Sideなし
餓狼八幡「うーん………イテテテ………あれ?痛くない?」
アンディ「目が覚めたみたいだね。八幡」
インターバルの間に気絶していた八幡が目を覚ます。
横を見てみると、DIOと静が気を失っており、アンディがリングに上がっていた。
餓狼八幡「試合は?」
アンディ「これから大将同士の試合だ。戦況は少しこちらが優勢ってところだね」
餓狼八幡「なら、よほどの
少し安堵の息をつく八幡だが、アンディは首を横に振る。
アンディ「楽観視は良くないよ。ギースが開催していた頃ならともかく、KOFは甘くない。それに、この世界の大門五郎は僕が知る彼よりもだいぶ腕が上のようだ」
餓狼八幡「それって、この世界の格闘家が俺達の世界の格闘家よりも強いってこと?」
再び首を横に振るアンディ。
アンディ「僕が京に負けた全日本異種格闘技大会より後の時間軸ってところかな?わずかな時間の間に、大門はかなりの修羅場をくぐって来たようだ。手負いとはいえ、油断できる状況ではない」
餓狼八幡「そっか………」
不安がる八幡に対し、
アンディ「心配するな。僕だってあの頃の僕じゃない。僕だってまだまだ現役。全盛期ほどじゃないけど、日々成長しているんだ。僕だけじゃない。兄さんもジョーも………ね」
そう言ってアンディはリングの中央へと進む。
一方で………
京「おい大門。あのアンディは………」
紅丸「ゴローちゃんなら分かっていると思うけど、いつものアンディと同じだと思っていたら、痛い目を見るぜ?」
親友二人が声をかけてくる。
京達の日本チーム、テリー達餓狼チーム、リョウ達龍虎チームはKOFの顔とも言える常連チームだ。
大門はこれまで何度も餓狼チーム………この世界のアンディとは拳を交えている。
それ故に目の前にいるアンディが普段と違うことはすぐに理解することが出来た。
見た目が違うこともそうなのだが、纏っている『気』そのものが別人であることをすぐに気がついた。
大門「わかっておる。静・ジョースターに手間取ってしまったのは痛手だ。それでは行ってくる………言っておくが、負けるつもりはないぞ?紅丸。ワシもお主達との真剣勝負を楽しみにしているのだからな」
思えば大門は日本チームと違うチームでKOFに参加した事がない。
紅丸『いつまでも仲良しこよしって訳にはいかねぇんだよな………』
京がネスツに拉致され、行方不明になる以前の最後の大会の前、紅丸は京との関係がなあなあになっていることについて漏らしていた言葉を思い出す。
世間から日本チームのNo.2と囁かれていた事に、京に負けたままの自分自身に甘んじていた事に対してジレンマを抱いていた紅丸。
それは大門も常に抱いていた感情だった。
大門(ワシだとて、柔道界にカムバックしたとしても一人の格闘家のつもりだ………日本チームのNo.3で甘んじているつもりなど到底ない!ワシは勝ち進み、主らと京と紅丸と決着を付けねばならん!何者かは知らぬが、ここで負けるつもりはないぞ!)
カランコロンと下駄を鳴らし、アンディ同様に試合線へと進む大門。
アメリカ人としては小柄なアンディと、日本人としては大柄な大門が相対し、静かに火花を飛ばし合う。
「アンディ VS 大門!」
大門「細かいことは聞かぬ。ただ、お主がアンディ・ボガードと名乗る以上は全力で挑ませていただく」
アンディ「愚問だね、大門。言葉は不要。ただ拳で語るのみ!ハァァァ………めぇぇぇつ!」
気を解放し、独特の構えを取るアンディ。機は熟した。
「ラウンド5!レディー………ゴー!」
BGM 雷波濤(餓狼伝説3 アンディのテーマ)
アンディ「
パンパン!
開始早々にアンディは身を屈めて大門の懐へと入り込み、左右の掌打を叩き込む。
相撲の張手とは違う、無駄のない素早く的確に相手を射抜く骨法独特の掌打だ。
それを受けた大門は驚愕の表情をのぞかせる。
大門(何だ今の動き!速いには速いが、特別速いという訳ではない!なのに、掌打を受けるまで、反応出来んかった!)
アンディ「めぇつ!」
続けざまに蒼い炎を纏ったバク転蹴りが大門の顎を捉え、攻撃を加えながら間合いを離す。
不知火流骨法、闇浴びせ蹴りだ。
大門(まただ!アンディの動きが読めぬ!)
