やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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一回戦前夜 後編

side空条承太郎

 

サウスタウン…高級ホテル

 

ジョセフ「おい承太郎。寝るなら自分のベッドに入って横にならんか。というか、寝るときぐらい学ランと帽子を脱げ」

 

ソファを陣取り、横になっていた俺にジジイが口煩く声をかけてくる。

俺はアイマスク代わりに顔に被せていた雑誌をどけ、上半身を起こす。

 

承太郎「うるせぇぞジジイ。どんな格好で寛ごうが俺の勝手だぜ。エジプトまでの旅だって、いつもこの格好でいたじゃあないか」

 

ジョセフ「何でその格好に拘りをもっておるのかわからんわい。まぁ………卍丸やカブキにも言える事じゃがのう?」

 

シャワーを浴び終え、自前のパジャマに着替えて戻ってきたジジイが他の奴らを見て溜め息を吐く。

 

卍丸「なんかこのローブとかいうのが着心地悪くて仕方がねぇんだよ。ボロ着で寝るのになれちまってるからさぁ」

 

卍丸は俺達の世界でいう江戸時代に相当するジパングという所からやって来た。

それも田舎の農村出身だ。それならば寝巻きはパジャマとかローブよりも普段着のまま寝るのが当たり前になっているのだろう。

ここが日本の旅館とかならば浴衣の1つも出るんだろうが、ここはアメリカだ。かく言う俺もローブ姿で寛ぐのは慣れてはいない。

せいぜい長ランを脱いで肌着になる程度か。

 

カブキ「まぁ、俺様はロンドンで少しは慣れているからな。お子ちゃまな卍丸にはわからんぜ。がーはッはッはッはッ!」

 

うるせぇ……。

何やら変な大会に参加させられる事になった俺達。

俺とジジイはエジプトの旅以来、こうして二人で旅をするのが当たり前になっているが、残り二人が紫色の髪の毛のガキと、派手に髪の毛を染めているポルナレフのようなチャラチャラした男だ。

異世界の伝説の戦士だか何か知らねぇが、こんな奴らと組んで悪党が主催する大会に出場しろなんて、何で俺がこんなことを………。

この世界の異変を解決する役目を担うナコルルとかいうアイヌの巫女。アイツが現れ、懇願してきた時にカッコつけたがりのカブキの野郎が勝手に俺達で大会にエントリーを決めやがった。

ナコルルには協力者がたくさんいるらしく、どこかから招待状とやらを調達してきたが、わざわざご苦労な事だぜ……。

まぁ…………大会に出る理由が出来ちまったから、ありがたく使わせて貰うが………。

俺はもう一度雑誌を手に取り、その記事を眺める。

KOSFとやらを大きく取り上げた格闘雑誌だ。

ナコルルは目ぼしい参加者のおおまかが書かれていると言い、渡してきた物だが、その中に見覚えのある奴を見付けてしまった。

 

承太郎「こいつが出てくるとは思わなかったがな……」

 

DIO……と紹介されている男………。

つい数週間前、平行世界を渡り歩き、出会ったDIOの転生………比企谷八幡。

どうやらDIOだけじゃあなく、ご先祖様のジョナサン・ジョースターの転生でもあるようだが……。

こいつのチームも目玉チームのひとつとしてカウントされている。

 

「アンディ・ボガードチーム」

 

KOFという大会に常連で出場している強豪チーム、餓狼チーム。その一人として注目を浴びているのがアンディ・ボガードだ。そのおまけ扱いとしてDIOの転生とジジイが未来で拾うという俺の義理の叔母、静・ジョースター……、それに何故かもう一人いる比企谷八幡。

EOH事件ではそれほど悪人には見えなかったDIOの転生だが、元々がDIOだ。

俺は信用しねぇ。

 

ジョセフ「DIOか……DIOのぅ。まさか堂々とDIOを名乗って来るとは思わんかったぞ。しかも比企谷八幡がもう一人おるぞ?」

 

承太郎「解せないのがまだいるぜ。この一色いろはという奴と雪ノ下陽乃……確かこいつはエリナおばあちゃんとアヌビス神の転生じゃあ無かったか?」

 

俺は「ウィップ」という女と「ムイムイ」という女が注目されているチームに目を向ける。

偽名を名乗っているが、雪ノ下陽乃は確かに茅ヶ崎陽乃という奴に間違いない。※1

クリスタル・クルセイダーズの連中は何を企んでいやがる………。

 

side一条承一郎(マチュア撃破後)

 

ビエックション!

 

承一郎「………なんだろう。僕が何かディスられたような……」(←元クリスタル・クルセイダーズ)

 

忍「あちしもよ……」(←元クリスタル・クルセイダーズ)

 

承一郎「というか、いい加減起きてくださいよ。もう回復を終えてるんじゃあないですか?」

 

忍「無茶言わないで頂戴。結構バイスとの戦いのダメージが残っているのよ。クレイジー・ダイヤモンドは自分自身を治せないし、ゴールド・エクスペリエンスは打ち身には対処不能なのよ?フランケンシュタイナーを何度食らったと思っているのよ」

 

く………それを言われると………。

ジョルノ兄さんのゴールド・エクスペリエンスは正確には治療じゃあ無いからなぁ……。パーツ交換というか、そういうのに近い。

連続フランケンシュタイナーのネガティブゲインで頭をしこたまやられた忍さんの頭を交換するわけにもいかないし………。

後々に一色いろはの一人と対面したときに、ナイチンゲール・エメラルドの事を忘れていたと気が付いた僕達であった。

 

 

side空条承太郎

 

卍丸「承太郎さぁ、深く考えすぎだって。悪い奴だったらパッパとやっつけちゃえば良いんだよ」

 

承太郎「チッ!ガキは単純で良いぜ……」

 

クリスタル・クルセイダーズの奴らとの因縁はそんな単純じゃあ済まないんだがな……。

未来で会うという東方仗助の奴が言うには、俺はこの先、色々と物事を複雑に考えるようになると言われたが、思えば今の段階からその兆候はあるかも知れねえな。

 

承太郎「それはそうと、カブキ。テメェは鏡の前で何やっていやがる?」

 

カブキ「何って……勝ったときの姿勢だよ姿勢。このジパング1の伊達男が、華麗に勝った時に決めねぇでどうするんだってんだ?良い男ってのはよ、勝った後にこそバッチリ決めるってもんなんだぜ?」

 

ジョセフ「もう勝った時の事を考えておるのか……気が早すぎるんじゃあ無いのか?」

 

カブキ「バカ野郎!そんな事を言ってっから、そんなくたびれたジジイになるんだろう?ジョセフの爺さんよ」

 

ジョセフ「誰がくたびれた爺さんじゃ!ハリウッドスターのような渋いワシを捕まえて失礼な若造じゃ!これだから日本人は………」

 

