1話目ということで、当然出てくるのはあの怪獣ですね。
島が見えてきた。砂浜のようなものが見える。
「あそこですか? ラッキーさん」
「多分ソウダネ」
「楽しそー! ねえねえ、どんなところなの?」
3人―正確には2人と1体―しかいない小さな船の上は、えらくにぎやかだ。しばらくして、船は砂浜に乗り上げた。
どのような島なのだろう。かばんの心には不安もあったが、それよりも希望、期待が上回っていた。
「ジャア、行コウカ」
「でも、どっちから行きましょう?」
乗り上げた場所から少し進むと、道が一本あった。左か右か。看板があるわけでもない。どちらに行くかによって、今後がだいぶ変わってしまいそうだった。
3人がしばらく悩んでいると、
「あれ? だーれ?」
左の方から知らない声がした。2人がそちらを向くと、1人のフレンズがこちらを見ている。
太く長い尻尾。小さな耳。活動的な性格を思わせる短めの髪。一体何のフレンズなのか。
「君たち、どこから来たの? だーれ?」
好奇心のおもむくままに質問してくるそのフレンズ。どうやら悪いフレンズではなさそうだ。
「えっと、向こうのキョウシュウってところから来ました、かばんです」
「私はサーバル。よろしくね! あなたは何のフレンズ?」
やっぱり。かばんには、サーバルとそのフレンズは似ているように思えた。
「私はゴジラ。ここは『怪獣ランド』って言うんだ!」
「検索中……『ゴジラ』ニ関スルデータハナイネ」
あのボスですら分からない動物のフレンズらしい。「ゴジラ」、何だか強そうな名前だ。
かばんが、自分たちが何をしに来たか説明すると、ゴジラは答えた。
「じゃあ、途中まで案内するよ! ここは……右に行った方がいいかな。ついてきて!」
本当にサーバルとよく似ている。2人は夢中でゴジラを追いかけた。
ゴジラの背中を見ると、3列の背びれがある。とげとげしていて、時折揺れるのが分かった。尻尾も、サーバルのようにふわふわしていない。ツチノコや、パンサーカメレオンのような感じだ。もっとも、前述の2人に比べれば、よりうろこが目立っている。思ったより走るスピードが速く、ついて行くのはきつい。
身軽な彼女を追っているうちに、気づけばかばんたちはジャングルの中にいた。
「えっと……多分、こっちだと思う! ついてきて!」
迷っているのは誰が見ても明らかだ。申し訳ないと思って口に出さない2人のせいか、正しい道にたどり着く気配が一向にない。
すると、近くの茂みからガサッ、と物音がした。振り向いた先には銀色の影。大きな目がのぞく。
3人が気付いたころには、さっき見えていた部分は10mほど上にあった。手が生え、地面に体が埋まっている。セルリアンだ。
「う、うわあぁぁ! た、食べ……」
「めっちゃデカいよ、どうしよう……」
うろたえる2人。その時、少し先から自信に満ちた声がした。
「大丈夫。私に任せて!」
ゴジラだ。確かに、他のフレンズよりは大きな体だが、だからと言って勝てるわけではない。
「無茶ですよ! いったん逃げた方が……」
「大丈夫、大丈夫!」
ゴジラは本気だ。2人を後ろに下げ、大きく咆哮する。
「じゃ、いっちょやろっかな」
ゴジラの目が青白く光る。同じ色で光る背びれからは、野生開放を示す「キラキラ」が出ていた。
口を大きく開き、腰を低く据える。直後、辺りを青い閃光が貫いた。
かばんが目をふさぐ手をどけてみると、石を壊されたセルリアンは、跡形もなく燃え尽きていた。「パッカーン」どころの話ではない。
横を見ると、案の定サーバルが目を輝かせている。
「すっごーい! どうやったの? あれなに?」
「ほんとは使うはずじゃなかったんだけどね。『熱線』っていって……説明できないや!」
かばんには、あの「熱線」が火の類いであることはたやすく理解できた。なぜフレンズが火を使えるのか、さらに自分の体から出すなんて。自分が今まで見てきたフレンズには、そんなことが出来る者はもちろんいなかった。野生開放していた、ということは、あの能力が種としての「ゴジラ」が持つ能力なのだろうか。
熱線のとてつもない威力は、辺りの木々をすべて焼き払い、未だに空には煙が上っている。おかげで視界が開け、道が分かった。
「あっ、そうだ! 知らせてこなくちゃ……じゃあね~!」
気ままなところまでサーバルにそっくりだ。行ってしまったが、一体誰に「知らせる」のだろう。
「何だかゴジラさんって、サーバルちゃんに似てたね」
「!? うみゃー、そんなことないよ!」
2人は笑い合った。やっぱり、2人は素敵なコンビだろう。
すると、森の方から足音がした。だんだんとこちらに近づいてくる。
《登場怪獣》
・ゴジラ
言わずと知れた怪獣王。怪獣同士戦っていないこの世界では、初代の肩書き「水爆大怪獣」として登場。
《予告》
次回の怪獣は、初代・ゴジラのライバルとして有名なあの怪獣。
次回、「もりのなか」