自分が何をされたのか分からずに困惑する大門。
それはリングサイドから見ている八幡も同様だった。
餓狼八幡「アンディ兄ちゃんの動きがいつもの動きと違う!あんな動き、見たことがない!」
普段、組み手で見せるアンディの動きとは違う様子に驚愕している八幡。
アンディ(当然だ。今の僕は普段よりも忍術に近い形でアレンジされた骨法を使っているからね………言わば影の不知火流骨法というわけさ………北斗丸とは違い、純粋な格闘家であろうとする君には忍術は必要ないからね………)
アンディは師であり、内縁の妻の祖父でもある不知火半蔵から骨法と不知火流忍術の双方を修得している。
今、使っているのは敢えて八幡に教えていない、忍術寄りの骨法だ。
アンディ(君の成長の為にも本音を言えば骨法のみの技で大門五郎を破りたい所だが、八幡の頑張りに応えて静も頑張ってくれた手前、ここは確実に勝ち進みたい。幸い、この世界の僕は忍術の技を使う事は少なかったようだ。申し訳ないが大門、このままの流れで決めさせてもらうよ)
アンディが大門を分析した通り、自分の世界で対戦した大門と目前にいる彼とでは実力が大きく違う。
普段通りに戦ってももちろん負けない自信はあるものの、確実に白星を取りたいアンディは影の戦法で大門を翻弄し続ける事に決めた。
KOF世界のアンディの戦い方についてはチン・シンザンから送られてきたデータを見て知っている。
アンディ(あの僕はせいぜい兄さんがギースを倒した頃よりも少し前の僕と同じ実力………つまり、骨法も影の不知火流を使い分けるような器用な事は出来なかった………でも、今の僕は影の不知火流骨法を上手く使いこなせている!)
アンディ「疾っ!」
再びアンディは大門へ向けて疾走。
二度目ともなると大門も反応し、長い足を十全に利用した下段蹴りで迎え討とうとするが………
アンディ(幻影不知火、飛影!)
突如としてアンディの姿が消失する。
幻影不知火・飛影。
この世界のアンディが使用する幻影不知火は跳躍した軌道を変化させ、相手を惑わせて奇襲する程度の技だが、幻影不知火・飛影は完全な忍術。
その身を闇に紛れさせ、アクトン・ベイビーのようにその姿を完全に透明にする技だ。
アンディは闇に紛れて大門の背後へ回り、軽く跳躍しながら連続蹴りを大門に浴びせる。
アンディ(そして不知火蜘蛛絡み!)
アンディは飛び連続蹴りの大勢から大門の背中にへばりつき、掌打を大門の頭部へ放ち、気を送る。
そしね気を送った反動で大門からバックステップで距離を取り………
アンディ「めぇつ!」
気合を一閃すると、大門に送った気が爆発して再び蒼い炎に包む。
餓狼八幡「あれは………爆震?でも、入り方が違う?」
爆震。
特殊な入り身で素早く相手に潜り込み、今のアンディのような動作で相手に絡み付き、気を送り込む掌打を放つ技だが、八幡が言うように技に入る動作が違う。
アンディ(不知火蜘蛛絡みには気が付かなかったようだね。八幡)
八幡が知る「不知火蜘蛛絡み」とは相手に高く飛び込んで背中におぶさり、首を幾度と締め付ける技なのだが、柔道家の大門は締めに対して耐性がある。
そこで変形の不知火蜘蛛絡みのフィニッシュとして爆震を使ったのだ。
アンディ「斬影拳!」
更にアンディの猛攻は止まらない。
自身の代名詞とも言える必殺技、斬影拳で大門に迫る。
大門「くっ!鋭い!まるで超神速斬影拳のようだ!」
辛うじてガードする大門。
大門「だが間に合ったぞ!そのまま超大外刈りを………」
アンディ「甘い!疾風裏拳!」
斬影拳の隙を突いて掴もうとする大門だったが、斬影拳を放ったあとの硬直に生ずる隙を解消する技についてもアンディは既に対策している。
ガードを解いた大門の側頭部に裏拳が突き刺さり、そして…
アンディ「斬影拳・
アンディは更に一歩踏み込み、肩を入れて体当たりをする。
餓狼八幡「
次々と八幡の知らない技、または知っている技であったとしても知らない組み合わせを連発するアンディ。
その猛攻を受け続けている大門の表情に焦りの色が浮かび上がる。
