やはり俺の奇妙な転生はまちがっている。   作:本城淳

79 / 731
前回までの奉仕部の活動!

材木座の依頼、自作の小説を読んでほしいという内容だった。
依頼を受けた奉仕部はその小説を徹夜で読みきる。
翌日の放課後、奉仕部でその感想を言う面々。
まずは雪ノ下が感想を酷評。
次に静が感想を指名したのは小町。その小町の感想がアーシス組の総意と言う八幡達。
何故小町か?
材木座の小説の内容は八十年前のジョセフが戦った柱の一族との戦いそのものだった!
秘匿された真の歴史を何故一介の高校生が!?
問い詰めるべく回りを囲んだ波紋の戦士達!
だが、そこで材木座がスタンド能力を暴走させてしまう結果となってしまった!
材木座のスタンド能力は自らを液体金属人間とする能力!
一体材木座は何者なのか!?
そして、八幡達と暴走する材木座、双方無事に終わらせることが出来るのか!?
対ガンズ・アンド・ローゼズ戦!開幕!
ダダッダッダッダダン!ダダッダッダッダダン!


足りない覚悟と失望

side比企谷小町

 

材木座さんが金属人間みたいになってしまった!

本体がスタンド能力と一体化するタイプのスタンドというのは珍しくない。

クヌム神のオインゴやテンパラスのラバーソールが代表例だね。

 

材木座「ターミネート!ターミネート!」

 

材木座さんが腕を刃物に変えてまずはお兄ちゃんに仕掛ける!

 

八幡「速い!が、対応できない訳じゃあない!すまん!材木座!」

 

G・S「無駄無駄無駄無駄無駄無駄!」

 

ドバババババババ!

 

ザ・ジェムストーンのラッシュが材木座さんを殴り飛ばす!

材木座さんは壁に激突し、床に落ちる。

これで終わりだったら良いんだけど…このタイプって嫌な予感しかしないんだよねぇ。

 

材木座「ノープロブレム」

 

まったく効いていない!

お兄ちゃんのラッシュをマトモに食らってノーダメージって、どうやって止められるの!?

材木座さんは立ち上がって、再びお兄ちゃんに狙いを定めた。

 

材木座「八幡!お前をターミネートする!」

 

暴走の具合が更に加速している!

材木座さんの突進をジェムストーンが無駄無駄のラッシュで押さえる。材木座さんが小町に背後を向けている。

今だ!

 

コォォォォォォ!

 

S・R「ゴミゴミゴミゴミゴミゴミ!」

 

ドギュアアアアアアン!

 

材木座さんを殺さないように手加減を加えながら背後からラッシュを加える!

サンシャイン・ルビーならジェムストーンよりもパワーが上だ!

材木座さんは正面から壁に叩きつけられ、更に小町はだめ押しに指先からルビーレーザーを発射する!

シュウウウウ………

材木座さんの肺の位置に穴が空き、動きが止まる。

あの位置なら呼吸が止まる程度で気絶するだけだろう。

仗助お兄ちゃんだっているし、気絶したならば治してもらえば良い。

そう思っていたんだけど…。

 

小町「…………嘘でしょ?」

 

ルビーレーザーが空けた穴は流体金属がすぐに塞いでしまい、しかも、体が全体的にスライムみたいになったかと思えば、次の瞬間には前後が逆になって元の形に戻っていた。

 

ダダッダッダッダダン!

 

静「致命傷を与えても全然効いていないなんて、マジに反則じゃあないのよ!」

 

ガラッ!

 

徐倫「何の騒ぎよ!って、こいつは材木座!?何この金属の塊!スタンド!?」

 

徐倫お姉ちゃんが騒ぎを聞き付けて駆け込んで来たけれど、正直言って力押しではどうしようもない!

 

仗助「ルビーレーザーも効かない!徐倫!こいつは暴走しているだけだ!敵意はない!何とか止められるか?」

 

徐倫「アレが効かないなんて、それを殺さずに止めるってかなり無茶じゃあない!どうするわけぇ!?」

 

そうだよね…。本当に無敵じゃん、材木座さん…。

 

材木座「抹殺、抹殺、抹殺、抹殺」

 

材木座さんは徐倫お姉ちゃんに狙いを定め、再び刃の腕を作り、それを彼女の心臓に向けて突き立てた!

