その仇を取るは火多出身の火の勇者、戦国卍丸!
伝説のRPGの主人公対伝説のアクションゲームの主人公の戦いが幕を開ける!
sideなし
卍丸「
ジョセフ「コォォォォ……」
KOされたカブキを運び出した卍丸とジョセフ。
卍丸はたまたま持っていた治癒の巻物、「息吹」で、ジョセフは波紋の治療法を使ってカブキを癒していた。
「息吹」とは国民的RPGで言うところの「ベホ○ミ」や「ケア○ラ」に相当する術だ。
「ベホ○ム」にあたる「昭和」や「ベ○マ」に相当する「富士」の術を使いたいところだが、まさかこんなことに巻き込まれるとは思ってもみなかった卍丸。※1
たまたま息吹の巻物を持っていたのは、基本的に田舎で野良仕事や山賊及び野犬退治等、微妙に生傷を作りやすい仕事をしていたために普段から持ち歩いていただけに過ぎない。
卍丸(まずいなぁ。強い巻物の殆どは預かり所だ……)
手持ちの巻物は下級から中級の術。
むしろ凍竜の巻物を持ち歩いていたカブキに驚く。
派手好きのカブキの事であるから氷の竜を作り出す凍竜の術は目立つための手段だったかも知れないが。
卍丸(勝てるのかなぁ……デューク・ペペみないなのを想像してたけど、あいつは身軽な上に結構強いぞ…)
かつて戦った根の一族の大将、デューク・ペペ。
妻の仇として卍丸を付け狙い、すべてを捨てて体をサイボーグ化させて来た宿敵を思い出す。
デューク・ペペが火力と装甲を重視するスーパー系ならば、ロックマンは機動性を重視したリアル系のロボットだ。
タイプのまるで違うカラクリに緊張を隠せない卍丸。
一方でリングの上のロックマン。
彼はリングポストに座りながら、静かに目を閉じていた。
一見、余裕を持ってカブキを下したかのように見えるロックマン。だが、細かく攻撃を受けていた上に、アンドロイドである彼には問題があった。
インターバルの時間が全く意味をなしていないのである。
KOFのルールを採用しているこの大会。ラウンドとラウンドの間には若干のインターバルが存在し、前のラウンドを制した選手は次のラウンドまでの間、休憩を取ることが出来る。
しかし、それは自己治癒力のみの自然回復力のみであり、本格的な応急措置などはリングの外で行わなければならない。※2
アンドロイドであるロックマンには自己治癒の手段はなく、専ら「E缶」等によって補給を行わなければ回復する手段は無い。
心配点はそれだけではない。
生身の人間ならば自身に纏う気や何らかの力を自力で溜めているのに対し、マキシマを除くこのチームは、エネルギー残量を補給する手段は無い。
当然、ロックマンもその縛りはあり、ロックバスター以外の武器を使えばエネルギーの残量は減る。
ロックマン(あの紫色の髪の子と、学生服の男の子は強い……どこまでもつかな………)
そろそろ時間というところで、卍丸がリングに上がる。
卍丸「よしっ!いくぞ!」
卍丸が孤軍刀を抜く。
カブキと違い、まっすぐな瞳でロックマンを見据える卍丸。
ロックマン「君は……まっすぐなんだね」
卍丸「へへへ。そういうお前こそ、キレイな目なんだな。おいら、そういう奴と戦うの、初めてだからワクワクするよ」
卍丸 VS ロックマン!
ラウンド2!
レディー……ゴー!
