やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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ダブル主人公達との共闘と危ういバランス3 疑心暗鬼のバトルロイヤル

Side即席シャドルーバスターズ

 

BGM

ストリートファイター2バイソンのテーマ

ストリートファイター5FANGのテーマ

ストリートファイター4セスのテーマ

ESAKA?03(KOF2003 KUSANAGIのテーマ)

ストリートファイター2リュウのテーマ

BIG SHOT!(餓狼伝説3テリーのテーマ)(餓狼八幡のテーマ)

未来への遺産・邪悪の化身DIOのテーマ(DIO八幡のテーマ)

Tears(KOF99草薙京のテーマ)(N八幡のテーマ)※1

 

承一郎と忍が薄暗い路地裏で草薙京と共闘をしていた時と同時刻、それほど離れていない路地裏ではもう1つの共闘が始まろうとしていた。

孤高の格闘家、永遠の求道者、初代格闘ゲームの主人公など様々な異名を取る男、リュウ。

そして本来ならあり得ない比企谷八幡3人の共闘だ。

………と、思われていた。

 

FANG「おやぁ?おやおやぁ?一人だけ、そちらのお仲間さんに相応しくないお方がいらっしゃるようデスねぇ?」

 

そこで八幡二人がDIOを見る。

餓狼八幡は宿命の三人の弟子というだけあり、正義よりの人物。

N八幡は裏の組織に籍を置いてはいるものの、秩序側の人間だ。

それに対してDIOは邪悪の化身を前世に持つ男だ。

目的の為ならば秩序だろうが混沌だろうが自分に都合良く利用する。

 

DIO「それ、俺のこと?」

FANG「ええ、ええ、そうデスそうデス。君はどちらかと言えば我々シャドルー側の人間デス。匂いがね、こっち側なんデスよ」

DIO「コイツはくせぇ。ゲロ以下の臭いがプンプンするってくらいにか?」

FANG「そうそデスそうデス。あなたもシャドルーにどうデスか?あなたの目的も果たせるかも知れないデスよぉ?」

 

DIOは顎に手を当てて一考する。

 

DIO「目的も果たせるかも知れない………か。お前らに協力すれば、本当に目的を果たせるのか?俺達平行世界人達を元の世界に返してくれるという目的を……」

FANG「もちろんデス!もっとも、働き次第デスけどねぇ?」

 

N八幡&餓狼八幡(お?この流れは……?)

 

ジョジョ世界の事をある程度は理解している二人はある一種の様式美が出てくると期待していた。

………が。

 

DIO「………それも悪くないなぁ……」

N八幡&餓狼八幡「ちょっと待て!そこは『たが断る!』だろう!」

DIO「ちょっと言ってることがわからないな」

 

目を逸しながらシャドルー陣営の中に入っていくDIO。

 

餓狼八幡「嘘つけ。お前本当はわかっていてやってるだろ?そうなんだろ?なぁ!」

DIO「ミスタさんやナランチャさんネタかよ。お前、今回本当に俺がボケないから一人でがんばってるなぁ……」

 

DIOはニタァと笑いながら、目付きを変える。

邪悪の化身モードへと切り替えた顔付きだった。

 

DIO「俺はこの世界がどうなろうと正直、どうでも良い。今回の事件はベガやギースが何かを握っている。ならば、そこで帰る手段を探せば良い。帰る事さえできれば、この世界の覇権や存亡の行方なんて知ったことじゃあない。いろはやジョジョ、陽乃さんをな。ついでに忍さん、承一郎、承太郎、ジジイも助けてやれれば御の字っつぅところか?」

 

DIOは両手からハーミット・アメジストを展開して構えを取る。

 

餓狼八幡「そうか……DIO。お前はDIOを名乗っているにしても、ジョースターと手を携えて困難を乗り越えた比企谷八幡の一人だ。今ひとつ信用できないにしても、超えてはならない一線だけは弁えていると思っていたんだがな………」

 

餓狼八幡はテリーの帽子を被り、DIOに手招きをする。

 

餓狼八幡「ヘイ!カモンカモン!同じ比企谷八幡として、お前だけは許せない!お前は完全に腐りきって、ハエもたからねぇカボチャのように腐りきった男だ!なぁ、そうだろ?人外の比企谷八幡!こんな奴、小町や雪乃、結衣に会わせられないよなぁ!こんなに頭に来るってことは、理屈じゃないんだよなぁ!本能なんだよなぁ!」

