やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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雪ノ下雪乃は杜王町を観光する(ボヨヨン岬編)

side雪ノ下雪乃

 

露伴先生の家でエンポリオ君と合流した私達は杜王町七不思議の名所を回ることにしたわ。

まずは露伴先生の家がある東部。その東部の端にある名所を最初の観光地と決めたのだけれど。

最初の名所は杜王町北東部にある別荘地帯よ。

 

雪乃「ここの名所は『ボヨヨン岬』と言うらしいわ」

 

結衣「ボヨヨン岬?」

 

私は杜王町のガイドブックを片手に説明文を見るわ。

 

雪乃「この岬から飛び降り自殺を図った女性がこの岬から身投げをしたそうなのだけれど」

 

結衣「身投げをしちゃったんだ!可哀想……安らかにお眠り下さい………」

 

由比ヶ浜さんは沈鬱な顔になって両手を会わせるのだけれど、話は最後まで聞くべきよ?由比ヶ浜さん。

 

雪乃「そこで奇跡が起きたそうよ?」

 

私は落ちないようにエンジェル・ダストでしっかりと体を捕まえながら下にある岩を指差す。

そこには看板が立てられており、『ボヨヨン岩』と書かれていたわ。

 

雪乃「あの身投げした女性はあの岩に激突して本当ならば悲惨な死体になるはずだったのだけれど、あの岩がまるでトランポリンのように女性を弾いてこの岬にもどしたそうよ?そこで助けに来た男性の説得に応じて自殺を止めたという伝説が残されているの。今はその二人は運命の相手として結婚しているそうよ。以来、このボヨヨン岬は恋人たちの巡礼の地とされているし、失恋をした女性がこの地を訪れて新しい恋を見付ける為のおまじないをしていくらしいわ」

 

結衣「へぇ……ロマンチックだねぇ。それにそんなすごい伝説があるんだぁ……」

 

雪乃「本当ね……。どんなカップルだったのか会ってみたいわ」

 

しきりに感心する由比ヶ浜さん。私もその伝説は共感持てるし、おまじないにあやかりたいわ。

 

エンポリオ「……………ププ……………」

 

………何故かしら。エンポリオ君は笑いを堪えるように私達から顔を反らして震えているのだけれど……。

 

雪乃「エンポリオ君?」

 

エンポリオ「ご、ごめん!でも雪乃。そのカップルとなら結構雪乃達はしょっちゅう会ってるんだよ。プククク……」

 

そのカップルとは結構会っている?どういうことかしら?

 

エンポリオ「だってそのボヨヨン岩の伝説のカップルって、広瀬夫妻の事だもの」

 

広瀬夫妻?

康一さんと由花子さんの事よね?あの二人がボヨヨン岬の伝説のカップル?

由花子さんに何があったのかしら…。由花子さんはあの通り気が強い人だし、とても自殺を図るような人には見えないのだけれど。

 

雪乃「………由花子さんが自殺を図るなんて……とてもそうは見えないわね………」

 

エンポリオ「そりゃそうだよ。実際に起こった事実とは全然違うから」

 

雪乃「全然違う?どういう事かしら?」

 

エンポリオ「驚くよ?本当は……この断崖で康一と由花子は戦っていたんだ。その上でこの断崖の先が崩れてね?落ちる由花子を康一がエコーズact2の能力で助けたんだ。康一が凄いというのは確かなことなんだけどね?自分を殺そうとした女性を逆に助けるなんて、康一は本当に凄いよ」

 

結衣「由花子さんが康一さんを殺そうとしたの!?あんなに今はラブラブなのに!?」

 

本当に何があったのかしら……。由花子さんが康一さんを殺そうとしたなんて信じられないのだけれど…。

それに由花子さんのラブ・デラックスはとても強いわ。

 

雪乃「もしかしてact3で由花子さんを重くしたから崖が崩れたのではないかしら?」

 

エンポリオ「発想は面白いけど違うよ。その段階ではエコーズはact3に成長してなかったんだ。それどころか由花子との戦いでエコーズはact2に成長したんだよ」

 

結衣「ごめん。ゆきのん、リオ。あたし、エコーズの能力の事をact3しか知らないんだ」

 