 

仗助「徐倫!」

 

雪乃「こ、殺された…」

 

徐倫お姉ちゃん!

 

徐倫「まさか、これを再びやることになるとは思わなかったよ」

 

見ると徐倫お姉ちゃんの心臓の位置が∞の形となって刃を避けていた。

そして、糸状になっていた心臓が白羽取りの要領で刃をつかみ取り、簡単には抜けなくしていた。

 

徐倫「ちょっとやそっとの攻撃で止まらないんじゃあ、サンドバッグになって、限界以上に殴り続ければ良いんだよなぁ!食らえ、ストーン・フリー!」

 

S・F「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!オラオラオラオラオラオラオラオラ!」

 

ストーン・フリーの拳がしこたま材木座さんの体に叩き込まれ続ける!

それでもまったく効いているようには見えない!無表情に殴られ続けるが、のけ反りすらしない。

 

徐倫「!!!オラァ!」

 

そのまま何らかの動きを見せようとする材木座さんに危機感を抱いた徐倫お姉ちゃんは白羽取りを止め、引き剥がすべく拳を叩き込んで殴り飛ばした!

殴り飛ばされながら、材木座さんは刃の腕を降り下ろす!

徐倫お姉ちゃんが引き剥がさなかったら彼女の体が腸から下を真っ二つにされている所だった!

 

結衣「もういやぁぁぁぁぁ!」

 

由比ヶ浜さんがたまらず悲鳴をあげる!

この状況で悲鳴なんて上げたら…

 

材木座「ターミネート!」

 

まずいよ!今度は戦う力なんてまったくない由比ヶ浜さんをターゲットにした!

近くにいる雪ノ下さんも、ただ由比ヶ浜さんに抱きついて震えているだけだ!

何で!?この人もスタンドを持っているんじゃあ無かったの!?

何で自分も危ないのに何もしないの!?

 

小町「くっ!」

 

壁の向こうに人がいないことを確認して、効果が無いことを承知でルビーレーザーを人差し指を除く右手の指全部から発射する!

ルビーレーザーの弱点、その2。

一度発射した赤石からは1分間のクールタイムを置かないと再び発射は不可能な事。

その3、発射したルビーレーザーのクールタイム中、赤石が変色していれば、どの赤石が発射不可能なのかハッキリ分かるが、そうでは無いため、1つ1つを小町自身が把握していないといけないこと。

落ち着いている時ならクールタイムの把握や、発射した赤石を把握する事ができるが、戦闘中なんて状況で落ち着いて把握する事なんて出来ない。

小町は単純スペックは最強だとアーシスでは言われているけど、それだってこういう弱点だってある。

完全無欠な能力なんてスタンド使いの世界には無いんだなって、しみじみ思う。

それにこのルビーレーザーだって、全弾命中したけれども、多分、穴だらけにしたって…ほら、すぐに再生されてしまう。

まぁ、わかりきった上で射ったんだけどね。

目的は由比ヶ浜さんから注意を逸らす為。

だけど、注意は一瞬だけ小町に向いただけで、再び由比ヶ浜さん達に狙いを定める!

 

小町「くっ!」

 

今度は左手から発射しようとするけれど、照準が間に合わない!

由比ヶ浜さんに刀の腕が降り下ろされちゃう!

しょうがない!一か八かだ!

 

小町「アホ毛ルビーレーザー!」

 

ピカッ!

大体材木座さんの方向に向いていたサンシャイン・ルビーのアホ毛の赤石からルビーレーザーを発射した。

自分でも何であの位置に赤石があるのかは分からないけれど、あるんだから有効活用するしかないじゃん!

 

シュウウウウ………

 

レーザーは降り上げられた刀に命中した!

