やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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わかるものとばかり思っていた

side比企谷八幡

 

余計な業務が追加された奉仕部……。あれから公約の内容を煮詰める話に突入し、五人だけで話がされることになった。

しかしマジかぁ……。確かに三学期からは支部長を降りて今よりは暇になるとはいえ、マジかー。

今年のテニス部の活躍を見る限りでは奉仕部ブードキャンプを希望する部活は柔道部以外では少なくないはずだ。

 

結衣「もうさ、運動部の人達を波紋の戦士にしちゃったらどうかな?絶対全ての部活が全国レベルになるよ!」

 

八幡「結果的にはそうなるかも知れないな。確実にエア・サブレーナー島に島送りになるけど」

 

結衣「何で?修行する為?」

 

それだったらまだ扱いはマシだろう。

 

静「数少ないアーシス規約・波紋に関する規約違反による強制連行。言うなれば矯正施設の波紋の戦士版って所だね。パッショーネのお膝元だから脱走失敗率も全矯正施設の中でもNo.1。更に矯正判定基準も生存率も断トツでワースト1。それがエア・サブレーナー島波紋使い矯正施設」

 

結衣「こわっ!何で運動部に波紋を教えたらそうなるの!?」

 

なるんだよな……それが。

 

ジョセフ「なるんじゃよ。公式スポーツへの波紋悪用防止として波紋使いは公式スポーツへの参加は基本的に禁止されておるんじゃ。例外は初級以下の修練レベルで既に所属しておる団体への参加で尚且つ公式試合での出場は波紋の力なしによる己の身体能力のみでの参加。監視付きでの。今の葉山が辛うじて参加できるレベルじゃな」

 

葉山の波紋の成長具合から見るに、来年の今頃くらいまでがギリギリと言ったところだろう。波紋の適正と才能がなまじ高かった事が災いだな。

 

八幡「俺達のようにもう無意識レベルで波紋の呼吸をしてしまう中級レベル以上の判定を下されている波紋使いは無条件で公式試合への参加は不可能。むしろ監視を行う判定官をやらされる。出れてあの柔道部が主催したお遊び程度の物だな。後は体育祭とか」

 

最近ではローカルテレビの取材とかも来るからそれすらも制限が出てきそうだと言うのは小町の言。

 

結衣「どうして?」

 

静「そうでもしないと公式記録とか全てをプロでも追い抜けない殿堂入り記録を波紋の戦士が乱立するでしょ。それを防止するためだから」

 

波紋の戦士の規約はスタンド使い規約に比べて案外少ない。その数少ない規制が公式スポーツへの参加だ。他は波紋の悪用による重犯罪等か?

 

三浦「っつーかさー、波紋使いの存在意義ってあるかが疑問なんですけどー?」

 

八幡「いや、あっただろ。千葉村」

 

おま、あれだけの屍生人や吸血鬼、しまいには柱の一族に囲まれてそれを言うか?

 

三浦「あれは数少ない例外っしょ?あんなんがまたあるとも限らねーし」

 

ジョセフ「無いとも言えん。じゃから波紋の一族を絶やす事も出来んのじゃ。暫定的に汐華冬乃を最後の柱の一族としておるが、本当にそうであるかなど誰もわからんし、石仮面もしかり。平行世界からやってくる可能性もあれば柱の一族関連以外でも紫外線が弱点の存在がおるやも知れん。事実として平行世界にはまだおったのじゃからな」

 

まずそれが一点。

 

八幡「それにだ。仙道による治療や健康法は科学が発達した今でも有効だし、要人護衛とか警備でも需要は高いんだよ。表に出ていないだけであってな」

 

はい、ここ試験に出るのでよく覚えておきましょう。

波紋の戦士の仕事は何も柱の一族や吸血鬼とドンパチするだけじゃあない。むしろ最優先事項ではあるものの、そっちの方が少ないまである。でないと資金繰り出来ないでしょ。財団(うち)からも資金援助はしているけどさ。

直轄の病院とかでも治療師として何人かいる。

 

八幡「んなことより煮詰める物を煮詰めちまえよ」

 

結衣「ムッ!ヒッキーに言われなくてもやるもん。続きをやろ?ゆきのん♪」

 

再び作戦会議に戻る雪ノ下達。

さて………。

 