紅丸「京、やばいぜ。あのアンディ、呼吸を表に出してないんだ。だからゴローちゃんがアンディの攻撃のタイミングを掴めずに良いようにやられちまってるんだ!」
京「タダのアンディじゃねぇって思ってはいたけどよ………呼吸を読ませず、予備動作を消すなんていう動作は、ある意味で武の極地の1つじゃねぇか………」
京と紅丸の会話が耳に入る。
アンディ(流石は京と紅丸だな………もう呼吸の秘密がバレてしまったのか………)
これまでのアンディの攻撃が面白いようにヒットしていた秘密は普段は使わない忍術を併用した技を使っているという事以外にもう一つ。
それがアンディの呼吸を不規則に変化させたり、時には無にすることによって攻撃の間を悟らせない事にあった。
アンディの呼吸操作は何でもない技術に見せて、地味ながらも高度な駆け引きのファクターとして有効に機能していた。
しかし、その秘密を紅丸と京が看破する。
大門「呼吸法による意識操作とは………そんな単純なものがここまで有用だとはな………」
アンディ「こんなにあっさりと見破られるとは思わなかったけどね。さて、京や紅丸と決着を付けるために勝ち進みたい君の気持ちはわかるけど、僕にも負けられない理由はあるんだ。そろそろ決めさせてもらうよ。大門!残影流星拳!」
数ある超必殺技の中で、即効性と間合い詰めを重視した残影流星拳を選択するアンディ。
しかし、直前で斬影拳・穿を使ってしまったのが仇となる。
大門「ふんっ!」
斬影拳の肘が当たるギリギリのタイミングで辛うじて前回り受け身………超受け身で難を逃れた大門。
一方で、素早さこそ他の技に比べて抜きん出ている斬影拳系のわざだが、直線的で一度発動してしまうと軌道の修正が出来ない欠点がある。
それでも長年の修行の成果で技の隙を消すことは出来ていたが、超必殺技ともなるとそうはいかない。
アンディ(くっ!決着を早まった!けど、この間合いならば大門に出来ることは地雷震くらいだ!それくらいならば甘んじて受けよう!)
地雷震の一撃くらいならば、大したダメージとはならない。
野球で例えるならば大量リード中に不意の一発ホームランを浴びるようなものだろう。
大門「千載一遇とはこの事!ふんごぉぉぉ!」
大門は大きく腕をあげ、地面に気を送る。
アンディ(やはり地雷震………いや、違う!ただの地雷震じゃない!)
揺れる地面。しかし、前のラウンドで静に対して放った地震に比べて揺れは小さい。それ故にすぐに転倒した静と違い、アンディは立っていられたのだが………
アンディ「揺れは小さいが、持続時間が長い!」
ぐらつく時間が長く、立っている状態でよろめいているアンディ。
大門「この地雷震はそうさせるために敢えてぐらつかせるために威力を弱めたものだ。言ったであろう?」
よろめいている間に大門が接近しており、アンディの裏に回り込み、背後から帯と胸倉を掴む。
大門「不覚は取ったが、ワシはまだ諦めておらん!これは反撃の狼煙よ!
大門はアンディを持ち上げ柔道式バックドロップ、裏投げでアンディを投げる。
餓狼八幡「何か景色に「風」って文字が!何で?!」
大門「錯覚じゃ!次に………
素早く起き上がり、倒れたアンディに手を伸ばし、掴み上げて、背負投げで投げる。静に対しても度々使っていた切り株返しだ。
餓狼いろは「今度は林の文字が………」
大門「錯覚だと言っておろう!続いて
大きく両腕を振り上げ、今度は先程までとは比べ物にならない程の範囲を狭めた大きな揺れの地雷震が………それこそ宙に浮くほどの衝撃の揺れがアンディを襲う。
大門「
そして浮き上がったアンディの体をキャッチし、雲掴み投げの背負いで三度、アンディを地面に叩きつけられる。
そのいずれにも観客達には毛筆の文字の錯覚が見えており、最後に大門が足で四股を踏むように地面を踏み込み………
大門「ぬおおおおおおおお!」
と雄叫びをあげると、これまで浮かび上がっていた文字が拍子のような幻聴と共に一文字ずつ現れて1つの四字熟語が形成される。
大門「これが奥義!
