やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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やはり一色いろははダブルデートに関してはむくれる

side比企谷八幡

 

徐倫α「テメェ………八幡………」

 

八幡「バァカ。今の徐倫は俺を公では比企谷と呼ぶし、プライベートならハッチって呼ぶ。頭っから偽物全開で来るんじゃあない」

 

T・G「無駄無駄無駄無駄無駄ぁ!」

 

徐倫α「チックショォォォォォ!」

 

無駄無駄ラッシュを受けて壁に叩きつけられ、ダウンする徐倫α。

その徐倫αの頭を踏みつけ、グリグリとやる。

 

八幡「甘いんだよ。今の徐倫はもっとイヤらしく動く。戦いも実行動も。お前じゃあ俺を満足させることは出来ない」

 

ゴン!

 

徐倫「誤解の招く言い方をするんじゃあねぇ!ハッチ!あと絵面的に不愉快だからやめろ!」

 

八幡「そう!このゲンコツ!これがあっての徐倫だ!ゲンコツのない徐倫なんて、豚肉が使われていないトンカツだ!チーズが使われていないピッツァだ!練乳が入っていないマッカンだ!フェニックスはわかっていない!空条徐倫がなんたるかを!」

 

ゴン!

 

徐倫「テメェがマトモならそもそもあたしがゲンコツ教師になんかなってねぇよ!こんな空条徐倫はあたしだけだよ!基本世界のあたしだって驚くわ!」

 

八幡「というのが空条徐倫だ。わかったか?偽物」

 

徐倫α「御愁傷様としか言えないわね。本物のあたし。ヤレヤレって感じだわ………」

 

そう言って徐倫αは炎となって消える。

本物の徐倫は俺に背を向けてプルプルと震えていた。

 

八幡「良かったな?慰めてもらって」

 

徐倫「ぜ・ん・ぶ・テ・メ・ェ・の・せ・い・だ・ろ・う・がぁぁぁぁ!ハッチィィィ!」

 

S・F「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!」

 

八幡α「バカな!この比企谷八幡が……この比企谷八幡がぁぁぁぁ!」

 

俺の偽物が八つ当たりのオラオララッシュをくらって吹っ飛ばされ、炎となって消える。

ああ、確か五年前の徐倫は切れる糸の繊維質なんてことはやらなかったもんな?そら知らない五年前の俺じゃあ対処出来ないわ。

 

八幡「アリーヴェデルチ(good-bye forever)

 

ゴン!

 

徐倫「ルビの意味があるのか!それ!」メメタァ!

 

ナイスだ徐倫。しっかりとそこに気付いてつっこんでくれるその姿勢!そこに痺れるゥ!憧れるゥ!

 

徐倫「過去の自分に同情されるなんて……死にたいよぉ……」

 

八幡「そういうスタンド使い、お前倒したよな?」

 

徐倫「ああ……人類の夜明けのアイツね」

 

八幡「……………」

 

人類の夜明け……ね。

可能性を秘めたお前がそれを言うとシャレにならないんだよなー。

お前と仗助だけは………近付ける訳にはいかないよな。やっぱり。

お前が人類の夜明けとなったら、こっちはそれこそ人類の黄昏になる。

 

八幡「で、ウルフスの眷属に襲われるまで公園でなに黄昏てたの?お前」

 

徐倫「いやぁ……仗助兄さんと派手にやっちゃったからさぁ……」

 

後悔するくらいなら仕掛けなきゃ良かったんじゃね?

 

八幡「あんなのが?つうか、俺から言わせりゃ普段のツッコミの方がよっぽど派手じゃね?馴れ合いにもなってなくね?俺達の新たなる扉を開いた徐倫はどこに行っちゃったの?」

 

ゴン!

 

徐倫「別にアンタの趣味をどうこう言うつもりはねぇけどなぁ、それにあたしを巻き込むんじゃあない!」

 

えー……元々ディオって「最高にハイってやつだ!」とか「馴染む!馴染むぞぉ!」とかで自分の体を無意味に傷つけたりとかしてたから素質はあったと思うよ?

 

八幡「けど、仗助とお前が馴れ合いとはいえケンカするなんて珍しい事もあるじゃあないか。まぁ、家族って感じで良いんじゃね?」

 

ホント、今が凄い幸せだよな。こんなことでもささやかな幸せを感じてしまうほど。

 

徐倫「ったく………アンタのバカに付き合ってたら悩んでたのがアホらしくなるよ!」

 

八幡「それは良かった。ところでさ……」

 

徐倫「あ?何よ。まだバカをやり足りないわけ?」

 

八幡「いや……そうじゃあなくて……あれ……」

 

徐倫のアメ車らしきものがブロロロロ……とレッカーされていくのが見える。

 

徐倫「あ、あれは………あたしの!あたしのぉ!Oh my goーーーーーdッ!」

 

駐車違反、御愁傷様。

 

八幡「まぁ、投獄経験があるお前からしたら大した事の無いことだと思うから。元気だせよ?徐倫」

 

ゴン!

