やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

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降り注ぐ世界の金剛石

side比企谷八幡

 

浅間山の研究所の日陰の中で、俺とジジイ、いろは、小町、忍さんは腹(もしくは口)を押さえてプルプルと震えていた。

 

ジョセフ「……………」

 

八幡「……………」

 

プルプルプルプル。

 

仗助「おいテメェら……忍までなに笑ってやがるんだよ」

 

や、だって仕方なくね?

この仗助はまだ若いし、リーゼント姿なのはまぁ仕方がない。俺達の世界の仗助だってこの頃はまだリーゼントだったと聞いている。

それはまぁ良い。オールバック姿の東方仗助なのは俺達の世界の仗助だけだしそこは問題ない。

………が。

 

八幡「山伏(やまぶし)!山伏はなくね?リーゼントはよく似合ってるよ?その頭の仗助を見るのは実に久し振りだから、懐かしさを感じて涙すら出るまであるよ?」

 

仗助「お、おぅ……てっきり頭の事かと思ってたけどよぉ……似合っていると言われるとは思わなかったぜ」

 

ジョセフ「じゃ、じゃがその格好に山伏姿は似合わんぞ?」

 

そう、リーゼントに和装は似合わない!

しかも黄色い山伏姿じゃあなくて、黒い山伏姿というのがなんとも………。

その姿ならうちの世界の仗助の方が似合っているとさえ言えるまである。

 

八幡「大体何で山伏なんだよ仗助ぇ」

 

仗助「あ?テメェは誰だよ」

 

あ、そっか。基本的に比企谷八幡がジョースターと関わっているのって俺達の世界か、それをベースにした平行世界くらいだもんな。

似たような世界が1つあったと思ったけど、気がついたら消滅していたし。

 

八幡「俺は比企谷八幡。1999年生まれの17歳。俺達の世界では仗助の弟分だ」

 

どうやらこの世界は俺達から見て過去にあたる世界らしい。仗助が若い。

 

仗助「ああ?1999年っつったらよぉ……俺が高校1年の時によぉ、杜王町の事件が起きた年だよなぁ?まだ数年しか経ってねぇのに何で17歳なんだ?」

 

八幡「この世界から見たら未来になるからだろうな」

 

平行世界の時間軸が違うことは珍しくない。

EOH事件が良い例だ。あの時はそれぞれの基本世界(と良く似た世界)から(一巡した世界も含めた)全ての歴代ジョジョと8代目を除いた全てのラスボスが揃ったからな。

閣下が実は一巡した世界の七代目のラスボスだと知ったときには本当にビックリした。

そんなように時代が違う者同士が一同に介するなんてことは実は珍しくない。千葉村の時なんかが良い例だな。

 

仗助「未来だぁ?」

 

八幡「まぁ、この世界の未来じゃあ無いけどな。いつから世界の分岐が始まったのかはわからんが、お前の人生と俺の世界の仗助とじゃあ全く違う。じじいが生きていることに驚いていたみたいだが……もしかしたらこの世界のじじいは………」

 

仗助「死んだ。承太郎さんも行方不明……全部は奴等が現れたせいでよぉ……。じゃあこのじじいは……」

 

ジョセフ「こやつらの世界のジョセフ・ジョースターじゃよ。しかしお前さん、よくワシの事が分かったもんじゃ。ワシの事を知っている人間は皆が一様に驚くものなんじゃがな?」

 

仗助「………敵にいたんだよ。じじいがエジプトの時代の姿に化けた敵がよぉ。だから知ってたんだよ」

 

じじいは死んでいたのか。それどころか承太郎までも。

ん?じゃあ……この世界のこいつらは?

俺はジョルノとジョジョを見る。

いや、ジョルノの事はわからないかも知れないが、ジョジョの事は知ってるだろう?直接拾ったのは仗助なんだから。

 

静「ね、ねぇお兄ちゃん?私は?私はどうなってるの?」

 

仗助「あ?誰だテメェ?」

 

静「静だよ!静・ジョースター!」

 

仗助「静?静……静……やっぱ知らねぇな……」

 

静「っ!?」

 

ショックを受けるジョジョ。それはそうだろう。

異世界とはいえ、最愛の仗助が自分の事を知らない…というのはショック以外の何物でもない。

 

ジョセフ「透明の赤ちゃんじゃよ仗助。ワシとお前が杜王町で助けたあの子じゃ。お前の妹じゃよ」

 

仗助「透明の赤ちゃんだって!?」

 

れんげ「仗助、妹がいたん?」

 

仗助「ああ………いた。もういなくなっちまったがな。そうか………生きてればこんなにカワイイ子に成長していたんだな……」

 

静「お兄ちゃん………」

 

そうか。じじいが死んでいたのならば、ジョジョも…。

なんて過酷な世界なんだろうな。

ジョジョは仗助を抱き締める。

 

忍「静ちゃん……」

 

抱き締められた仗助は一瞬だけ涙を流すが……。

 

仗助「止めてくれ。俺にはその資格はねぇ。何にも守れなかった俺にはよぉ……ありがとな」

 