言い終わると同時に散々気を送られてプレートに影響を及ぼしたのか、最後に特大の局地的地震がアンディの倒れた位置に集中され、アンディが吹き飛ばされる。
大門(まだだ、大きな一手は打てたが、これで終わるアンディ殿ではない!だが………)
紅丸「おい、ゴローちゃんの風林火山、いつもと違うぞ?」
京「ああ………いつもはここで一礼するのに…それに、普段ならば間合いを離すように相手を吹き飛ばすのに、今回は目の前に引き寄せるような地雷震だったぜ?大門のやつ、何かやるつもりだな?」
そう。仕切り直しの意味も込め、風林火山のフィニッシュの最後の足でやる地雷震は間合いを離すように相手を吹き飛ばすが、今の風林火山は逆にアンディを足元に引き寄せるような飛ばし方だった。
京の予想は当たりで………。
大門はゆっくりと腕を顔面の前でクロスさせながら腕を振り上げる。
腕が眼前を通り過ぎた際、普段は糸目の大門の目が限界まで大きく見開かれ、憤怒の表情が現れる。
大門「実戦に勝る修行はない!それは若者だけの話ではない!我々達人とて同じこと!今こそ壁を超える時!
ダウンしているアンディに向かって直接地雷震を叩き込もうとする大門。
驚天動地。
本来ならば相手を投げっぱなし背負投げで大きく投げ飛ばした後に風林火山以上の特大地雷震を叩き込む技だが、そのプロセスを飛ばして特大地雷震を………と考えたようだが………。
ピキピキ………
全身の気のバランスが崩れ、筋肉が悲鳴をあげる大門。
それもそのはずで、風林火山も驚天動地もラウンド1で八幡が放った『超気力スピン』のように、極限状態で、なおかつ全ての気力が最大状態という条件が揃って初めて放てる1ラウンドに1回
だけの潜在能力だ。
その2つの技を………それも成長期のピークを過ぎた大門が無理矢理連続で使おうとしたのだ。
八幡のように突然、限界以上の力を出そうとしても、体も気力も持つわけがない。
大門(ぬぅ!こんな時に………!)
速度を落とした地雷震とモーションは………
アンディ「めぇつ!」
速度を落とした地雷震の一瞬を狙ってスタン状態から脱したアンディはと倒立状態になり、足の裏で大門の双掌を受け止めるアンディ。
アンディ「分かるよ大門。もどかしいよね。成長期のピークを過ぎた僕達では、八幡や北斗丸、ロックのように一気に成長する事が出来ない。実戦で技を閃いて、限界を超えて実行をしようとしても、思い描いたように体が動かなくなる………せやっ!」
低弾道を描いた弱めの空破弾で大門の顎を捉えつつ、体勢を立て直すアンディ。
大門「ぬ、ぬぅぅぅぅ………地獄極楽………」
眼前で立つアンディを好機と捉えたのか、大門はアンディの襟と腕を掴み、超必殺技の『地獄極楽落とし』の崩しである『超大外刈り』を仕掛けようとするが……思うように体が動かない。
アンディは大門の両腕を払い、そして大門の腹部に掌をトン♪と当てる。
アンディ「無理は止めたほうが良い。風林火山をやった段階で、本来は気力はとうに限界を超えていたはずさ。しばらく地獄極楽落としのような超必殺技以上の奥義を出す事は出来ない。それでも無理に技を出せば………格闘家人生を終わらせる事になる。『
骨法版の寸勁………ノーモーションの重い掌打で大門を一瞬だけ止めるアンディ。
アンディ「気が付いていると思うけど、僕はマルチバースの………並行世界のアンディ・ボガード。………それも今よりも十年後の並行世界のね。君が感じているもどかしさはよくわかる。武というのは熱した鉄と同じで、熱し続けないとすぐに冷えてしまうし、成長期という火が弱くなってしまうから、最高温度が徐々に弱くなる。ましてや円熟期を迎えている僕は、これから先は成長どころか衰えがいつ訪れるかわからない。今の力を維持するので精一杯になるかも知れない。タン先生や十兵衛先生のように老いてもなお現役を続けられる人なんて、ほんの一握りさ………それでも………」
アンディは言いながら身を屈ませる。
アンディ「それでも、僕は歩みを止めるつもりはない。いつまでも成長出来ると信じて、足掻いて見せる。だから君も、今描いている技が真に身に付くと信じて歩み続けて欲しい。今から見せるのは、足掻き続けた1つの形だ………絶・昇竜烈破弾!」
