低い評価ついて凹んでただけ!
イリアのキャラ崩壊著しいよ!閲覧注意。
まさか、こういうオチが付くとは予想外だ。
それが帰宅してから、というか、イリヤと美遊の二人が大事そうに持っている物がなんなのかに気づいた時の俺の素直な感想だった。初の実践により多少、気が高ぶっていたのは認めよう。しかし、眠ろうとする寸前になるまで気づかないとか自分のことながら抜けすぎだろうと思う。思い返してみれば二人が帰宅してからというもの常に二人の近くにアレは存在していた気がする。
「イリヤ、美遊。ちょっと俺の部屋に寄ってってくれ」
「どうしたの?圭」
「ふああ」
一度は別れたイリヤと美遊を呼び止める。あくびで返事をするイリヤには悪いが、この話は早くしておいたほうがいい。二人が関わることになり、現場で鉢合わせて動揺し動きを止めてしまいダメージを受けるなんて事態になったら大変だ。そんなことになったら俺は幾ら後悔してもしたりないほどに後悔するし、自分自身を許せない。
「少し、それについて話がある」
「え、え、気にする必要なんてないよ。ただの玩具だよ!いったーっ」
あえて眠そうなイリヤの持っているカレイドルビーを指差すと、面白いぐらいに動揺し、話した際に、壁に足の小指を当ててしまい涙目になるイリヤ。
我が義妹ながら、イリヤは本当に可愛い。俺の心を満たしていくほんわかとした気持ち。そうか。これが、萌えなのか。
「イリヤさんイリヤさん。どうやら無理に誤魔化す必要はないようですよ」
イリヤが自身の身にダメージを受けながらも誤魔化した事柄をあっさりと否定する声。もちろん、それは美遊ではない。俺が視線を向けていたものだ。声を発したのは、イリヤの手に雑に握られた翼を生やした円の中心に星がある子供用玩具のような外観をした物である。年齢的に持っていてもおかしくはない外観ではあるが、俺はコレに見覚えがある。
「ル、ルビー!お兄ちゃんの前で話したら駄目じゃない!」
「どういうこと?」
突如声を上げた愉快型魔術礼装であるカレイドルビーに抗議の声を上げるイリヤ。そりゃあ、不満も抱くだろう。痛い想いまでして誤魔化したのに、庇った物に否定され無駄に終わってしまったのだから。ルビーを叱るイリヤとは対照的に、冷静な美遊はルビーがどうしてそう判断したのかという意味で疑問を投げかけた。
別に俺から離しても構わないが、ルビーがトパーズをどう評価するのか気になる。ここはルビーに任せることとしよう。
「答えは簡単です。その方も、イリヤさんや美遊さんと同じということですよ」
制作者はきっと違うはずなのだが、ルビーから見たトパーズは仲間という判断なのだろう。俺をイリヤや美遊と同じと断言するルビー。
「えっ」
「美遊にはわかってもわたしにはその説明じゃ解らないよ!つまりどういうことなの?」
ルビーの言ったことを理解し、珍しく驚きの声を上げる美遊に、ルビーの言ったことが理解できず、説明を求めるイリヤ。
「はあ、イリヤさんは本当に残念な子ですね。察しましょうよ」
「うう」
「落ち込むなって。俺の部屋でちゃんと説明してやるからさ。とりあえず、中に。セラさんやリズさんに聞かれるのは拙いからな」
落ち込むイリヤの肩をポンポンと軽くたたき慰めつつ、俺は二人を部屋に呼ぶ。原作ではセラさんは魔力を感知してる描写があったが、こちらの世界でもそうとは限らない。バレないよう用心するに越したことはないだろう。
予想より早くに迎えた実戦に、イリヤと美遊の早すぎるカレイド化という現実で、俺の頭はいっぱいいっぱいだ。かといって腐ってもしょうがない。俺は若干頭を抱えたくなるのを我慢して、二人に続き部屋へと入る。
「単刀直入に聞くが、目的はクラスカードか?」
「あらあら、そんなことまでご存知なんですか。これは事情の説明が省けて助かりますねー。その通りです。もしかしてお兄さんにもご協力頂けちゃったりしますか?今ならイリヤさんのあられの無い姿付きなので、とってもお得ですよ!」
「ちょっと!ルビーお兄ちゃんに何言ってるの!?それに協力ってどういうこと!?」
