やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

677 / 731
呼び寄せてしまった存在

side比企谷八幡

 

日本……いや、世界……いやいや平行世界の中でも最高峰のゲッター線を研究している施設。それは早乙女研究所。その作戦司令室。

今ここで、俺達は熱い歓待を受けている。

いや、もうこれ以上の歓待は中々あり得ないだろう。

アサルトライフルの兵士達に取り囲まれるなんてそうそうあり得ない。

 

八幡「いや、まぁ、あっさりと信用してもらえるとは思ってなかったけどさ、問答無用でこれはどうかと思うんですけど、どう思います?神隼人さん」

 

隼人「平行世界から来たという話が荒唐無稽過ぎる。信じてもらえるとでも思ったのか。簡単に信用した仗助の頭の中身を疑うぞ。竜馬よりはましだと思ったんだがな」

 

青いサングラスをかけた神隼人により、現在俺達は兵士達に包囲されている。

 

仗助「スタンド使いにしかわからねぇシンパシーってやつッスよ。隼人さん」

 

あー……そういうのはスタンド使いにしかわからないものだからな。神隼人が警戒するのも仕方がない。

 

若忍「任せて頂戴、隼人さん。あちしに考えがあるわ。スタンド使いならスタンド使いなりの確かめ方があるのよ」

 

この世界の忍さんが右ほほを触る。

忍さんの変身能力か。そして忍さんが変身したのは…。

露伴先生だった。

 

仗助は嫌な顔をする。

世界が変わっても不仲なのは相変わらずかよ。

なるほど、ヘブンズ・ドアーならば真偽を確かめるのにうってつけだ。不本意だけどな。

 

忍「やれやれね。結局、あちしが来る必要性はあったのかしら?」

 

隼人「何を言ってる。お前がいるからいきなり蜂の巣はやらなかったんだ。武蔵の時のような事は御免だからな。やれ、忍」

 

うわぁ……俺達が言うのも何だが、やっぱりこの世界の人間は物騒だわ。

特に神隼人はヤバいな。流竜馬がいたらどうなっていたことやら。

それに……武蔵さんか。

既に巴武蔵さんは亡くなった世界であるらしい。

巴武蔵さんが生き残る世界は恐ろしく少ない。

 

若忍「ヘブンズ・ドアー!」

 

向こうの忍さんがヘブンズ・ドアーを発動させ、俺達を本にする。

神隼人は俺達のページに1つ1つ、くまなく調べていく。

 

隼人「………エリナ・ジョースターにエリザベス・ジョースター、DIOにジョナサン・ジョースター……なるほど。確かにお前達はインベーダーや鬼、それに武蔵や竜馬と引き換えに滅ぼした爬虫人類とは無関係のようだ。レクイエムと呼ばれる究極のスタンドパワー。矢の力とゲッター線の共通点を調べにこの世界に現れたと言うことか……」

 

そう。俺達はスタンドの……レクイエムの意思たちが求める物は、結局のところはゲッター線と同じものだと考えていた。

 

隼人「ウルフスとは厄介なものに目をつけられたな。お前達の考えている通りなら、確かにウルフスはインベーダーみたいなものかも知れんな。それに柱の一族は恐竜帝国のような存在か………よく分かった。少なくともお前達はインベーダーや鬼、それに恐竜帝国とは関係が無いことが分かった。同じ世界の人間ならば、お前達をゲッターチームの予備くらいには考えていたかも知れんな」

 

静「冗談じゃあないっつーの。私達の事情を知っていたら、私達をゲッター線に関わらせない方が良いってわかるでしょ」

 

ヴァレンタイン「我々はゲッター線から考察できる矢とスタンドの共通性を調べに来ただけだ。知りたいことがわかったのならば早く帰りたいところだ」

 

閣下が申される通り、ハッキリと言えば俺達レクイエムキャリアにとってゲッター線はかなりキツい。

建物の中でさえ正直に言えば押さえつけるのが相当の負担だったりする。

直接関わっていなくてもこれだ。ゲッターチームになって直接関わったのならばとてもではないが耐えられる自信がない。

少なくとも、体から感じる感覚からゲッター線とスタンドの関連性はほぼ掌握できたと考えて良いだろう。

やはりスタンド使いは……。

 

ビー!ビー!ビー!ビー!

 

隼人「どうした!」

 

所員「侵入者です!格納庫に何かが現れました!」

 

隼人「格納庫の映像を回せ!」

 

何だ?いきなり何かが起きたみたいだが……。

映像が映し出される。するとそこには……。

 

八幡「…………猿?」

 

ゲッター線研究の副産物である兵器、ゲッターロボ。

そこの格納庫には多数の猿達と、多数の作業着やら白衣やらが散乱していた。

どうなっている?

 

いろは「………まさか………」

 

小町「あれは………」

 

この世界に来たとき、何を目撃した?

忍さんの店は飲食店の中でも特に清潔を保っている。

そんな中でドジャーンされたときに紛れ込んで来たのは何だ?

 

八幡「あのネズミ………もしかして!」

 

俺達哺乳類の始祖はネズミだとされていた。

だとしたら……あのネズミは……。

 

静「やられた!あのネズミはウルフス!亥のウルフスか!自分自身を極限まで退化させて私達の目的を探りに来たんだ!」

 

退化を繰り返せば原初の哺乳類の1つ、ネズミにたどり着く。奴は自分自身をギリギリまで退化させてこの世界に紛れ込んで来たんだ!

やべぇ!俺達の世界の厄介事をよその世界にまで持ち込んでしまった!

