山で合宿
「零斗くーんおはようー」
「うぅん…」
「もーう早く起きてよ〜そろそろ出発だよ」
「…うわぉぉぉぉ!!」
「うわっ!どうしたの?」
「穂乃果さん!何で俺の家に!?」
「何言ってるの?穂乃果の家だよ」
「あっ…」
そうだった。高坂家に居候しているのだ。全く慣れない。異性のモーニングコールなど幼稚園の時に千歌と曜に耳元で騒がれた事ぐらいしかない
ちなみに昨日は零斗の方が早く起きて穂乃果を起こしに行く羽目になった
「穂乃果さん今日は早いですね」
「だって今日は合宿だよ!」
遠足前の子供のようなはしゃぎっぷりだ
「だから零斗くんも早く準備して」
準備といっても特にすることはないのだが穂乃果の母が色々持たせてくれた。服や食べ物などだ服は基本的に着れなくなった穂乃果の父のものだ
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「みんな!おはよう!」
「これでみんな揃ったわね」
「零斗くんもおはよう」
「おはようございます絵里さん」
「あれ?うちに挨拶はないの?零斗くん?」
「す、すいません希さん。おはようございます!」
「よろしい」
「ねぇねぇ!凛も!」
この下りは全員やるのか?
ここまで仲良くなれたのは理由がある
実は昨日μ'sの練習のマネージメントをしたのだ。Aqoursでやっていることが役に立った瞬間だ
その結果思ったより好評ですぐに打ち解けた
「じゃあ行くわよ」
赤髪の少女西木野真姫に連れられ駅の改札に向かう
その途中
「いたっ!……うぅん…うわーーん!」
まだ小学生ぐらいの少女が改札口まで盛大にコケているのを目撃してしまった
「大丈夫?」
「う、うん…」
さすがに無視することはできないので声をかけた。すると足を怪我していた
「いたいよ…」
「ちょっと待ってね〜……はい!これでよし!」
零斗は自分の持っていたハンカチを包帯代わりに使った
「もう痛くない?」
「うん!」
その少女は笑顔を取り戻してくれた。そういえばこの子見たことあるような無いような
「あっ!すいません。うちの子が」
「いえいえ〜…あれ?」
今度は確実に見覚えがあった。少女の母親らしき人この人は間違いなく梨子の母だ。となるとこの子は…
「ほら梨子もちゃんとお礼言わないとね」
「お兄ちゃんありがと!」
やはり間違いない。この子は小さい頃の桜内梨子だ。なるほどこの歳でここまで顔が整ってれば高校生になって化けるのも頷ける
「いいえ、どういたしまして」
「このハンカチは…」
「あぁ大丈夫です。持って帰って平気ですよ」
(また会うことになるし…)
「そうですか。すいません」
「ばいばい。またね」
「うん!お兄ちゃんばいばい!」
[お前いいところあるじゃねーかよ]
「未来のAqoursのメンバーだぞ。マネージャーとして当然のことをしたまでよ」
[え?未来のAqours?]
「え?気づかなかったのか?あの子多分だが梨子ちゃんだぞ」
[確かに言われればそんな気がするな]
「零斗くーん!何やってるの?早く早く!」
「今行きまーす!」
ーーーーーー
「はぁぁ〜綺麗!」
「空気が澄んでるねぇ〜」
「やっぱり真姫ちゃんすごいにゃ〜こんな所にも別荘があるなんて」
「歌もうまいし完璧だよね」
「と、当然でしょ!私を誰だと思ってるの!」
さっき聞いた話だとどうやらこの西木野真姫はかなりのお金持ちらしい。夏は彼女の所有する海の近くの別荘で特訓をしたと聞いた
「ふん!何自慢してるのよ?」
「べ、別に自慢して無いわよ!お願いされたから仕方なく紹介してあげたんでしょ!」
「まぁまぁ落ち着いてください」
「そうよ。早く別荘に移動しましょう。今回は本当に時間が無いんだから」
ドスーン!!
