魔法少女なのは・イリヤ   作:rain-c

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いつもの半分。もしかしたら追加するかも。のちのち。エタらないのが優先事項。


お茶会

 アリサ・バニングスは奇妙な物を鞄の中で見つけ、それを発見した際に抱いた感情に戸惑った。

 一番近いのは懐かしさだろうか。長らく会うことのなかった自分の半身にでも偶然巡り会ったなら、きっとこんな気持ちになるのではないか。などと考える。

 そんな体験をした覚えなどないのに。

 何故そのようなことを思ったのかと自嘲気味に笑うが、懐かしい気持ちを抱く原因を突き止めようとそれから視線を逸らさず思考の海へと沈んでいった。

 少し前に母親の勧めで受けたタロット占い。それに使用するカードによく似た物だ。しかし、占いの後に見せてもらった二十二枚のカードとは似てもにつかない物だった。

 描かれているのは剣を携える騎士だろうか。下の方にはSaberと書かれている。日本語に直すと刀剣であるサーベルという意味だったはずだ。サーベルにしては描かれている剣は肉厚な気がする。

 よくわからないカードだが、これの持ち主は今頃必死になって探しているかも知れない。休みが明けたらクラスメイトに聞いてみよう。そう思うと同時に、持ち主が見つからなかったら貰ってもいいわよね、と。普段のアリサなら想像もしない考えが頭をよぎり、自分らしくない考え方にアリサは苦笑いを浮かべた。

 

「らしくないわ。まったく、この気持ちはなんなのかしら?」

 

 ベッドに横たわり、窓から見える月を眺める。自分でもうまく説明することの出来ないもやもやとした気持ちを抱えながら、アリサはその気持ちを誤魔化すように、頭まで布団を被るとら明日すずかの家で行われる予定のお茶会に思いを馳せて眠りについた。

 

◇◇◇

 

 月村家でお茶会が開かれる当日。樹咲紅はタイミング悪く一人で翠屋を訪れていた。如何に格好よく偶然を装い、魔法を行使するなのはに出会うかに思考をさいていた為に、翠屋に行けば高い確率でなのはに出会える可能性を失念していたことに気付いたからだ。

 注文したアイスコーヒーの苦さに時折顔をしかめつつ樹咲はチューチューとストローで吸いつつ、辺りを見回す。樹咲本人としてはこっそりと辺りを見回しているつもりなのだが、その様は巣穴から顔を出し、周囲を警戒するプレーリードックに見えなくもない。

 

「……お母さん。あの子ちょっと気持ち悪いんだけど」

 

 翠屋を手伝っていた美由紀が思わず桃子に愚痴ってしまう程には、不審者にしか見えない姿である。結局、アイスコーヒー一杯にて二時間弱粘り翠屋のカウンター席を占領し樹咲紅は翠屋を後にした。

 樹咲紅のすれ違いは続く。

 

◇◇◇

 

 

 

「きょうーは、おっちゃ会、おいしいお茶に、あまーいおかしー。それにそれにたっくさんのぬこー」

 

「いや、猫はお茶会と関係ないだろ」

 

「すずかちゃんの家はぬこ屋敷だからいいの」

 

「そりゃそうだけどさ。あと猫をぬこっていうのもやめておこうな」

 

 浮かれた様子で歌いながら歩くイリヤ。それにツッコミを入れる圭。そんな二人のやりとりに同行者であるなのはとユーノは笑い、美遊は我関せずといった風を装いつつも、やはり気になるのか、時折チラチラと二人の様子を見ていたりする。

 

「美遊ちゃんも混ざってもいいんだよ?」

 

「わたしが混ざったらなのはの話し相手が居なくなる」

 

「ユーノくんもいるから大丈夫だよ?」

 

 肩に乗るユーノの頭を一撫でし、なのはは美遊を送り出そうとするも、その好意は次に美遊の口から紡がれた言葉により完膚無きまでに粉砕されることとなる。

 

「……他の人から見たら、友達と歩いているのにフェレットに話しかけるのは危ない子にしか見えない」

 

 なのはの笑みが引きつったのは仕方ないことだろう。美遊としては客観的に感じたことを率直に伝えただけである。なのはは反論しようと思考を廻らせた。しかし、少したってから気づいてしまった。世間一般からしたら美遊の意見は至極全うなものだ。残念ながらなのはには、引きつった笑みを浮かべ続けることしかできなかった。

 

「念話なら周りには話してるのがわかりませんし、そう思われりこともないんじゃないでしょうか?」

 

「なのはは素直で良い子。話している相手にはどうしても顔を向ける」

 

 なのはの代わりに思ったことを口にしたユーノ。なのははというと、突然美遊にいい子と褒められたのを嬉しく思い、顔を輝かせた。

 

「でも、呪われているんじゃないかって心配になるほど、腹芸には向いてない。今もすぐに表情にでた」

 

「……そうかもなの」

 

 表情に出やすいのは、時と場合によってはマイナスに働くことに気づき、なのはは美遊の言葉を肯定し、がっくりと肩を落とす。

 