N八幡『お前、本当に今回は頑張るな……ジョジョネタの名言をごった煮にしているじゃないか……だが、言いたいことは良く分かる。お前と俺が知るDIOは別人だ。小町や雪乃、結衣にお前を会わせる訳にはいかない』

 

二人の八幡がDIOやシャドルー勢を睨み、構える。

そして今まで黙って目を閉じていたリュウが、静かに目を開けてDIOを見つめる。

 

リュウ「君の言いたいことは良く分かった。俺は君と語る事は何もない。全てはこの拳で君の真意を問う」

DIO「ヤレヤレ。脳筋はこれだから……」

 

リュウはズタ袋をその場に放り捨て、シャドルーチーム&DIOに拳を握る。

そしてリュウは餓狼八幡の隣に立つ。

 

リュウ「テリーの弟子ならばわかる筈だ。俺達格闘家に言葉は要らない。互いの拳と技が、格闘家にとって何よりの言葉であり、真意を問う手段だ」

 

そこで餓狼八幡はハッとなる。

少なくとも、テリー・ボガードという男はそういう人物だ。

リュウと同じく、拳を交える事で相手を理解しようとする。

それこそ、ギースやクラウザー、山崎とも。

 

餓狼八幡「そうですね。さすがはさくら先生の憧れの人だ。そして、俺にとっても……確かに俺はあなたと分かり合う事が出来ましたよ……俺の世界で……ですが」

リュウ「フッ……さあ、俺の拳を試すか!」

 

バイソン「don't stop me!」

KUSANAGI「燈蛾の如く、燃えつきろ!」

セス「丹田エンジンの力を見せてあげよう」

DIO「やってみろ……このDIOに対して!」

 

すっかり悪人の中に混じり、異世界同位体とやり合う気満々のDIO八幡。

 

バイソン「ワン!ブロー!」

 

バイソンが体を捻り、リュウに向けてダッシュをしてストレートを繰り出す。

それをリュウは掌で受け流し、静かに捌く。

ブロッキング。

ボクシングのそれとは全く違うのだが、リュウが華麗に捌いたことにより、バイソンに隙が生じる。

 

リュウ「昇龍拳!」

 

その隙を的確に狙い、その顎にジャンピングアッパーカットを放つ。

昇龍拳。

波動拳、竜巻旋風脚と並んで格闘ゲームプレイヤーでなくてもこの技を知らない人間は少ないだろう対空技の代名詞だ。

あらゆる格闘ゲームの対空技は昇龍拳と比較されるし、昇龍拳コマンドと言われれば→↓↘と格闘ゲームプレイヤーならば誰もが通じる程だ。

かつてはサガットを破り、リュウという男を世界的に有名にしたこの昇龍拳だが、今の昇龍拳は浅い。

敢えて力を抑えて放っていた。何故ならば………

 

KUSANAGI「行くぜ!」

 

草薙京のクローン、KUSANAGIが琴月・陽を決める為に突進して来ていた事に気付いていたからだ。

 

餓狼八幡「俺がいることを忘れるな!京さんのクローン!パワーチャージ!」

 

リュウを狙っていたKUSANAGIの間に割り込み、餓狼八幡が横からショルダータックルを放つ。

パワーチャージを受けたKUSANAGIは浮き上がり、その無防備な姿に餓狼八幡は……

 

餓狼八幡「オラオラァ!」

 

軽く飛び上がり、気の刃を纏った踵落としを放つ。キム・ジェイフン戦にも使ったジョーの黄金の踵だ。

黄金の踵によって更に浮き上がったKUSANAGIに対し、餓狼八幡が腕を大きく広げて飛び上がる。

 

餓狼八幡「昇龍弾!」※2

 

KUSANAGIは餓狼八幡が作り出す気で真空に巻き込まれ、吹き飛ぶ。

 

餓狼八幡「感謝しろよ。永久コンボは嫌いなんでな」※3

DIO「そうか?即死コンボは結構好きだぞ?技術ありきだからな。ハーミット・ウェブからの波紋疾走(オーバードライブ)!」

 