八幡「ジジィ。忍さんへの交渉は上手く行ってるか?」

 

ジョセフ「相変わらずワシに対する風当たりは強いったらありゃせんわ。難儀なもんじゃのう」

 

静「そりゃ自業自得でしょ。従業員の朝日奈さんの親友なんでしょ?株買い占めた不動産屋の娘さん。忍さん自身も友人って話だし」

 

八幡「だからと言って仗助と徐倫に頼むわけには行かないだろ?康一さんや億泰さんの方面からも。ましてや絶対に露伴先生は関わらせちゃダメだ。わかってるよな?」

 

ジョセフ「わかっちょるよ…間違いなくそれだけは避けねばならん」

 

仗助「あ?俺が何だって?」

 

徐倫「あたし達の名前が聞こえた気がするんだけど?」

 

いつの間に!

 

八幡「いや、何でもねーよ。近々東京のホリィさんのところにでも顔を出さねぇとホリィさんが寂しがるって話をしてたんだよ」

 

ジョセフ「そ、そうじゃとも。京都旅行に連れていかなかった事を拗ねておって大変なんじゃ。もう70過ぎたおばあちゃんじゃと言うのに困ったものじゃのう?」

 

これは事実。エンポリオやエルメェスさんの参加はOKでホリィさんをお留守番にさせた先の修学旅行の一件でホリィさんはかなり拗ねている。ドンパチの雨あられだったので結果からしたら正解だったのだが、それはそれ、これはこれ。

そりゃ、息子の承太郎や孫の徐倫やエンポリオと旅行できると楽しみにしていたのをお留守番にされては…というやつだ。

 

仗助「あっちゃあ……姉貴の事を忘れてたぜ。お袋がかなり愚痴られたからその内には顔を出さなきゃとは思っていたけどよぉ」

 

徐倫「グランマかぁ……確かにエンポリオの事とかを話さなきゃいけないしなぁ……」

 

まだ会いに行って無かったのかよ……。実の弟と孫娘だろ。

俺なんて東京で解散になったその時にエンポリオとジョジョを連れて行ったぞ?

ん?そう言えばその時に承太郎と海老名の事を話したら……。

 

ホリィ『まぁ!承太郎()ッ!?ジョナサンおじいちゃん!エリナおばあちゃん!リサリサおばあちゃん!静ちゃん!エンポリオちゃん!絶対に承太郎と海老名ちゃんが上手く行くようにお願いね!こんな機会でもないとあの子、絶対に再婚なんてしないから!もぅ!パパも承太郎も仗助も徐倫も顔を出さないなんて冷たいんだから!こんないい話が3つ(・・)もあるのに!』

 

………承太郎()?いい話が3つ(・・)

 

小町『ホリィ!しぃっ!』

 

いろは『余計な事は言わないで下さい!ホリィ!』

 

静『お姉ちゃん!2つでしょ?2つ!』

 

……何だ?承太郎もとか3つとか……。

 

八幡「なぁジジイ。ホリィさんとか何か隠し事をしているような気がするんだが……。いい話が3つとか。2つはわかるんだよ。海老名と承太郎の件だろ?エンポリオが本当の意味で家族になったことだろ?後は何だ?」

 

小町&静&いろは&雪乃&徐倫「ギクッ!」

 

仗助「ああ、それはよぉ」

 

小町「仗助お兄ちゃん!ストーーップ!」

 

仗助「な、な、何だぁ!?」

 

小町がサンシャイン・ルビーを出して指先を仗助に向ける。んん?

 

ジョセフ「なんじゃ。肝心な事を忘れておるじゃあないか。雪乃………」

 

ジジイが対ルビーレーザーの反射のハーミット・パープルのバリアを展開して続ける。早く言え!気になって仕方がない!

 

小町「ジョセフゥゥゥ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジョセフ「……と陽乃がジョルノ繋がりでジョースター家の一員として受け入れられたじゃろ?その事じゃよ」

 

………おおっ!その事か!あったな!確かに!