卍丸&ロックマン「…………」
互いの隙を探すべく、相手の出方を伺う英雄二人。
ロックマン(カブキ君との試合でダメージを受けている分、僕の方が不利だ。僕の方から仕掛けるしかない)
このままタイムアップになり、判定にもつれ込んだ場合、その判定基準は残り体力が多いと判断された方が勝利となる。
このままお見合いをしていては、既にダメージを負っているロックマンが負けになるので、ロックマンは仕方がなく攻撃に出る。
ロックマン「ロックバスター!」
無制限で撃てるロックバスターで卍丸を揺さぶるロックマン。
卍丸「それならさっき、散々見てきたぜ!」
卍丸はバスターの砲口を見切って回避行動に出る。
土偶ロボやデューク・ペペ等、砲撃で攻撃をしてくる相手と何度か戦って来た卍丸にとって、射撃する前に回避行動に移るのは既に反射に近い行動となっていた。
そして、その視線はロックマンの視線から外さない。
目は口ほどに物を言う……とは言うが、戦いにおいてもそれは変わらない。むしろ戦いにおいてこそ、「目線」という物ほど情報収集源は無いと言える。
ロックマン(やっぱり、卍丸君は強い……そして、才能がある……)
火の一族は才能の塊だ。
創造神マリによってそう創られているからだ。
ロックマン「そこだ!」
目線で狙いを見切られられるのならば、逆にそれでフェイントをかける。
上級者同士の戦いにおいては重要なファクターであるスキル。ロックマンはそれを利用して卍丸の回避方向へと弾丸を飛ばす。
卍丸「くっ!やるなぁ!でも!」
バスターの砲口で見切ったのか、孤軍刀でバスターをガードする卍丸。そして……
卍丸「雷光!」
雷系の初級術、雷光を放つ。
孤軍刀に電撃を纏わせ、それを弾丸として放たれたそれは、ロックバスターを弾いてロックマンに迫る。※3
ロックマン「くっ!フレイムソード!」
飛来してきた雷光をフレイムソードで打ち払い、頭上へと逸らすロックマン。
だが、更に卍丸は雷光を避けられる事を想定して飛び込みを仕掛けていた。
ロックマン「エアーシューター!」
咄嗟にエアーマンの必殺技、エアーシューターを放つ。
3つの竜巻が舞い上がり、その内の1本が卍丸へと迫る。
卍丸「風花!」
ジャンプしていた卍丸はエアーシューターを避けられないと判断し、風の初級術、風花を咄嗟に放ってエアーシューターを相殺する。
反動で後方へと飛ぶ卍丸。
ロックマン(今だ!)「スネークボム!」
地を這う蛇の爆弾、スネークボムが卍丸の着地予想ポイントへと向かって飛んでいく。
このままいけば卍丸はスネークボムを踏みつける形となるが、卍丸は更に次の手を打っていた。
卍丸「松虫斬り!」
手に持っていた孤軍刀を着地前に投げる。※4
ロックマン「うわぁ!」
卍丸「ぐっ!」
まさか持っていた刀を投げて来るとは思っていなかったロックマンに孤軍刀は突き刺さる。
金属のボディの為、深く刺さる事は無かったが、ダメージは小さくない。
一方で卍丸もスネークボムを食らい、双方にダメージが入る。
ロックマン「刀を投げつけて来るなんて、完全に意表を突かれたよ……」
卍丸「へへへ。結構、良い技だろ?」
ロックマン「でも、武器を手放すのは悪手だと思うけどね!」
エネルギー残量を気にしてか、ロックマンは特殊武器を使用するのを止め、ロックバスターで卍丸を攻撃する。
卍丸「金剛!」
卍丸が巻物を使うと、その体が黄色く光る。※5
その状態になった卍丸は、ロックバスターをまともに受けてもそれをキンキンと弾く。※6
ロックマン「防御力強化!?」
卍丸「まだまだ!赤影!」
卍丸から三体の分身が現れる。
赤影。
術者と全く同じ分身を生み出す術だ。しかもただの分身ではない。
本体と同じように攻撃をし、術も扱うことが出来る。どこぞの機動戦士のF○1のような質量のある分身と言えるものだ。※7
四人に増えた卍丸が四方八方からロックマンを攻撃する。
DIO「バカな!質量のある分身だとでもいうのか!」
お前は鉄仮面か!お前の前世が被ったのは石仮面だろ!
ロックマン「くっ!ジェミニマンみたいな真似を!」※8
かつて戦った敵を思い出し、ロックマンが歯噛みする。
実際、質量のある分身によってじわじわとロックマンの体力が削られていく。
ロックマン「リーフシールドがあれば楽に戦国卍丸君の攻撃を跳ね返しつつ反撃できるのに!」
リーフシールドがあれば楽にエアーマンを倒せるけど何回やっても何回やってもウッドマンが倒せないよ♪※9
無論、ロックマンとてただ手をこまねいているわけではない。
ロックバスターを乱射して反撃を繰り返す。
影1「うわっ!」
ロックバスターが命中すると、卍丸の影はフッと消える。
ロックマン(そうか!分身に当たればその分身は消えるんだ!)
ロックマンは落ち着いてロックマンバスターを放つ。
キンキン!
次に当てたバスターは跳ね返される。
ロックマン(彼は金剛という術で自分の防御力を上げていた。弾かれた弾は本体に当たったからだ。ならば彼の居場所を常にサーチしていれば良い。後は分身だ!)
ロックマンは本体の居場所を常に把握しながらバスターを放つ。
残りの分身はバスターで消えていく。
ロックマン(あとは本体だけだ!)
