やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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まずは前話のクイズの答えです。


2002比企谷小町の反抗期

side川崎沙希

 

戸塚「クシュン!」

 

突然戸塚がくしゃみをした。

 

沙希「風邪?東北の冬は寒いからね。気を付けなよ?丁度病院だから、風邪なら観てもらったら?」

 

戸塚「ううん?違うよ?急に鼻がムズムズしてさ…おかしいなぁ………誰かが噂をしてるのかなぁ……それって迷信だと思ったんだけど………」

 

そう言って戸塚はスマホから何かのサイトを見る。

あたしには何が書いてあるのかさっぱりだ。英語とイタリア語なら前世の影響でわかるんだけど……。

 

戸塚「これ?ドイツ語の医学書だよ。材木座君じゃあ無いけど、ヤッパリ医学はドイツが昔から最先端だったからね。医学書はドイツの医学書が一番役に立つんだ」

 

聞いたことがあるね。今はともかく、昔は医者は医学書を読むためにドイツ語の習得が必須だったって。

 

戸塚「他にも今はフランスの医療もすごいし、東洋の医学なら中国語も外せないね」

 

沙希「いや、見せられてもわからないから……。というか、比企谷が中国語とかアラビア語、スワヒリ語とかで何か言っても戸塚ってすぐに理解してるよね?何で?」

 

戸塚「前世の影響だよ。スピードワゴンってジョースターさんと出会う前から、世界中を旅してたからね。文字を読むのは財団を立ち上げてからだけど、会話は世界中の言葉を生活しながら覚えていってたんだ。世界の主要な言語は僕は使えるよ?」

 

すごいなぁ……。戸塚ならどこに行っても困ることが無さそうだよ。

 

戸塚「独特なのは日本語だよね。スピードワゴンも日本語だけは最後までマスターしきれなかったなぁ…」

 

ああ、わかるよ。転生して母国語になったから難なく使えるようになったけど、日本語……特に文字の数は異常にありすぎる。

 

京華「スージーは日本語を知ってたよ?」

 

そりゃスージーQはイタリア、アメリカ……晩年は日本で生活していたからね。あたし達兄弟姉妹は全員英語と日本語はマスターしている。

下の弟以外はみんなイタリア語も話せるし。下の弟も最近はあたし達から無意識にイタリア語を理解しているみたいだしね。

 

side三浦優美子

 

三浦「………クション!」

 

雪乃「どうしたのかしら?三浦さん」

 

三浦『(中東英語)……誰か私(あーし)の噂をしてるような………』

 

結衣「優美子、なんて言ったの?」

 

静「英語で言ってたからね。でも、訛りが酷いんじゃない?」

 

あーしの英語は中東訛りが酷い。アヴドゥルの話す英語は中東の英語だし。

大航海時代から植民地として占領されていた国は、母国語の他に英語が必須な国はいくつもあった。

中東を中心に旅をしていたアヴドゥルを前世に持つあーしは必然的に英語が話せた。

その甲斐があってかあーしは英語の成績は特に良い。良いんだけど、ヒアリングとかでは苦労する。中東訛りが激しくて。

あーし、アメリカ留学とか大丈夫かなぁ。アヴドゥルの時も苦労したしなぁ……。

 

静「そう言えば三浦って語学の得手不得手がないよね?ハッチの悪口とかも察知するし」

 

ああ………それは………

 

三浦「アヴドゥル時代はアジアを中心に旅をしていたからね。当時はどこかの国の植民地とかで母国語以外の占領国以外の言葉を使う国が多かったから、世界の語学が普通に喋る事が出来るようになったんよ。どれも中東訛り付きだけど」

 

だからヒキオの言葉は大体わかる。戸塚ほどじゃあ無いけど。中国語はわからなかったしね。

 

 

side比企谷八幡

 

八幡(英語)『大抵は戸塚と三浦にバレるんだよなー。時々材木座』

 

徐倫『あの二人は確かに語学堪能だわ』

 

ホント。特に戸塚は何語で言ってもバレる。で、顔をしかめたり呆れ顔をされ、それを見た三浦に察知される。三浦はアラビア語が母国語だったし、訛りの誤差は簡単に修正できるしな。で、徐倫にチクられてゴン!

 

小町『で、小町の話の続きをしたいんだけど、良い?』

 

あ、悪い悪い。

もっとも、小町にとっては黒歴史な話だろうけどな?