仗助はジョジョを引き離し、頭を軽く撫でた。

どちらかと言えばジョースターの中でも人懐こい性格である仗助がこんなになるなんて……どんな過去を歩んで来たんだろうか……。

 

仗助「で、おめえらは?」

 

いろは「わたしは一色いろはです。ハチ君の恋人で、静ちゃんの幼なじみで、仗助の妹分です」

 

小町「小町は比企谷小町。比企谷八幡の妹です。やっぱり仗助お兄ちゃんの妹分ですね」

 

ジョルノ「僕はジョルノ・ジョバァーナと言います。5代目ジョジョと呼ばれています。ジョースター家の分家にあたり、親戚として付き合いがあります。一応は僕も仗助さんの弟分に当たりますか?」

 

いろはも小町もジョルノも言葉を選ぶ。

ですよねー?エリナとかエリザベスとかはともかく、ジョルノの「ディオの息子」という肩書きは仗助相手にはヤバイよねー?

仗助もジョースター家の家系図やジョルノの事は知らなくても、ディオの事は杜王町の時から知っているとうちの仗助から聞いたことがある。

虹村万作さんと弓と矢の事でディオとジョースター家の因縁に巻き込まれたのだから。

康一さんだってディオの事を「弓と矢のディオ」っていうイメージがあるからな。

俺がジョナサンとディオの転生だとか、ジョルノがディオの息子だと知ったら間違いなく一騒動起きること間違いなしだ。

特にこの仗助は危ない本能で動く、「流」のポジションにいるんだからな。

その辺を上手くぼかしてジョースター家の分家と名乗ったジョルノの判断はまちがっていない。

実際ジョバァーナ家はジョースター家の血縁なんだし、全てを語っていないだけで嘘は言っていない。

 

仗助「あ、親戚ッスか?俺もジョースター家の分家?の東方仗助ッス」

 

うちの仗助はジョジョと婚約して本家に婿入りする予定だけどな?

本家の養子に婿入りする分家(?)の実子というのもどうかと思うが。

そうでもしないとジョースター家の名前が途絶えてしまうから仕方がないけど。

空条家はエンポリオが継ぐのか?あ、アナスイさんが空条家に婿入りする可能性もあるのか。

はて……杜王町で何かそうなる未来でも見たような気がする。俺の次女と2代目性悪コンビを組む奴が徐倫の息子だったような……

しかもそれがここにいる誰かの転生だったりするような気が……気のせいか?(空条仗世文)

 

忍「仗助。感傷に浸っているところを悪いんだけど、こっちのあちしに会わせて貰えないかしら?八幡ちゃんやジョジョ達はこっちのあちしに用があるみたいなんだけど」

 

仗助「おめぇも忍か?おっさんになったなぁ」

 

忍「余計なお世話よ!似合わない山伏よりましよ!何なのよ、その山伏姿は!つうか、その娘は誰よ!」

 

つっこみまくる忍さん。その娘とはれんげという娘の事だろう。

 

れんげ「うちは宮内れんげ。みんなれんちょんって呼ぶんなー。武蔵のパイロットなん」

 

仗助「ベアー号だろうがよぉ」

 

え?この子が三人目?死亡フラグ満載の3人目がこんな小さな娘なの?ちょっと酷くない?

 

仗助「で、俺達の忍の事だよな?忍ならジジイと隼人さんのところにいると思うぜ?あ、隼人さんと言うのは川尻早人の事じゃあねぇからな?」

 

静「葉山……の訳がないよね?さん付けで呼んでるし」

 

恐らくはな。多分だが、この世界に俺達は存在していない。いないよね?海老名がいるような気もするけど、多分その海老名は平行世界の先に消えていったはずだ。

六花の存在なんて多分ない。

 

仗助「葉山?いや、ちげえぜ?隼人さんは(じん)。神隼人っていうんだ。昔はパイロットだったけどよぉ、今は怪我をして一線を退いたんだ」

 

神隼人は生きているのか。

いや、神隼人はどこの世界でも大抵は生きているか。真やアークやネオの世界でもチームの司令官として活躍していたからな。

で、この世界の忍さんは神隼人の弟子みたいな感じなのかもな。忍さんは否定するけれど、この人も特異点の一人だ。どこの世界にも存在し、そして大きく関わっていたりする。

 

忍「隼人がいるならば竜馬もいるわよね?竜馬はどうしたのよ」

 

忍さんが竜馬さんの事を口にする。流竜馬……。

ネオの世界を除いては大抵はあの力の申し子として目を付けられている存在だ。

出来ればどうなったのかを知りたい。

俺達の世界では犯罪者として投獄されているという話だが……。

 

仗助「竜馬さんは……わからねぇ。随分と昔に現れたインベーダーを撃退するために出撃して月に向かったのを最後に、消息を絶ったんだ……」

 

仗助が山伏姿になったのはそれが理由かもな。

喪に服して山伏姿になるのは良いけど、何でリーゼントのまま山伏になっているのか小一時間問いただしたい。場の空気がしんみりしているから口にしないけど。

 