部屋に入り、ベッドに横たわるイリヤと、同じくベッドに腰掛けた美遊の頭上に浮かぶ、二つの魔術礼装へと目的を尋ねると、飾りであり、時として武器となる小さな翼を忙しなく動かしルビーが俺の質問に答えた。ルビーの発言に素早く身体を起こしたイリヤは、羞恥からか、真っ赤な顔をしてルビーに枕を投げる。知識として知ってはいたが、実際に会話するとわかっていても、ルビーは割とうざいことが判明した。
「あほか。義理とはいえ妹に欲情するわけ無いだろ。つうか年齢を考えろ。小学三年生で異性のあられの無い姿に欲情する人間なんていない。あと、イリヤ。人の部屋を荒らすな」
イリヤの投げた枕をキャッチしつつ、空いている手でルビーを鷲掴みにする。
「なんとも面白くない答えですね」
「面白さを求めるなよ」
自分が楽しむためだけに能天気な発言を続ける愉快型魔術礼装に苛ついてしまい、つい、ルビーを掴んでいる手に力が入る。
「いたたたたっ。ちょっとふざけただけでコレですか。お兄さんはカルシウムが足りてませんね」
「姉さん。遊ばないでください。話が進みません。少し静かにしていてください」
「はあ、わかりましたよ」
サファイアに注意されたルビーは不服そうな声を出しながらも、了承の意を示す。
これでやっとまともな話ができそうだ。
「ルビー、サファイア。クラスカードについてだが、回収は俺がやる。イリヤと美遊との契約は出来れば破棄して欲しい」
ルビーが黙っている機を逃すのは愚策だと判断し、俺自身の要求を二つの魔術礼装へと告げる。これは前々から考えていたことだ。二人はクラスカードと関わることで成長し、絆が生まれ、クロという新しい家族が出来たりもするが、クラスカード集めは危険を伴う。クロには悪いが、今いる大切な家族が傷つくという結果がわかりきっている出来事に関わらせたくないと思うのは当然のことだろう。
「それは無理ですね。私達は契約者が死亡しない限り契約を更新することは出来ません」
予想していなかったサファイアよりもたらせた情報。それにより俺の思考は止まりそうになった。
サファイアの述べた情報を信じるなら、イリアと美遊が契約したルビーとサファイアには前任者がいないことになる。キャスターの出現時期や、見知らぬ金髪少女の登場。ここは俺の持つ知識。プリズマ☆イリアの世界とあまりにも違いすぎる。念のため、確認はしておくべか。
「遠坂凛、ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト。この二つの名に聞き覚えはあるか?」
「それは誰の名前ですかー?」
「すみません。わたしにはわかりかねます」
たいした期待もせずにルビーとサファイアに問いかけてみると、二つからの答えは予想通りの答えであった。原作にて二つを日本に持ち込んだ前任者はこの世界では二つと契約を交わしてはいないことがわかっただけでもマシか。二人が存在していたらな多少知恵を借りられたかもしれないとなという感情が沸くが、あの二人の性格は年下には御しづらいし、イリアと美遊のことを他人任せにしなくてよかったという安堵もある。俺の心境はなんとも複雑な気持ちだ。
「そうか。なら、俺がクラスカードの回収を終えるまでは大人しくしていてくれるか?」
意識を切り替え、前々から考えていたことを提案する。
「それには同意しかねますね~。あなただけでクラスカードを回収できると決まったわけではありませんので」
俺の提案に意義を申し立てるルビー。さっさと了承してくれればいいのに。時折まともな発現をするのは知識として知ってはいたが、この場面でのまともな発現は面倒なことこの上ない。
「トパーズ」
「はい。マスター」
俺の手に嵌められたブレスレットカレイドトパーズが一瞬輝きを放つと、俺の手には先程手に入れたばかりであるキャスターのカードが顕現する。最弱のサーヴァントと称されていたキャスターのクラスのカードが証明になるかは怪しいが少なくとも俺にカードを回収するだけの力はあると示すことはできるだろう。
「圭、それは?」
「ルビーとサファイアが求めるものだよ」
