やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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雪ノ下雪乃は名所巡りをする

side雪ノ下雪乃

 

陽乃「ごめん!雪乃ちゃん!」

 

客室で姉さんは拝むように手を合わせ、私に謝ってきた。

 

雪乃「構わないわ。前々から姉さんはポルナレフさんとゆっくりお話ししたいと言っていたのだもの。ポルナレフさんが暇な時なんて、今日くらいしか無いと思うわ。杜王町なんて来ようと思えばいつでも来れるのだもの」

 

内心はいうほどいつでも来れる訳では無いものの、ポルナレフさんに残されている時間は少ないと聞いたことがあるわ。だったら、いつでも出来る姉妹の団欒はポルナレフさんに譲るべきよね?

 

陽乃「本当にごめん!じゃあ、行ってくるね?」

 

そう言って姉さんは部屋を出ていった。

そうなると暇になってしまう。どうしようかしら。ジョルノ兄さんやトリッシュ姉さんと一緒に出掛けようかしら?

取り敢えず、朝食をとろうと食堂まで行く。途中でロビーを通ると、朝早く出たはずの人がロビーのソファーでむくれていたわ。由比ヶ浜さんよ。

確か岸辺露伴先生の所にいる材木座君の所へ行くのではなかったかしら?

 

結衣「むぅぅぅぅぅ………」

 

雪乃「何をしているのかしら?由比ヶ浜さん」

 

結衣「あ、ゆきのん!聞いてよ!露伴先生ったら酷いんだよ!?ヨッシーの所に行こうと思ったのに、『君がいると義輝君の集中力が散漫になる。何より僕にとって邪魔だ』とか言って来るなって言うんだよ!?信じられない!」

 

由比ヶ浜さんはプンプン怒って私に説明してくれる。露伴先生の気持ちもわからなくはないわ。

 

結衣「でもさー、めぐり先輩はどうせ別なんだよ!?ずるい!」

 

由比ヶ浜さんは唇を尖らせてむくれる。

はぁ………。そうなると、由比ヶ浜さんは私と行動するのがいつものパターンよね。予定が狂ってしまったのは私も一緒なのだし。

 

雪乃「私も姉さんと一緒に観光する予定だったのだけれど、姉さんが急に予定が入ってしまって私も暇になってしまったの。ジョルノ兄さんを誘って出掛けようと思ったのだけれど、由比ヶ浜も一緒にどうかしら?」

 

結衣「良いの!?」

 

あなた……捨てられた子犬のような視線を私に向けておきながら……。

私達はまず朝食を摂り、そしてまずは杜王グランドホテルからそれほど離れていない露伴先生の家へと向かったのだけれど……。

ピンポーン♪

 

…………シーン…………。

 

留守なのかしら?

 

結衣「あれ?おかしいな……ヨッシーは露伴先生の家で執筆しているってメールがあったのに……」

 

これは………間違いないわね。

 

雪乃「由比ヶ浜さん。居留守よ」

 

前に比企谷君から聞いたことがあるわ。露伴先生は家に来客が来ても基本は居留守を使うのだと……。

予定されていた来客だったり、気が向いた時などは居留守をしないのだと言うけれど、それも東方……いえ、仗助兄さんとのトラブルで家が火事になってからは余計に居留守を使うようになってしまったのだとか。

 

ピンポーンピンポーン!

 

結衣「い、居留守ぅぅぅぅっ!ちょっと露伴先生!あたしです!由比ヶ浜結衣です!」

 

トントン………ガチャッ!

 

すると、不機嫌そうな露伴先生が家の中から出てきたわ。それは本当に……迷惑そうな顔をした露伴先生が玄関のドアを少しだけ開けて……。

 

露伴「うるさいなぁ。いつも思うのだが、君は静かにするということを知らないのかい?今は僕も義輝くんも執筆がのっているんだ。下らない事で邪魔をしないで貰おうか」

 

バタン!ガチャッ!

 

こちらの言うことを聞く必要がないと言う風に一方的に言って、露伴先生は玄関を閉め、更に鍵をかけてしまったの。

これが有名な露伴節………というやつなのかしら?