 

仗助「忘れるなよ。大事な事じゃあねぇか。なあ?雪乃よぉ」

 

雪乃「そ、そうですね。仗助兄さん。仗助兄さんに関しては完全に素ね

 

いろは「良かったぁ…そっちでしたか」

 

小町「ジョセフはわかっていて上手く誤魔化した感じだけどね」

 

静「ダブルゴミいちゃん」

 

八幡「これで小町とエンポリオの仲が進展すればいい報告が4つだったのにな」

 

小町「ヤッパそっちの方面は諦めてないんだ……ゴミいちゃん………前世の孫が今世の祖母になってどうするのさ……もう知らない!ゴミいちゃんのバカ!ボケナス!八幡!破門の戦死!」

 

小町はプンスカ怒って窓から飛び降りた。やっぱりわざわざ階段を使うよりも飛び降りた方が楽だよな?わかるぞ小町。これ、破門の戦死的に……じゃあなく、波紋の戦士的にポイント高い。

あれ?エンポリオはダメなの?優良物件だぞー?小町ぃ?

あと、暴言語録のフルコースは勘弁してね?ゴミいちゃん、今夜は涙で枕を濡らしちゃうよ?

 

徐倫「ふぅ……相変わらず女心って物がわかってないわよねぇ?絶対にイーハを逃がしたらおしまいよ?あんた」

 

仗助「そうだぜ?もう小町も陽乃も康穂も心の整理をつけちまったからよぉ。今更だしなぁ」

 

徐倫「兄さんも鈍感さじゃあ負けてないと思うけど?」

 

仗助「そんな事ねぇだろうがよ。俺って結構男の割には純愛タイプだしよぉ」

 

徐倫「純愛タイプって……その歳でぇ?自分を知ってよ」

 

仗助「なっ!悪りぃのかよぉ!」

 

徐倫「別に悪いとは言ってないけどさぁ…。異性関係の話じゃあ、あたしの方が先輩よね。せ・ん・ぱ・い。ね?兄さん」

 

仗助「何が先輩だよ。それが原因でムショ送りになったくせしやがって良く言うぜ」

 

徐倫「なっ!いくら兄さんでも言って良いことと悪いことがあるだろ!だから良い大人のクセにいつまでもセコいことばっかりやるんだよ!大叔父のクセにわからねぇのか?あっ?」

 

下らない事で家族ケンカを始める仗助と徐倫。妙な所で兄妹喧嘩が勃発するなぁ……。

8巻のテーマの1つは確かに兄妹喧嘩だけど、無理矢理勃発させすぎだろ。仗助と徐倫は兄妹的な間柄の家族であって、正確には兄妹じゃあないからね?メメタァ!

徐倫が言うように、祖母の弟だから大叔父だから。これ、豆知識な。

これが徐倫ではなくジョジョだったら兄妹&夫婦喧嘩×2になってるな。

俺はいろはを見る。するといろはも俺の視線に気が付き、舌をンベッ!と出した。

何その拗ねてる振り。超可愛いんだけど。

しかし、やれやれだぜ……。上手く誤魔化せたか。

 

天の声『同時にお前も上手く誤魔化されたけどな』

 

今回ばかりは仗助と徐倫を関わらせてはダメだ。

忍さんに関わる今回の話には……絶対に。始まった兄妹(分)喧嘩に俺達が黙っているのもその為だ。

 

八幡「で……だ。忍さんの件だが……奥さんの光さん経由で交渉してみるのはどうだ?」

 

ジョセフ「従姉妹の詩織や親戚の皐月都議会議員からの方面から模索してみるのもええな。数年前の件では間に入ってもらってとりなしてもらったしのう」

 

大丈夫かな……。俺達コンビ、皐月都議会議員の娘さんには嫌われているとまでは言わないが、良い印象を持たれて無いんだよなぁ……。光さんに良い印象を持たれていない関係で。

そんなとき、ノックがして扉が開が開き、葉山が部室に入って来た。

 

葉山「失礼するよ」

 

葉山も基本世界のイッシキのような準部員扱いだから今や遠慮なく入ってくる。

葉山はキョロキョロと部室を見回し、今にも殴り愛にまで発展しそうな仗助達の様子にドン引きした後、俺達を見付けてやって来た。

 

葉山「やあ。少し良いかな?」

 

爽やかな…去れどひきつった微笑みを浮かべて葉山が俺に話しかけてくる。そりゃ天下の大企業の次期会長兼PTA会長と自分の担任教師が大人げなくケンカをしていればドン引きもするか。

 

八幡「どうした?」

 

葉山「ちょっと……」

 