 

徐倫「元気つけるつもりにしても言い方ってもんがあるだろ!」

 

ヤレヤレだぜ。言葉って難しいなぁ~。

 

キングクリムゾン!

 

とぼとぼと警察へと向かった徐倫を見送り、家に戻る。

今日も誰もいないのでソファでゴロゴロする。テレビをつけっぱなしにし、今日の戦闘報告を秘匿回線付きのパソコンでぱちぱちと打ち込むこと数時間。

 

いろは「仕事?」

 

八幡「今日も偽物に襲われたからな。その報告」

 

八幡父「何っ!?無事か!八幡!怪我はないか!?」

 

八幡「徐倫と一緒に撃退したから大丈夫。被害は徐倫の交通違反切符だけでダメージらしいダメージはなし」

 

一緒に帰ってきたと思わしきいろはと親父が慌てて俺の体をペタペタと触りだす。

 

いろは「念のためエメラルド・ヒーリング!」

 

八幡「エクセスだけは勘弁ね?」

 

いろは「しませんよ。信用ないんですか?」

 

いろはがぷくっと頬を膨らませる。

 

八幡「確認だよ。本人かどうかのな。エクセスを知ってるなら本人だろ?」

 

いろは「そう言うことですか。もうケンカなんてしたくないですからね」

 

八幡父「ケンカするほど仲が良いとは言うが、程々にな。八幡達は命がけの生活をしているんだ。そのまま死別なんてことになったら後悔してもしきれんぞ」

 

ソファの隣に腰掛け、親父が俺の頭にポンッと手を置く。ついさっき家族愛について考えていただけにその手が何故か大きく感じる。

やっぱり父親の手というのは大きいんだな……。

 

八幡「そうだな。些細な事でケンカするってことが最近あちこちで起きてるからな。今日も小町を怒らせたし、仗助と徐倫もケンカしてるし、葉山とも些細な行き違いをしたしな」

 

八幡父「何ッ!我が天使の機嫌をなに損ねているんだ!八幡!殺すぞ!」

 

八幡「心配するか怒るかどっちかにしろよ。ただでさえ最近は多いんだから」

 

いろは「あれはハチ君が悪いですよ。恋愛のアレコレを人に干渉されるのって、年頃の女の子にとってはかなりウザいんですからね?」

 

そうなの?年頃の女の子になったことないからわからん。

………エンターっと。

報告終わり。

 

八幡「しかし、フェニックスの奴、地味に嫌な攻撃法だよな」

 

いろは「そうですよね?いつもまずは本物かどうかを確かめますから人間関係がギスギスしますよね?」

 

本当に嫌なタイプのスタンド能力だ。ほとんど本物だからすんなりと溶け込んでくる。

 

ガチャッ!

話をしていると、リビングの扉が開いた。

勝手に扉を開けることを覚えてしまったカマクラかと思って見てやると、そこにはナイトキャップにパジャマ姿の小町が不機嫌そうな表情で立っている。

 

小町「お兄ちゃん。電話」

 

八幡「は?」

 

電話なら今使って……あ、アーシス関連用の回線だ。次に仕事用の携帯電話を取り出すと……。こっちは特に反応なし。

あとは平日は特に使わない。休日もあまり使わないアプリゲーム再生用とも言えるプライベート用の携帯を取り出してみたが、着信ねぇ、メールもねぇ、電池がそもそも切れている!オラ、こんな携帯嫌だ。吉幾三か!

スリー・ラック。スタンドか!幾はどこいった!

電池が切れてたらそら着信なんかないわ。俺のプライベート用の携帯ナンバーを知っている奴なら小町の番号を知ってるわ。つまり、アーシス関連以外で俺の知り合いはいない。

小町の方に向き直ると、携帯が飛んでくる。危うく顔面に当たりそうなのをギリギリのところでキャッチした。スタンドで。俺本体で対応できる速度では無かった。

危ねぇな!どんだけ力を入れて投げてるんだよ!プロ野球選手だって裸足で逃げ出すレベルだよ!顔面にヒットしてたら再起不能(リタイア)確実じゃあないか!

