やっぱり1話で終わらなかった(^_^;)
side 一色いろは
私は産まれて数年で不思議と大人みたいな思考が身に付いていました。
それに気が付いたのは、花京院の他の従兄弟や共働きの両親に預けられていた保育所の周りの子とは違い、大人の会話が理解できてしまっていた事です。
それに、もうひとつ違うことがあります。
いつの頃からか、私のすぐ近くに緑色のメロンのようなお化けみたいな人が現れるようになりました。
お化けはパパにもママにも見えません。
ママにお化けの事を話すとママは悲しい顔をして「いろはは死んじゃった典明くんとおんなじ事を言うんだね」と言われました。
典明くんが誰だかはわかりませんでしたが、ママが悲しむのでそれ以降はお化けの話をするのを止めました。
お化けは私がどこかにいなくなれ!と思えば消えますし、遠くに行け!と思えば50メートルほどの距離までは自由に移動できます。次第にお化けが私の意思で自由に動かせることがわかりました。
人間関係では苦労しました。
同じ世代の子供と合わせ、年相応の態度でお話をしても、無理をしていても解るのか、あまり友達は出来ませんでした。幼馴染みの妹の方はその辺は上手に隠してますから羨ましいです。
親戚についても腫れ物を扱うような、そんな態度で接しているのがわかってしまい、私は親戚の中でも浮いてしまっていました。特にママの方の親戚…花京院の親戚は私を見ると凄く悲しい顔をされます。
でも寂しくはありませんでした。
私のお化けさんと、お隣に住んでいる比企谷家の八幡くんと小町ちゃんのおかげです。
二人とも私と同じで考え方が大人と同じような時もありましたし、小町ちゃんは私のお化けさんとは違う、赤くてルビーのような物が体の色々な所に埋められている女の人のお化けを持っていました。
八幡くんは両手からウニョウニョと薔薇のツタみたいな紫色のお化けを持っています。分類的に植物のお化けなんですかね?
たまにアニメの悪役のような悪い顔になったときは、ツタの代わりに黄色くて四角いバケツを被ったようなお化けさんが見える事がありますが、八幡くんはその時の事はあまりわからないらしいです。
似たような3人はすぐに仲良くなり、八幡くんをハチくん、小町ちゃんをマチちゃんと呼ぶようになりました。
逆にハチくんやマチちゃんからはちゃん付けやお姉ちゃんと呼ばれています。
この二人は良くコオコオと変な呼吸をして遊んでいるのにはついていけませんでした…というよりは何か悲しいことが起こる気がして嫌いでした。
ついでにいえば、あの二人の身体能力やお化けさん以外の特殊能力は人間を辞めています。
とても真似出来るとは思えません!
(マチちゃんからは、「横隔膜に指を突っ込まれる覚悟があるならば、素質にもよるけど出来るようになるかも…多分」とか言われましたが、確証がないようなので絶対にイヤです)
私のお化けさんは不思議な力があります。
パパがすり傷を作って帰って来た時、「早く治って」と思うとお化けさんは両手から水みたいな物を作り出し、それが緑色の宝石の塊に変えてパパに飛ばしました。
するとパパのケガはどんどんかさぶたを張り、数分で治ってしまいました。
病気や骨折に対しても同じように治ってしまいます。
それをやったときは「決して外ではやるな!」と凄く怒られました。
緑の宝石は生き物のケガや病気は治せますが、物の破損とかには効かないみたいです。
逆に物を壊す力もあるみたいですが、私はそっちの方に使うのはあまり好きではありません。
私はいつまでもお化けさんと呼ぶのも嫌だったので、名前を付けることにしました。
ナイチンゲール・エメラルド
ケガや病気を治す力から偉い人のお話に出てくる看護婦、ナイチンゲールと緑色の宝石のエメラルドからハチくんに付けてもらいました。
マチちゃんのお化けさんは「サンシャイン・ルビー」と私が名付けられました。
ハチくんにも付けようとしたのですが、何故かハチくんはピンとこなかったようで、まだ名前が付いていません。
二人もやっぱり普段はお化けさんを出さないようにしているみたいですが、どんな能力かは知ってます。
ハチくんはカメラやテレビとかで念写をする能力です。
一度私の入浴を念写した写真をこっそり持っていたと知ったときはすごく恥ずかしかったです。
いえ、確かに時々一緒にお風呂に入ったり、一緒に寝たりしてますし、将来的には……ゴホン。
とにかく!コッソリ写真を撮るのは許しません!言ってくれればいつでもウェルカムですのに!
あの時は一週間くらい口を聞きませんでした。
もし映っていたのが私以外の女の子だったら、一生口を聞きませんでしたからね!
……私、幼児なのに何考えてるんでしょう?
時々ハチくんが瞬間移動したりしていることがありますが、本人は意図的にやっている行為ではないようです。
マチちゃんの能力は…うん。地球を破壊しないように気を付けてね?
あの子には身体的にもお化けさんでも勝てる人がいるとは思えません。
私が前世の…エリナ・ジョースターとしての記憶があると自覚したのは去年の8月。
度々耳にしていたママの従兄の典明おじさんの命日にお参りした時です。
私達のお墓参りを遠くから見ている人達。その中に会ったこともないのに懐かしいと思える顔がありました。
ジョセフ・ジョースター
前世の私の孫。どんなに歳をとっても魂の繋がりか、私にはわかります。それを自覚した瞬間、私は一気に前世を思い出してしまいました。
ハチくんやマチちゃんの呼吸遊びに何とも言えない悲しさを感じた理由も…
「波紋の呼吸」
前世で私の大切な物を次々と奪い、傷付けたディオや柱の一族との戦いも…。
しかし、何故ジョセフが…ジョジョやその家族達が典明おじさんの命日にやって来たのでしょう?
その理由は花京院のおじさん達がジョジョに対して怒鳴っていた内容で把握できました。
15年前のエジプト旅行で何者かにおじさんは殺されたようです。おじさんを家族に黙って旅行に連れ出したのは友達だと名乗ったジョジョとその孫の空条承太郎でした。
私はすぐに理解しました。そしてまた悲しくなりました。
ジョジョは柱の一族との戦いの後も、何かと戦うためにエジプトまで行き、おじさんは巻き込まれてしまったのだと…
いろは(もう何十年も経っているのに、ジョジョは今でも戦っていたんですね…)
ジョースター家の歴史は戦いの歴史。今でも解放されていない…。
ジョースターが戦いから解放されるのはいつなのでしょうか…
今の私には前世と違って力があります。
もし、ジョジョやその子孫達が再び戦うことがあるのならば、私も力になろう。
波紋の力がなくてもジョナサンやジョセフの為に戦い抜いた誇り高き友人、スピードワゴンさんのように…。
私はそう誓いました。
そして…その誓いが果たされた日が来たのはそう遠くはありませんでした…。
次話はいろはsideから見た暴走八幡VS歴代ジョジョのお話です。
次も読んで頂けたら嬉しいです。