聞かれたくない話なのか、葉山はジジイの席周りにいた俺を俺の席にまで引っ張り、顔を近付ける。あの……葉山と顔を近付けるのはちょっと……というか、かなり…海老名の腐ったセンサーが反応して眼鏡がキランとなってるし……。そういうの……ちょっと恥ずかしいし…。

まぁ、そういうのは置いておいて、葉山と内緒話をすることなんてないはずだ。普通に話すことだって無いのだから。シガられたくないし。

 

※シガられる…オーラル・シガレッツの能力を使われること。嘘に騙し、隠し事が多数の八幡はオーラル・ジガレッツの能力が苦手な為、叱られると掛けてこのような新語を作った。ある意味では性悪コンビの天敵。

 

八幡「俺、何かしたか?シガられる事なんて特に思い付かないぞ?」

 

葉山「真っ先にそれが出てくる辺りは相変わらずだな。比企谷。そうじゃあなくて、この間の折本さんと仲町さんの事なんだけど。一色には聞かれたくないだろ?」

 

既に遅い。ジョジョがアクトンを透明にして聞き耳立ててるから。

それに言い寄られて困るとかならどうにもならない。俺、そういうのにはノータッチ。相模の味方もしない。自力で何とかして?

しかし、葉山の話はそういうものでは無かったらしい。

 

葉山「土曜日の事について、ちょっと相談しておきたかったんだ」

 

八幡「ああ」

 

土曜日か。俺はジジイに目を向け、ハンドサインを送る。

ジジイからはさすがに無理…と、返ってくる。

 

八幡「先方と約束が取れないから東京行きは無くなったな。となるとスーパーヒーロータイムの前日だからピンクダークの少年なわけで…。放送時間の確認か?朝だよ朝。そんなの相談するまでもわかることだろ?」

 

葉山「お前は一体何の話をしているんだ?」

 

ですよねー。別に土曜日の予定なんて葉山に話した記憶も無いし、何より見ているとは思わない。思わないのだが……。

 

八幡「お、お前……マジか?ピンクダークの少年を見ていないだと?貴様ぁぁぁ!それでも日本人か!スタンド使いか!アーシスか!謝れ!露伴先生に謝れ!全スタンド使いに謝れ!弟子の材木座に謝れ!露伴先生嫁のめぐり先輩に謝れ!俺に謝れ!」

 

この非◯民が!

 

葉山「待て!色々と待て!あれは視聴者を選ぶだろ!むしろ深夜系の番組だ!日本人でもスタンド使いでも見ない人は見ない!それに俺はアーシスじゃあない!それに材木座や城廻先輩まではまだわかるが何で君にまで謝る必要がある!」

 

バッカ!あれには俺の体験も使われているんだ!謝罪を受ける権利は俺にだってある!

 

八幡「テメェェェェ!俺は修行2倍にすると予言する!葉山隼人ォォォ!」

 

葉山「そんな事よりもこっちの話をきけ!」

 

八幡「そんな事だとォォォ!修行の量は更に加速する!そんな事になればお前は中級波紋の戦士となって公式試合に出れなくなる!国立の夢を失うぞッ!呪うなら己の波紋の才能があることを呪え!聞いてくれるのはどぶねずみくらいだろうがなッ!」

 

葉山「それは困るな……じゃあなくて!話が進まないだろ!」

 

八幡「じゃあ何だァァァ!土曜日に何があると言うんだ!懇切丁寧に説明しろ!一流のCAが客にウォッカとキャビアを持ってくるように!」

 

ホントに何の事かわからない。テンションに任せて葉山に詰め寄る。最高にハイってヤツだ!バイオリンでも一曲弾きたいくらいだ。不愉快なギコギコ音しか鳴らせないがなぁ!(楽器の才能、ゼロ)

 

葉山「千葉に行く話だよ!」

 

ホワッツ?

 

八幡「俺は懇切丁寧に説明しろと言ったはずだぞ!お前は人間を辞めるかぁぁぁ!葉山ぁぁぁ!」

 

つまりSHI・KE・I♪はぁと♪

 

葉山「いい加減にそのハイテンションをなんとかしろぉぉぉ!疲れる!マジで!聞いてないのか?メールしたら土曜日に千葉へ遊びに行こうって誘われてるんだ」

 

八幡「行ってらっしゃい」

 

だってメール来てねぇもん。仮に折本が俺に送ったとしても当時のアドレスとは変えてあるからメーラー大門五郎さん(久々に登場)が代わりにお相手してくれたと思うし。

いやぁ、寝ぼけてアドレスを聞かれた時、いつもの嘘アドレスじゃあなくて本当のアドレス教えちゃったからなぁ。

結論!俺、誘われてない。だから行かない!