ここまで受けたダメージは小さくない。しかし、ロックマンには切り札があった。
卍丸「黒羽斬り!」
卍丸の第2の奥義、黒羽斬りが背後から放たれる。
通常の2倍の攻撃力を与える渾身の斬りだが、その副作用は疲労でしばらく動けなくなる事。
何とか耐えきったロックマンは………
ロックマン「アイスシューター!」
ピキーン!
相手を凍り浸けにする武器、アイスマンのアイスシューターを卍丸にぶつけた。
ジョセフ「Oh No!気化冷凍法か!」
第1部のディオが使っていた気化冷凍法のように凍り付いた卍丸を見てジョセフが叫ぶ。※10
ロックマン「もらったよ!戦国卍丸君!フレイムソード!」
ソードマンのフレイムソードを卍丸に叩き込むロックマン。
卍丸には金剛がかかっている。なのでより強力な技で卍丸を攻撃する必要があった。
バリィィィィィィィン!
ロックマン「なっ!」
しかし、ロックマンが切り裂いた卍丸は、霞のように消えてしまった。
卍丸「それも分身だったんだ。君は抜け目無さそうだったからね。1体だけ、おいらに重なるように動かしていたんだよ。もらったよ!おいらの最強奥義をくらえ!
卍丸の奥義の1つ、静乱斬。
極限流の龍虎乱舞のように懐に潜り込み、ロックマンを斬りまくる卍丸。
先代火の勇者、いろは宮静が編み出した奥義だ。
相手の懐に潜り込み、防御を考えずにガチの殴り合いを繰り返す奥義である。
一発殴れば反撃を貰い、技が終わるまでは止めようと思っても止められないリスキーな技であるのだが、いくつかそのリスクを減らす手段はある。
1つは凍竜のような術で動けなくしたり、泥寝等で眠らせ、反撃そのものをさせなくする方法。そして……
もう1つはロックバスターは金剛で無効化していたこと……。
すなわち、防御力をあげる事である。
卍丸が金剛をかけていたのはむしろ静乱斬をやるための下準備という意味が本命だったのだ。※11
ロックマン「うわぁぁぁぁぁぁ!」
KO!winner is 卍丸!
卍丸「ふぅ………」
卍丸は頭上でチアリーダーがバトンを回すように刀をクルクルと回し、鞘に納める。
卍丸「わが道に、敵なし!」
←To be continued……
※1
天外魔境シリーズの術(魔法)
天外シリーズにおける術……すなわち魔法はFF1~3までのシステムに近い。
術を使わせたいキャラクターに巻物をセットさせておかなければ使えないのが天外シリーズの魔法である。(しかも所持上限があるので、不要な巻物は預かり所に預けておく必要があった。これも初期のFFと似ている)。
FFと違うところは、伝説の魔法以外は買えば同一の魔法がいくらでも入手出来ていたのに対し、巻物は「メラ」や「ホイミ」級の下級術であったとしても1つしか入手出来ないという一点物。
誰に何の巻物を持たせるかというのも天外シリーズでは重要な戦術だった。
※2
KOFの回復
通常の格ゲーでは、次のラウンドになると双方体力が満タンで戦う事になるが、KOFは前のラウンドの残り時間に応じた分だけの体力が回復するだけである。
瀕死状態で次のラウンドが開始する……という事もあり得るのだ。
「ジャスティスブラザーズ」戦でのユンとジェイフンが、次のラウンドで静や餓狼八幡にあっさりと負けていたのも前のラウンドのダメージが抜けていなかったからである。
※3
雷光
RPGでは「デ○ン系」のように天から雷が落ちてくる術だが、天外魔境真伝では波動拳のような飛び道具として使われていた。
解りやすいように波動拳と称したが、「雷光」と似たような必殺技は、「サムライスピリッツ」シリーズのアメリカン忍者、ガルフォードのプラズマブレードが良く似ている。
※4
松虫斬り
1000年前の火の勇者、蛇光院松虫が編み出した奥義。ちなみに「松虫」は女性の火の勇者で、死のうとする絹の心を救い出せと卍丸に叱咤した。
RPGでは「卍丸の攻撃力+(攻撃力+防御力)/2のダメージを与える代わりに卍丸の防御力を次の行動まで半減させる」という奥義。
真伝では武器攻撃を受ける防御手段である武器を投げるという行為で、防御力を下げるという副作用を再現したと思われる。(天外魔境真伝もサムライスピリッツシリーズと同様に武器なしの状態で武器攻撃をガードすると、徐々に削られる仕様。天外魔境真伝はキャラクターを変えたサムスピという見方も出来る)。
