「お母さん残念ですが出久君に個性はありません。」
「今の世代には珍しいなんの個性も持たない型だよ。」
その声を聴き僕は絶望した。僕はもうヒーローにはなれないという事を現実として受け止めるしかなかった。
その日の夜。
泣きながら僕は母さんに言った。
「僕も、かっこいいヒーローになれるかな?」
「ごめんね、出久。ごめんね。」
母は何度も泣きながら謝ってきた。
僕はもうヒーローにはなれないようだ。
8年後僕は中学生になった。
僕が無個性だという事を知ったかっちゃんは僕をいじめた。でも僕はヒーローを今でも諦められない今でもヒーローを分析してはノートにまとめるという事をしている。でもこんなことをしても無駄だってことは僕が一番わかっている。でもやっぱり諦められないんだ。そんなことを考えていると、人通りが少ない、路地で僕はヴィランに襲われた。
「おいおい、こんなところに一人で入ってきてここが俺らの島ってこと知らねぇのか?」
僕は考え事をしているうちにヴィラン達が住処にしているところに迷い込んでしまったようだ。
「え、す、すみません。僕そんなつもりはなくて。ただ迷っただけで。」
「この場所を知られたからにはこのまま無事に返すわけにはいかねぇな。」
ヴィラン達は僕にそういってきた。こ、怖い!どうすれば逃げられるかそんなことを考えていると僕はいつの間にかヴィラン達たちに囲まれていた。いつの間に!20人はいるぞ!
「おい、お前らやっちまえ。」
リーダー格の男がそういうと様々な個性を使ったヴィラン達が襲い掛かってきた。
僕はこの時、自分はここで死ぬんだ。そう思った。でも僕はまだ死にたくない!あこがれた最高のヒーローになりたい!あるヴィランの炎をまとったこぶしが僕のみぞおちに当たった。僕は吹き飛ばされた。
「うぁぁぁぁぁぁ!」
僕のお腹から焼けるような音とともに激痛が走る。
「おいおい、オマエやりすぎじゃないか?俺たちの分も残しとけよ~」
僕は遠くなる意識のなか、ヴィラン達をにらみつけた。
「何ガン飛ばしてんだ、この死にぞこないがぁー」
ヴィランが僕にとどめを刺そうとしている。僕はその瞬間、恐怖とともに僕の中で何かがはじけた。
ブォォォォォォォォン。
何かくぐもったような音がした気がした。そして少しの風を感じた。
その瞬間ヴィラン達が白目をむいて次々と倒れ始めた。いったい何が起きたんだ。ヒーローが助けてくれたのか?
僕は痛みをこらえ立ち上がり周りを見渡す。すると一人の老人がこちらに近づいてきた。
「あなたが僕を助けてくれたんですか?ありがとうございます。」
老人は驚いたような顔をしてそのことを否定した。
「いや私じゃない。君がやったんだ。」
「どういうことですか!僕は無個性なんですよ!」
僕がそういうと老人が答えた。
「個性?個性というものがどういう物かは知らないが、その力は覇王色の覇気という覇気の力の一つだ。」
「覇気?そんなもの聞いたこともない。」
「しかもその覇王色の覇気は王の資質を持つ者のみに発現する。最強の覇気。」
僕にはそんな力があるのか。
「あの、僕にもこの力があればかっこいいヒーローになれますか?」
「ヒーロー?今のままじゃなれないだろう。」
「やはり僕では無理なのか?」
「だが、私の元で修行してみないか?」
「しゅ、修行ですか?」
「ああ、そうだ、まだ君は覇王色の兆しが発現しただけ。それに覇気は覇王色だけではない。」
「その力を使いこなすという意味でも、私の元で修行しないか?」
「今から私の修行に最後までついてこられたなら君はきっと最高のヒーローになれるだろう。」
僕はその言葉を聞いた瞬間涙があふれた。ずっと諦められなかったヒーロー。この人の元で修行すれば、僕はヒーローになれるかもしれない。そして何よりこの人は僕がヒーローになれると言ってくれた。そして僕は決意した。
「お、お願いします。僕に修行を付けてください!」
老人が笑いながら言う。
「ははは、まずはその傷を治さなければな。」
その言葉とともに僕は意識を手放した。