 

 

side比企谷八幡(幼児期)

 

あれから数日が経った。

産婦人科の入院期間は新生児誕生から大体4日程の期間らしい。

帝王切開だとかだとまた別らしいけれど、小町は特に難産とかだった訳でもなく、すんなり産まれたらしい。

小町の顔は中々の美男美女だった両親の血筋からか、整っていてカワイイ。

カワイイのだが、あまり笑わない。看護師さん達からは

兄弟揃って新生児微笑が他の子と比べて泣く回数も圧倒的に少ないらしい。

新生児微笑とは俗に言うエンジェルスマイル。

赤ちゃんが安心感からなどでよく出すものらしいのだが、わかる気がする。

生まれついて大人と同じような思考を持つ僕達…しかも知らない言葉とかを聞かされ、状況を把握するのでかなりストレスを抱えていた気がする。

 

典子「いろはちゃんもそうだったわ。あまりに異常だから最初は病気を疑われて検査されたくらいだもの……」

 

うん。どれだけ僕達は両親に迷惑をかけたんだろう。

本当にゴメンね?お母さん、お父さん!

同じような事が二度も起きたからなのだろうか、もう慣れてしまったうちの両親はこれは血筋で他の親族もそうなんです……ということにしたらしい。

退院したお母さんは小町を連れて家に帰って来た。

小町の為に新しく買ったベビーベッドに寝かされた小町。

僕は早速いろはちゃんを連れて小町の所に行く。

 

いろは「初めまして。小町ちゃん」

 

最初は日本語で話しかけるいろはちゃん。だけど小町からの反応は薄い。やはり日本語は通じてないのだろう。

 

いろは(イギリス英語)『初めまして、小町ちゃん。わたしはお隣に住む一色いろは。わたしの言葉はわかりますか?』

 

小町『うーうー………』

 

反応を見せる小町。

目は開いていない。通常新生児は一週間程で目を開けると言うので、目はまだ開けないのだろう。

僕は………あまり覚えていない。そんなものを一々カウントするわけがない。

小町は声を発することで返事をしたと解釈できる。

 

いろは『英語ならわかるみたいですね?わたしはイギリス英語とアメリカ英語、どちらも話せますけど、どちらが良いですか?』

 

小町『あえいあ……』

 

アメリカ英語の方が良いのか。同じ英語だからわからなく無いけれど、微妙に違うからなぁ……。

 

いろは『話してみて解りましたけど、ハチ君の場合は他にも何か変な訛りがありませんか?』

 

あれ?言われてみれば………イギリス英語ともアメリカ英語とも違う変な訛りがあるような。どこの訛りだろう?(中東訛り)

 

いろは『お兄ちゃんの八幡くんがイギリス訛りがありますが、お兄ちゃんの言葉がわかりますか?』

 

小町『いいいうああいあああう(イギリス訛りはわかる)』

 

いろは『イギリス鈍りは大丈夫のようですよ?わたしと同じみたいですね』

 

そうなのか。もっとも、舌足らずどころか歯も生えていなければ筋肉とかも出来上がっていない小町じゃあまともな発音は出来ないからな。訛りとかそういうのは関係なく小町の喋る言葉はまともには聞き取れないだろう。

 

いろは『これからはわたしが小町ちゃんに日本語を教えていきますが、良いですか?』

 

小町『あい~』

 

了解と言いたいらしい。

それにしても、生まれたばかりでこの可愛さ……。癒されるなぁ………。

 

キングクリムゾン!

 

八幡『小町~♪』

 

小町『………』

 

あれから数日が過ぎた。

俺は時間が許す限り、小町を構う。でも、小町からの反応は乏しい。あれぇ?お兄ちゃん、頑張ってるんだけどなぁ………。

 

いろは「だから言っているじゃあないですか。変に構いすぎると嫌われるって。子供でもストレスは感じるんですからね?」

 

八幡「この頃思うんだけど、いろはちゃんってよくそういうの知ってるね?お母さんやお父さんよりもてなれてるって感じなんだけど………何で知ってるの?」

 

僕たちだけで会話をするときは日本語で話す。

小町は凄い勢いで日本語を覚えてきているが、それでもまだまだ覚えたてだ。

 

いろは「何でですかね?わたし自身もわからないんですけど、なんとなくわかっちゃうんですよー」

 

八幡「まさかもうその年で出産経験が……?!いろはちゃんと子供を作るのは僕なのに!ええい!僕が上書きしてやるぅ!まずはチューから………」

 

( ‘д‘⊂彡☆))Д´) パーン

いつも通りの幽霊ビンタが飛んでくる。

 

