一歩引き、身構える2人。その目の前に現れたのは、青銅のような色をしたスーツをまとったフレンズだった。金色の鱗は、キングギドラを想起させる。
彼女はいきなり、刃物を突きつけて2人を睨みつけた。
「お前ら、この島に勝手に入るんじゃねえ!」
反射的に両手を挙げるサーバル。オーロックスに止められたときと反応は同じだ。それに対し、震えながらも考えを巡らすかばん。何かこの状況を打開できる策はないのか。
すると、しばらく2人をじろじろ眺めていたフレンズが、かばんに尋ねた。棒サングラスの後ろに隠れた目は見えないが、おそらく何かに気付いたのだろう。
「お前……もしかして、ヒトか?」
はい、とうなずいたかばん。目の前のフレンズは、その一言を聞くやいなや、突きつけていた刃物を下ろし、あからさまに嬉しそうな表情を浮かべた。
「やっぱり……。すまない、いきなりこんなことして。
俺はガイガン。人相を見るに、お前は信用できるな……よし、行っていいぞ」
「あ、ありがとうございます。ガイガンさんは、どうしてこんなことを?」
ガイガンは刃物を服にしまい、話を続ける。明らかに喜んでいるのが分かり、2人は笑ってしまいそうだった。
「会ったばっかのヤツに話す義理なんてないけどな……まあ、いい。
俺は、島の周りをちょくちょく回って、侵入者がいないか見張ってるんだ。お前らに気付けなかったのは痛恨の極み、ってヤツだが」
「すっごーい! かっこいいね!」
ガイガンは、照れくさそうに頬を赤らめる。サーバルに褒められたからか、はたまた違う理由か。
「そういえば、名乗ってませんでしたね。僕はかばん。こっちはサーバルちゃんです」
「かばん……? 変わった名前だな。昔ヒトとはいろいろあったもんだが、『かばん』か……。初めて聞くな」
ガイガンの背中を見ると、3列の翼が生えている。横に入った筋が、翼の美しさを引き立てているように感じた。
「そうだ、デスさん、見ませんでしたか? 海の方に行ったって……」
「あいつか? よくぶらぶら歩き回ってるらしいが、実を言うとあまり見たことなくってな……ま、海に行ってみたらどうだ? あそこには確か、チタノザウルスがいた気がする。赤っぽい色だから、すぐわかるだろう。あまり陸に来ないくせして、変に陸のことに詳しいんだよな……」
そう言ってガイガンは、2人から見て右の方を指差した。そちらから行った方が、海に近いのだという。
「あの、ありがとうございました!」
「ん? ああ、俺の紹介だ、って言っとけば、あいつは分かるぞ」
ガイガンは森の中へと去って行った。ヒトについて知っているようだったので、もう少し聞いておけばよかった、と2人は今さら後悔する。そうして、さっき言われた方向へ歩いて行く。
やっと海が見えてきた。鮮やかな青がとても新鮮に感じられる。
「チタノザウルス」を探そうと2人が動き出したその時。海中から赤っぽい色の服を着たフレンズが現れた。よく見れば、服の部分部分がそれぞれに違った色で輝いていて、美しい。シャープないでたちも相まって、遠目に見ているだけではいられなくなる。かばんたちは吸い寄せられるようにそのフレンズに近づいていった。
先に声を発したのは、彼女の方だった。
「あっ、もしかして君たち、サーバルとかばん? ゴジラから聞いたよ、おもしろい子たちだ、って」
「そうですけど……もしかして、チタノザウルスさん、ですか?」
目の前のフレンズはこちらを見つめている。細く鋭い目だが、目つきからは好奇心と優しさがあふれているかのようだ。
「そうそう、私がチタノザウルス。で?」
「えっと、ガイガンさんからあなたのこと聞いて。デスさんがどこに行ったか知りませんか?」
チタノザウルスは、しばらく2人を眺めてから、思いついたように言った。
「じゃあ、1つ頼まれてくれない? 君たちならできるから、ね」
快く了承した2人に、彼女は語る。
「この前、火山が噴火したよね? それから、ビオランテがいなくなった気がしない?」
彼女が言うには、ビオランテがフレンズになった可能性がある、ということらしい。
「私が行きたいとこだけど、私、あんまり陸に上がってると乾いちゃって。本体が森の中にある、って噂聞いたから、代わりに行ってきてくれないかな?」
「はい、いいですけど」
「何か成果があったら、なくっても、もう1回来て。報告、よろしく。私はここにいるから」
そう言うやいなや、チタノザウルスは海に入って行った。ついさっき言っていたように、体が乾いてしまったのだろう。
水平線がどこまでも続いている。太陽の光が反射し、海面はキラキラと輝いていた。
2人は森に目を向けた。さっきまで自分たちを迷わせてきた森が、今度は出会いを生むかもしれない。
「早く行こーよ!」
「……うん」
真昼間なのにもかかわらず、木々に光が遮られて森の中は暗い。ゆっくりと、そして力強く、2人は一歩足を踏み出した。
《登場怪獣》
・ガイガン
島の見回りをしているフレンズ。仕事してるのかしてないのか分からない。
肩書きは「FINAL WARS」時の「サイボーグ怪獣」だが、外見は「ゴジラ対ガイガン」のもの。
先が鉤状になった「くない」を大量に所持、使用している。昔ヒトといろいろあったらしい。
・チタノザウルス
色鮮やかなフレンズ。怪獣ランド近海の浅い所に住んでいる。
尻尾が扇状に開き、風を起こせるようだが、あまり使わない。
《予告》
次回は、今回話題にされていたアイツ。
次回、「であい」