おいおい。孫の俺はその日本人の息子なんだがな……。

ジジイが心配していることはわかる。

相手が勝ち誇った時、既にそいつは敗北している…。

ジジイは50年前、カーズと戦って左腕を失った。

DIOも……そして天国に到達したDIOだってそうだ。

勝ち誇り、油断していたからこそ俺達に付け入る隙があったと言える。

カブキの奴がどれだけ世界を救ったのかは知らねぇが、こいつは少し自信過剰な所があるようだ。

ヤレヤレ………俺はどうなっても知らねぇからな。

 

ナコルル「失礼します」

 

結局、録に休めねぇまま、俺達を大会に誘ったナコルルが書類をもって入ってきた。

 

ナコルル「おくつろぎの所を申し訳ありません。皆さんの第1回戦の相手が決まったようなのでお知らせに参りました」

 

カブキ「それはわざわざご苦労だったな、ナコルル。ささ、まずはこっちに来て酒でも一杯やろうじゃないか」

 

ナコルル「あ、あの………私はまだ忙しいのでゆっくりするわけには……私も大会には出場しますし、自分のちぃむにも対戦相手を伝えないといけませんので……紅丸さんや徳川慶寅さんみたいな人ですね…

 

どうやらポルナレフみたいな奴が沢山いるようだな。

そいつらとカブキでチームを組んだらどうなんだ?

 

カブキ「良いじゃねぇか。ちょっとくれぇよ。固いこと言いっこ無しだぜ?ナコ………」

 

ゴン!

ジジイがカブキの頭に拳骨を落とす。

ジジイがツッコミに回るのは珍しいな……。いつもなら下らねぇ事をするのはジジイの方なんだが……。

 

ジョセフ「話が進まんじゃろ!大体、生涯愛するのは一人だけで充分じゃ!誰彼構わず口説くのは感心せんぞ」

 

承太郎「………ヤレヤレだぜ」

 

ジョセフ「な、なんじゃ承太郎!その蔑みきった目は!」

 

承太郎「自分の胸に聞け。クソジジイ」

 

俺はもう知ってるからな。生涯妻しか愛さないと聖人のような事を言っておきながら、テメェが63の時に浮気して仗助という息子をこしらえていたことをよ。

基本世界の俺は知らなかったみたいで、お家騒動になったようだが……。このクソジジイはどうするつもりなのか……。

このまま放置とかするならただじゃあおかねぇからな。※2

 

ジョセフ「すまんなナコルル。まずはコーヒーでも飲んで喉を潤すが良い」

 

ジジイがコーヒーサーバーからコーヒーを注ぎ、ナコルルに渡す。

今度は別の意味でナコルルが困惑していた。聞けばナコルルは江戸時代の中期からタイムスリップをしてこの世界にやって来たのだとか。確か松平定信の寛政の改革の頃だったか?

だからコーヒーという飲み物に馴染みが無いのだろう。

それにナコルルは巫女だ。生臭坊主ならばともかく、当時の日本の聖職者にしてみればお茶なんてのは贅沢品に違いないだろう。

どこか抜けているのはジジイらしいというか……。

なに?不良のクセして歴史の授業をちゃんと聞いていたのかだと?

ヤレヤレ……。俺が不良になったのは高校の頃からだ。

それまでは優等生として通ってたんだよ。いわゆる高校デビューってヤツだ。

寛政の改革ぐらいすぐに出てこなけりゃ、将来学者兼冒険家になれるわけ無いじゃあないか。

この俺が海洋学者になるかどうかは別だがな……。

ナコルルは困惑しながらも、せっかく出されたコーヒーを飲まないのも気が引けるのか、俺の対面のソファに腰を落ち着かせ、コーヒーを一口、飲む。

日本の番茶とは違う苦味に顔をしかめながら、本題の対戦表を取り出す。

 

ナコルル「最初の対戦相手は……マシンチームです」

 

マシンチーム?

確か………。俺は雑誌を捲り、マシンチームの項目を見る。

メンバーはマキシマ、巻島ゆず、ロックマン、轟ジュンペイ……。

全員がサイボーグ、アンドロイドであるか、ロボットを操縦して出場するらしいが……いったいこの大会は本当に格闘大会なのか疑いたくなるぜ。

 

卍丸「うへぇ……あの土偶ロボやデューク・ペペみたいなのが相手か…嫌な思い出しかねぇや」

 

カブキ「土偶ロボはともかく、デューク・ペペはなぁ」

 

ジョセフ「シュトロハイムみたいなものか?想像が付かんのう……」

 

ナコルル「いきなり味方同士がぶつかる形になりましたが……」

 

承太郎「お前の協力者なのかい?」

 

ナコルル「はい。マキシマさんは怒部隊のウィップさんの弟さんと相棒関係なので……ねすつ……という組織と関係があるみたいです」

 

承太郎「ヤレヤレ……スクラップにしてやろうと思ったが、それは止めておいた方が良さそうだな」

 

ナコルル「あの……ロックマンさんも一応は世界を救った森羅の方やリュウさん達の同士なので止めて頂けると……森羅はうちのちいむのモリガンさんや、雪ノ下陽乃さんや一色いろはさんもお世話になっていますから」※3

 

なに?エリナおばあちゃんや茅ヶ崎陽乃も関係しているのか。

 

承太郎「大会の中で妙な関係図が生まれているな……」

 

ナコルルの話では、この雑誌に載っている大半の人間が少なからずナコルルの協力者か、その敵対者らしい。

 

カブキ「良いぜナコルル。華麗な勝利を飾って、お前の心配を全てカブキ団十郎様が取り除いてやるぜ。そしてどうだ?いっそジパングで俺様と一緒に仲良く暮らすってのは?おめぇなら、大歓迎だぜ?」

 

ナコルル「そ、それはちょっと……」(慶寅さんみたいな人は苦手なんですよ……)※4

 

こいつ、下手をしたらポルナレフよりも女好きかも知れないな………。

それにしてもナコルルの声はどこかで聞いた事がある気がするのだが………気のせいか?※5

 

 

sideエリナ・ジョースター(アーシスの一色いろは)

サウスタウン…そこそこのホテル

 

エリナ「…………」

 

いろは「…………」

 

アーサー「…………」

 

イロハ「…………」

 

エリナ「もう1つのストーン・オーシャン……ですか。そちらの一色いろはは弥七とは違うみたいですし…それに、あなたとは一回、会ったことがありますよね?材木座先輩」

 

今、わたしの目の前にはわたしの知らないわたしを知っている比企谷八幡、材木座義輝、一色いろはがいます。

他にはハチ君が組んでいる比企谷八幡の世界の沙希先輩に、この世界の超能力者、椎拳祟さんがチームメイトとしてKOSFに参加しているようです。

 