と言うか、ザ・ジェムストーンの精密性が低かったら携帯を握り潰してるぞ!兄も携帯も大事に使わなくちゃダメ!乱暴ダメ!絶対!

 

小町「小町もう寝るから。終わったらそこ置いといて」

 

八幡「お、おい」

 

言うが早いか、小町は自分の部屋へと引っ込んでしまった。

手元に残された小町の携帯電話を見る。画面には保留中の表示が出ていた。

とりあえず出るか。誰からの電話かはわからないが、小町のプライベート用の携帯で繋いできた人間だ。敵ではないだろう。

保留を解除して耳に当てる。

 

八幡「もしもし?」

 

陽乃『ひゃっはろー♪』

 

八幡「お疲れ様でした。失礼します」

 

ピッ!終話。

ふぅ……危ないところだった……。もう少しでやられるところだった。

 

『おはようってテンション♪上げ~た~ら~♪(ハイハーイ!)』(『Enjoy go my way!』俺ガイル続の小町のテーマ)

 

………悠木碧って小町(CV:悠木碧)似の声優の歌だったか?

小町のプライベート用携帯の着信が鳴る。着信音変えたのか。

発信者はもちろん陽乃さんだ。

ピッ!

 

陽乃『ひゃっはろー♪』

 

八幡「おかけになった電話は現在、留守です。番号をお確かめになって、もう一度かけ直しても留守です。しばらく待ってからかけ直しても留守です。また日を改めてからお掛け直し下さい」

 

ピッ!

ふぅ……これほどまでに辛い戦いは久々だ。

 

『誇りの道を往く者に太陽の導きを~♪』(「その血の宿命」ジョジョ第1部OPより)

 

うわっ!今度は仕事用の携帯にかかってきた!

形振り構わないなぁ……。

 

陽乃『ひゃっはろー♪』

 

八幡「ちょっとちょっと!陽乃さん!仕事用の携帯をプライベートで使わないで下さいよ!」

 

陽乃『八幡君がふざてるからじゃない?一応、内容的には八幡君の3つの携帯全部に該当するかなーって思ってさ?』

 

八幡「……本当でしょうね?何の用事ですか?」

 

どうも最近のこの人って信用ならないんだよなー。

 

陽乃『小町ちゃん、まだ機嫌が直らないんだ?』

 

八幡「なんで知ってるんですか?」

 

陽乃『雪乃ちゃんから聞いちゃった♪ダメだよー?修学旅行の一件はわたしも小町ちゃんもまだ整理がついていないんだから。兄妹ケンカはダメだよー♪』

 

八幡「一応、本物みたいですね?」

 

偽物ではないことは確かだろう。

 

八幡「そっちに比べたらケンカってほどではないですよ」

 

何年拗らせていたんだっての。

 

陽乃『あはは、不可侵条約撤回して無理矢理襲おうか?明日あたり危ない日だし』

 

やめてください。

 

陽乃『それより聞いたぞー?仕事を放棄はいけませんよー?支部長』

 

そっちの方面で攻めてきたか。

 

八幡「俺の業務予定に口出しをする立場じゃあ無いですよね?」

 

陽乃『SPW財団の上下ではそうだけど、アーシス上では互いに同期で一般隊員だよね?これはアーシス案件。アーシスの仕事上じゃあわたしと八幡君は同等♪』

 

くっ!そう来たか!アーシスでは俺と陽乃さんに上下関係は存在しない。

 

陽乃『そ・れ・に。仗助兄さんから直接任務を受けてるじゃん』

 

八幡「や、行きますよ?」

 

会話が始まってしまった以上は戦いは始まっている。

リードはにぎらせん!

 

陽乃『そうなの?何だ。言葉の戦いを楽しもうかなって思ったのに。誘われてないとかを理由でボイコットするかと思ってさ?』

 

八幡「何で知っているんですか?」

 

まるで聞いていたかのように!

 

陽乃『何でって……自分で教えてくれたんじゃん』

 

しまったぁ!陽乃さんのαとの会話……つまりはあのカフェの内容を俺から陽乃さんへアーシス回線で送ってたんだ!

 

陽乃『つまんないなー。にしても隼人が頭を下げて頼むなんて、なかなかないからねー。何を考えてるのか興味を持っちゃったよ♪前ならあまり気にしなかったんだけどね?あの子も変わっていってるよねー?良いか悪いかはともかくだけど』

 

八幡「そうなんですか?結構人にお願いしたりしてますよ?あれ」

 

だから文化祭の時には人材不足のポジションにぶちこんだわけだし。

 

陽乃『頭は中々下げないよ?あれで結構プライド高かったりするから。隼人、どうにかして連れてきてくれないかと言ってたからさー』

 

そうなのか?