「その通りです!」
1人だけ本格的な登山用の服を着て大荷物のものが1人。園田海未だ
「海未ちゃんその荷物は?」
「何か?」
「ちょっと多くない?」
「山ですから」
(別に登山をしに来たわけじゃないのだが…)
「さぁ!行きましょう!山が呼んでいますよ〜」
妙に目がキラキラしている海未。おそらくかなりの登山好きなのだろう
「うーん。これは大発見だな。帰ったらダイヤさんに教えてやろう」
そんなことを思いながら駅を出る。だが何かが足りない事に気づく
「何か足りてない気がしないかにゃ?」
「忘れ物?」
「忘れ物じゃないけど何か足りてない気が…」
何だろうか。このもどかしさは何が足りないのかよく分からない
「……そういえば穂乃果さんは?」
「「「「「「「「……あっ!」」」」」」」」
ーーーーーー
「たるみ過ぎです!」
「だって!みんな起こしてくれないんだもん!ひどいよ!」
この人思ったより厳しいんだな。普通はまず安心するところだと思うが…Aqoursにもここまで厳しい人はいないぞ
とまぁそんなことがあったがなんとか別荘に到着できた。それは零斗が想像していたものよりも綺麗でしっかりしていた
「これが別荘…俺の家より大きい…」
ーーーーーー
「ピアノ!お金持ちの家でよく見るやつ!そして暖炉!」
「すごいにゃ!初めて暖炉見たにゃ!」
確かに暖炉は初めて見る。普通の家にはこんなのないから仕方ない
「すごいよね〜ここに火を!」
「つけないわよ。まだそんなに寒くないでしょ。それに冬になる前に煙突を汚すとサンタさんが入りにくくなるってパパが言ってたの」
「素敵なお父さんですね」
「ここの煙突はいつも私がキレイにしていたの去年までサンタさんが来てくれなかったことはなかったんだから」
新たな大発見。真姫はサンタさんを信じているらしい
「ぷぷっ…あんた…真姫がサンタ…」
「あぁ!にこさん!」
「それはダメよ!」
絵里と花陽がにこを抑える
「いたい!いたい!何よ!」
「ダメだよ!それを言うのは重罪だよ!」
「そうにゃ!真姫ちゃんの人生を左右する一言になるにゃ!」
いや、流石に言い過ぎのような気もするが…
ーーーーーー
「さぁ!まずは基礎練習から!」
作曲するチームとダンス練習チームの2つに別れる事になった。正直作曲は零斗は専門外のため練習組に参加している
「零斗くん。最初に何かすることある?」
「そうですね。とりあえずまずは準備体操ですね」
それから本格的に練習がスタートした。あのμ'sの練習風景を間近で観られる機会なんてもうこれだけだろう
[お前は何をするんだ?]
「いつもやってることをやるだけ」
「皆さんお疲れ様です。はい水です」
「ありがとうございます」
「流石に未来のマネージャーやね」
「いえいえとんでもない」
「ほら!零斗くん連れてきて正解だったでしょ!」
「そうね。サポートしてくれる存在がいるのはありがたいわ」
「にこさんと凛さんにも水が…ってあれ?いない?」
「あら?さっきまでいたのに」
「どこ行っちゃたんだろう」
「僕探してきますね」
「頼んだわ」
ーーーーーー
というわけで少し森の中を探しているが2人の姿が見えない。一体どこまで行ったのだろうか
「…これ足跡か?」
[間違いないな。それも2つ…まさか]
嫌な予感が脳裏をよぎる。足跡は森の奥に続いていた。確かにこの先は崖があって…
「まじかよ!」
ゼロの力を借り全力で坂を駆け下りる。急ブレーキができるように制限もかけている
「あっ…いた。おーい大丈夫ですか?」
「助けて〜」
「寒いにゃ〜」
どうやら川に落ちたらしい2人とも怪我がなかっただけ幸いだ。さてどうやって助けるか
<じゃあ俺に任せろ>
ここはゼロに任せることにした。零斗の体を操り驚異の跳躍力で川を飛び越える
「「とっ!跳んだ!」」
<よっと!ふう、大丈夫か?>
「あ、あんたどうしたのよそのジャンプ力は…」
「すごいにゃ!凛にもできないよ!」
<そんなことはいいから早く俺に掴まれ>
驚きながらもにこと凛は零斗の体に掴まる
<しっかり掴まってろよ!>
2人を抱え零斗は再びジャンプで崖を飛び越える
ーーーーーー
「もう、無事だから良かったけど」
「ごめんなさい…」
「すごい!本物の暖炉!」
「少しは心配しないよ!」