材木座「おおっ!あの杜王町の施設でお会いしたエリナ殿であるか!数ヶ月ぶりであるな!」

 

エリナ「わたしからしたならば1年ぶりですけどね」

 

やはりそうですか。

1年前、YASHICHIに乱入してきた材木座先輩に間違いなさそうです。

何故わかったのかと言いますと、材木座先輩が今の材木座先輩と同じくらいに痩せている材木座先輩だからです。

そして、その材木座先輩と目の前にいる一色いろはとの間には、なんというか『やはりわたしの青春ラブコメはまちがっている。』的な雰囲気があるんですよ。

ハチ君から聞いていますからね。別の世界の閣下が間違ってわたし達の杜王町に送り込んで来た『残念イケメン』の事情を。

 

声八幡『この残念イケメンが言っていた別の世界のエリナはお前だったんだな……』

 

エリナ「間違いないと思いますよ?まぁ、アーシスの世界の平行世界だっていくつあってもおかしくないと思いますけど。事実、わたし達は更にもう1つ、別のアーシスの世界を知っているわけですから」

 

ええ。去年のクリスマス直後にどじゃあんされた世界の事は忘れませんよ?

自分自身を……エリナ・ジョースターの転生である本物のわたし自身をコテンパンにやっつけるなんて真似、二度としたくありませんよ……。

ハチ君とジョジョ先輩、マチちゃん、はるさんも自分自身を……弥七みたいな異世界同位体の自分とかじゃあなく、過去の自分自身を嬉々としてボッコボコにしてましたが……。

あの時は海老名先輩が億泰さんを、雪乃先輩がミスタさんを倒したんでしたっけ?

わたし達の正体を見抜いた仗助とジョルノは不参加でしたけど。

その世界のアーシスがこの人達のストーン・オーシャンを……とか思うでしょうが、それはあり得ません。

何故なら、ノスフェラトゥと関わったアーシスのメンバーは……そして、この人達は承一郎先輩の事を知っていたのですから。

何故過去の自分自身をコテンパンにする必用があったのか。それは、その世界のわたし達のストーン・オーシャンには承一郎先輩が現れなかったからです。

承一郎先輩の役目をわたし達がやる羽目になった理由は……ここでは止めておきましょう。

 

イロハ「あ、今、承一郎先輩を思い出しましたね?エリナさん♪わたし達の前に現れたエリナさんとわたしはお互いをいろはちゃんと呼んでいましたけど♪」

 

エリナ「……何でわかったんですか?」

 

イロハ「わたしも……人外ですから♪さとりなんですよ。わたし♪おかげでエリナさんからは無茶な事をやらされましたけど………脳が焼ききれるかと思いましたよホント……」

 

エリナ「わたしじゃあ無いですからね?」

 

何をやらせたんですか?もう一人のわたし……。

え?ジョンガリAとホル・ホースを倒すのに互いのナイチンゲールを入れ替えて騙し討ちをしたんですか…。

このイロハちゃんは弥七とは違い、完全にわたし達と行動を共にしていたそうです。

その時、材木座先輩の所にカメオが、二人の戸塚先輩の所に……誰でしたっけ?本来のストーンオーシャンで徐倫から1000球を食らった……確かミラションが、そしてわたしとイロハちゃんの所にはジョンガリAとホル・ホースが現れたそうで……

中距離~近距離を得意とするわたしとは違い、イロハちゃんはスナイパー。

イロハちゃんがスタンドを得た時、エメラルド・ストライクを遠距離に特化した『エメラルド・スナイプ』という技を使っていたそうです。

そこでやったのが、ナイチンゲールの入れ替え作戦。

わたしを狙っていたジョンガリAとイロハちゃんを狙っていたホル・ホース。チグハグに逃げていたわたし達に見せかけて、イロハちゃんのナイチンゲールがわたしにピッタリとくっつき、逆にわたしのナイチンゲールがイロハちゃんにピッタリとくっつくという戦い方です。

離れた位置でピッタリと自分のスタンドのように見せることが出来た作戦を可能にしたのが、イロハちゃんのさとりの能力を使ってわたしの行動を読み取ったイロハちゃんのファインプレイだったそうです。

結果、イロハちゃんのナイチンゲールがエメラルド・スナイプでジョンガリAを、わたしのナイチンゲールがエメラルド・エクセスのラッシュでホル・ホースを倒した訳です。

いや……すごいですね……イロハちゃん。やらせるもう一人のわたしも大概ですけど。

 

声八幡『あの悪霊……下らない事を言っては空条先生を怒らせて人の頭をポンポンと拳骨落とされやがって……』

 

アヌビス「世界は変わっても八幡くんは八幡くんなのね……承一郎も苦労していたわ」

 

声八幡『や、あのDIOも相当だったぞ。空条博士との戦いの時は、『高層ビルの屋上で戦うならば、俺なら時間を止めて屋上から捨てる』とか言っていたし』

 

アーサー「うわぁ………」

 

声八幡『おまけに空条博士から、エジプトの仕返しとか言って、しこたまナイフを全方位から投げつけられたしな。DIO時代、何をやらかしやがったんだ?あの悪霊は……ヘリコプターを落とそうとか迷っていたみたいだし……』

 

ロードローラーのやり返しをしようか迷ったんだと思います。

はちまんくんはそこまではやられなかったですよね?

まぁ、あの世界のはちまんくんはドンパチ素人でしたし、承太郎も手加減していたんだと思いますが、この八幡先輩はノスフェラトゥのエージェントとして有名だったらしいですから、承太郎も手加減しなかったんだと思いますよ?きっと。

 

声八幡『ジョルノ義兄さんには普段の仕返しとか言ってワサビを塗りたくろうとして逆に俺がワサビの刑に処されるし……嫌な役回りの時だけ逃げるんだよ。アイツは!』

 

ハチ君らしいですね。ところで……

 

エリナ「ジョルノ…義兄さん?」

 

声八幡『雪乃の義兄分なら、俺の義兄。違うか?』

 

エリナ「……ああ。そういう事ですか」

 

この比企谷先輩の本物は雪乃先輩らしいですね。

ちなみにですが、承一郎先輩とノスフェラトゥの先輩は境遇がかなり似ています。

非人道的な実験によって辛い幼少期を送った事。

自分の中でもう1つの人格がある事。(オクタというらしいです)

それによってとんでもない力を持ってしまった事。(はるさんと同じくらい……弥七クラスですね)

家族が実の家族ではない事。(比企谷のお義母さん達は叔母に当たるそうです。マチちゃんとも従兄弟関係なのだとか)

 

事を八幡『そう言えばお前達の雪乃はどうなんだ?』

 

アヌビス「雪乃ちゃんはエンポリオと良い感じよ」

 