小町『!!』

 

この時、『僕』は小町がビックリしていたのを見逃していた。

そうだ。『俺』達と同じなのならばこの事も考えなければならなかったんだ。小町が幽霊を見れる……つまりはスタンド使いであることを。

もう様式美として『僕』が後のナイチンゲール・エメラルドにビンタをされるのが当たり前の光景過ぎて小町がスタンド使いであることを確めるなんて事を確かめていなかった。

 

いろは「バカなんですか?いろんな意味を含めて。まずチューは禁止だといつも言ってますよね?それに上書きをするって何ですか?何をするつもりなんですか?その年で何をどう上書きするんですか?そもそも上書きされるような事なんてないですよ?それに仮にあったところで第二次成長をしてないわたしが子供なんて産めるわけないじゃあないですか。まだ初潮を迎えて無いんですから。母子共々持つわけ無いじゃあないですか。っていうか、何を言わせるんですか……本当にハチ君は色々とデリカシーが無いです。もっとデリカシーって言うものを勉強してから出直してきて下さいごめんなさい」

 

それもそうか。僕の八幡がパオーンするわけないから上書きしたくても出来ないや。

 

………っていうか、何で僕もいろはちゃんもそんな知識があるんだろうね?不思議だよね?

 

いろは「とにかくっ!小町ちゃんのお勉強の時間ですから出ていって下さい!」

 

いろはちゃんは赤ちゃんの扱いだけじゃあなく、教えるのも凄く上手い。僕なんて全然役立たずだ。

ぅぅ……お嫁さん(予定(勝手に))と妹が僕の手から離れて行くぅ………。

バタン!ガチャ!

ドアを閉められ、(おそらく幽霊を使われて)カギを掛けられる。

ぐすん………。

これが、小町と家族とのこれから起こるトラブルのきっかけになるなんて………。思いもよらなかった。

 

side比企谷小町

 

私は見た。イロハから出る緑色の何かを…まるでゴーストのような何かで兄を殴ったところを……。

あれは私にもあるのかしら?

 

小町(カモン!ゴースト!)

 

バァァァァァァン!

出た!私からもゴーストが!

…………これは…………このゴーストの姿は………。

見覚えがある。このゴーストの女の姿を………。

赤く輝くこの宝石を!これは………エイジャの赤石?

胸に輝く一際大きな赤石は………スーパーエイジャ?

この顔は……長くサラサラと流れる髪…。この女の子は……。

 

小町(リサリサ………エリザベス・ジョースター……)

 

この瞬間、ものすごい頭痛が私を襲う。

エリザベス・ジョースターだった女の一生の記憶が流れてくる………。

 

小町(私は………エリザベス・ジョースターだった女の生まれ変わり………)

 

こんなことがあるなんて……。

私は強くならねばならない。誰よりも………ジョジョよりも………DIOやカーズよりも……。

知らなくちゃならない。

エリザベス・ジョースターが死んだ後の世界の事を。

柱の一族との戦いはどうなったのか……。ジョースター家はどうなったのか……。波紋の一族はどうなったのかを私は知る義務がある。

 

小町(こんなところで赤ちゃんごっこをしている場合じゃあない!力が欲しい………)

 

波紋の呼吸はまだ練ることが出来ない。

練り方は覚えている。生まれ変わる前は無意識で当たり前のように使っていた呼吸だ……。

そしてこのゴースト………。このゴーストのエイジャの赤石は……。

波紋の呼吸が使うことが出来たなら、私は最強の力を手にいれる事が出来る…。それまでは我慢だ……。

それに………このお姉ちゃんとイチャイチャしようとする兄が気に入らない。

私はこのお姉ちゃんから何かを感じている。そのお姉ちゃんに近付く兄は………兄としてよりも害虫といった感じが強かった。リサリサにとっての兄弟はジョージ…といった図式が出来ていたかも知れない。

幼少期を共に過ごし、後にリサリサと結婚したジョージと比べたら、この兄は………。

 

小町(兄だかなんだか知らないけど………それだけで偉そうにするなんて事はさせない。たかだか2歳児に侮られるほどやわな人生を………エリザベス・ジョースターは歩んでいない!)

 

このほのぼのとした家、そしてませた兄への反発心が…小町の短い反抗期の始まりだったんだよね。

 

←To be continued




今回はここまでです。
早々にリサリサであった事を思い出した小町。
そして早すぎる反抗期が始まります。

それでは次回もよろしくお願い致します。

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