昇龍弾の着地の隙を狙い、ハーミット・パープルを伸ばすDIO八幡。

ハーミット・パープルに絡まった餓狼八幡は引き寄せられ、アッパーからの波紋カッターをもらう。

 

餓狼八幡「ビリっと……って、このネタはチームストーリーでやったなぁ!ここで仕掛けてくるかよ!」

DIO「お前、余裕があるの?涙ぐましいまでの執念なの?」

 

餓狼八幡とDIOがトンパチを開始する傍ら、実はDIOのハーミットウェブは1動作で2つの効果を与えていた。

 

N八幡『やってくれたな……DIO』

FANG「おやおや、私はテリー・ボガード崩れを狙ったんデスがねぇ?」

 

実はハーミットウェブで餓狼八幡を引き寄せる直前にFANGが彼に対して紫色の飛び道具を放っていた。

それをDIOが目標をロストさせる事により、その流れ弾がN八幡に命中したのだ。

 

N八幡『この弾は………毒か………』

FANG「不運デスねぇ?」

N八幡『その手に仕込まれているのは……毒手か』

 

FANGの両腕は紫に染まっている。

毒手……そのやり方は某格闘漫画で語られている物で、砂に蠍やら毒蜘蛛等の毒素を混ぜ、そこに手を浸からせた後に洗浄、そして再び毒壺に手を浸らせ……を繰り返す事により毒素を手に染み渡らせる方法だ。

そうして完成させた毒手によって受けた攻撃は、対象を毒に蝕ませる効果がある。

 

FANG「私の毒手はそんじょそこらの毒とは訳が違うんデスよ。果たしてあなたに耐えることが出来るデスか?」

N八幡(あいつ……人一倍力が強い俺を倒す為に毒を盛ったのか、それとも……………)

N八幡『前者ならタダの間抜け。後者なら………』

FANG「ブツブツとうるさい奴デス」

N八幡『面白い。その自慢の毒かどれ程のものか、試してやる。頭が悪そうなボクサー崩れも来いよ』

 

N八幡はバイソンとFANGの四天王の二人を手招きして挑発する。

 

N八幡『シャドルー四天王だかなんだか知らないが、お前達二人程度、俺一人で十分だ』

バイソン「アッハッハッハッ!テメェ、今ここで死ぬことが決定したぜ」

FANG「おバカデスねぇ♪毒を舐めてはいけないデスよ?」

 

N八幡対バイソン&FANG

一方でリュウはと言えば………

 

リュウ「波動拳!」

セス「ソニックブーム!」

 

飛び道具の代表的な技と言える波動拳を放ち、セスが腕を振って真空の刃を2発発射する。

ソニックブーム。

俺ガイル……もとい、飛ばして落とす待ちガイルの代表的なキャラクター、ガイルの飛び道具として有名な技である。

最初のソニックブームは波動拳を相殺し、後のソニックブームがリュウに迫る。

 

リュウ「フン!」

 

後のソニックブームの下を前転で回避しつつ、セスとの間合いを詰めるリュウ。

 

セス「甘いわ!昇龍拳!」

リュウ「くっ!」

 

自身の技である昇龍拳を受けるリュウ。

しかし、ふっ飛ばされながらもリュウはすぐさま立ち上がり、口の中を切ったのか血の混じった唾を吐く。

 

リュウ「スクリューパイルドライバー、ソニックブーム、百裂脚、昇龍拳……ルガールにも言ったことかあるが、全ての技を習得することと、技を極める事は違う!俺の今の昇龍拳を受けてみると良い!」

 

リュウは一気に間合いを詰め、その鳩尾に肘を打つ。

そしてその顎に向けて拳を入れる。

 

リュウ「滅!昇龍拳!」

 

ウルトラコンボと呼ばれているストリートファイター界のマックス超必殺技、滅・昇龍拳。

現段階で放てる最大級の昇龍拳だ。

この段階での昇龍拳だって相当の威力であるが、リュウは納得していない。

 

リュウ「これでもまだ、俺の昇龍拳は完全ではない。ただの1つの技でも、極めるのは大変な事だ!」

餓狼八幡(1つの技を極める……俺の場合は……)

 

リュウの言葉を受け、のらりくらりとかわしながら餓狼八幡の攻撃を避けているDIO八幡に対して餓狼八幡は気を高める。

 

DIO「大した技だ。まともに受けたら俺のフィジカルなら瞬殺だろうなぁ!しかし、当たらなければどうということは無いと言うやつだ」

餓狼八幡「だったら………この技ならどうだ!俺が長年極めようとしていた技………」

 

餓狼八幡は大きく腕を振り上げ、地面に拳を叩きつける。

 

餓狼八幡(できるか?今の俺に……いや、やるんだ!コイツはギース・ハワード並に何をするのかわからない!小細工とかでコイツにかなわない!ならば、今の限界を越えるんだ!)