声八幡『エンポリオ?ああ……エンポリオ・アルニーニョか……』

 

空条エンポリオではないと言うことは……なるほど。

ある程度は弥七達の世界でのわたし達と同じな部分はあったみたいですね。

 

沙希「あのさ………そろそろあたしの紹介をしても良いかな?あたしはノスフェラトゥの川崎沙希じゃ無いんだけど」

 

拳祟「俺もや。俺達を置き去りにして盛り上がるのは止めてもらえんか?」

 

エリナ「ふぇ?あ、はい。どうぞ」

 

沙希「あたしはあんたらの比企谷が組んでいる比企谷の世界から来た川崎沙希。極限流空手の使い手だよ」

 

極限流空手……ですか。確かリョウ・サカザキさんという方が使う流派で、未来の2代目Mr.KARATEという…。

 

沙希「あたしはパオパオカフェ日本支店のバイト中に比企谷と出会って…………」

 

この沙希先輩はエンジェルラダーではなく、千葉に進出していたパオパオカフェという店でバイトをしていたところに、例の事件が発生したのだとか。

そこで沙希先輩と八幡先輩は事件解決後に試合をして、ライバル関係になったのだとか……。

 

イロハ「因みにそのせんぱいは雪乃先輩と結衣先輩、それにわたしと婚約しているそーでーす♪」

 

声八幡『うわぁ………』

 

材木座「な、なにぃ!」

 

アヌビス「(☆∀☆)」キラーン!

 

エリナ「………ハチ君の精子バンクの取り引き、反故にしますよ?ハルさん」(修学旅行編、竜安寺での取り引き)

 

まったくこの人は!マチちゃんと同じくすぐに始まるんですから!

 

拳祟「どうも沙希の世界では俺の相棒のアテナのコンサートがきっかけだったらしいで?」

 

アーサー「アテナちゃんの?」

 

拳祟「そや。というか、何で自分、アテナの事を知ってるねん?」

 

アーサー「聞いたことがありませんか?ククリが作った妄想世界の話」

 

いろは「ナコルル様や八神庵様も囚われたという夢の世界ですね?テリー・ボガード様も女にされたとかいう……」※5

 

意外な接点ですね。盗賊アーサーさんはその事件が縁でナコルルさんに協力しているのは知っていましたが。

 

アーサー「……っていうか、何で拳祟さんはこの人達と一緒にいるんですか?ボッチなんですか?それとも振られたんですか?何か哀愁が漂っていて色々と無理ですごめんなさい」

 

エリナ&イロハ「なんですかそれ?わたしの高速(早口)お断りの真似なんですか?声が似ているからと言っていちいち真似されるとかイライラするんで止めてくださいごめんなさい」

 

いつかやるとは思ってましたよ!盗賊アーサーさん!

わたしの高速お断りの真似!承一郎先輩のところの春ちゃんもやってましたし!

あ、ゲッターの世界のれんちょんにもわたしと声が似ているって人がいましたっけ?確か「なっつん」とか言いましたか?

案外、忍さんに対して高速お断りをしていそうです。

 

side藤崎忍

 

忍(世紀末覇者)「っくしょん!」

 

承一郎「風邪ですか?こんなところで寝てるから……」

 

忍「違うのよ………何か変な光景が浮かんだのよ…。具体的にはいろはちゃんと声が似ている女の子から高速お断りをされている光景が……」

 

承一郎「止めてください。僕も春ちゃんから良くやられるようになったんですから」

 

いろはちゃん。性悪コンビの悪行が目立つけど、何気にあの子も高速お断りの被害を拡大させてるわね……。

 

sideエリナ・ジョースター

 

拳祟「なんや自分ら………俺かて好きでボッチになったんとちゃうで?何でか知らんけど、俺の知り合いが全員チームを組んどるのに、何故か師匠は俺だけ中国に残っとれ言うんや!何でやねん!」

 

えっと……拳祟さんはKOFではサイコソルジャーチームというチームで毎回参加しているみたいなのですが…。

他のサイコソルジャーチームのメンバーは……

麻宮アテナさんは女子高生チーム(極限流沙希先輩の世界では総武高校の体育教師をしている春日野さくらさんと組んでいるみたいです)

 

鎮元斎老師は老師チーム(極限流沙希先輩の世界では八幡先輩の兄貴分、テリー・ボガードさんの養父の師匠、タン・フー・ルー老師と組んでいるみたいです)

 

桃子さんはキック・ザ・ファイターズチーム(沙希先輩の世界では沙希先輩のバイト先のオーナー、パオパオカフェのオーナーと組んでいるようです)

 

あー……見事にハブられてますねぇ……。

 

拳祟「で、途方に暮れていたところに比企谷や川崎に声をかけられたんや………」

 

どういった経緯なのでしょうか?

 

声八幡『それは俺の方から説明するよ……』

 

 

side比企谷八幡(声を失った少年)

 

俺達ノスフェラトゥの実行班が訳のわからない世界に突然放り込まれたのはいつものように任務を終えて帰ろうとした時だった。

そして、その場所は中国の秘境……。

かなりの山奥だ。

 

声八幡『どうするか……通信機も通じないようだし』

 

ノスフェラトゥの通信機は政府から支給されている最新式だ。

例えブラジルにいたとしても、国連が使用している衛星秘匿回線を介してノスフェラトゥの本部まで通信が届くようになっている。

それなのに沈黙しているとか……故障か?

 

材木座「むう……故障とかでは無さそうなのだが…」

 

材木座はうちのメカニックも担当しており、大抵の故障などはすぐに修理してしまう。

サイボーグである材木座は自己メンテナンスを行う等の関係でメカニックに詳しくなった関係だろう。

かつてDIOに『声といい、サイボーグである点といい、何かあれだな。どこかの勇者王みたいだな』とか言われていた事を唐突に思い出してしまった。

それはさておき……。

 

イロハ「GPSはどうですか?」

 

材木座「それもダメだ……周波数が合わん……どうなっておるのだ?」

 

声八幡『残念イケメンが本当に残念になったか……』

 

材木座「やかましいわ!いい加減、相棒の扱いの改善を要求するぞ!八幡!」

 

涙目で抗議してくる材木座を適当にあしらい、俺達は仕方がないので山道を歩く。

山道と言ってもまともな道ではない。所謂獣道だ。

どうしてこうなってしまったのか………。

 

イロハ「はぁ……はぁ……」

 

まずいな………一色はさとりと同時にサキュバスのハーフだ。

吸血鬼程ではないが、太陽には弱く、長時間の活動には向いていない。

 

材木座「太陽が燦々と輝く時間帯の行軍はキツいで御座るな?八幡……」

 

心が八幡『どこかで聞いたナンセンスギャグだな』

 

材木座「偶然だわ!貴様もいろはの事を少しは心配せんか!普段助けて貰っておるだろうが!」

 

どこで聞いたか?