恥ずかしいのだけれど、私もエコーズの能力は知らないわ。直接康一さんがエコーズを使って戦うところを見たことがないと言うのもあるのだけれど。

 

エンポリオ「そうなんだ。わかった。康一は由花子との戦いの時にact1とact2の両方を使っているから事件のあらましを追っていきながら教えるよ」

 

それは助かるわ。どちらも気になって仕方がないから。

 

エンポリオ「事の始まりは由花子が康一にラブレターを出したところからなんだ。由花子は元々康一の事が好きだったんだよ」

 

結衣「びっくり!ええっ!?由花子さんの方から康一さんの事が好きになったなんて!」

 

驚いたわ……。由花子さんの方が康一さんを好きになって、アプローチをかけていただなんて……。ジョースターさんや仗助兄さんから聞く康一さんのイメージは、知れば知るほどその芯の強さや機転の良さで承太郎おじさまからも一目置かれていると聞いているわ。だけど、パッと見た感じでは強そうには見えないし、人は良いけれども頼りないというイメージだわ。

 

エンポリオ「康一は変人には……特にスタンド使いには好かれやすい性質を持ってるからね。ある意味では才能の領域だよ。康一のそれは」

 

それを言ったらあなたも私達も含めてアーシスのほとんどが変人と言われているように聞こえるわ。否定できないのがもどかしいのだけれど。その筆頭は比企谷君とジョースターさんよね。

 

結衣「あのさ、それだと由花子さんも変人にならないかな……」

 

エンポリオ「それで間違いないよ?由花子の豹変を知らないかな?」

 

あ………

 

雪乃「姉さんが受けていたわ……由花子ショック……だったかしら?」

 

由花子さんの戦いを直接見たのは孫悟空との戦いね。けれど、私達はその前の文化祭の打ち上げでその由花子さんの豹変を見たことがあるわ。

顔を青くした比企谷君なんてジョルノ兄さんのワサビ以外では中々見れないから新鮮だったのだけれど。

それに文化祭の打ち上げの時にあんなに取り乱した姉さんも……。

 

エンポリオ「そう。ハッチ命名の由花子ショック。それを康一とのファーストコンタクトで由花子は出しちゃったんだよ。由花子は歳を重ねてもあんなに美人でしょ?だから由花子に告白されて康一は舞い上がっちゃったらしいんだけど、好きか嫌いかの返事を急かされて、まだハッキリしなかった康一に由花子ショックが発動して……」

 

由花子さん……いくら美人でもそれは流石に引くと思うわ。初対面でいきなり告白するのはままあるもの。私も何度かその経験があるのだから。でも、その場でいきなり返事を……しかもよくあるお試しで交際とかを通り越していきなり好きか嫌いかなんて言われたら困るわ。康一さんの困りきった顔が目に浮かぶわね。しかも由花子ショック付きで………。

 

エンポリオ「それを隠れて見ていた仗助兄さんと億泰さんも由花子の事を警戒してさ。二人は学校の出来事もあって由花子の事をスタンド使いだと警戒していたこともあるかもね?」

 

つまりそれって出歯亀というものではないかしら?それを言ったら戸部くんの告白を出歯亀しようとしていた私達が言えることでは無いのだけれども。仗助兄さん…趣味が悪いわ。

 

エンポリオ「で、康一は由花子のあの豹変を怖がって直接断るのも躊躇ったんだ。事情を知っていた仗助兄さんと億泰は、自然と嫌われるように由花子の前で康一の悪い噂を流したんだけど、それが酷くてさ……もう少し何とかならなかったのか?というような内容だったんだよ。仗助兄さんはそれ以来、キューピット役とかは絶対にやらないって言っていたね」

 

結衣「あ………」

 

そこで反応する由比ヶ浜さん。何か引っ掛かっているような感じだけれども、どうしたのかしら?

 

結衣「修学旅行!修学旅行の時の事を思い出して!ゆきのん!」

 

雪乃「修学旅行?確かに何度もウルフスの襲撃を受けて大変だったわね」

 

そこで由比ヶ浜さんはたははー……と苦笑いを浮かべたわ。なにかおかしな事を言ったかしら?