「ああ。だから僕を挟むように並んで歩いてるんですね。迎えを断ったのも同じ理由ですか?」

 

「そう。なのはがボロを出さないように」

 

「美遊ちゃんがナチュラルになのはのことを信用してない事実に驚愕なの!」

 

 なのはと自分の微笑むユーノに美遊は小さく微笑み頷く。それに全力でツッコミを入れるなのは。

 後ろを歩く二人と一匹の様子に、圭とイリヤは楽しげに笑う。

 彼らはまだ知らない。

 楽しみにしていたお茶会にて何が起きるかを。

 

◇◇◇

 

「全員集まったわね」

 

 一目見ればわかることなのだがアリサはあえて口に出して確認する。それに苦笑する場所の提供者である月村すずかと衛宮圭の二名。イリヤとなのはは笑顔で頷き、美遊は空気を読まずにさきに一人だけでお茶菓子を口にしていたりする。

 

「ちょっと美遊!」

 

「どうかした?アリサ」

 

「……はあ、なんでもないわ。気にしないで」

 

「そう」

 

 先に一人でお菓子を食べている美遊に注意しようとしたアリサだったが、よっぽどクッキーの味が気に入ったのか美遊が微かに微笑んでいることに気づき、怒りを呑み込み小動物のようにクッキーをかじる美遊に見守ることにした。すこしばかり変わっているが、美遊は大事な親友の友達であり、自分にとっても友人である。これしきのことで友人につっかかるのは子供っぽいと躊躇っての行動だった。

 

「にゃはは。美遊ちゃんはマイペースなの」

 

「ああっ!美遊だけ先に食べるなんてズルいよ!」

 

 美遊のマイペース差に笑うなのはに、美遊に負けじとクッキーへと手を伸ばすイリヤ。圭はそんなマイペースというか、やりたい放題の妹二人の様子に原作をしる圭は育て方を間違えたかと頭を抱える。

 

「遠慮という言葉は知っているはずなのに。こいつらどこで育て方を間違ってしまったんだろう」

 

「楽しんでくれればそれでいいよ。結局、アリサちゃんも何も言わなかったでしょ?ほら、圭くんも楽しんで。紅茶美味しいよ?」

 

「楽しんでくれればってとこには同感だけど、そこでわたしの名前が出たことに疑問が出来るわ」

 

「いや、ほら、そこは日ごろの行いというか、イメージというか。なっ、わかるだろ?」

 

「……なによそれ」

 

 思わず思考を口に出した圭に、すずかは慰めようとアリサの行動を引き合いに出し、圭に紅茶を勧める。引き合いに出されたアリサは不満を口にするも、圭に説明され不満を抱き、若干頬を脹らませる。

 始まりは何とも緩い雰囲気の中、お茶会は始まったのだった。

 

◇◇◇

 

 多少意地っ張りな所はあるものの、その少女の魂はとても波長が合っていた。気高く、優しく、正義感の強いまだ幼くも力強い魂。彼女の力を宿したカードが少女に引き寄せられたのは必然といえよう。

 何かきっかけが無ければ少女単体では、彼女の力を引き出すことはできなかったであろう。しかし、今、海鳴市にはそのきっかけが存在していた。

 

「なに?」

 

 お茶会の途中、一人トイレに向かったアリサは胸ポケットから光が洩れているいることに気づいた。胸ポケットには昨日いつの間にか鞄に入っていたカードしか入っていないはずと、胸ポケットに手を伸ばす。

 淡い光を滲ませていたカードはアリサが手にした途端に輝きを僅かに増し、点滅を繰り返す。

 

「なに!?なんなの、これ!?」

 

 アリサが戸惑っている間に変化は続く。壁をすり抜け外より青い光球が三つ連続してアリサの持つカードに吸い込まれ、同化する。三つ目の青い光球がカードと同化すると同時に今までにない強い光が放たれ、アリサの意識は闇に沈んだ。

 

「マスター」

 

「クラスカードか?場所は?」

 

 アリサがトイレにより席を立ちしばらくした後、トパーズがケイに呼びかける。今、この場にはアリサが居ないとはいえ、いつ戻ってくるかはわからない。そのため、圭は小声でトパーズに話しかけた。

 

「はい。ジュエルシード並びにクラスカード、セイバーの発動を感知しました。場所は、ココです」

 

「よりによってココかよ。現界してたら気をつけないとアリサに見られるじゃないか」

 

 最近すっかり癖として定着してきた額に手を当てるポーズをとる圭。

 

「圭くん。何が起きたの?」

 

 すずかとしてもここ最近見慣れていたためか、あっさりと圭の表情から何かが起きたことを感知し、圭に心配そうに声をかけた。

 

「……この前と同じだよ」

 

 数瞬悩み、隠してもどうせばれるだろうと、圭はすずかに真実を告げる。このあと、圭のいうこの前と同じ展開にならないことをいまの彼は知る由もなかった。

 

 

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