「違う。今、圭のことをマスターと呼んだブレスレットのこと」
珍しく驚いた表情を浮かべた美遊に取り出したカードがルビーとサファイアの求めるものだと伝えたのだが、美遊の興味はクラスカードより俺の腕につけられたブレスレット。トパーズに向いているようだ。クラスカードも重要なのだが考えてみればイリヤと美遊にはクラスカードというものが今の時点ではよくわかっていないだろうし、俺の情報を何一つ与えてないことに気づく。クラスカードについてはこういう物があるという知識があればいい。しかし、二人に納得して手を引いて貰うにはある程度こちらの事情も話さなければいけないだろう。さすがに神により転生したというのは説明出来ないし、信じないだろうからある程度話は捏造しないといけないとは思うが、何も話さないよりマシだろう。
「これはカレイドトパーズ。イリヤと美遊の持つルビー、サファイアとだいたい同じ機能を持っている。同型機と考えてくれればいい」
「お兄さんにクラスカードを集める力があることはよーくわかりました。けれど、サファイアちゃんのほかに姉妹がいるなんて聞いてないです」
「わたしも姉さんと一緒で聞いていません。どうして私たちが同じ存在だと判断できる物を持っているのか詳しい説明を求めます」
内心流してくれればいいのにと思いながらトパーズについて語ったことは案の定二つの魔術礼装にツッコまれた。これにたいして明確な答えを示すのは難しい。どう説明したもんか。
「それはそうでしょう。私は平行世界で作られたものですから」
どう答えるか思考する間も開けずに答えたトパーズ。神様の居た世界を平行世界と表現したのは上手い手かもしれない。確認する手段はないだろうし、例えあったとしても存在が格上っぽい神様が居た世界を探し当てることはまず不可能だろう。
「そうなんですかー。ならトパーズさんは私たちの異母姉妹ってことになるんですかねー?」
「姉さん。製作者が私たちと同じとは限りませんよ」
「でも私たちを作ったのは魔法使いですよ?」
「それは・・・」
あっさりと信じたルビーにサファイヤがいらない指摘をするが、ルビーはサファイヤの意見を一蹴した。トパーズの製作者は神様だ。サファイヤの言っていることは正しい。トパーズはキシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグとは一切関係ない。しかし、サファイヤはルビーに言われたことにより、黙ってしまった。それも仕方のないことだ。数々の異名を持つ製作者であるキシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグは到達者だ。そんな彼に匹敵する技術を持つものは確実に居ない。
「なんか三人でいろいろ話してるけど、美遊にはわかった?」
「断片的にしかわからない」
「気にしなくていいぞ。今していた話はクラスカードに関係ないから。なっ?ルビー、サファイヤ」
「確かに。わたしとしてはトパーズさんが加わったことにより三姉妹になれたのが嬉しいですし、出自なんてどうでもいいですね。姉妹でヒットなんて稀ですし。クラスカードを集めつつ、美人三姉妹としてトップアイドルを目指しましょうね〜」
「クラスカードを集めるとアイドルになれるの!?」
ルビーの冗談を真に受け、恐るべき速度でルビーに詰め寄るイリヤ。よっぽど眠くて思考が回っていないのか、ルビー達がアイドルになるというのを信じてしまったらしい。素じゃないことを切に願う。
それにしても、アイドルに憧れていたとは初耳だ。
「いや、ルビーの言ってる事は嘘だからな。つか、イリヤなら普通にアイドル目指せるだろうが。なんなら母さんに頼んで美遊と二人でオーディションを受けさせてもらえよ」
確実に母さんは悪ノリするだろうけど。
「そ、それってお兄ちゃんから見てわたしに魅力があるってこと?」
「んっ?ああ、イリヤは可愛いぞ」
羞恥からか、顔を瞬時に真っ赤に染めたイリヤが、顔からベッドへとダイブする。受け身を取れてなかったように見えたが大丈夫だろうか?