餓狼八幡「オーバーシュート!」

 

叩きつけた地面から気の柱が立ち昇る。

円柱状のパワーゲイザーならぼ、サイドステップ等の回避では命中する。※4

しかし、餓狼八幡のパワーゲイザーを見ているDIOならば、間合いを広げたり等の行動で回避するだろう。

 

餓狼八幡(だから、いつものゲイザーじゃダメだ!ならば、いまこそ練習していたこれをやる!)

 

餓狼八幡が試そうとしているパワーゲイザーは、練習では一度も成功したことがない。

それでも餓狼八幡は、いつか出来るだろう、気長に特訓を重ねていこうと思っていた。

しかし、この極限状況と、技に対するリュウの姿勢を聞いて、そのいつかが今だと考えていた。

 

DIO「おっと。そのモーションは見ているからなぁ!パワーゲイザーが当たるとでも思っていたのか!マヌケめ!」

餓狼八幡(最初のゲイザーは予想通り避けられた!だがっ!)

餓狼八幡「ゲイザー!」

 

餓狼八幡は反対側の手で地面を殴り、パワーゲイザーの更にその先に2つ目のパワーゲイザーを放つ。

 

「ぐはっ!」

餓狼八幡「手応えありだ!更に……ゲイッザァァァ!」

 

2発目のパワーゲイザーが命中した瞬間、更にその先に3発目のパワーゲイザーを放つ。

 

餓狼八幡「ハァハァ……出来た……トリプルゲイザー……」

 

トリプルゲイザー。

アンディ、ジョーの事も大好きな餓狼八幡だが、幼い頃に助けられ、一番憧れていた兄貴分、テリー・ボガードの代名詞的な超必殺技、パワーゲイザーを徐々に前に押し出しながら3発放つように強化したマックス超必殺技だ。

 

「トリプルゲイザーか……さっきまでのように紙一重で避けていたらヤバかったな。実戦に勝る特訓はない。俺もそうだったからな」

餓狼八幡「なっ!」

 

背後からの声に振り向くと、そこに立っていたのはDIOだった。

 

餓狼八幡「だったら、今の手応えは!」

 

トリプルゲイザーによって気の柱に巻き込まれていたのは、絶・昇龍拳によって吹き飛ばされていたセスだった。

 

DIO「気合の入り方が違っていたからな。やるにしても、ただのパワーゲイザーじゃあない気はしていた。長年培っていた勘というのはバカに出来ないものだ」

餓狼八幡「どうやって避けた………」

 

DIOは頭のコメカミに指を立てる。

 

DIO「忘れたのか?俺はDIOだぞ?」

餓狼八幡「時を………止めたのか………?」

 

答える代わりにDIOはニヤリと笑う。

 

餓狼八幡「ザ・ワールドを出していないのに……」

DIO「勘違いをしているようだが、ハーミット・アメジストはザ・ジェムストーンだ。ハーミット・パープル状態でも、時を止める事は可能なんだよ」

 

何ならば、ハーミット・アメジストを展開していなくても時を止める事は可能だ。

これは成長というよりも、前世の頃から出来ていた事なのだが、比企谷八幡に転生した事により、退化したのか、つい最近まで出来なくなっていた。

それが可能になったのは本当に最近まで止まっていた時を止める事に関するスタンド能力の成長だった。

 

DIO「あーあ。人の味方をマックス超必殺技をぶちこみやがって」

 

DIOはハーミット・アメジストをセスに巻きつけ、その先端を手に変える。

 

DIO「コォォォ………」

 

バリバリバリバリ!

 

餓狼八幡(波紋による回復をやるつもりか!)