アンディは両腕を大きく広げ、気の斬撃を伴った対空技、昇竜弾を放つ。
大きく仰け反った大門に対し、アンディはケンの昇竜烈破のように飛び上がらず、もう一度昇竜弾を放って飛び上がり、そこから気の足場を蹴って倒立状態になって超裂破弾へと繋げる。
不知火流忍術をミックスした超裂破弾なので蒼い炎を纏った超裂破弾が大門の腹部に突き刺さる。
大門「なんとぉぉぉぉ………」
蒼く燃え上がり、吹き飛ぶ大門は、そのままリングバリアに激突して倒れ、そのまま動かなくなった。
辛うじて振り絞った気の力で燃焼し続ける事は避ける事が出来たようだが、そこまでが大門の限界だった。
「KO!WINNER is アンディ!WINNER are ボガードチーム!」
アンディ「ハァァァァァァ………よしっ!」
高まった気を落ち着かせ、静かな勝利ポーズを取るアンディ。
餓狼八幡「流石はアンディ兄ちゃん!あんな技を隠し持っていたなんてビックリしたぜ!」
バリアが解かれたリングに入り、アンディの下に駆け寄る八幡。
アンディ「でも、一瞬の気の緩みで危うく負ける所だった。僕達の世界での、今の大門が相手だったら、果たして勝てていたかどうか………僕もまだまだ修行が足りないな………」
今の大門が失敗した風林火山・驚天動地………。元の世界の大門五郎が格闘家の道を歩み続けており、更に力を付けていたのならば、きっと完成させていることだろう。
そんなアンディにヨロヨロと立ち上がった大門が近付き、スッと握手の手を差し出す。
大門「完敗だ………例え前のラウンドで静・ジョースターに手傷を負わされていなくとも、ワシの負けだっただろう」
アンディ「ご謙遜を………万全の君が相手だったなら、どうなっていたか分からないさ。それほどに君は強かった。君だけじゃない。エドモンド本田さんも、藤堂香澄さんも、水神訃さんも、誰もが一流の格闘家さ。たまたま、僕の方が歳を取っていた………ただそれだけの話だよ」
アンディは大門の握手に応え、健闘を称える。
アンディ「元の世界に帰る楽しみが増えたな。元の世界の君達と手合わせする楽しみが………」
大門「うむ。そのワシ達も、その日が来ることを楽しみにしている事だろう」
2人は握手を時、笑い合う。
アンディ「済まなかったな。京や紅丸と決着を着ける機会を奪ってしまって………どうしても僕達は地獄門を消して、元の世界に帰らなければならない。その鍵は、おそらくベガやギースが握っている。少しでも奴らに近付く為に、僕らは勝たなければならないんだ」
大門「なに………お主のように世界の壁を隔てているわけでもない。本気で決着を付けるのならば、それこそいつでも出来る。単に切っ掛けが欲しかっただけに過ぎないからな」
紅丸「俺はいつでも構わねーぜ?ゴローちゃん」
京「八神の野郎のように、ストーカーまがいの付け狙いをされるわけじゃねぇからな。だが、やるとなったら手加減はしねぇぜ?大門」
真吾「草薙さんの前に、この一番弟子の真吾が相手ッス!俺もいつでもやるッスよ!大門さん!」
便乗して言ってきた真吾にゴンッ!と拳骨を落とす京。
京「そこのアンディの弟子のライバル相手に早々と1回戦負けをしたテメェが何言ってんだよ。10年早いぜ?」
真吾「そんなぁ………草薙さん………」
草薙流の師弟を微笑ましく見ながら、大門はアンディに目を向ける。
大門「お主もいつかは決着を付けられればよいな?テリーやジョーと………それに己自身の迷いと過去に………」
アンディ「そうだな………ありがとう。大門、君は良い指導者だよ。是非とも、日本柔道界を導いてくれ。十兵衛先生も、それをきっと望んでいる」
アンディは時分の世界のギースの結末を大門に伝えていない。
自身の手で決着を着けることが出来ず、テリーがその因縁を終わらせてしまった事を………。
その無念を、大門は言葉ではなく、その拳で察したのだろう。
大門「ふむ。その十兵衛先生とも、大会であたりたかったのだがな」
アンディ「十兵衛先生も僕の世界ではまだまだ現役さ。先生の方も、いつか君と立ち会いたいと願っているさ」
大門「ふ………そうだな」
笑い合う2人。
ほくと「茶番はもう終わり?なら、私は帰らせて貰うわ」
敗北が決まった以上、ほくとがサウスタウンに留まる理由はない。ほくとは愛想なく言い放つと、サウンドビーチの出口の方へと足を向ける。