ニューヨークだったか?

そうだ。ジョセフ・ジョースターさんを助けた時だったな。またあの悪霊を思い出してしまった。

それに、別に一色の事を気にかけていない訳じゃない。

材木座が言うように、一色には主にメンタル面で日頃、世話になっている。

サキュバスの力を応用した特殊なメンタルケアだ。

どこかに日差しを遮る場所が無いか、一生懸命探しているところだ。

 

イロハ「ぐ……ぅぅ……」

 

声八幡『どうした?一色……』

 

いくら日差しに弱い一色と言えど、こんなに早くにはバテたりしない。

これは……かなり強い負の感情をさとりの力が感じ取ってしまったときの一色だ。

一色のさとりの能力は強い。それ故に普段はさとりの力を抑制するコンタクトレンズを使っているのだが、それを貫通するほどの強い負の感情…。

これはただ事ではない。

それに、もしかしたら何かしらの情報を持っているかも知れない。

 

声八幡『方向はわかるか?一色』

 

イロハ「ここから………少し南の山を登った所です…」

 

一色は太陽と影の関係から時間と方角を探り、指を指す。

俺達の誰もが出来るホウホウだが、スナイパーである一色はその中でも特に秀でている。

スナイパーと言うものはただただ長距離射撃が得意なだけでは務まらない。

地図の読み方から方角の選定の知識も求められる。

 

声八幡『了解。材木座は一色を見ていてくれ。俺が行ってくる。発信器も起動しておいてくれ』

 

材木座は早速発信器を起動させる。

受信機を確認すると、発信器は正常みたいだ。

良かった。訳のわからない土地で万が一にもはぐれてしまったならば事だからな。

 

材木座「急げよ八幡。いろは殿の状態が心配だ」

 

声八幡『わかっている』

 

俺は一色に言われた方向を走る。

その先には弁髪にしている男が一人、大量の血を流して倒れているのを発見した。

これはすぐにでも輸血が必要だが……。

 

声八幡『大丈夫か?意識はあるか?』

 

?「誰だ……貴様は………」

 

声八幡『俺は……比企谷八幡……所属は明かせないが、お前はどうやら人外みたいだな……』

 

こいつの血は………普通じゃない。

俺と同じ………だとすればもしかしたならば……。

俺は腕の動脈を切り、男に血を流す。

俺の血は他人に触れさせてはいけない。何故ならば非常に強力な猛毒だからだ。

だが、この男の血液は………信じられない事に、俺と同じ猛毒だった。

だとしたならば、俺の血を分け与えれば………。

なんだか吸血鬼時代のDIOみたいな真似をしているな。

 

?「ふ、ふん………礼は言わんぞ」

 

予想通り、男は少し回復したようで、すぐさま俺から距離を取る。

まさか俺の毒の血液が役に立つ日が来るとは…。

 

?「貴様は………飛賊か?」

 

声八幡『飛賊?』

 

聞いた事がない種族だ。

もしかしたならば新種の人外なのかも知れないな。

弁髪と言うことから、中国人の人外と見るべきか?

 

?「毒の血液を持つ者など、飛賊以外にあり得ん」

 

最強八幡『いや。飛賊とか言うのとは違うのだが……まぁ、俺達が普通じゃ無いことだけは確かだな』

 

?「何………ならば飛賊の事を知った貴様を生かしておくわけにはいかんな…覚悟して貰おう!」

 

………おい待て。勝手に早合点して勝手に喋り、勝手に逆ギレするんじゃない。

狩にも命の恩人に対する態度がそれって何なの?死ぬの?八幡泣いちゃうよ?

 

??「待て鱗。飛賊の事が知られるのは今更だろう。私もお前もKOFには何度も出場しているのだからな」

 

鱗「デュオロンか……」

 

デュオロン?

…………何だ。初めて聞くはずなのに、妙に心がざわつく……。

デュオロン……オブ………。ぐっ!何やら危険な何かを思い出しそうだ………。

 

デュオロン「同族が失礼した。私は飛賊の一人、デュオロン。鱗を助けて貰って感謝する。恩を仇で返すとは…」

 

声八幡『い、いえ。誤解が解ければ……』

 

この男………どれだけの怨念をその身に宿している…。

飛賊という集団がノスフェラトゥのような集団であることを切に願うが………。

 

デュオロン「恩には恩でむくいなければならない。何か我々に協力出来ることは無いだろうか?」

 

声八幡『それならば………すぐ近くに俺の仲間がいるのだが、一人は太陽が苦手でな………陽を避けられる場所を探している。後は………情報が欲しい』

 

デュオロンは少し考え込むと、軽く頷く。

 

デュオロン「良いだろう。飛賊の里に案内するわけにはいかないが、陽の光を遮れる最適な場所へと案内しよう」

 

デュオロンと呼ばれる男は鱗と比べれば話が通じる男らしい。正直、助かった。

そして俺達はデュオロンに連れられ、デュオロン達飛賊が使っている山小屋に案内された。

 

 

結果的に言えば、一色が元気になることは無かった。

理由はデュオロンに纏わりつく怨念。

さとりである一色にとって、デュオロンが纏う怨念はあまりにも強烈すぎた。一色が感知していた負の波動はデュオロンから発せられていたものらしい。

 

デュオロン「まさか私に憑いている怨霊がこの娘の不調の原因になっていたとはな……知らなかった事とはいえ、済まない事をした……」

 

デュオロンさんは深々と頭を下げる。

 

声八幡『いえ……それよりも知りたいのは、ここは俺達にとっては異世界……という話は本当なんですか?』

 

デュオロン「ノスフェラトゥという組織の名前に私は聞き覚えがない。我々も中国政府に深く食い込んでいる暗殺集団だ。ノスフェラトゥという組織の規模が本当ならば、互いが互いの情報に引っ掛かっているだろう?」

 

確かに………。ノスフェラトゥは中国にも支部が存在する。

そして飛賊という種族がいるならば、間違いなくその情報が入っていることは間違いない。

それに………。

日本にもノスフェラトゥと同じように妖怪や堕神に対処する組織があるようだ。

その名は森羅……。少しまえに逢魔という組織が起こした異界を巻き込むテロ活動を止めた組織だ。そんな組織があり、ましてやそこまでの大規模な事件だったのならば、ノスフェラトゥの耳に入らない訳がない。

ならば……

 

声八幡『信じ難い話ではありますが……デュオロンさんの仮説は一考に値する話だと思います』

 

デュオロン「可能性はあるというだけだが。まるで前例があるような反応だな?」

 

材木座「………自分達の異世界人が現れた事がありましたし、その世界に一晩だけ行ったことがあるゆえ……」

 

そう。DIOの奴の話だ。

それに、材木座は別のDIO達にも会ったことがあると聞いた事がある。

 

デュオロン「わかった……。それでは私の既知に話を通しておこう……」

 

デュオロンさんは携帯で誰かと連絡を取る。

 

デュオロン「小牟か……森羅に少しお願いしたい事があるのだが……ふむ。何?……地獄門……だと?うむ。わかった……」

 

すぐさま電話を切り、デュオロンさんは俺に向き直る。

 

デュオロン「ノスフェラトゥに、雪ノ下陽乃……という存在はいるか?」

 

声八幡『ええ。まぁ、将来の義姉とでも言いますか…』

 

デュオロン「既に森羅がノスフェラトゥの雪ノ下陽乃と接触しているようだ。そして……仙狐、小牟をもってしても手が出せぬ存在がこちらに向かっているとの事なのだが………」

 

陽乃さんが既にこの世界にいる?しかも、仙狐・小牟?

