たばかりの藤崎忍が切り裂きジャックとの相殺で飛ばされ、キリモミ回転をして落下いる陳宮をキャッチする。

 

陳宮「はれほれ~……え!?忍殿!?」

 

忍「??誰よあんた。あちしの事を知ってるのかしら?」

 

陳宮「助けてくれたんですね!忍殿ぉぉぉ!」

 

恋「?………忍、いつもと違う………何か、少し大人になってる………」

 

彼女らの世界にはゲッターに乗って現れた忍がいる。

その忍とは面識がある忍だが、その関係者と一目で理解するのは無理があるだろう。

 

陳宮「あれ?そう言えば………忍殿、確かにどことなく大人びて………キュン♪」

 

忍「多分、平行世界のあちしの一人と知り合いなのね。だとしたら、あちしが力を貸す理由になるわ」

 

切り裂きジャック「よく見たら時代錯誤の服装をしやがって………テメェらもワールドヒーローズか?」

 

忍「ワールドヒーローズ?」

 

切り裂きジャック「とぼけるな!ハンゾウやフウマの仲間だろうがよ!切り裂きジャックの爪を受けなぁ!」

 

忍「っ!アン・ドゥ・オラァ!」

 

忍が迎撃に移るが、相手はロンドンの街を騒がせたリアルレジェンドの通り魔。辛うじて動きについていけてるが………。

 

忍(聞き捨てならない名が聞こえたわ。切り裂きジャックですって?伝説の通り魔じゃない!)

 

伝説の武人に伝説の通り魔。

百戦錬磨の忍と言えど、相手が悪い。

もっとも、元の世界の切り裂きジャックや呂布相手ならば何とかなっただろう。しかし、ダクトの二人はアベンジャーズ級なのだ。

忍が本気を出してやっと互角………それが二人も。

 

忍「これは………まずいわね。あんた達、ここはあちしが引き受けるから、逃げる準備を整えなさい」

 

恋「………(ふるふる)」

 

忍「お嬢ちゃん!」

 

恋「恋、ゲッター……勝手に乗ろうとした……だからこれ、恋の責任………」

 

忍「ゲッター?まさかあなた達は……あの世界の仗助やれんちょんの!?」

 

一年前に関わった事件。ここで忍は合点がいった。

 

忍「あちしはあなた達の藤崎忍じゃないわ。だけど、あなたもあの時の戦いで仗助やあのあちしに力を貸してくれた三國志の英雄なのね。名前を教えてくれる?」

 

恋「………呂布………真名は恋」

 

陳宮「陳宮。真名は音々音………」

 

忍「恋ちゃんに音々音ちゃんね。良い?ここはあちしが引き受けるわ……。いざとなったら切り札があるもの」

 

忍は大きめの風呂敷のようなものを取り出す。

 

忍(いざとなったら閣下のD4Cで………)

 

マッドマン「助太刀するざますー!」

 

忍「………」

 

これまで多種多様な種族を見てきた忍だが、さすがにマッドマンはキツすぎた。街中で見たら間違いなく通報するレベルの格好だ。

 

ワーヒー呂布「ワ、ワールドヒーローズ!もう追い付いて来たのか!」

 

ジャック「く……マッドマンにジャンヌ、それにブロッケンまで!」

 

ラスプーチン「ワハハハハ!私もいるぞ!秘密の花園」

 

ラスプーチンが上半身をはだけさせ、切り裂きジャックに突進。地面に薔薇の花が咲き乱れ、その中のラスプーチンはジャックを引きずり込んだ。そこから何やらハートのエフェクトが発生し、浮かび上がる。

中で何が行われているのか想像もしたくない。

 

恋「………貂蝉みたい」

 

忍「見ちゃダメよ……恋ちゃん……」

 

陳宮「恋殿は見ちゃダメですー!」

 

一度は外に放り出されたジャックだったが、中からラスプーチンの手が伸び、再び引きずり込まれる。

そして再び……………。

目を反らす忍。

 

「ブーメラン!」

 

忍「見晴ちゃん?」

 

その声は忍の高校時代からの友人、館林見晴によく似た声が聞こえた。

その声の源はボブカットの軍服を着込んだ少女。

怒部隊の隊員でラルフ達の部下、ウィップだ。

ウィップは持っていた鞭を呂布の首に巻き付け、地面に叩き伏せると、それを手繰り寄せて足元に。そして、その頭をガツガツと踵で何回も踏みつける。

 

ウィップ「オーホッホッホッホッホ!shall we dance」

 

頭へのストンピングという中々エグい攻撃の後に鞭をおもむろに振り回す。

 

ウィップ「デラ、デラ、デラ、デラ、デラデラデラデラデラデラデラデラ!デラックスー!」

 

とある特殊なプレイで使われるような安全性を考慮された鞭ではない、間違いなく戦闘用のぶっとい鞭で呂布を滅多打ちにするウィップ。おまけに背中に隠しもっていた大型銃を取り出すと、ダン!ダン!ダン!と撃つ。

当然、呂布と言えどもこれだけやられれば意識が無くなっている。………というか、生きているのがすごい。

 