アンディ「DIOや静に伝言はあるかい?」
ほくと「特にはないわ。モタモタしていると、私を探して躍起になっている妹に捕まってしまうもの。不運な事に、あの子が組んでいるチームのメンバーには、あなたの関係者がいるのでしょう?さっき名前が出てきた山田十平衛が」
アンディ「ああ、水神七瀬さん………だったね。確かに十兵衛先生や双葉ほたるさんとチームを組んでいるみたいだ。会っていかないのかい?」
ほくと「今はまだ、自分の気持ちと向き合えていないもの………ああ、そういった意味では、そこの気絶しているお節介者二人には、『余計なお世話になりました』と、皮肉を言っていたと伝えて頂戴。異世界の人ならば、もう会うことも無いでしょうから」
ほくとはそう言い、今度こそ人の波を掻き分けて去っていってしまう。
一度人の海の中に紛れたほくとを見つけ出すのは、アンディをもってしても困難だった。
香澄「あーあ………言うだけ言って、去っちゃいましたね。ならば私からも」
香澄は額に巻いていた鉢巻を外し、八幡に突き出す。
餓狼八幡「えっと………それは?」
香澄「比企谷八幡。今回は私の負けです。だけどもし、次に会うことがあれば、次こそは私が勝つ。これはその時までにあなたに預けておきます!」
餓狼八幡「え?イヤですけど?」
気持ちよく受け取ると思いきや、まさかの拒否の態度を取る八幡。
香澄「何故だ!」
餓狼八幡「や、だって俺、アンディ兄ちゃんと同じで並行世界人ですし、二度と会うことは無いじゃないですか。この世界に留まる訳にはいきませんし、じゃあ帰った後にこの鉢巻をどう返すかって話になりますし、そうなると俺の世界の香澄さんやその弟子に………
八幡の拒否の姿勢に顔を赤らめ怒る香澄。
香澄「良いから受け取れ!良いか?どんな手を使ってでも必ずこの世界にもう一度来い!きっとだぞ!」
そう言って香澄は鉢巻を八幡に押し付け、ほくとと同じように人波を掻き分けてズカズカと去っていってしまった。
餓狼八幡「え?なに?あの子、俺のこと好きなの?えーヤダー、何かリョウ・サカザキ総帥みたいな結末になっちゃってるんだけど?」
餓狼いろは「はちくん?」
アヌビス神「そうだねー?勘違いはいけないぞ♪異世界の八幡君?」
N陽乃「そうそう。異世界のとはいえ、雪乃ちゃんを裏切るのは
アヌビス神「そんなに飢えているなら、お姉さんが相手にし・て・あ・げ・る♡小町ちゃんじゃあないけど、この八幡くんは霊長類ヒト科のアカノタニン♡だからセーフ♪」
餓狼八幡「あーあーあー!魔王襲来!魔王襲来!魔王がダブルで敵機襲来!」
ダブル陽乃の襲撃にタジタジになる八幡。せめてアーシスの陽乃だけでも何とかしろとDIO八幡が寝ていた方向に目を向けるも、DIO八幡と静はまだおねんね中だった。
スコスコスコスコと意味不明な寝息を立てている。
エドモンド本田「ワッハッハッハッ!面白い連中じゃのう!」
アンディ「お恥ずかしい限りです………」
エドモンド本田「しかし、これではKOSFを利用した相撲のワールドワイド化巡業は中途半端に終わってしまったのう!」
アンディ「随分と壮大な計画を立てていたんですね。エドモンド本田さん」
本田の計画は昔から終始一貫、相撲のワールド化だ。
エドモンド本田「今回は残念な結果じゃったが、それはワシの実力が足りんかっただけでごわすよ。相撲が世界最強であるというワシの理念が変わることは決してありゃせんですわぃ!」
アンディ「まぁ………骨法も元は古代相撲が源流と聞きますし、兄弟みたいなものですから応援しますよ。そのエドモンドさんの壮大な夢と目標、僕は好きですからね」
本田「ガッハッハ!それは嬉しいでごわす!ゴッツァンです!じゃあ手始めに、このサウスタウンで巡業を兼ねた稽古でも始めるとするかのう!KOSFでこのサウスタウンには格闘家がワンサカおりおる!ストリートファイトの相手には事欠かんっちゃうわけじゃ!ガッハッハ!では、大門さん。いつかはあんさんとの取り組みが出来ることをねがっちょるぞ。アンディさん、比企谷君、お達者で!無事に帰れることを願っとります。そこの寝とる二人にも伝えておいて下さい」
そう言って本田はアンディと八幡と握手を交わし、気持ちよく去っていく。