今考えればあの高さから落ちて無傷なのは奇跡だろう。鈍臭い善子なら大怪我をしてるだろうなんて考えていた
「そんなことより零斗さんのジャンプすごかったにゃ!」
「それ本当なの?」
「えぇまぁ昔からジャンプ力には自信がありましてね」
「そんなレベルじゃなかったわよ」
「まぁ細かいことは気にしちゃだめですよ。それより海未さんたちは上で作業してるんですから」
「あっそっか…真姫ちゃんは?」
さりげなく話をそらす。確かにピアノを使って作曲をしていると思われた真姫がなぜかいない。どこに行ったのだろうか
「お茶用意しました」
花陽がお茶を淹れてくれた。聞いていた通り優しい子のようだ
上にいるであろう海未とことりには穂乃果が持っていくと言って上へ向かった
それからしばらくして穂乃果が急いで2階から降りて外に飛び出していった
ーーーーーー
「「「「「「「スランプ!?」」」」」」」
何事かと思ったら3人ともスランプに陥っていた。今まで以上のプレッシャーやうまくいかなかった時のことを考えてしまい作業に集中できないらしい
「確かに3人に任せきりっていうのは良くないかも」
「そうね。責任も大きくなるから負担も掛かるだろうし…」
「じゃあみんなで意見出し合って話しながら曲をつくっていけばいいんじゃない?」
「それがいいですね」
「しょーがないわね〜私としてはやっぱり《にこにーにこちゃん》に曲をつけて…」
「なーんて10人で話してたらいつまでたっても決まらないよ」
正直それも聞いてみたい気もするが
それから絵里のアイデアで3組に分かれることになった
ことりを中心に衣装作りをする班。海未を中心に作詞をする班。真姫を中心に作曲する班である
「俺はどのチームかだって?俺はなぁ…」
[別荘でお留守番だ!]
「やかましい!」
零斗に分身の術が使えない以上3つのグループを同時にフォローするのは物理的に不可能だ
かといって1組だけに留まるのは不公平だという判断になった。なので零斗には別荘で掃除や食事の準備などの役割になる
「まぁこういう雑務は慣れてるからな。何の心配もない」
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掃除を始めてから2時間が経過したが全く終わる気がしない。別荘自体が大きすぎのだ
作業をつづけているとふとAqoursのことが頭をよぎる
「……あいつらどうしてるかな」
[なんだよ急に]
「いや最近ずっと会ってないしさ。……なぁみんなと交信することは無理か?]
もうしばらく会っていない。零斗たちがここにいる間に怪獣が現れでもしたら大変だ
[時空を超えることはできるが時間を超えるのは無理だ]
[いや無理じゃないが…]
「ないが?」
[いやなんでもない。クロノームを倒せば未来に帰れるのは間違いない。奴が姿を現わすまで待つんだ]
「それなんだけどさ本当にそいつはこの時間にいるのか?」
[え?]
「俺たちを過去に閉じ込めて未来で暴れてるなんてことはないのか?」
[その可能性は低いな。奴は自分にとって厄介だと思ったものを過去に閉じ込めてそいつの過去をめちゃくちゃにしようとする]
[ただ厄介なのは今回現れたのが人間の記憶を使わずに過去に飛ぶことができるってことだ]
このまま野放しにすれば大変なことになる。なんとしてもクロノームを倒さなければならない
みんないる世界に帰るために
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その夜
真姫と海未とことりはそれぞれの仕事をするため別荘に戻ってきた
3人の表情は昼の時とは違い何か大切なものを得たそんな様子だった
「どう?この曲」
「すばらしいです。よく1日でここまで仕上げましたね」
「みんなが教えてくれたわ。いつもどんな時も全員のためにって」
「全員のために…」
「零斗。私の作詞はどうでしょう」
「ユメノトビラ…そうかこれが」
これには見覚えがある
「何か?」
「いえ、いい歌詞ですよ。流石に海未さんだ」
「零斗くん衣装も見て」
その夜零斗を含めた4人で作詞、作曲、衣装を完成させた
そしてラブライブ予選が始まる
次回は本編の3話です
早いですがμ's編もクライマックスを迎えます