ジャンヌ「さすがはウィップ!容赦は無いわね!」

 

ウィップ「しっかりしてよ、ワールドヒーローズ。ダクトはあなた達の管轄でしょ?」

 

切り裂きジャックの方も後から駆け付けた誰かがとどめを刺したようだ。

 

忍(あれは……バイオハザードのジル?嘘でしょ?だとしたらこの世界は………)

 

忍はあり得ない身体能力がゴロゴロいる事と、一緒に行動している存在の多様性から1つの結論に達する。

 

忍(ここは、格闘ゲームの世界……それも、ストリートファイターとかのとんでも格闘の!あちしが苦戦するはずだわ………)

 

承一郎「し、忍さん………」

 

忍「あら、承一郎ちゃんじゃない。久し振りね。こんなところで出会うとは思わなかったわ。随分とボロボロしゃない」

 

サム「………ギース・ハワードという男にやられた…」

 

忍(ギース・ハワードと言えば………確かスマブラで出てきたテリー・ボガードの宿敵のはず……。マ○オやク○パ、カー○ィとやりあえる男と同等かそれ以上の男とやりあってその程度で済んでいるなんて……さすがは承一郎ちゃんと言うべきかしら?)

 

恋「………みんな、強い………。恋と同じかそれ以上に……」

 

陳宮「恋殿と同じ位だなんて………」

 

ウィップ(CV菊地志穂)「あなた達。ちょっと事情を聞かせてもらえないかしら?ギース・ハワードの事で聞きたい事があるの。それと、あのタイムマシンの事もね」

 

ジル「手間は取らせないわ。ワールドヒーローズはタイムマシンを回収してメタルスラッグ部隊と合流して頂戴」

 

忍(メタルスラッグ!?そんなものまでいるの!?)

 

承一郎(メタルスラッグと言ったらメタルギアよりも大型の機動兵器が出てくるアクションゲームだろ!何なんだこの世界は!)

 

有無言わせない雰囲気で承一郎と忍を連行する。

 

香緋(CV金月真美)「お腹空いたなぁ………パオパオカフェ、早く開かないかなぁ………」

 

何やら従姉に似た声が聞こえた気もするが、その方向からはお腹を鳴らした中華娘しかいなかった。

 

 

 

怒部隊、サウスタウンセーフハウス

 

ラルフ「異世界からの来訪者だと?」

 

クラーク「にわかには信じがたいですね」

 

忍&承一郎「……………」

 

ラルフ・ジョーンズとクラーク・スティル、レオナ。

メタルスラッグを知っているならば、この二人の事を当然知っている。

メタルスラッグ部隊と共に生身で共闘した人間だ。

 

ジル「信じるわ」

 

ラルフ「あ?こんな話をか?」

 

ジル「そういうのと関わった事があるから。あの時は神宮寺さ○らとかロックマンXの世界の兵器まで現れて大変だったわ(プロジェクトXゾーン)」

 

忍「あははは………降魔とも戦ったのね……」

 

テイ○ズやシャイ○ング・フォース、果てはゼノ○ーガまで関わっていると知ったら腰を抜かすだろうか?

 

恋「それ………強い?」

 

忍「そうね……あちし達位の大きさになったゲッターロボくらい……かしら?」

 

恋「………そのくらいのゲッターロボが相手なら、1発くらいなら耐えられる………」

 

忍「そういう話じゃ無いわよ恋ちゃん……確かにあちしらくらいのサイズのゲッターロボの攻撃なら何とかなるかも知れないけど………」

 

承一郎&サム「確かにメタルギアの攻撃ならば……」

 

ジル「と言うことは、ゲシュペンストの攻撃にも耐えられる………と言うわけね(戦闘経験あり)」

 

ラルフ「……ほう?ならば、大会にも参加出来るくらいには強いって事か………おい、承一郎とサムと言ったな?ギースの奴に仕返ししたくはねぇか?」

 

サム「当たり前だ………」

 

承一郎「借りは返さないとな………」

 

このままやられっぱなしで黙っていられるほど、承一郎もサムも大人しい性格はしていない。

 

ラルフ「あるぜ。その方法がな。KOSFだ」

 

承一郎「KOSF?この招待状の?」

 

クラーク「ああ。奴とベガ、それにルガールって奴が主催する大会だ。そいつに優勝すれば、もしかしたら奴にリベンジできるチャンスがあるかも知れないぜ?まぁ、それには俺たちも出場するから、当たっちまったら運が悪かったと思って諦めるしかないがな」

 

承一郎「………ならば、出場する」

 

サム「ふ………お前ならそう言うと思っていたぞ……」

 

忍「………まぁ、承一郎ちゃんが出るなら、あちしも出るわ。承一郎ちゃんには恩があるもの。それに、これを見てちょうだい」

 

忍は出場者リストを承一郎に見せる。

 

サム「この女は……あの時の!」

 

雪ノ下陽乃に目が止まるサム。

 

承一郎「参ったね………まさかエリナお母さんまで巻き込まれているなんて………」

 

レオナ「盗賊アーサーと一緒にいるの……知り合い?」

 