本田が言うように、今のサウスタウンはKOSF開催の関係で多数の格闘家が集まっている。
巡り合わせの妙で運悪く、惜しくも1回戦・2回戦で敗れ去った者達の中にも達人級の猛者達がいるだろう。
ストライカールールによって勝負の場に立つことすら許されなかった1回戦敗退のストライカー達が実力を発揮できずに敗退し、その無念を抱えている者も多いだろう。
ストライカーで終わってしまった者はまだ良い。
例え実力があっても、大会がチーム戦という形式を採用している以上、チームを組むことが出来ずに出場すらも出来なかった者達もいる。
そういった力を持て余している者達が、ストリートファイトや地下格闘場で憂さ晴らしをしているのはいつものことだ。
本田が言うように、対戦相手は吐いて捨てるほどいる。
京「血気盛んな奴等だぜ。ついていけねぇよ。俺には関係ねぇ事だしな。さて、俺はもう行くぜ。知りたいことは大体察することが出来たしよ」
そう言って京は静と承一郎・忍チームに目を向ける。
紅丸「俺もそういう泥臭いのは御免だね。それにしても、君達は平行世界人って訳か。知り合いの並行世界人がいて助かったよ。事情が大体飲み込めたしな」
紅丸も静・八幡とノスフェラトゥの面々と沙希の方に目を向ける。
承一郎&忍「………………」
N八幡&沙希「………………」
京「へぇ、紅丸。お前もアイツらと何かあるのかい?」
紅丸「ああ。俺様のチームメイトが身内のイザコザが勃発しているようで困っているみたいでな?そこのゴローちゃんに投げ飛ばされたお嬢さんの制服と同じ制服を着ているお嬢さんは………アンディと同じ事情でこの大会に出ているんだろ?」
餓狼八幡「そうですけど………何で紅丸さんのチームメイトがそれでイザコザを起こしてるんですか?」
紅丸「ウチのチームメイトにロバートがいるからな。それで意味が察せるだろう?」
餓狼八幡「ロバート師範が?ああ……極限流絡みですか……」
紅丸「そういうことだ。タクマの隠し子説だの、リョウがロバートの代わりに育てている新たな最強の虎だの、変な憶測が飛び交っていて大変なんだ。そういう事情なら、納得だぜ」
いくらチームメイトの事とはいえ、よその事情に首を突っ込むあたり、流石は紅丸。日本チームのおかんと揶揄されるだけはある。
見た目はポルナレフだが、実に三浦優美子(アヴドゥル)並みにおかん気質。それが二階堂紅丸という男だ。
DIOが起きていたならば、「余計な一言、言わずにはいられない!」と言わんばかりに弄くり、紅丸を敵に回していたことだろう。
もっとも、既に静がケンカを売ったに等しいので今更だが。
沙希「………上手くロバート師範やご隠居にご説明お願いします。紅丸さん」
紅丸は爽やかに微笑み、沙希に答える。
紅丸「良いってことさ。お礼ならば、そうだな………。俺様と一度、お茶をするってのはどうだい?お友達も交えてね」
沙希「それは………ちょっと………」
ちょっと困り顔で沙希が答えると、紅丸も本気ではなかったのか、「それは残念」と軽く肩を竦め、すぐに京に向き直る。
紅丸「それで京。お前は?」
京「こっちはそっちほどほのぼのしてねぇよ。神楽の奴がしつけぇんだ。コイツらに協力しろってよ。先日、アイツらと少しばかり縁があってな。おい、一条承一郎と藤崎忍………だったか?あんたら、このジョースターって奴の関係者だろ?スタンドってのを持っているしよ」
京が選手控えエリアにいる承一郎と忍に声をかける。
静やいろは達が着用している総武高校の制服とスタンド。
このピースが合えば、この同一人物が何人もいたりという状況の大体を察することが出来る。
そして、それを取り巻く者達も仲間か、似たような状況に陥っているという事も。
京という男も伊達に命懸けの荒唐無稽な出来事に何度も遭遇していない。
理解が及ばない事にも即座に対応していかなければ、何度も凶事を潜り抜ける事が出来なかったのだから。
京「まぁ、事情はわかったぜ」
アンディ「ならば………」
京「だが、アンタに協力するかどうかは話は別だぜ。あんたらの事情ってヤツの火の粉が俺に降り掛かってくるって言うのなら、話は変わってくるが、俺には俺の事情ってヤツがあるんだ。ただでさえ八神の野郎と組まされるって苦行を強いられてるんだ。他の面倒までは見切れねぇぜ」