 

ハーミット・アメジストから流された波紋によりセスは回復する………事なく、ビクンビクンと痙攣を始める。

 

DIO「あ、俺は他人へのベホイミは苦手だったんだ」

 

戦慄していた餓狼八幡は余りのボケっぷりに脱力する。

 

餓狼八幡(トドメを刺しやがった……こっちとしては助かったがな)

 

N八幡『お前………それは相変わらず苦手なんだな……』

 

バイソンのパンチとFANGの猛攻を器用に受けながら、DIOに声をかける。

 

DIO「おいおい。随分と余裕じゃあないか」

N八幡『そうでも………無いさ!』

 

N八幡は更にDIOに対してバックスピンキックを繰り出す。

DIOはザ・ジェムストーンの腕だけを展開してバックスピンキックをガードするが、衝撃を殺せず、吹き飛ばされる。

 

DIO「ぐっ!トンデモ八幡め!俺が出会う戦う比企谷八幡は何で波紋の力を簡単に上回りやがる!コイツはヤバい!こいつ、弥七バリにパワーが高いじゃあないか!」

N八幡『波紋も使ってるさ。お前の異世界同位体である悪霊が俺の体を使って波紋の呼吸を練っていたからな。嫌でも体が覚えてしまったんだよ』

 

トンデモ八幡は八幡くんや比企谷隊長と同じくDIOαを通じて波紋の呼吸を体で習得したようだ。

バックスピンキックによって蹴り飛ばされたDIOは、バイソンとFANGに向かって飛んでいく。

 

DIO「おっと。いろはがいない状態で毒に冒されるのは勘弁して欲しいものだな」

 

DIOはハーミット・アメジストを適当なパイプを通し、それをバイソンの首へと絡ませる。

 

バイソン「なっ!」

DIO「悪く思うんじゃあないぞ?ミスターバイソン」

 

バイソンの体重を重りにし、ハーミット・アメジストをロープ代わりにして空中の軌道を変える。

 

バイソン「テ、テメェ!何やってんだこの野郎!」

DIO「悪く思うなと言ったじゃあないか。ああ………それと」

 

DIOはそこからバイソンを縛り上げ、バイソンのチリチリ頭を両手で掴む。

 

DIO「情報収集は大体終わったから、お前らに協力する必要性も無くなったわ………八幡コレダー!」

 

バリバリバリバリと波紋を流し、バイソンをコンガリと焼くDIO。

しこたま波紋を流した後はその顎を蹴り上げ、FANGから間合いを取って八幡達とリュウの一団に合流する。

 

FANG「裏切りデスか?DIOさん」

DIO「水戸黄門風に言えば、裏切ったんじゃあない。表返っただけだ。そもそも、最初から裏切っちゃあいないしなぁ。伊達に千葉村では柘植の飛猿役を名乗っちゃあいない」

N八幡『全く………合わせる身にもなれ』

リュウ「お前は俺達に対しては本気を出してはいなかった。拳からそれが伝わってきたよ」

餓狼八幡「さっき、時を止められた時に分かった。あの時に何もされなかったからな」

 

餓狼八幡がそう言うと、DIOとN八幡とリュウが顔を逸らす。心なしか肩が震えているような気がする餓狼八幡。

 

餓狼八幡「どうした?」

N八幡『いや、お前………鏡を見ろ』

 

N八幡が鏡を取り出し、餓狼八幡に見せる。その額には……

「にく」と油性ペンで書かれていた。

 

餓狼八幡「DIO!テメェ!」

N八幡『陽乃さんにもやったな……それ』

DIO「いやぁ、つい出来心で………」

 

流石は性悪コンビ弟である。

余計な一手間、加えずにはいられない!っと言ったところか?

 

FANG「バカデスねぇ。シャドルーに味方をすることが生き残れる最善の方法だと思うのデスがねー」

DIO「いいや。そうは思わない。何故なら、比企谷八幡という存在を本気で裏切る。そんな事を俺がするとでも思っているのか?お前らに話を合わせていればこのドンパチが楽に終わるかなぁと思った程度に過ぎんのだが?」

N八幡『素直に言えよ。白良さんが怖いって』

DIO「グレート。なんでわかった?」

N八幡『あの規格外オブ規格外は俺を含めた全ての比企谷八幡を見守る存在だ。今は水に流してはいるが、俺の声帯を潰すきっかけを作った陽乃さんをこの世界に連れ込んで、お仕置きを兼ねて森羅の天狐、小牟さんのところに放り込むくらいにはな』