 

陽乃『まぁ、気が変わることもあるかもしれないから来なかったら当日は家まで迎えに行くからね?それでも嫌だって言うならわたしとの子作りを承認したという事で……』

 

八幡「なにその幼なじみ」

 

いろは「そんな事はさせません!そもそも幼なじみはわたしです!子作りをはるさんに譲るくらいならわたしがやります!」

 

……………行くの止めようかな?

いろはと…………ゴクリ………。

 

いろは「ハチ君!他の女の子とダブルデートするのは許せませんけど、何か考えがあるようですから今回だけは我慢します!ですので当日は絶対に行くこと!あと、ハチ君を送るのはわたしがやりますからはるさんは家に来ないで下さい!」

 

いろはは俺から携帯を奪い、勝手に通話を切ってしまった。正妻強い。正妻には絶対に勝てない。これ、世の家庭の常識。

俺は言われた通り、小町の携帯をテーブルの上に置いた。小町の部屋まで返しに行って投げつけ返しても良かったが、余裕で対応されて今度はレーザーが飛んでくるだろう。

 

八幡「……風呂入って寝るか……いろは、入る?」

 

いろは「何言ってるんですか?ハチ君がダブルデートに行くって決まって面白くない気分なのは変わらないんですけど?」

 

八幡「や、俺的にはいろはしかいないという決意の現れと既成事実をここで刻もうかと……」

 

いろは「うわっ!どうせならもっとロマンチックに言えないんですかね?この婚約者は!とにかく無理です!初めてくらいロマンってのを考えて下さい!わたしはもう隣に帰りますからね!」

 

いろははちょっと大げさに扉を開け閉めする音を立ててリビング、そして玄関から出ると自分の家(塀なしの隣の家)に帰って行ってしまった。

ヤレヤレだぜ。任務の為とはいえ、女子と遊びに行くことになってしまった。それも、かつて矯正施設(ムショ)送りにした子と。

葉山の狙いは…………。

特に考える事もなく、俺は風呂に入って寝ようとして立ち上がり、いろはが出ていった扉を開いてから………親父の方へ振り返る。

 

八幡「親父。娘の携帯のチェックとかやったらまた手足が曲がってはいけない方向に曲げられるから止めとけよ?気持ちはわかるけどな?」

 

テーブルの上に置いた小町の携帯に手を伸ばそうとしていた親父の動きが固まった。

以前にそれをやった親父がその惨い状態で転がされていたときは母ちゃんの悲鳴がこだましたのは記憶に新しい。

あの時は慌てていろはを呼びに行ったっけ?

新手の敵のスタンド使いの襲撃を受けたと思って。

 

八幡父「ままままままま…まさかそんな!そ、そうだ八幡!ジョースターさんがお土産でくれた京都伏見の銘酒を一緒に飲もう!」

 

そう言うことなら……

 

八幡母「お父さん?八幡?何をしようとしてるの?」

 

ガシッと母ちゃんに捕まり、深夜まで説教をされた俺と親父だった。

まったく……ヤレヤレだぜ。

 

←To be continued




はい、今回はここまでです。

いやぁ、徐倫がいると楽ですね。


それでは恒例のを。

八幡は家に帰った後はソファに寝そべり、テレビをつけっぱなしにして本を読みながらゲーム機を弄くる→ドンパチの報告

遅くに帰ってきた両親に小言を言われるが、聞き流して生返事をしたため見切りを付けられる→いろはと両親に声をかけられ、普通に会話する

深夜で眠くなってきたときにケンカ中の小町が携帯を持ってくる→会話中に小町が電話を持ってくる

八幡の電話は1つだけ→3つ。プライベート用、仕事用、特務用

陽乃との番号は八幡本人は交換していない→これだけ長い期間の…それも陽乃との間柄でそれはない

顔面にヒットしそうになるのは同じだが、スピードと威力が段違い

陽乃の挨拶に対して切たくなるような気分になった→本当に切った

葉山との遊びに行くのは遊び→葉山護衛の仕事

小町とのケンカの理由が違う

雪乃と陽乃の仲はヤバス→良好

八幡は誘われていない事を理由にごねる→もう行く覚悟は固まっている。後は最後のきっかけを探していた

少し大げさに扉を開け閉めしたのは八幡→いろは

八幡は小町の携帯をテーブルに置いて自室へ行った→…と思ったのだが、親父が携帯を触ろうとしたので忠告した。

それでは次回もよろしくお願いいたします。

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