 

結衣「ほら、戸部っちの依頼だよ。東方会長が言っていたじゃん?その手の話はまとまるものもまとまらなくなるから断るって……だからスタッチ達はお互いの為にも恋愛絡みの依頼は受けないって………それってさぁ」

 

エンポリオ「間違いなくその時の話だね。自覚あったんだ……仗助兄さんも静お姉ちゃんもハッチも……」

 

確かに言っていたわね……。ウルフスから連続で何度も襲われたからすっかり記憶の底に埋もれていたのだけれど。

間違っても恋愛絡みの事で仗助兄さん達に相談するのは止しておいた方が良いわね。特に見当違いの事をやる比企谷君には間違っても知られてはならないわ!いまだに小町さんとエンポリオ君をくっつけようとしているのだし。あの男……いつか何とかしないといけないわね。

 

結衣「それでそれで?どうなったの?」

 

エンポリオ「仗助兄さんの作戦もあれだったけど、まあ他人の話をすぐに鵜呑みにする日本人相手なら、それでも普通は由花子の康一に対する好意に何らかの影響を及ぼすはずだったんだ。でも、由花子は動じなかった」

 

結衣「愛のなせる技ってやつ?さすが由花子さん!」

 

待って由比ヶ浜さん。それならば殺し合いに発展する理由にはならないわ……性悪コンビや姉さんですら震え上がらせる由花子さんが相手なのよ?絶対に普通じゃあ終わらなかったはずだわ。

 

エンポリオ「そこで終われば美談なんだけど、そこは変人揃いのスタンド使い。康一の悪評を聞いた由花子は斜めな方向の行動に出たんだ。丁度運悪く、当時康一が苦手だった英語のテストの成績が悪かったことも拍車をかけてね」

 

結衣「何をやったの?凄く聞きたく無いんだけど…」

 

エンポリオ「夜、自宅で眠っていた康一を由花子は誘拐したんだ……あの別荘に監禁して勉強会…。それも問題を解かなければトイレにすら行けない状況。康一はお漏らししちゃったとか言ってたっけ?着替えを用意されていたらしいけど……」

 

エンポリオ君は古い別荘を指差して言ったわ。

由花子さん……色々とツッコミたい所があるのだけれど。

まず拉致監禁は勿論のこと、どうして康一さんの自宅を知っていたのかしら?昔、変態教師や同級生に後をつけられた事を思い出してしまったわ。

それに康一さんの着替えのサイズをどうして知っていたのかしら……。それって私物を……。私も上履きやリコーダーを毎日持ち帰っていた時は不気味で仕方がなかったわ。何度も無くなっていたもの。無くなったそれらがどういう使われ方をしていたのか気になるところだけども、知りたくないのも確かね。

あと、そこの別荘って由花子さんの物ではないはずよね?普通に不法侵入……。

 

結衣「うわぁ………それは流石に……」

 

エンポリオ「結衣。夏休みの課題の事を覚えてる?」

 

結衣「う………その節はお世話になりました……(第4章幕間参照)」

 

エンポリオ「それは良いんだ。それよりもあの時、ヤッチが来てくれたことを覚えてる?」

 

ええ。確かにいたわね。康穂さん。康穂さんも小町さんと同じように英才教育並の勉強を受けていたからあの場にいたのはわかるのだけれど、それがどう関係があるのかしら?

 

結衣「まさか………」

 

エンポリオ「そう。本当はあの時、由花子が行こうとしていたのを康一が止めて、代わりにヤッチに行くように指示したんだ……」

 

あ……!

 

康穂『本当はママが来る予定だったけど、ママのやり方って過激だから……』

 

言っていたわ!確かに!

あの時は何とも思わなかったのだけれど、今の話を聞いていたら印象がまるで違うじゃない!由比ヶ浜さん、危ないところだったわね……。

 

結衣「うわぁ……この歳になってお漏らしは嫌だ。アスパラの英文奉書焼きも嫌だ!あたし、確実に康一さんのようになる!康穂ちゃん、本当にありがとう!」

 

ガタガタと震える由比ヶ浜さん。わかるわ……その気持ちが痛いほどに……。

 

エンポリオ「で、とうとう我慢が出来なくなった康一は外に連絡を取ろうとする由花子に仕掛けを施したんだ。それがエコーズact1の能力。音を鳴らす能力だよ」

 

雪乃「音を鳴らす?仲町さんのように?」

 