リュウ「小牟か……懐かしいな」

餓狼八幡「会ったことがあるんですか……」

 

リュウの交友は広い。

森羅の小牟とだって過去に3度も共闘をしたことがあるくらいには戦闘経験が豊富だ。

それは一対一の格闘に限らず、DIO達が得意とする集団対集団のドンパチにも慣れているという事だ。

一方で、DIO八幡はMs・OFUKUROこと比企谷白良の事は嫌でも理解している。

自分自身が比企谷八幡の一人だったとしても、本気で別の比企谷八幡と敵対するような真似をするのであれば、アイアンクローで顔面を割られる程度で済むはずがないことを身を以て知っていた。

 

DIO「さっき、こんな画像が送られて来たんだ………」

 

携帯のメール画像を見せるDIO。

そこには某新世紀に出てくるような赤い二俣に別れた槍を握ったオタフクの仮面を被った女性が写っており、本文には『本気で裏切ったらこれを投げるからね♪』と書かれていた。

 

餓狼八幡「本物じゃないよね!?本物だったら、こんなのを投げられたらサウスタウンが地図から消えるわ!」

N八幡『ほ、本物だったとしたならば俺にはどうしようもない!ロン○ヌスなんてどこで手に入れたんだ!』

DIO「や、入手ルートはあるんだよ……一年前の魂が砕けた時に飛んだ世界で、仗助達が行った世界にはロンギヌスがゴロゴロあった世界だし、ついでに言うならそこの竜神をペット代わりに連れ回してるから、コレが本物だって言われても納得行くんだわ。それに、忍さんが連れ回している呂布だけど、絶対に規格外クラスの真空管ハゲが関わってそうだわ……本気で裏切ろうものならば、俺は確実に趣味は勉強、愛読書は二宮金次郎とかという人間に魔改造されるわ!」

 

DIO八幡は裏切らなかったのではない。裏切るという選択肢が最初から閉ざされていたというだけだった。

単純に裏で動いているMs・OFUKUROや、呂布を裏切ったら黙ってはいないであろう貂蝉に睨まれたく無かっただけだった。

実に情けない理由で裏切ったふりをしていたという後ろ向きな理由が本当だったという事実は、滂沱のように流している涙がその真意を物語っている。

第二章の承一郎のように、自らの意思で双方を見極めようとかカッコイイ理由では決してない。

なので、裏切ったように見せかけてセッセと味方が動きやすいようにシャドルー四天王を誘導していたり、細かい仕掛けを施していた。

その1つが……

 

N八幡『俺とお前のマッチングって奴だ。FANG』

FANG「な、なんデスと!?」

N八幡『不思議とは思わんか?俺は何度、お前の毒手を食らった?バイソンを上手く利用して、チクチクと毒を俺に盛ってくれたようだが………』

 

N八幡は自分の素肌をFANGに見せる。

その肌は綺麗で、受けたダメージも既に塞がっている。

 

N八幡『俺の血は血液型が『毒』という飛賊に輸血をできる程には強力な毒素が含まれていてな。どんなにお前の毒手が強力でも、飛賊の血の毒に敵う毒を持っているわけではあるまい?』

DIO「そう言うことだ。残念だったな。普通ならば致死量の毒をノスフェラトゥの八幡に盛ったところで、無意味だったのさ。逆にお前がこの八幡の血液を浴びたらどうなるだろうな?」

N八幡『FANG。お前の攻撃は毒ありき。一撃一撃はとても軽い。お前をリュウさんやボガードに向かわせないようにしつつ、バイソンを牽制していれば、俺の仕事は完璧ってヤツだ』

 

ポルナレフ式ハンドシグナルを交わすDIO。

一方で………

 

リュウ「俺の役目はセスとKUSANAGIか。確かにベストマッチと言えるバイソンとFANGをノスフェラトゥの八幡が抑えているならば、京のクローンとセスは俺とテリーの弟子という訳だったという事だ」

DIO「いやぁ。あのトリプルゲイザーを見たときはマジでヒヤッとしたわ。あんなのをまともにうけたら、俺じゃあ再起不能だったからなぁ。直感に従って良かったと思ったわ。バスターウルフを習得するのも近いんじゃあ無いの?」

