あやしけものフレンズ~ようこそ怪獣ランドへ~   作:家郎

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注:構想は「怪獣黙示録」より前に練ったものですが、この文章はそれをオマージュしたものです


メガギラス

 2218/9/17 ブラジル・マナオス

 ロバート・A・ファランド 南アメリカ防衛空軍第2小隊長(当時)

 

 怪獣。

 ソイツの脅威は、俺たち人類に変革を迫った。

 まず、通常兵器じゃ奴らには通用しない。よっぽどのやつじゃなきゃ、な。

 世界各地で、軍の再編、統合の動きが起こった。俺たちも、ブラジルの空軍が南米各国のそれと統合され、「南アメリカ防衛軍」と名を改め、脅威に立ち向かおうとしたんだ。

 そして、奴らに有効な新兵器の開発。まあ、短時間で出来るもんじゃない。実際俺たちの所でも、自走式砲台が作られてた、とかいう話もある。それが完成していれば。……まあ、今さらだがな。

 だが、俺たちは怪獣をなめていた。来るわけがない。次の襲来までは相当あるだろう、ってな。そんなわけない。

 自然ってのは予測の効かないもんだ。今までだってそうだろう。地震、ハリケーン、噴火……。どれをとっても、俺たちが予測して未然に防げたことはないじゃないか。

 そして、その脅威がやって来てしまった。

 メガギラス。

 あとで聞いた話だが、ヤツはトンボの近縁種らしい。とてもそうは見えなかったがな。

 ヤツがどこから出現したかは、未だ分かっていない。トンボなら、海からじゃないだろう。今のところは、アマゾンのジャングルから、ってのが有力らしいな。

 昆虫ってのは、巨大化すれば人類を滅ぼしかねないほどだ、そう聞いたことはないか? コイツの後にもいたな、カマキラス、クモンガ……。そう、あとアイツもそうだ。

 それほど、昆虫ってのは人類の敵なんだ。俺はヤツを見て確信した。

 両手のハサミ。鋭い歯の並んだ口。ヤツがにやりと笑ったときゃ、俺の背筋は凍りついた。

 最大の武器はそのスピード。まるで瞬間移動だ。ヤツの翅と身軽さがその驚異的な速度を生み出していたんだろう。

 その翅は、こすり合わせれば高周波が起きる。分かりやすく言えば、鈴虫がちょっとばかり攻撃的になった、ってとこだ。

 

 メガギラスの出現は、住民からの通報で明らかになった。つまり、俺たち軍じゃどうにもならなかった、ってことだ。さらに言えば、俺たちがそれを信じていなかったせいで、直下の集落は壊滅。人々は食われていった。

 各国の軍の寄せ集めだからな、最新式の兵器を持ってるわけじゃあない。時代としちゃ、そうだな、数十年前の型だろうな。軽くガタの来てるそいつらを操り、俺たち第2小隊はメガギラス討伐に向かった。

 そんときゃ、ヤツの特徴なんて知らなかったさ。「空を飛んでる」ってことぐらいだ。俺たちにはそれしか知らされていなかった。

 そして、マナオス上空。

 俺たちはヤツと会敵した。

 「総員、射撃開始!」

 機関砲でヤツを倒せるかって? そんなの知ったこっちゃない。俺たちにできたことはそれぐらいだった。人間ってヤツは非力だって思ったさ。

 ヤツのスピードの前では、機関砲なんて所詮紙くずを投げつけたくらいのものだった。全てをことごとくかわされ、仲間の乗ったヘリが1機ヤツの攻撃で落とされた。

 地上部隊はまだなのか。援護がなけりゃ倒せない代物だ。ヘリが20機程度でどうにかできるわけがない。

 ヤツのスピードに追い付けなかったヘリが次々に落とされていく。ヤツはヘリの胴体を狙わず、ローターを上手く狙って落としているらしかった。それでも、ヤツのはさみは無傷。とんでもないヤツだ。

『地上部隊、到着しました』

 「ああ、とっとと撃ち落としてくれ!」

 戦車隊の攻撃が始まった。それで少しでも動きが鈍くなれば、こっちにも勝機はある。そう思っていた。

 だが、現実はそう簡単にいかないもんだ。攻撃をケツに食らったヤツは激昂し、飛び回っていた俺たちを落とそうとしてきた。さっきより動きが遅かった分、逃げるのは簡単だった。

 いける。俺が確信したその時だ。

 彼方から、巨大な何かが飛んでくるのが分かった。

 大きな翅。蛾のような生物。それは俺たちに、いや、メガギラスに向けて一直線に飛んできた。

 「総員、退避!」

 俺は命じた。全機が左右に散り、その巨大な蛾はそのすぐ後に俺たちのいた場所に突っ込む。残っていたメガギラスは、そいつの翅にぶち当たって吹っ飛んだ。

 そいつは俺たちなんて気にせず、ただメガギラスだけを執拗に追っていた。ちょこまか動くメガギラスを追い切れず、俺のヘリにそいつがぶつかる。俺は落下直前に脱出した。

 通信機から安否を問う声がする。俺はそれに軽く答えたが、今は自分の身よりも、怪獣同士の争いを見ていた方が良かった。

 不意に、巨大な蛾の頭から緑の光線が出た。メガギラスはそれをもろに食らい、遠くのジャングルに落ちていった。俺たちが戦っていたメガギラスは倒されたんだ。

 戦いの勝者は、見つめていた俺たちには目もくれず、アンデスの方へと去っていった。

 「モスラ」とかいうんだってな、俺たちが遭遇した蛾。ヤツはメガギラスだけを狙っていた。そこまでメガギラスを憎んでいた? そんなこと……。

 あの日俺は、ヒトってもんの無力さを味わったな。あんな自然に対抗しようなんてばかげてる。俺たちは自然と共存し、従っていた方がいい。そう、思う。

 

 出現怪獣:メガギラス

 体長:50m

 原種:トンボ目

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