 

八幡「ザ・ジェムストーン!」

 

叫んだお兄ちゃんが次の瞬間には由比ヶ浜さんの前に移動しており、既に時間停止中に殴り飛ばしたらしく、材木座さんが窓からガラスを突き破り、放り投げられていた。

 

仗助「よくやった!小町!そのアホ毛?の照準をものに出来ていたんだな!?」

 

仗助お兄ちゃんが誉めてくれるけれど、その視線から目を逸らす。

 

小町「ううん…完全に偶然。そんな便利に使えたら指先からのレーザーを優先して射たないよ…」

 

仗助「あぶねぇな…下手したら固まって震えているあの二人に命中していたのか…」

 

小町「てへっ?♪」

 

小町は某お菓子会社のマスコットのように舌をペロッと出して視線を横に向けて逸らしていた…

 

仗助「無駄に可愛くしても憎たらしいだけだからな?」

 

仗助お兄ちゃんはジト目で小町を睨んでいた。

 

 

side比企谷八幡

 

材木座を窓から突き落とした俺だが、多分アレで効果があるとは思えない。

単純に時間稼ぎだ。

 

静「コォォォォォォ!お兄ちゃん、同調させるから飛ぶよ!」

 

仗助「おうよ!」

 

仗助と波紋を同調させたジョジョが二人で飛び降りる。

 

小町「飛ぶけど大丈夫!?徐倫お姉ちゃん!」

 

徐倫「この高さならストーン・フリーをロープ代わりにして降りられるわ!行くよ!マーチ!」

 

小町「アイアイサー!」

 

小町と徐倫の二人も材木座を追って外に飛び降りた。

この部室に残っているのは俺と雪ノ下と由比ヶ浜。

由比ヶ浜は殺されかけた恐怖に怯え、泣き叫んでいる。

そして…由比ヶ浜と抱き合うようにしてただ震えているだけの雪ノ下雪乃。

俺はそれを冷たい目で見下ろしていた。

 

八幡「雪ノ下…」

 

冷たい声で俺が声をかけると、雪ノ下は弾かれたようにビクゥと体が少し跳ねた。

 

八幡「戦う力がありながら、ただ仔猫のように震えているだけ…それが世界を変えるという大風呂敷を広げたお前の覚悟の形なのか?ただ由比ヶ浜と一緒に暴走した材木座に斬り殺されるのがお前の覚悟か?」

 

雪乃「………」

 

雪ノ下は答える事が出来ない。いつものようににらみ返して来ることすらしない。

 

八幡「お前には…本当にガッカリした」

 

失望。

真のスタンド使いの戦いを初めて目の当たりにし、恐怖を覚えてしまうのは仕方がない。

初めての命を張った戦いに、急に身を置いてしまえばこうもなる。

ただの普通の人間ならば、ただのスタンド能力を身につけているだけの一般人というだけならば、ただ震えているだけであったとしても失望することは無かった。

 

だが、雪ノ下雪乃は違う。

雪ノ下は言ったのだ。

 

雪乃『不思議なことに優れた人間ほどに生き辛いのよ、この世界は。そんなのおかしいじゃない。だから変えるのよ。人ごと、この世界を』

 

生半可な覚悟ではやり遂げることなど到底できない大口を。

それこそディオやプッチが掲げた手段に訴え、宇宙の生命すら終わらす手段を選ぶ覚悟が必要な大風呂敷を広げたのに…

それなのにこの体たらくは何なのだ!?

 

八幡「お前を慕い、こうして自ら寄り添ってくれる友達の危機だったというのに、ただ震えているだけ。お前は言ったよな?優れた人間ほど生き辛い…と、人ごと世界を変える、と。その形がこれか?」

 

俺は震えていた。恐怖にではなく、怒りで。

まだ少しは見捨てずにいた、多少なりとも信じていた雪ノ下の「本当の仲間が欲しい」という言葉に裏切られた失望に…震えていた。

 

八幡「一体、お前のどこが優れているのか教えろよ…友達も、自分の身すらも守ることすら出来ないそのざまで、一体世界の何を変えるつもりだったのか教えろよ!黙っていないで答えろよ!なぁ!」

 

俺は雪ノ下の胸ぐらを掴んで無理矢理立ち上がらせる。

この期に及んでもただ震えているだけの雪ノ下。

もういい、こんな奴にわずかながらも期待していただけ俺が愚かだった。

俺は掴んでいた雪ノ下の胸ぐらをそのまま放り捨て、みんなを追うために窓へと向かう。

 