餓狼八幡「なるほど……Ms・OFUKUROか……何者なんだ?声は母ちゃんにそっくりだったが……」

DIO「や、母ちゃんだから」

リュウ「うん。俺はいつか、比企谷白良を超えてみせる!」

DIO&N八幡「あー……うん。頑張れ?」

 

ゾーンを組む即席カプコンチーム。

 

DIO「さぁて。リュウさんは草薙クローン、FANGはノスフェラトゥの俺、そしてバイソンはボガードの俺、俺はストライカーに徹するぞ。ルールはないから好き勝手に動かせて貰うがな。ロードローラーを落とすとか」

 

ちゃっかりとコマンダーのポジションに落ち着いて即席カプコンチームとシャドルー四天王チームの仕切り直しが始まった。

 

←To be continue……




※1
Tears
一時的にN八幡のテーマにした99京のテーマ。
曲の随所にESAKA?の名残がある曲であるが、このTearsという曲名は直訳すれば涙。
オロチを倒し、やっと平穏が訪れると思った京に訪れた悲劇。
ネスツに拉致され、草薙の炎を奪われ、逃亡生活を余儀なくされた京の心情を表しているとSNKの作曲担当者はコメントをしていました。
物悲しさが漂うギター音から、どんどん激しくなっていく曲調。
幼少期から辛い経験を積んできたN八幡に相応しい曲ではないかと思います。

BIG SHOT!
最初からアップテンポの爽やかな曲。
陽気なテリーの性格を表していると言っても過言ではありません。
この曲は佐世保の中年ライダーさんからのリクエストです。
餓狼2テリーのテーマである「クリキントン」、餓狼3アンディのテーマである「雷波潼」、餓狼2ジョーのテーマである「タイ南部に伝えたい新しい詩」をそれぞれのキャラにイメージしているので、それ以外からのテリー、アンディ、ジョーの曲とKOFの餓狼伝説チームのテーマの中からチョイスして頂きました。
私個人としてもBIG SHOT!は好きな曲なので、材木座のセリフを借りて……「うむっ!趣味が良い!」

邪悪の化身DIOのテーマ
アラビア調でありながらもオドロオドロしい。それが邪悪の化身DIOのテーマです。
未来への遺産におけるDIOのテーマは2つ。
影DIOのテーマと通常DIOのテーマでありますが、通常DIOのテーマはジョセフの血を吸い、上着を脱いだ状態になって流れるテーマです。
DIO八幡が何を考えているのかはわかりませんが、手の内を隠しているDIOのテーマとして採用しました。

※2
昇龍弾
アンディが使用する対空技。
餓狼伝説がリリースされた当初、名前が似ている事から昇龍弾が昇龍拳と誤認されていた。
更に飛翔拳が波動拳と勘違いされていたりする。
波動拳と飛翔拳、昇龍拳と昇龍弾は微妙に似ているからか?
また、ジョーには空中ヒットした黄金の踵からヒットするタイガーキックというコンボも存在する。

※3
パワーチャージ
本文の描写通り、踏み込みからのショルダータックルをぶつけるテリーの必殺技。
スマブラではダッシュからの攻撃で放たれる。
KOFシリーズでは浮かせ技として使用され、パワーダンクでキャンセルされる事で有名だが、97では出が早いわざでなら殆どがコンボで入り、超必殺技のパワーゲイザーすら命中させることが可能。
更に山崎の砂かけ同様に空キャンセルを絡ませる事で永久にパワーチャージでお手玉をする事ができる凶悪技として猛威を振るう。
永久コンボだめ!絶対!
尚、本城は永久コンボは否定的であるが、理論上は有限である即死コンボは容認する。

※4
餓狼3やリアルバウトのパワーゲイザー
別のラインへ移動し、攻撃を回避するスウェーラインが存在する餓狼3とリアルバウト餓狼伝説シリーズだが、パワーゲイザーはスウェーラインを移動していてもヒットする広範囲の技となっている。
器用に紙一重でスウェー回避をしているDIO八幡を仕留めるには適した技だとも言える。

長くなりましたので2話に分けます。
Ms・OFUKUROには逆らえません。
それでは次回もよろしくおねがいします。

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