九尾の末裔である陽乃さんが目指す妖狐の上位の存在。その仙狐が手を出せない存在とは一体……

 

Ms.OFUKURO「もう来てるわよ?」

 

は?

背後から声をかけられ、振り返ると、そこにいたのは…。

 

声八幡『か、義母(かあ)さん?』

 

ふざけたお面を付けているが、間違いない。

この声は確かに義母さんだ。

しかし、義母さんが仙狐よりも上だなんて話は……

 

材木座「こ、このお方は………ま、まさか……」

 

Ms.OFUKURO「ハァイ♪久しぶりね。ノスフェラトゥの材木座君♪君達にとってのもう1つのアーシスの杜王町以来かしら?」

 

どこの世界のかは知らないが、別のアーシスの世界に行った材木座が遭遇した義母さん……確か……比企谷白良という……

 

Ms.OFUKURO「そして初めまして♪声を失った少年の八幡♪いやー、あなたの事を知ったときは陽乃ちゃんをどうしてくれようかと思ったわ♪」

 

確かに俺が声帯を失うきっかけになったのは陽乃さんが原因だが……。

今はその事を気にしていない。陽乃さんをどうこうされたら俺が困る。

義理の姉になる予定の人だし。

 

材木座「バカな事を考えるなよ?八幡……こ、この人は全力で逃げようとしたDIO殿と静・ジョースター殿を捕まえた上、泣きながら必死に抵抗するDIOをアイアンクローで沈めた御仁だ!」

 

なにっ!?あのDIOを!?

DIOと俺が戦えば、スペック的には俺の方が上だ。

しかし、あのDIOはスペックとかそういうので左右される奴ではない。

条件次第では俺だって手こずる。

そんなアイツをアイアンクローで沈めただと?

 

Ms.OFUKURO「大丈夫よ?八幡。あれはDIOがアホな事ばかりするからしO・SHI・O・KIただけだから♪私はすべての比企谷八幡の味方だもの♪もちろん、あなたの事もね」

 

そのわりにはDIOは沈めるのか……。アイツも一応は比企谷八幡のはずなのに。

確かにアイツはアホだったが……。しょっちゅう姉貴分の空条先生を無駄にいじくっていたしな。

 

Ms.OFUKURO「大丈夫よ♪今の陽乃ちゃんをどうこうするつもりはないから。アルバイトを引き受けて貰ったしね♪」

 

それ、拐ったと言わないですか?

口には出さない。DIOと同じ轍を踏むつもりはない。

もう一人のDIOが俺と関わったDIOと同じかは分からないが、まぁ……ほぼ同じだろう。

 

Ms.OFUKURO「それにしても………へぇ。あなたがこの世界に来たと知って、すぐに元の世界に帰してあげようと思ったけれど……そう。あなたも弥七ちゃんに匹敵するレベルかぁ……」

 

弥七?

 

Ms.OFUKURO「わたしの世界に近しい世界のいろはちゃんよ♪ねぇ八幡?ちょっとアルバイトをしてみる気にならない?」

 

い、嫌な予感しかしない。

陽乃さんをも手玉に取り、DIOを簡単に沈めるこの人の依頼なんて……絶対に普通じゃない。

 

声八幡『おことわ………』

 

Ms.OFUKURO「DIOも承一郎君も忍君もこの世界に巻き込まれてるし、更に別の八幡も巻き込まれているからお義母さん、とても困ってるのよー。さすがにみんなの面倒までは見れないし……」

 

その名前、確かDIOの砕けた魂を集結させるために、アーシスの千葉村で出会った存在じゃ……。

俺は1枚の封筒を取り出す。

承一郎に渡された『DIOの被害者の会』の招待状だ。

これまでの話を聞く限り、俺が出会った承一郎とは別の承一郎なのだろうが……。

 

Ms.OFUKURO『更にエリナちゃんのいろはちゃんとか、アヌビス神の陽乃ちゃんとか大変なんだけどなぁ……そっかぁ……ダメかぁ。困ったなぁ………』

 

く…………

 

八幡『分かりましたよ!聞きますよ!ここで断ったら俺が悪人のように聞こえるじゃないですか!』

 

Ms.OFUKURO「さっすが八幡♪優しいわー♪」

 

この義母さん……結構いい性格だな……。

 

Ms.OFUKURO「早速なんだけど、ある二人を助けて欲しいのよ♪」

 

声八幡『ある二人?』

 

Ms.OFUKURO「デュオロンちゃんも無関係じゃない子よ」

 

デュオロン「私が関係する者?……まさか、(ロン)!」

 

Ms.OFUKURO「正確には龍が狙う(りゅう)の気を使う子ね」

 

デュオロン「椎拳祟……」

 

あの………こっちを置いていきぼりで話を進めるの、止めてもらって良いですか?

 

キング・クリムゾン!

このシリーズが始まって以来、まさかこの表現を初めて使うのが俺とは……。

 

沙希「まさか、椎拳祟がここまでやるなんてね……」

 

拳祟「ロバートはん程や無いけど、まぁまぁやるやないか?自分」

 

あれがあの義母さんが言っていたDIOが組んだ比企谷八幡の世界からやって来た川崎と、奪われたらオーバーヘブン並にヤバイことが起こる力を持つ椎拳祟か……。

あの川崎……結構いい動きをするな。

極限流空手。その流派の最強の虎という極限流空手の二枚看板の方翼を担う男、ロバート・ガルシアに師事をして貰ったという川崎。

蹴りが鋭そうな足なのは俺の世界の川崎とも同じだが、あの川崎はその足技を更に磨きをかけたと言った感じだ。

 

声八幡『そう言えばツェペリも結構な強さだったな』

 

材木座「だが、どう説明する?」

 

何があったのかは知らないが、ストリートファイトをしている二人。

義母さんから保護を頼まれた二人が同時にいたことは重畳だが、介入するには二人とも気が高まり過ぎている。

 

沙希「こうなったら………覇王!」

 

拳祟「こないならどうや!神龍!」

 

二人が決めの必殺技に入ろうとしているようだ。

ならば………

 

沙希「翔吼拳!」

 

拳祟「超球弾!」

 

二人の巨大な気の塊がお互いを攻撃しようと放たれる。

ドォォォォォン!