 

結衣「ちょっ!露伴先生!露伴せんせー!」

 

露伴「うるさい!次に騒がしくしたら警察を呼ぶぞ!早く帰るんだ!由比ヶ浜結衣!」

 

とりつく島は無さそうね。露伴先生なら本当に警察に通報しかねないわ。いえ、いきなりヘブンズ・ドアーをやらないだけ露伴先生的には優しいのかもしれないわね。

 

結衣「なっ!めぐり先輩は!?」

 

………そういえばそうね。城廻先輩がいたのなら、そもそも最初から居留守なんて事はあり得ないわ。露伴先生が少し不機嫌なのと関係がありそうね。

 

露伴「………出掛けている。彼女の事は今はそっとしてやってくれ」

 

先ほどのような強い語気ではなく、すこし悲しそうな声を露伴先生はあげる。

 

露伴「この杜王町は彼女にとって、懐かしい場所であり、そして悲しい思い出に溢れる町なんだ。杉本鈴美、矢安宮重清、辻彩…。彼女を形成する吉良吉影の被害者の悲しい思い出が詰まった町……それが杜王町なんだ。だから彼女の事は放っておいてあげてくれ。時間が来たら僕が迎えに行く」

 

結衣「露伴先生………」

 

露伴先生にとっても城廻先輩は特別なのね。だから先輩の事を見守るつもりなのだわ。先輩が辛い思い出を乗り越えてくれると信じて………。

 

露伴「彼女を迎えに行く前に今日の執筆を終らせたい。義輝くんの体験した修学旅行の…特にオロチの戦いから得た事を漫画にするために!」

 

それって今、材木座君は本にされてネタを搾り取られているのではないかしら?

 

結衣「ちょっ!ヨッシーに何をしているし!」

 

シーン………今度こそ露伴先生は私達を無視して家の奥に入っていってしまったようね。御愁傷様、材木座君。

 

雪乃「由比ヶ浜さん。どうやら無駄のようよ。諦めて私達は杜王町の観光をした方が時間の無駄にならないと思うのだけれど」

 

漫画の事になると露伴先生は考えを変えないということだし、これ以上引き下がっても時間の無駄だわ。

 

結衣「うう………ヨッシー………」

 

私がガックリと肩を落とした由比ヶ浜さんを慰めていると、背後から声をかけられたわ。

 

エンポリオ「あれ?雪乃と結衣。どうしたの?こんなところで?」

 

エンポリオ君。偶然ね。

私が表向きは平静を装いながら振り向くと、そこには楽◯の帽子を被ったエンポリオ君が不思議そうな顔をして私達を見ていたわ。

 

エンポリオ「ここは露伴先生の………そう言うことか。彼氏を露伴先生に缶詰にされてるんだね。だから結衣は泣きそうになってるんだ……」

 

結衣「うう……リオー」

 

エンポリオ君だからリオ……あなたのあだ名のネーミングセンスは未だにわからないわ。まるで女の子のようなあだ名の付け方はどうにかならないのかしら?

 

エンポリオ「リオって………まぁ良いけど……結衣って一度付けたあだ名は梃子でも変えないって言うし、静お姉ちゃんも諦めてるみたいだから……悪意は無いみたいだしね」

 

逆を言えば悪意が無いだけ却って始末に負えないとも言うのよ?エンポリオ君。私の中での由比ヶ浜さんのあだ名のセンスの無さは比企谷君の楽器のセンスの無さに匹敵するわ。貞夫おじいさまが匙を投げるレベルの比企谷君の楽器のセンスの無さに………。

 

雪乃「それでエンポリオ君。あなたはどうしてこんなところにいるのかしら?ホリィおばあ様、承太郎おじさま、徐倫姉さんは?」

 

エンポリオ「ホリィおばあちゃんは仗助兄さんや静お姉ちゃんの所で朋子さんの所に遊びに行ってる。久々の兄妹水入らずで過ごしているみたいだよ」

 

ホリィおばあ様は滅多に仗助兄さんやジョースターさんには会えないみたいだから、とてもウキウキして遊びに行っていそうね。

 

エンポリオ「父さんは部屋で姫菜に看病を受けてる。いや、あれは迫られてると言った方が正しいかな?」

 

海老名さん………カミングアウトしてからは本気で承太郎おじ様にアタックしているのね。そのアグレッシブさが私にあれば、もう少しエンポリオ君との距離が縮まるのかしら……?

 

エンポリオ「徐倫お姉ちゃんはハッチがイーハを押し倒さないように監視……とか言っていたけど、徐倫お姉ちゃんなりにハッチを心配しているのかも。父さんと姫菜の邪魔をしない意味もあるんだろうけどね」

 

いえ、建て前の方が本命と思うわ。比企谷君って一色さんの事を好きすぎるもの。

比企谷君と一色さんの出会いを聞いたことがあるのだけれど………その時はついついレイプヶ谷君の称号を与えてしまったわ。

 

雪乃「それで………エンポリオ君は?」

 

エンポリオ「僕はどこに混じってもお邪魔だからさ。せっかくだし杜王町を散策しようと思ったんだ」

 

…ええ、そうね。承太郎おじ様と海老名さん、仗助兄さんとホリィおばあ様とジョースターさん、比企谷君と一色さんと徐倫姉さん……。誰もエンポリオ君の事を邪魔だとは思わないとは思うのだけれど、本人的には色々と気を使うのかも知れないわ。