エンポリオ「違うかな。act1の能力は触れた対象に文字を付け、その音を鳴らす能力なんだ。康一は由花子の腕に電話のプッシュ音を鳴らす文字をくっ付けた。音で番号を識別する当時の公衆電話の機能を利用して、康一は仗助兄さんの家に電話が掛かるように仕掛けを施したんだ。そして仗助兄さんは仗助兄さんで康一の危機を察して潮の音でこの場所を特定したんだ」

 

携帯電話が普及している今ではその公衆電話は撤去されてしまったらしいのだけれど、それにしても凄い機転だわ。康一さんも仗助兄さんも…。

 

結衣「音を出すact1かぁ……。戦いでは大した事が無いけど、そーゆー使い方は凄いかも………」

 

エンポリオ「そうかな?実際ハッチは子供の時に凄く苦戦したらしいよ?あのエンジェルラダーで。それに、もしもだよ?義輝の声の文字でこう言われたらどうする?『大嫌いだ!』と、何度も反響して」

 

結衣「…………………」

 

しばらく固まる由比ヶ浜さん。そして、じわじわと目に涙を溜めたわ。

 

結衣「イヤァァァァ!ヨッシー!あたしの悪いところを直すから嫌わないでぇぇぇぇ!」

 

雪乃「エンポリオ君!」

 

エンポリオ「ごめん!そこまでダメージがあるなんて思わなかった!」

 

雪乃「由比ヶ浜さん、落ち着いて!」

 

結衣「ぐす………うん。でも、康一さんに謝らないと…あたしがそれをやられたら……耐えられない……」

 

雪乃「私だったら問い詰めるわね。私のどこが気に入らないのか………」

 

覚悟することね?エンポリオ君。私はただではフラれないわよ?

 

エンポリオ「雪乃のそれも怖いけど、普通なら好きな男に大嫌いと言われたら結衣みたいになるよね?それも何度も頭に響くんだ……。でも、由花子は耐えるとかというレベルを超越していたんだ。最初から堪えてなかった。雪乃の問い詰めるとかそういうのを遥かに越えていた思い込みの強さだった。厳しい態度をとったから、怖い思いをしたから思ってもいないことを口にしているだけだと……いずれは例の地獄の勉強会を感謝するようになると……act1の攻撃をものともしなかったんだ」

 

す、凄いわ……どこか平塚先生と似たようなものがあると京都で思ったのだけれど、由花子さんのそれは平塚先生なんか足元にも及ばないわね。平塚先生だったら大井先生の『大嫌いだ』を受けたら一発で再起不能(リタイア)するわね。きっとエコーズact1は平塚先生の天敵だわ。比企谷君を苦戦させたのも、その音の力の応用ね。

康一さん、すごい人だわ。一対一ではまだ、私は比企谷君を苦戦させるなんてことは滅多に出来ないもの。簡単には負けないようにはなったのだけれど。

話が逸れたわね。続きを聞きましょう。

 

エンポリオ「それでエコーズとラブ・デラックスは戦闘になったんだけど、エコーズはそこで背中をやられて再起不能(リタイア)になったんだ」

 

結衣「え?康一さん、負けちゃったの?」

 

エンポリオ「違う。成長したんだよ。act2に」

 

戦闘中に能力が成長する。私はまだスタンド能力の成長を体験したことが無いのだけれど、別の私が体験したそうね。エンジェル・ラフレシア……だったかしら?

興味深いのはそのact2の能力ね。

 

エンポリオ「act2の能力は……尻尾で作った文字の効果音を触れさせると実現させる能力。それがボヨヨン岩を伝説にさせた能力だよ」

 

結衣「どう言うこと?」

 

エンポリオ「結衣の足元にact2で書かれた『じゅうう!』って音を踏んでいたとすると、電熱ホットプレートに焼かれたように本当に熱せられる。擬音に応じた効果を生み出すのがact2の能力。吹き飛ばす擬音でそれを食らった由花子は本気で康一を殺そうとしたんだけどね?可愛さ余って憎さ百倍ってやつかな?」

 

恐ろしい能力ね?スタンド使いの世界では珍しくない発想なのだそうだけれど。

 

エンポリオ「そして最後はボヨヨン岬の伝説に繋がるんだ」

 

結衣「ボヨヨン岩の効果かぁ。想像付かないなぁ」

 

エンポリオ「そう?ボヨヨン岩の効果なら結衣にはわかると思うけど?結衣は異世界で似たような体験がない?確かあの世界であったはずだよ?」

 

由比ヶ浜さんが体験したボヨヨン岩と似たような効果?