八幡「お前の事は正直嫌いではあったが、普通の奴よりは多少は骨があるんじゃあ無いかと思って、見捨ててまではいなかったんだがな。それも今、この瞬間に無くなった。もうお前に何の興味もない。お前はお前自身が一番嫌った有象無象…いや、それ以下として、何も出来ないまま朽ち果てて終われ。二度と……」

 

俺は雪ノ下に振り返ることもせず、窓に向かう。

 

八幡「二度と俺の目の前にその面を見せるんじゃあない。次に俺の目の前に自分の意思で姿を現したならば…殺す。比喩では無く、本当にな。これで身の程がわからないような愚かな奴は、この先に踏み込む勇気も覚悟もないならば…そのまま死んだ方が幸せだ」

 

俺が飛び終える為に窓の前に立つと…

 

結衣「ヒッキー!言いすぎだよ!いきなりこんなことになったら、誰だってこうなるよ!女の子なんだから、戦えって言ったって、無理だよ!」

 

由比ヶ浜が俺に抱きついて飛び降りるのを阻止しようとする。

 

八幡「由比ヶ浜。お前の本質は優しいんだろうな…だがな。仗助に忠告されたよな?普通の幸せを願うならば、俺達の世界に踏み込まない方が良いと。これが俺達の世界だ。少しの油断が、一歩間違えれば次の瞬間には簡単に人の命が消える。それが俺達の…スタンド使いの本当の戦いの世界だ」

 

俺は肩越しに由比ヶ浜を見ると、由比ヶ浜はまだ震えながらも泣いていた。それでも冷たく殺気を放つ俺に怯まず、俺を止めようと抱き止めて離さない。

雪ノ下よりも遥かに勇気のある行動。

エンジェル・ダストがこいつの能力だったならば、少なくとも雪ノ下よりは役にたったであろうその勇気。

だが、悲しいかな。こいつのスタンド能力は、戦うには不向きすぎる。

 

八幡「スタンド使いに関わらず、戦いに男も女もない。お前も見ただろう?小町、ジョジョ、徐倫の三人の戦う姿を。そしていろはがいたら、彼女だって戦っていた。それが戦いだ。なぁ、由比ヶ浜」

 

俺は弾く波紋を体に纏い、由比ヶ浜を引き離す。

 

由比ヶ浜「キャア!ヒッキー!」

 

八幡「お前は人並みには優しいし、覚悟もある。けどな、俺達の世界では、お前の優しさなんて何の意味もなさない。中途半端な優しさや覚悟でウロチョロされれば、今みたいに震えるだけで終わり、それを守るために俺の仲間が犠牲になる奴が出てくる可能性もある。そんな事になるんだったら、俺はお前らの基準でいう最低野郎に、喜んでなってやる。それが俺の覚悟だ」

 

そこまで言うと、由比ヶ浜は再び抱き止めようとする動きを止めた。

 

八幡「わかったのならば、もう関わるな。そこの女を連れて、気を付けて帰れよ。少なくとも、そこの女よりはお前に対して敬意を払う。じゃあな、アリーヴェデルチ」

 

俺はそう言って、戦場に飛び降りた。

 

アリーヴェデルチ。イタリア語でさようなら。

ただし、明日また会おう、という意味を含めたさようならではない。それならば「チャオ」、英語ならば「see you tomorrow」と使う。

アリーヴェデルチは日本語で正しく言うならば、「お元気で、達者でな」、英語ならば「good by forever」というところか。

あばよ、由比ヶ浜。

 

←To be continued




強い!小町ですら手こずらせる材木座のガンズ・アンド・ローゼズ!強すぎる!
正にターミネーター!

ダダッダッダッダダン!ダダッダッダッダダン!

果たして双方が無事なまま、上手く終わらせる事が出来るのか!?
八幡達アーシスに解決策はあるのか!?

そして、遂にユキノンが八幡に見捨てられてしまいました!
果たしてユキノンはこのまま終わるのか!?

次回もまた読んでください!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。