……少しだけ、勇気を出してみようかしら。波紋の呼吸は勇気の讃歌とも言うものね。

 

雪乃「だったらエンポリオ君。あなたさえ良ければなのだけれど、私達もご一緒に杜王町を観光しても良いかしら?せっかくなのだし………」

 

結衣「あっ!それいいね!リオ君も一緒に行こうよ!絶対にその方が楽しいよ?」

 

さっきまでの泣き顔はどこに行ってしまったのかしら…。由比ヶ浜さんは目をキラキラと輝かせながら私を援護してくれたわ。援護してくれた事そのものはすごく嬉しいのだけれど、何故かしら……。それだけではないように思えるのだけれど……。野次馬根性的な何かを感じるの。

そういえば由比ヶ浜さんは他人の恋愛を見るのが好きな性格だったわね。ヤレヤレだわ……。

 

エンポリオ「雪乃達と?良いのかい?助かるよ。僕も一人で退屈していたんだ。同じ散策なら、誰かと一緒の方が楽しいものね」

 

雪乃「ええ。よろしくお願いね。エンポリオ君」

 

良かったわ。断られなくて……。

どこかの腐り目の性悪な邪悪の化身は私の事を「氷の女王(笑)」とか陰口を叩いているようだけれども、私だって年頃の女の子よ。

気になる男の子とは一緒の時間を共有したいし、一緒にお出掛けをする誘いを断られてしまったら傷付くわ。

何よりエンポリオ君は普段はホリィおばあ様の東京空条家にホームステイ中。千場と東京は近いのだけれども、微妙な距離の差はやっぱりあるのだから滅多にあえないわ。折角のチャンスなのだから少しでもエンポリオ君と仲良くなりたいと思うのは誰でも同じことだと思う。

私が恋する女の子になるなんて……すこし前なら考えられない事ね。これもラテン系のジョルノ兄さんの影響なのかしら?

あら………そう言えば由比ヶ浜さんに夢中ですっかりジョルノ兄さんの事を忘れていたわ。

 

 

sideジョルノ・ジョバァーナ

ー杜王グランドホテル・プライベートビーチー

 

小町「ジョルノお兄ちゃん、いい加減機嫌を直したら?陽乃さんも雪乃さんも出掛けちゃって寂しいのはわかるけどさ。それにもうほとんど冬だよ?ビーチで黄昏れるにしても寒くない?」

 

ジョルノ「何を言っているんだ?僕は純粋に二人の…特に雪乃の身を案じているんだ。ここは杜王町なんだ。どこにスタンド使いがいるのかわからないじゃあないか。君達はどうして落ち着いていられる?」

 

小町はわかっていない。雪乃はまだ戦闘経験が少なくて未熟だ。一人で出歩いてスタンド使いに襲われたらどうするんだ。ライオット・ライフタウンのような杜王町で目覚めたスタンド使いがどこに潜んでいるかわからないじゃあないか!

 

小町「ジョルノお兄ちゃんも大概シスコンだよね?お兄ちゃんや仗助お兄ちゃんのことを笑えないなぁ」

 

ジョルノ「君も失礼だな。カワイイ妹分が危険な目に遭う可能性があるならば、心配して当然の事じゃあないか」

 

まったく。何を言っているんだ?小町は。

 

小町「それがもう立派に千葉の兄なんだよねー。自覚がないだけ余計にたちが悪いなー。でもね?ジョルノお兄ちゃん。1つだけ妹として……ううん、一人の女の子として忠告しておくけどさー」

 

妹道の第一人者である小町の意見なら参照になるかもしれない。

 

小町「……過剰に干渉してくる父親とか兄ってすっっっごくうざったいしめんどくさいんだよね。今のジョルノお兄ちゃんみたいなの」

 

ジョルノ「……………」

 

なるほど……。ゴミいちゃんと言われた時の八幡の気持ちが少しだけわかった気がする。

ポーカーフェイスが得意な僕だけど、内心ではものすごくショックを受けていた。

 

小町「さぁさぁ!新しく出来た妹ばかり構ってないで、たまには昔からの妹を可愛がってよ♪ジョルノゴミいちゃん♪」

 

ぐはぁっ!

 

トリッシュ「小町…やめてあげて…。ジョルノ、ポーカーフェイスでごまかしているけど、相当ギリギリよ?精神的に始末しないで。構ってあげるから…」

 

やはり僕は比企谷兄妹よりも雪ノ下姉妹の方がカワイイと感じるのはまちがっていない。

 

←To be continued




はい、今回は雪乃視点で現在の杜王町の名所巡りをお送りいたします。

ジョルノをキャラ崩壊させ過ぎたような………

それでは次回もよろしくお願いいたします。

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