 

葉山「いや、行ってらっしゃい♪じゃあないだろ」

 

八幡「代わりに柔道家のメーラー大門五郎さんが行くんじゃね?俺にメールが届いて無いから」

 

葉山「それはメーラーdaemonだろ!と言うか、俺のメールもそれが返って来たんだけど……アドレスを間違えて教えてないか?」

 

八幡「あ、癖で嘘アドレス教えたわ」

 

葉山「最低だな。本当に緊急事態だったらどうするんだ」

 

八幡「特務用アドレスは本当だからそっちに送れば?あ、プライベートな内容はやめてね?」

 

葉山「ああ言えばこう言うだな…。じゃあ今お」

 

八幡「あ、蝿だ」

 

ザ・ワールド!時よ止まれ

 

ブウウウウン………

 

そして時は動き出す

 

葉山「しえた。だから来てくれないか?」

 

八幡「あ、悪い。蝿が飛んでいたから時間を止めた。途中で途切れたからまた頼む」

 

葉山「だから、今教えたか」

 

八幡「今度は蚊だ」

 

ザ・ワールド!時よ止まれ。

 

ブウウウウン

 

今日は虫が良く飛んでいるなぁ~(棒)

そして時は動き出す。

 

葉山「ら来てくれないか?」

 

八幡「あ、悪い。今度は蚊が飛んでいたから時間を止めた」

 

葉山「…………だから………」

 

八幡「季節外れのスズメバチが!」

 

ザ・ワールド!時よ止まれ。

 

ブウウウウン………

 

そして時は動き出す。

 

葉山「…………」

 

八幡「…………」

 

ジャキィィィィン!(互いにスタンドを出して睨み合う擬音)

 

葉山「どのみち内容は察し、俺の言いたい事は理解しているよな?」

 

八幡「俺は誘われてないし、時間が止まって内容は途切れて理解出来なかった。その事実があれば実際はどうあれ大義名分は成り立つ。シガっても無駄無駄無駄無駄」

 

葉山「仕事だろ?」

 

八幡「それは俺じゃあ無くとも未だに彼女がいない戸塚や姉離れをさせたい大志でも護衛は成り立つ。どうしても俺をご指名なら遠巻きにいろはなりジョジョなりと一緒にこっそりやれば良い」

 

葉山「人数が揃った方が良いし、知り合い同士がいる方が良いとは思わないか?それほどまでに彼女と関わるのは嫌なのか?」

 

八幡「俺と折本はもう関わらない方が互いの為だ。それに俺がお前と遊びに行くと思うか?」

 

そう言うと葉山は笑顔(とついでにスタンド)を引っ込め、真顔になる。ここまでくれば俺もからかうような真似はせず、同じ表情をする。

確かに葉山は仲間だ。元々違っていた階級も階層も境遇も人を殺した事があるスタンド使いというところまで葉山を巻き込んでしまった。

だが、プライベートを共にするほどの領域までの間柄じゃあない。

いずれはまた、警察と犯罪者として対立する間柄となる。馴れ合うつもりはない。

表に戻ろうとする葉山と、表を捨てて更に裏に行こうとしている俺。互いの隔たりは厳然と示されている。俺の行く道は表に踏み込む事は許されないし、逆に葉山が進むべき道は裏の道に踏み込む事を俺は許さない。

今、この場に並び立っていることすらも本来は異質だ。

葉山は悲しい表情を向ける。

 

葉山「君ならば……わかってると思ってたんだけどな…」

 

八幡「何?」

 

この言葉は……基本世界の雪ノ下の……。

 

基本世界雪乃『わかるものとばかり…思っていたのね』

 

この言葉を聞いた基本世界の比企谷八幡は、自分が何か読み間違えた事を悟ったはずた。

そして長い溝を作ってしまった。

時間の修正力があるとしたならば……奴らの思惑が何かあるのならば……。一体俺は何を間違えた?葉山は何を俺に期待していた?