 

声八幡『く………ぐぅ………』

 

間に割り込み、両方の気の塊を受ける俺。

この世界やもう一人の俺の世界から現れた人間の身体能力は高いと聞いていたが、ここまでとはな……。

 

沙希「比企谷!」

 

拳祟「何や自分!対戦の間に割り込みよってからに!」

 

声八幡『この勝負。預からさせて貰うぞ』

 

声を失った俺が喋る為に装着している電子音の声を聞いた川崎が怪訝な顔をする。

 

沙希「………あんた、誰?比企谷だけど比企谷じゃないよね?」

 

声八幡『一応は比企谷八幡だ。とある依頼を受けて、あんたら二人をサポートしに来た』

 

俺の体は特殊だ。吸血鬼並に受けたダメージを修復する。

これが俺の人外としての能力の1つだ。

とはいえ、ガードしていなければ覇王翔吼拳と神龍超球弾のサンドイッチはキツいものだったが。

 

声八幡『まず川崎。この世界はお前達の世界じゃない。良く似た世界ではあるらしいがな』

 

川崎「はぁっ!?あんた、何を言って……」

 

声八幡『そして椎拳祟。師匠の言い付けは守るんだな。お前が手にした龍の気を狙う奴がいることを知れ。鎮元斎老師からの言付けだ。KOSFに出ることはもう止めないが、後で説教じゃ……だそうだ』

 

俺はデュオロンさんから託されたKOSFの招待状を見せる。これさえあれば、俺がこの世界に巻き込まれた原因である地獄門とやらを悪化させている黒幕に近付く大会に参加できるからな。

そう。椎拳祟の龍の気は、ルガールやベガとやらに狙われている。

 

拳祟「師匠から!?それに招待状!いつの間にか盗まれておったんや!それを譲ってくれるんか?」

 

声八幡『鎮老師は俺と一緒に出場する事が条件だと言うことらしいがな』

 

ナコルルという女から頼まれた事らしい。

 

沙希「比企谷。どういう事?あたしにはさっぱりわからない事なんだけど」

 

俺は川崎にこれまでのあらましを説明する。

と言っても、俺も義母さんの異世界同位体から聞かされた話程度にしか知らないが。

 

沙希「KOFの流れを汲む大会か……」

 

声八幡『知っているのか?』

 

沙希「あたしの世界では、KOFを知れない格闘家は格闘家じゃないよ。あたしの師匠も過去に出場した大会だしね」※7

 

声八幡『………そうか。出るつもりは無いか?KOSFに』

 

沙希「あたしが?」

 

もし川崎が出ないのならば、俺と材木座、それに一色で出れば良いわけだが、一色は俺達とは違い、接近戦が得意じゃなければ興味もない。

ならば、この川崎が出て経験を積むのが良いと思うのだが……。

 

沙希「あたしがKOFに……。でも、あたしの実力はまだ一流とは………」

 

うーん……さっきの技を見る限りでは、充分だとは思うのだが。

 

声八幡『……ならば、お前のライバルも出場する……と言ったらどうする?』

 

あの性悪コンビの……DIOの奴と組んでな……。

 

沙希「比企谷が?」

 

ピクリと反応する川崎。

俺は比企谷八幡とは一言も言ってはいないがな。

 

沙希「………出る。アイツが出るならば、あたしもKOFに参加する。メンバーは……」

 

声八幡『俺達5人だ。四人一組の大会だが、特別ルールでストライカー専門として1人追加する事は可能らしい』

 

一色は材木座のストライカーとして参加する。

後ろから射撃する役目だな。

ノスフェラトゥチーム結成の瞬間だった。

 

キングクリムゾン!

 

そして、エントリーを済ませた俺達は、第一回戦の為にサウスタウンへ。

そこでバッタリとエリナに遭遇し、今の状況となっている訳だ。

 

sideエリナ・ジョースター

 

沙希「それにしても、本当に一色が二人もいるなんてね。何だか悪い夢を見ている気分だよ……」

 

エリナ「わたしとしては何度かありますから、もう慣れちゃいましたけどね。四人も現れるのは初めてのケースですけど……それで、勝ち進めそうなんですか?先輩達は?わたし達はバーンシュタインチームというチームが相手ですが」

 

ルガールの息子、アーデルハイド・バーンシュタインという人がリーダーのチームですね。

他のメンバーはイングリッド、ジェニー・バーン、鏡恭介という人のチームです。

 

沙希「あたし達は鬼のサイキョー流チーム。あたし達の世界の材木座や比企谷と縁がある人間のチームね」

 

案外、因縁があるみたいですね。

 

声八幡『貴族チームのデミトリや、異世界姉妹チームのモリガンと戦いたかったがな』

 

いやいや。それらのチームは主人公やラスボスが含まれているチームですから、そうそう1回戦で対戦するのには勿体無いチームですよ?メメタァ!

 

声八幡『そうか………お互い、健闘を祈る。出来れば、お前とも戦いたいものだな……』

 

エリナ「無茶言わないで下さいよ………」

 

この比企谷先輩は間違いなく弥七クラスです。

材木座先輩はサイボーグのようですし……優勝は凄く難しそうです。

ハチ君達と潰しあってくれませんかねぇ……。

 

 

side比企谷八幡(声を失った少年)

 

エリナ達との挨拶を終えた俺達は帰路を歩く。

すると………

 

声八幡『…………』

 

一色が怯え始めた。

確か一色は………。

いる。まさかこんな所で出会うとはな………。

 

イロハ「せんぱい…この感じは…」

 

ああ。わかっている。

いるのは知っていたんだ。いつかは会うと思っていたさ。

 

声八幡『隠れていてもわかるぞ、DIO』

 

気配を完全に断つ技術は完璧でも、一色からは逃れる事は出来ない。

 

DIO「チッ………」

 

沙希「また比企谷……でも、この目付きの悪さは……」

 

懐かしいその姿。

初めて会う男だが、こいつは間違いなくあのDIOそのものだ。

 

DIO「………やり過ごそうと思っていたんだがな。よく幻影の波紋を見破ったじゃあないか。初めまして、ノストラダムスの比企谷八幡」

 

相変わらずふざけた男だ。

幻影の波紋………。

確かハーミット・パープルと波紋の力を利用した透明化の技術だったな。

 