八幡「だからお前は……流さんの代わりに乗っているのか?スタンド使いにとっては禁断の力になりかねないあのロボットに……」

 

仗助「ああ。俺が竜馬さんの代わりに守ってやるんだ。この訳のわからねぇ奴等に襲われている世界をよぉ」

 

どうやら仗助は現在、この世界にとっての柱の一族のような存在と戦っているらしい。インベーダーがウルフスのような存在だとするならば、あの2つの帝国は柱の一族に該当する存在なのだろう。

もっとも、そいつらの弱点は波紋じゃあ無い。

奴等が現れたら俺達に対抗する手段は無いだろう。レクイエムでも危ないかも知れない。

 

仗助「ところでテメェらよぉ、今更だけど、本物の忍やジジイなんだろうな?インベーダーや奴等が用意した偽物とかじゃあねぇだろうな?」

 

忍「あらぁ?仗助、本当に今更ね?」

 

八幡「ジジイ。ハーミット・パープルを見せるのはどうだ?スタンドを見せるってことほどスタンド使い的にはこれほどの証明は無いだろ?」

 

本音を言えばこの世界で……それも太陽の下でスタンドを出すのは嫌だ。

宇宙から降り注ぐあの力が……今回、調べに来たあの力によって暴走する可能性がある。いろはや小町ならともかく、俺達キャリアは本当に危険だ。

 

ジョセフ「ハーミット・パープル!ぐぐ……想像以上にキツいわい!」

 

耐えろジジイ。お前じゃあ操られるぞ!

 

仗助「確かに本物のジョースターのジジイみたいだな」

 

八幡「一応は俺達もスタンド使いだ。忍さん以外はみんなそうだな」

 

例えクローンとかでもスタンド使いに目覚めるかどうかは話は別だ。

同一人物のクローンでも同じスタンドになる可能性は低い。最たる例はジョジョだ。

アクトン・クリスタルとワイルド・ハニーの差。

他にも弥七の世界の俺達だったり、ブラッディ・シャドウだったり。

ジジイがハーミット・パープルを見せることで疑いは少しだけ晴れたようなのだが……

 

仗助「一応、クレイジー・ダイヤモンドで試してみるか?」

 

C・D「ドララ……」

 

ちょっ!

 

静「まて!お兄ちゃんストップ!ドラララッシュはやめて!本気で止めてっつーの!」

 

小町「クレイジー・ダイヤモンドで試すのは構わないけど、ドラララララララは止めて!あれは本気で痛いから!」

 

いろは「後で治るのはわかりますけど、せめて普通に触れば良いじゃあ無いですか!何でわざわざ殴るんですか!」

 

八幡「おまっ!既に竜馬さん化が進んでない?本能で生きてない?」

 

止めてくれよ!気化冷凍法をあいつから食らった時なんか生首になったんだからさ!

あれは本当に痛かった……痛かったぞ!

あいつの事を思い出した矢先にそれかよ!

あの時は氷像になった俺と氷を分離する為にドラララッシュをやる必要があったから仕方がないけど、クレイジー・ダイヤモンドの拳はマジで痛い!スター・プラチナのオラオララッシュよりも痛い!ましてや全盛期に近いこの仗助のドラララッシュは……それも本能をより強くしている仗助のクレイジー・ダイヤモンドのラッシュは受けたくない!

 

仗助「それもそうか。いや、悪い悪い。最近は全然クレイジー・ダイヤモンドを使って無かったからよぉ。ついついドラララッシュをやりかけちまったぜ」

 

おまっ!クレイジー・ダイヤモンドはお前の魂の本質だろうが!使い方を忘れるって何だよ!本当に大丈夫なのか?この仗助!

やっぱり忍さんを連れてきて正解だったな。

忍さんという仲介人がいたからこそ穏やかに会話が出来ていたけど、いなければ最初から問答無用でドラララッシュだったかも知れない。

ドラララッシュだったらまだましだ。もしも……あれを使ったロボットを出された日には逃げ帰るしかない。

 

八幡「とにかく、早く案内してくれよ。俺達は早く会いたいんだ」

 

あの力を研究している第一人者の……

 

八幡「早乙女博士に……ゲッター線の事についてな」

 

←To be continued




八幡「ところで相棒」

静「ん?」

八幡「もし俺達とジョジョの子供が男女に分かれたら、子供達同士で結婚させようって約束をしたじゃん?」

静「したね?確かに」

八幡「だったら俺の次女(彩羽)ってのはどうだ?」

静「………………ヤダ。ハッチの次女(彩羽)と6女(久美)は地雷の予感がする。長女(八重)か3女(聖子)なら考える。2代目や3代目はお断る!」

八幡「あ?俺のカワイイカワイイ次女に文句があるのか?」

静「お?文句しかないからお断りしてるんだっつーの。2代目の嫁は要らないっつーの!」

八幡「ああん?」

静「おおん?」

八幡「無駄無駄無駄無駄無駄ぁ!」

静「ドララララララララララァ!」


いろは「やれやれですね」

次回もよろしくお願いいたします。

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