 

葉山「………そうか。わかった。取り敢えず予定だけは伝えておく。後はアーシスの判断に任せるよ」

 

葉山は踵を返し、部活へと戻って行った。

部室には何とも言えない空気が漂う。

 

結衣「ヒッキー。これはね?ヨッシーが言ってたんだ。『言葉は100%伝えられればそれに越したことはないけれど、1を聞いて10を理解する事も必要だ』って」

 

材木座が?

 

結衣「隼人くんはさ。ヒッキーの洞察力の良さに期待したんじゃあ無いかな?それに、普段のヒッキーだったら隼人君の考えに気付いていたと思う。だって、ジョースターの強みってさ、その機転の良さと柔軟性だもん。ジョセフ師匠の一番弟子ならきっとそれがわかってくれると期待していたと思う」

 

由比ヶ浜……。

 

結衣「らしくないよ?ヒッキー。あたしバカだから隼人君がヒッキーに何を期待していたかはわからないけど、あたしにだって隼人君がヒッキーに何かを期待している事だけはわかったもん」

 

お前は億泰さんか。いや、億泰さんなんだな。

億泰さんは自分を頭が悪いと理解していながらも、大事な事はわかっている人だ。

由比ヶ浜も同じだ。自分を理解しながらも、さりとて大事な事はわかっている。

 

八幡「………そうだな。ありがとな。由比ヶ浜」

 

結衣「うん」

 

考えろ。工夫しろ。普段の俺ならどう読む?

そもそも俺は何に凝り固まっていた?

表に進む葉山と裏に進む俺………。

 

……

……………

…………………

そういうことか………。

やってくれるじゃあないか、葉山。

まさかお前がそっちの道に進もうとするなんて。

互いにらしくないじゃあないか。

そりゃあシガれないよな。シガろうとしたらシガられるのは自分自身だ。

能力じゃあなく、お前の覚悟にシガられる日が来るなんて思いもよらなかったよ。

だったらシガられてやらなくちゃあ、そんなものは本物じゃあないよな?葉山。

 

俺の口がイビツに歪む。

 

結衣「わかったの?ヒッキー」

 

八幡「ああ、とんでもない不良だよ。あの野郎は。下手をしたら俺なんかが足元にも及ばない程にな」

 

シガってくれた責任は……しっかりと取って貰うぞ。

そのツケはとことん付き合って貰うし、とことん付き合ってやる。

覚悟は出来てるよな?葉山。俺は出来ている。

 

←To be continued




はい、今回はここまでです。

葉山の思惑とは?八幡は何に固執したが故に気が付かなかったのでしょうか?


それではそれぞれ散らばっている原作との相違点を。

前半はオリジナル

八幡と葉山の会話は教室→奉仕部

海老名は特に無反応→メガネを光らせる

聞かれたくないのは周囲に→いろはに

番組の話は八幡の脳内→口に出している

八幡が出している番組はジュエペとプリリズ→ピンクダークの少年(アニメ化されるにしても内容的には明らかに深夜番組枠だろうが、何故か朝)

八幡の葉山いじり

ここぞとばかりにジョジョの名言をパロディ

互いにメールアドレスを交換したが、折本は後に変えたアドレスを八幡に教えていない(八幡がアドレスを変えた連絡をした際に、メーラーdaemonさんから返信が来たという描写あり)為、土曜日に誘われている事実を知らないし、恐らくは最初から誘われていない→八幡は寝ぼけて本当のアドレスを教えたが(第3章)、それがトラブルに発展。また、その後は互いにメール交換はしていないので、折本の真意に関しては誘うつもりがあったのか無いのかは不明(原作通りだろうと八幡は察している)。

八幡が行きたがらないのは過去の出来事と誘われていない事実から→……のは同じだが、内容は違う。

↑+葉山とのカーストの差と修学旅行の事を引きずり、葉山と行動したくはない→将来的にはまた対立するとわかっているので馴れ合うのを避けている

上と下の差→表と裏の差

「わかっているとばかり……思っていたのね」は雪乃(8巻ラスト)→葉山

雪乃は奉仕部から生徒会へと形を移すことにより、現在の関係を維持しようとしていた(めぐりの発言から八幡が考察)→葉山の思惑は………?

それでは次回もよろしくお願いいたします。

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