承一郎「………そう言っていたな。草薙京」
忍「無理強いはしないわよ。強要したところで、上手くいくとは思えないし、それで動くような人じゃないものね。京ちゃんは。交わる事があるならば、あたしたちはまた会うこともあるわ」
京「そういうことだ。行くぜ、紅丸、真吾」
紅丸「おい京。………ったく、相変わらずマイペースな奴だぜ。あいつは………とはいえ、ちづるさんの事を放っておくのもあれだな。知り合いには声をかけておくぜ。もっとも、誰も彼もが京と似たり寄ったりだろうけど」
アンディ「感謝するよ。紅丸」
京は紅丸と真吾を伴い、立ち去る。
大門「うむ。ワシは難しい事はよく分からん………が、ワシも暇になったからな。本田殿に付き合って武者修行をする傍ら、京や紅丸を応援することにしよう。京に付き合っておれば、忍殿の言う通り、どこかで道がまじわるやも知れんからな………京や紅丸を応援する以上、全面的に応援するわけではないが、健闘を祈らせてもらうぞ。アンディ、八幡」
アンディ「ああ。ありがとう、大門。また会えれば良いな」
餓狼八幡「お元気で。大門先生」
大門五郎(柔道&我流拳法)………滅・昇竜烈破弾により、
異世界餓狼伝説&性悪コンビチーム(アンディ・ボガードチーム)………3回戦進出。
日本武道チーム………2回戦敗退
大門五郎……京と紅丸を応援する為、サウスタウンに残る。
エドモンド本田………武者修行を兼ねたストリートファイトに興じる為にサウスタウンに残留。
藤堂香澄………八幡に鉢巻を押し付けた後、父・竜白を探すべく当てのない旅へ。しばらくはサウスタウンを中心に探すようだ。
水神ほくと………兄、カイリを探す為に姿をくらます。
←To be Continued
斬影拳
アンディの代名詞とも言える必殺技。
高速で踏み込んで肘打ちを打ち付ける。
疾風裏拳
餓狼伝説3に登場した斬影拳からの追加技。
斬影拳の勢いをそのままに相手の顔面に裏拳を加える。
我弾幸
KOFで疾風裏拳の代わりに斬影拳の追加技技として登場するショルダータックル。
斬影拳・穿
リアルバウト餓狼伝説EXアンディが使用する斬影拳。
特に追加入力しなくとも最初から斬影拳→我弾幸へと繋げるのが本来の斬影拳・穿。
歳を重ねたアンディが斬影拳にさらなる進化を遂げた形として斬影拳→疾風裏拳→我弾幸へと強化された技。
風林火山
KOF2002に追加された大門のMAX2超必殺技。
2002版と2002UM版の風林火山とは演出が異なり、2002版は切り株返しの後は連続で地雷震を5度撃ち込みフィニッシュ。文字のエフェクトも発生しないが、2002UM版は本文通りに派手になった。
何故かMAX版嵐の山よりも威力が低い。
驚天動地(未完成)
KOF13と14で採用されたNEOMAX(MAX2)必殺技。
本来ならば当て身投げの要領で敵の攻撃を掴み、投げっぱなし背負投げで放り投げた後に、相手の落下と同時に特大地雷震をお見舞いする技。
今回はMAX2超必殺技である風林火山を使った後に、無理矢理使おうとして体が保たず、不発に終わった。
絶・昇竜烈破弾
EXアンディが使用する潜在能力(MAX版超必殺技)必殺技である昇竜烈破弾(昇竜弾から蒼い炎を纏った超裂破弾)を更に強化した本城オリジナルのMAX2超必殺技。
ケン・マスターズの昇竜烈破のように昇竜弾を2発放つEX昇竜弾(ゲージを半分使用して強化された必殺技を放つEX必殺技)からスピンを強化し、蒼い炎を纏ったMAX版超裂破弾(KOF98UM裏アンディのMAX版超裂破弾)へと繋げる。
EXアンディ
リアルバウト餓狼伝説スペシャルに登場した裏性能のアンディ。
本人は不知火流に存在する影と称しているが、そもそもリアルバウトSPそのものがストーリーの存在しないお祭りゲームなので、その場限りのネタと思われる。(実際に同じ不知火流であるはずの舞にEXは存在しない)
性能については前作のリアルバウト餓狼伝説、前々作の餓狼伝説3のアンディに準拠した忍者スタイルが前面に出ていた性能。
他にもそれぞれ過去作の性能になった認知症を患ったEXタン、雰囲気がSっぽくなったEXマリー、ギースが死亡して精神崩壊したEXビリーが存在する。