声八幡『見破ったのは一色だ。どんなに巧く隠れていても、一色のさとりの力からは隠れられない。そして、一色がさとりの力を使って怯える相手はお前かジョルノ兄さんしかいない。あと、ノスフェラトゥだ。1999年の恐怖の大王は関係ない』

 

正確にはお前の中に眠るレクイエムの影に……だがな。

 

DIO「…………なるほどね。いろはに怯えられるのは、心情的には堪えるものがあるな」

 

声八幡『………何故、俺の正体がわかった?』

 

DIO「材木座だな。一度会ったことがあるのもそうだが、前にこいつは言っていた………。お前は声を失っている………とな」

 

声八幡『おいこの残念イケメン』

 

材木座「けぷこんけぷこん!」

 

咳払いで誤魔化すな。

訂正する。相変わらず油断のならない奴だ。

 

声八幡『………仕掛けてこないのか?』

 

DIO「何でだよ。仕掛ける理由がねーよ。単純にめんどくさそうだからやり過ごそうとしただけだっての」

 

本当にそうなのかと一色に確認すると、どうやらその言葉に嘘は無いらしく、一色が頷く。

 

DIO「それに………」

 

うん?

 

DIO「お前も俺を助けてくれたんだろ?」

 

声八幡『俺が助けたお前は、お前じゃない』

 

DIO「何かのボタンがかけ違えば、俺が出会っていたのはお前だったかも知れない。たら、ればの数だけ平行世界は存在する。もしかしたらばお前が助けた俺が、今頃はこの世界と同じ世界で弥七の世界の比企谷八幡と出会っている」

 

声八幡『………かも知れない……では無くてか?』

 

DIO「この比企谷八幡は、既にその世界が誕生していると断言する!」

 

ゴン!

いつかは殴ろうと思っていたが、案外早かったな。

空条先生のきもちが良く分かる。

 

DIO「規格外の力で拳骨はやめてね?マジで痛いから。で、思わずネタに走ったが、言ったろ?想像の数だけ平行世界は存在し、誕生していると」

 

………あっちのDIOも言っていたな………

最終的にはこいつは………

 

声八幡『俺と当たっても、真実の消滅だけは勘弁してくれよ』

 

ザ・ワールド・レクイエムはやめて欲しい。

短時間だけならば、こいつはレクイエムを支配出来るはずだ。

 

DIO「やるか。『格闘ごっこ』である内はな」

 

DIOは歩き始める。

ポケットに手を突っ込み、スタスタと。

 

声八幡「負けるなよ?」

 

DIO「善処するよ。もっとも、承一郎やら忍さんやら弥七やらがいる中じゃあ、確約は出来んがな」

 

DIOは………世界が変わってもDIOと言うことか。

 

沙希「比企谷!」

 

DIO「あん?何だ?ウッペリさん」

 

沙希「うちの世界の比企谷に伝えて欲しい。あたしと大会で当たるまで、負けるな………って」

 

DIOはキョトンとする。

 

DIO「ああ。八幡には伝えておくよ……忘れるまで忘れないつもりだ」

 

それ、今すぐ忘れるかも知れないって事だろ。相変わらず普段のコイツはアホで意味不明だ。

 

←To be continued




※1
茅ヶ崎陽乃
第2章における陽乃の偽名。
EOH事件は第2章と第3章の間に起きた事件の為、当時の陽乃はまだ茅ヶ崎と名乗っていたので、EOH承太郎は陽乃の本名が雪ノ下陽乃であることを知らないし、アーシスはEOH事件の後に結成されたので、EOH承太郎の中ではアーシスメンバーはまだクリスタル・クルセイダーズという認識である。
また、承太郎が言っているいろはと陽乃は、弥七と九尾の陽乃であるため、人違いである。
アーシスのいろは達当人達はKOF世界では無名である盗賊アーサーとサムスピのいろはであるため、名前は載っていてもピックアップはされていない。

※2
EOHの承太郎
EOHを経た第3部承太郎は、既に第4部以降の出来事を既に知っているのでジョセフの浮気と仗助の存在を知っている。
EOHのエンディングでは杜王町に徐倫を連れてきているので、どう転んでも原作通りにはならないだろう。

※3
ロックマンとナムコXカプコンシリーズ
裏陽乃に修行を施した森羅のエージェント、小牟が主人公を務めるシリーズ。ロックマンタイプはダッシュとエックス、ゼロが参戦している。
他にもリュウ、ケン、春麗、さくら、かりん、ガイ、ハガー、デミトリ、リリスも関わっている。(鉄拳の風間仁や三島平八、ゼノサーガのコスモス、サクラ大戦の大神一郎や三大ヒロインも参戦)

※4
カブキと似たキャラ
KOFの二階堂紅丸、サムスピの徳川慶寅、餓狼のキム・ドンファン等、SNKには女好きキャラが豊富である。
今回のカブキもSNK側キャラだったか?


※5
ナコルルの声
KOF14以降、ナコルルの中の人は雪ノ下陽乃の中の人と同じである。
それまでは生駒治美さんという方がナコルルの声を担当していた。生駒治美さんは他にもキング、ブルー・マリー、サムスピのシャルロットの声を担当。他にもKOF96では「ラウンド1!レディー・ゴー!」や、「KO!winner is 京!」というナレーションもやっており、KOSFでのナレーションのイメージは生駒さんの声で行われているイメージで本城は妄想している。

※6
テリーや八神庵が女にされた妄想世界
SNKヒロインズでの話。アテナと盗賊アーサー、テリー、八神庵(ミスX)の他には舞、ユリ、レオナ、シェルミー、ムイムイ、ラブハート(ナコルルの仲間)、ミアン(KOF14キャラ)、シルビ・ポーラポーラ(ネスツの改造人間の一人。きゃりーぱみゅぱみゅ)、ムオン(キムの師匠の愛人)、スカロマニア、ジャンヌ・ダルクが巻き込まれた。
チームストーリーでは盗賊アーサーのエンディングにておのオマージュがあり、女体化したDIOが小町化した上に女体化承太郎、テキーラ娘になったジョセフ、徐倫、エリナいろは、リサリサ小町、花京院海老名も巻き込まれた。
本城的には他にもウィップ、ヴァネッサ、マリー、マチュア、バイス、アリス、雛子、いろはも巻き込まれて欲しかったまである。

※7
川崎沙希の言うKOF
KOFシリーズのKOFではなく、龍虎の拳2のKOFを指す(餓狼伝説シリーズと龍虎の拳シリーズはストーリー的に繋がっている)。
三人一組、または四人一組のチーム戦形式ではなく、従来の1人対1人の対戦方式。
佐世保ライダーさんの世界でも草薙京や麻宮アテナが登場し、ストリートファイターシリーズのキャラとも絡んでいるので、KOFシリーズのKOFも開催されているかも知れないが…。

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