防御力が半減する副作用がある為、卍丸が言うほどRPGでは便利ではない(卍丸版心中撃である「女彦斬り」や、数ターン動けなくなるが、心中撃と同じ威力がある「黒羽斬り」、HPを半分失う代わりに通常攻撃の4倍のダメージを与える「卍卍斬り」が存在する為。格ゲー的には卍丸らしさを表現しやすかった為に採用されたと思われる)。
なお、以前にも説明したが、天外魔境シリーズの奥義はMPを消費しない代わりに、何らかの副作用が発生する。(しばらくスタン状態になる「黒羽斬」、与えたダメージの半分が返ってくる「女彦斬」、敵グループに攻撃が出来るがダメージが分散される「紅丸斬」か命中率が下がる「義経斬」、3~5回攻撃をする代わりに相手からも通常攻撃を受ける上に中断できない「静乱斬」、即死効果があるが滅多に当たらない「三郎斬」、前述の「卍卍斬」)
※5
金剛の術と「黄色く光る」
金剛の術はいわゆる「ス○ラ」や「プロ○ス」といった味方一人の防御力を上げる術。これを使う事により、卍丸と極楽のとある奥義が本領を発揮する。
物理攻撃を完全に無効果にする「城壁」もあるが、流石にチート過ぎるので削除した(いわゆる動ける物理攻撃限定の「アス○ロン」。FFならば召喚魔法の「ゴーレム」を使った状態になる)。
KOF99と2000にあったシステムである「アーマーモード」。
超必殺技ゲージを1つ使用し、防御力上昇と敵の攻撃がクリーンヒットしてものけ反らない(さすがにダウン効果のある必殺技は無効に出来ない)「スーパーアーマー」状態にする特殊行動。
金剛は真伝にはない技なのだが……
※6
キンキンと弾く
ロックマンシリーズでは敵に攻撃を命中させても効果がない場合、弾かれてどこかに飛んでいってしまう。
地味にRPGのような「弱点」「耐性」「無効」がボス、雑魚敵に関わらず設定されており、強い武器で力押しという事が難しいのがロックマンシリーズである。
※7
赤影
本文の説明通り、術者の分身を生み出す術。
FFのブリンクのように、物理攻撃を無効にするような分身ではなく、ターンがくれば独立して攻撃をすることも出来れば本体のMPを消費するものでありながらも術を唱える事が出来る。
しかもDQシリーズの召喚系の呪文とは違ってオートで動くのではなく、プレイヤーの任意で行動を選ぶことが出来るため、副作用が痛い天外シリーズの「奥義」を躊躇なく連発出来るというチート術。
欠点らしい欠点はあまりないが、強いて挙げるとするならば分身が攻撃を食らうと消えてしまうので、全体攻撃を持つ敵とは相性が悪いこと。
もし格ゲーで赤影を再現するならば、ストZERO2、ストZERO3、カプエス2のオリジナルコンボのような本体の後を追って攻撃するタイプの超必殺技という扱いになっていたであろうか?
※8
ジェミニマン
ロックマン3に登場したボス。
当初は2体に分身した状態で攻撃してくる。どちらに当たってもダメージを食らうため、正に赤影と同じとも言えなくはない。
※9
エアーマンが倒せない
カラオケにもなっているロックマン2の難しさを歌った歌の2番。知らない方は動画にて。
ちなみにリーフシールドとはロックマンの周囲に葉っぱが回転し、バリアを展開。敵の弾を弾いたりが出来る上に飛ばす事ができる特殊武器。また、エアーマンの弱点武器。
リーフシールドを使えるようにするためにはウッドマンを倒す必要があるが、攻略法を知らないと強い敵。
※10
気化冷凍法を第3部ジョセフが知っている理由
なんてことはない。EOHで何度も第1部ディオが敵として出てきていた為。
ディオのデュアル・ヒート・アタック(通称DHA)が気化冷凍法である為、旅の最初からEOHに付いてきていた第3部ジョセフは何度も見る機会があったに違いないだろう。
※11
金剛+静乱斬
天外2で対ボス戦における定石のコンビネーションとも言える技だろう。
金剛の防御力上昇率は半端ではなく、ラスボスのヨミの通常攻撃すらも実質的に無効にしてしまう=そうなれば静乱斬の副作用は無しになり、一方的にボコボコにするというチート技と化してしまう。
最終奥義の卍卍斬?なにそれおいしいの?
長期出張の為、遅くなりました!
またしばらく長期出張になりますが……。