 

結衣「言われてみれば緑◯君からそんなのを……確かグラ◯ホッパー?」

 

似たようなものがあるのね。

私がその世界に行ったのならどこまで行けるのかしら?

でも、あの世界に私が受け入れられるとは思えないのだけれど。

由比ヶ浜さんへの風当たりが強かったと聞いたし…。

 

結衣「そっかぁ………それを咄嗟に使ったんだぁ。それで康一さんは由花子さんと?」

 

エンポリオ「それが……その時は嫌いなまま終わったんだって。そこにはもう1つの事件と伝説が関わっているんだけど………まぁ、そこもある意味では有名な場所だから行ってみる?」

 

どうしたのかしら?エンポリオ君の表情に少しだけ陰りがあったような気がしたのだけれど……。

私達はボヨヨン岬を後にしようとしたわ。だけど、その足が少しだけ止まることになったの。

 

雪乃「エンポリオ君……。あれは……」

 

エンポリオ「やっぱりめぐりは……」

 

別荘地に似つかわしくない、ある社の前で一体の城廻先輩のシンデレラ・ハーヴェストが佇んでいたの。

そこにシンデレラ・ハーヴェストが集めたであろう幸せの光を捧げているわ。

 

結衣「めぐり先輩のスタンド、あそこで何をしてるんだろう?」

 

エンポリオ「あそこには以前、家があったんだ……今は取り壊されて父さんやおじいちゃんが慰霊碑と社を建てたんだけど……めぐりはそれに関係があるんだ。めぐりの前世、杉本鈴美に………」

 

雪乃「城廻先輩の前世?あそこは杉本鈴美さんのお宅があったところなのかしら?」

 

すると、エンポリオ君はワナワナと震えだしたわ。

 

エンポリオ「違う。あの場所にあったのは……。杜王町が生んだ最低最悪の殺人鬼……。めぐりの前世の鈴美やその家族を殺害したのを皮切りに、めぐりに力を貸しているハーヴェストの矢安宮重清さんやシンデレラの辻彩さんを殺害した男の家……」

 

それって………この場所にあった家に住んでいた男は…話に何度か聞いたことがあり、千葉村でも屍生人として現れたその男の名前は………。

 

エンポリオ「キラークイーンの吉良……吉良吉影。あの社と慰霊碑は吉良によって行方不明扱いとなり、満足に供養もされていなかった被害者達の為に建てられた物なんだ………15年前、ある事件でボロボロになった事がきっかけで、後に父さんが土地を買い取って建てたんだ。せめてもの供養にって……」

 

シンデレラ・ハーヴェストは私達をちらっと見た後、特に何をするでもなくボーッと佇んでいるわ……。

 

エンポリオ「めぐり?」

 

C・H『………』

 

エンポリオ君の呼び掛けにもシンデレラ・ハーヴェストは反応をしめさなかったわ。

他の場所でも彼女や吉良にまつわる場所にシンデレラ・ハーヴェストは現れているのかもしれないわね。

シンデレラ・ハーヴェストは元の矢安宮さんのハーヴェストと同じように群生スタンドで、なおかつ半自動遠隔操作スタンドだから…。だから城廻先輩本人はこの場にシンデレラ・ハーヴェストがこうしているなんて知らないのかも……もしかしたら由比ヶ浜さんのリバース・タウンのように勝手に出ているのかしら?

 

エンポリオ「めぐり………」

 

城廻先輩は今…どんな気分で杜王町にいるのかしら。とても心配だわ。

 

←To be continued




雪乃達を通じての康一対由花子戦の追憶です。
それを通じて舞台となった杜王町の別荘地のボヨヨン岬や吉良邸の現在を想像してみましたが、いかがでしたでしょうか?
そして、寂しそうに佇むシンデレラ・ハーヴェスト。
めぐりの心境は如何に?
雪乃と結衣の杜王町巡りはまだまだ続きます。

それでは次回もよろしくお願いいたします。

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