「イリヤ、話を脱線させないで。圭も悪ノリしない」
「ああ。悪い」
「……もうわたしに思い残すことは無いよ」
美遊に怒られているのにベッドに顔を埋めアホなことを言う。イリヤの態度に悪い気はしない。年を重ねればマシにはなるとは思うが、ブラコン過ぎて心配になる。
「マスター!」
「美遊さん!」
イリヤのブラコンに思考をさいていると、不意にトパーズとサファイヤが張り詰めた声を上げた。
「ああ」
「うん」
美遊はしっかりとサファイヤから説明を受けていたのかサファイヤに返事とともに真剣な表情で小さく頷く。
「イリヤさん!」
今までふざけていたのが嘘のようなキリッとした声を出すルビー。
「うん。ルビー。十五年ぶりだね。間違いない。使徒だよ」
「そんなわけありませんよ!ルビーぃぃぃ、サミングぅぅぅ!」
「いったぁーい!今のはどう考えてもネタ振りでしょ!」
ボケた台詞の代償を払わされたイリヤは、ルビーに両眼を攻められ痛みによりベッド上をのたうちまわるイリヤ。
うちの長女はすっかりネタ要因とかしていた。
「アホ。トパーズ達が感じたのは魔力だ。魔力」
「夕方遭遇した物と同一の魔力反応を三つ感知。移動しています」
「反応からしてクラスカードとは別物ですね。圭さん説明をお願いします」
「俺もよく知らないがジュエルシードとか言うもんらしい。こっちはこっちで集めてる子が居るから、詳しい話はその子に今度会ったら聞いてみる。とりあえず覚えておいて欲しいことは一つだ。どういう訳だが知らんが、ジュエルシードはクラスカードを活性化させる。だからジュエルシードの魔力を感じたら逃げろ」
「ちょっと待った!わたしから一つだけ質問!」
「ちょっ、イリヤ!状況を考えろ!」
窓を開け身を乗り出そうとしたところで、俺はイリヤに片手を掴まれバランスを崩しそうになった。幾ら下はベッドでも流石に後頭部から落ちるのは嫌だ。
「ごめんなさい。でも重要なことだから!」
「急いでいるから手短にな」
本当なら直ぐにでも家を出たいところだが、思いのほかイリヤが強く俺の腕を掴んでいるため続きを促した。別に振り切れないこともないのだが、振り切った場合、後で面倒な事になると俺の直感が告げていたため聞くことにした。
「今、集めてる子って言ったてたけど、女の子?どんな子?」
どうやら俺の選択は間違っていたらしい。ハイライトの消えた瞳で俺を見つめるイリヤ。さてどう答えたもんだと思考したところで俺の灰色の脳細胞はいい答えを導き出すことは無かった。
「ああ。女の子で同い年くらいの外人っぽい金髪の子だ」
「……ルビー、わたし達も行くよ」
下手に誤魔化すと大事になるような気がしたため、俺はイリヤの質問に素直に答えることにしたのだが、どうやらこちらも悪手であったようだ。どこがイリヤの琴線に触れたのかなどわかりきっている。十中八九ジュエルシードの探索者が同年代らしき女の子であり、尚且つ、実質イリヤに内緒で接触していたことが気に食わなかったのだろう。相棒へと手短に用件を述べたイリヤの瞳からは理性と呼べる物が消え去っていた。そのうち本格的に兄離れをさせなきゃならなくなりそうだ。
「……俺としてはイリヤと美遊には普通に過ごしていて欲しいんだが」
一呼吸置き、近い将来に思いを馳せた俺は心の中でため息を吐いてから、薄々無駄だろうと思いながらもイリヤに自分の要求を述べてみた。
「駄目だよ」
二人の安全を願い述べた俺の提案はあっさりと予想通りに却下される。クラスカードよりイリヤのブラコンを治す方が俺にとって重要な気さえしてきた。
「はあ、なら、これだけは約束してくれ。ルビーの言う事を聞いて安全な距離を保つこと」
「わかった!美遊はどうするの?」
「圭。わたしもいい?」
「ああ。サファイアの言う事を聞いて安全な場所にいるならいいよ」
「なんで美遊には、すんなり許可を出すの!」
日頃あまり頼み事をしてこない美遊と、日頃から甘えたり、駄々をこねたりするイリヤを同じ扱いには出来ない。それに、イリヤは下手をしたら乱入してきそうだが、美遊はきちんと俺とした約束を守ってくれるだろうし、イリヤのストッパーとしても期待できるから許可をした。ちゃんとした理由はあるが、これを言うとイリヤの機嫌を損ねる可能性がある。というか確実に損ねるだろうから口には出さない。
「まあまあ、イリヤさん。付いて行けるんですから細かいことは気にしないでいいじゃないですか。未知の敵がいるんですから」
「うん。そうだねルビー。相手を確かめなきゃ」
イリアの意識をうまく逸らしてくれたルビー。しかし、俺としてはイリヤとルビーの敵という言葉が気になった。十中八九、ジュエルシードを回収して行った少女のことだろう。
「トパーズ。展開」
「了解。コンパクトフルオープン。境界回廊最大展開。カレイドトパーズ展開完了」
接し方間違えたかなという後悔を胸に、俺はトパーズを展開し、同じくカレイドの展開を済ませたイリヤと美遊を視界の隅に捉えつつ、ため息を一つ吐いた後、窓から身を乗り出した。