忍「ええ。あちし達の世界では行方不明になっていた子よ。探し人が見付かったわね」

 

陳宮「忍殿の探し人……ですか?」

 

忍「そうよ。仗助の妹分よ。あちしの世界の……だけどね」

 

恋「……なら、恋も力を貸す。仗助の妹分なら、恋にとっても姉妹………」

 

忍「あら。恋ちゃん、可愛い事を言ってくれるわね?」

 

サム「理由が更に出来たな。あの娘達では俺達クラスがゴロゴロ出てくる大会に参加するには少し荷が重いだろう」

 

承一郎「ならサム。君にこれを返そう」

 

承一郎はかつてのサムの愛刀、ムラマサを渡す。

 

サム「ほぉ…返してくれるとはありがたいねぇ。でもいいのか?」

 

承一郎「あんたは強者との戦いを望む男だ。この大会で、これは必要だろ?納得できる戦いをするために」

 

承一郎(だから地獄門から蘇った……サムはそういう男だ)

 

サム「…そうだな、よく分かってやがる」

 

承一郎「だから最後だ。最後にもう一度、あの時の続きをやろう。ギース・ハワードを倒した後に……」

 

サム「……いいねぇ、乗ったぜ。実はお前さんと一緒に戦うのを楽しみにしてたんだ」

 

承一郎「僕だってそうさ…さぁ、見せてやろうぜ。僕達の力をさ!」

 

こうして、承一郎&忍チームが結成された。

 

 

ギースタワー

 

ビリー『ギース様の思惑とおり、奴等がエントリーしたようです』

 

ギース「そうか。報告、ご苦労だったな………。引き続き勘違いした影とベガやルガールの監視を頼んだぞ。ビリー」

 

ビリー『承知しました』

 

電話を置くギース。

大会を主催しているギースは、ギース本人ではない。

ギースに成り代わろうと、分不相応な力を手に入れようとしている影武者だ。

ギースはそんな影武者やベガ、ルガールといった邪魔者達を始末しようと、手駒になりそうな者達にちょっかいをかけていたのである。

 

ギース「ふっふっふっふっ……テリー、クラウザー、怒部隊、武神流、ハガー、一条承一郎、藤崎忍……手駒は揃った。この私の手に踊らされているとも知らずに…フフフフフ………ハハハハハハハハ!」




一条承一郎
ご存知、あの人。
今回はアーシスとは別の案件でサウスタウンに現れる。
スタイルはスタンド使いスタイルか?
打倒ナイトメア・ギース!

サム
4-5で承一郎と死闘を繰り広げた人。
地獄門の影響で復活か?
スタイルはサムスピスタイル。
いきなりナイトメア・ギース(ラスボス)と戦う羽目になったのは不運としか言いようがない。

藤崎忍
ここまでヒヤヒヤさせられた戦いはいつぶりか?
呂布と切り裂きジャックの二人を相手に奮闘。
彼に相応しきラズボスは誰だ!
このメンツの中で唯一のノーマルスタイル。

呂布奉先(恋)
ゲッター編の忍の関係者。
ワーヒーの呂布の登場により、呂布対呂布の幻の戦いが勃発。
キャラ性能は恋姫無双3の格ゲー基準。
サムスピスタイル(上記のゲームがまんまサムスピスタイル)。
緊急回避、ふっ飛ばし攻撃など、洗練され、スピーディーさが求められるKOFスタイルに恋姫無双3のシステムが吉となるか凶となるか!?

陳宮
呂布(恋)の軍師。
呂布をストライカーにすると呂布に代わってストライカー動作をする。
え?5人チームになっている?
クーラ・ダイアモンドという前例があるので問題はないと思われる。


ちょい役

ギース・ハワード(本物)
ギースと表記しているが、本物のギースであるため、本作ではナイトメア・ギース扱い。
これまで裏ボスとしてしか出てきていないナイトメア・ギース。強い弱い以前にそもそも出会うこと自体がまず難易度が高いそんざい。ただしマキシマム・インパクトを除く(あれをナイトメア・ギースとは認めない)。
やっと出現させてみれば鬼のような強さを発揮してくる。イグニスよりはましだが……。
こんなのにいきなり絡まれた承一郎とサムは不運としか言いようがない。
中々の黒幕ぶりを見せる。

ハイン
KOF14からギースに仕えている執事。今回はギースの護衛として裏方に回っている。

ハンゾウ(ワーヒー)
ジャンヌ・ダルク曰く、修業バカのワールドヒーローズの主人公。歴史上の服部半蔵本人。
サムスピの服部半蔵は子孫?
忍者レッグラリアッドとかアホっぽい技がある。
三國の世界に取り残される。

フウマ
ジャンヌ・ダルク曰く、軽薄なナンパ野郎。ワールドヒーローズのサブ主人公?スト2で言えばケンのポジション。
風魔忍軍の首領、風魔小太郎本人。
何故か普段はタイムマシンを使って現代でサラリーマンをやっているのだが、サラリーマンとしては優秀では無いようだ。

ジャンヌ・ダルク
フランス100年戦争の英雄本人。






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