知ることだけ知ってさっさと帰る予定だったのに!このままだとこの世界は……

 

隼人「お前達の世界の厄介事を持ち込んでしまったみたいだな」

 

ジョセフ「す、すまん!隼人くん!早急に事態を対処する!」

 

ヴァレンタイン「我々がまいた種だ。この事態は責任をもって処理しよう。アーシス!スクランブル!」

 

忍「あー、もう!あんた達に関わると必ず巻き込まれるわね!これは貸しよ!ジジイ!八幡ちゃん!」

 

仗助「久々のスタンドバトルかよ!暴れるぜ!」

 

若忍「苦労してるわね?そっちのあちしも。ゲッターに関わってるあちしが言うのもなんだけどね」

 

れんげ「うちも行くん」

 

隼人「待て。ゲッターチーム。事態はそこのスタンド使い達が対処するようだ。お前達には今俺が開発している新たなゲッターの戦闘訓練を予定通りにやってもらう」

 

隼人(コスモゲッターのな……)

 

仗助「新たなゲッターのだあ?封印されているゲッターだってデータ上のスペックをやっと引き出せるってのによ。あのシミューレーターのゲッターのスペックは全然扱えねぇぜ?」

 

隼人「だが、今のプロトゲッターや號達のネオゲッターではインベーダーや鬼に対抗するには力不足だ。完成型のゲッター、そして開発中の新しいゲッターの力を使いこなして貰わなければ困る。それまでに竜馬や武蔵を見つけられるとは思えんからな」

 

ん?プロトゲッター?

俺は格納庫に映されているゲッターを見る。

アニメとかで見る属に言う旧ゲッターを黒くした感じのイーグル号、ジャガー号、ベアー号が鎮座しているが、あれがプロトゲッターなのだろうか?

流竜馬、神隼人、巴武蔵が使っていた旧ゲッターの色違いと考えるべきか?

旧ゲッターの完成版……ゲームで最近お馴染みの真ゲッターの事だろうか……。わからん。真ゲッターもシリーズや超機大戦では全然設定が違うからな。

例えば真ゲッターが世に注目を集めた4作目での真ゲッターはゲッター線の事故によって旧ゲッターが変質を起こして真ゲッターになったという物もあれば、純粋にGの後継機として登場したもの。あまりの力に古くからあるものの、封印されていた物。対をなす魔神皇帝のカウンターとして相互に監視しあっていたという場合もある。

仮に完成されたゲッターが真ゲッターだったとしたならば、その後継機とはなんだ……。

いや、ゲッターの考察なんてしている場合じゃあない。

ウルフスを片付けたなら、もう関係することはないんだ。

それに少し気になる事があった。

 

八幡(あのネズミは何で苦しんでいた?宇宙から降り注ぐゲッター線……あれは………)

 

何故だろう。あの苦しんでいたネズミこそが全てのウルフスに対する鍵のような気がしてならない。

ゲッター線のもたらす事と、ウルフスに何か見落としている何かを見た気がする。

いや、ウルフスだけじゃあない。

 

八幡「くそ………でかかっているのにそれが何かわからない!仕組みがわからない!」

 

もしかしたらレクイエムに頼らずにウルフスを倒せるかもしれないヒントが得られるのに、それが何かがわからない!

 

ジョルノ「何をしているんだ!八幡!行くぞ!」

 

く………確かにのんびりしている暇はない!

 

俺は急いで格納庫へと向かった。

 

 

side早乙女博士

完成型ゲッターロボの隠し格納庫。

 

ゴゴゴゴ………

 

早乙女「ゲッターよ………目覚めの時を待つか。もう少しだ……完成されたゲッターよ……。間もなく、お前を使いこなせる男が、お前を……」

 

竜馬よ………ついに目覚める事が無かったか……。だが仗助が間に合った。今の仗助ならば、この完成されたゲッターを扱いきれるはずだ。

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

あれは………。

隼人が開発しているコスモゲッター……。

そのゲッター1に該当するゲッターガルーダが、まだ起動もしておらんのに、何かに反応しておる。

バカな……ワシのゲッターでもそんなことが!

ゲッター線はまるで意思をもっているかのような反応を示すことがある。ワシのゲッターではついぞそれを引き出す事が出来なんだ……。

じゃが、隼人が開発しておるこのコスモゲッターは…ワシが出来なかった意思をもっておるように見える。

このゲッターは……。

 

sideなし

 

早乙女博士が封印を解こうとしているゲッターは真ゲッターでは無かった。しかし、そのゲッターは意思こそ宿すことは無かったものの、真ゲッターと同等の力を持っているゲッターだった。

そしてもう1つ……神隼人が早乙女博士のゲッターを更に発展させた機体のコスモゲッター……。

それは別の世界線では真ドラゴンと呼ばれるゲッターと同等の力を持つ事になる。

その秘匿されたコスモゲッターは……誰も触っていないのにも関わらず、静かに胎動を始めていた。

これもゲッター線の意思なのか……。

 

←To be continued




これは越後屋さんの『ボンクレー』におけるゲッター編の前日譚にあたる時間軸です。
時期的には第4部~ザ・ブックにおける時期に時代の改編が発生したと思っていいかと思います。
故にボンクレーにおけるコスモゲッターはおろか、現状では完成されたゲッターすらもまともに動かせてはいない状態で、プロトゲッターで鬼やインベーダーと戦っています。
プロトゲッターとは初代ゲッターと同じ物と考えて下さい。仗助達はそのプロトゲッターを改造したブラックゲッター(変形可能)に現在は乗っています。

それでは次回もよろしくお願いいたします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。