あやしけものフレンズ~ようこそ怪獣ランドへ~   作:家郎

8 / 20
サンドスターも結晶だったっけ。


#07 けっしょう

 3人が歩いていると、横からいきなり誰かが飛び出してきた。かばんと激突し、2人とも倒れる。

 ビオラがさっとサーバルの後ろに隠れた。突っ込んできた誰かが起き上がる。

 「うぅ……まさか誰かがいるとは。すまない、大丈夫か」

 「は、はい。あなたは?」

 彼女が名乗ろうとした途端、同じ方からまた別のフレンズが走ってきた。

 「ダメだって! ただ走ってったって、見つかるわけないって。え、この子たち誰? まさか迷惑かけてないよね、スペース!? あ、ごめんね、いきなりこんな」

 突然のことで、ビオラは泣きだしそうになっている。サーバルがなだめる中、かばんが問う。

 「大丈夫ですけど……あ、はじめまして、かばんです。あなたたちは?」

 「スペースゴジラだ。スペースでいい」

 「私はバラン。でも、本当に大丈夫? そこの子、泣きそうになってるし」

 かばんはあわててビオラの元に駆け寄る。自分は大丈夫だから、安心して、そう語りかけると、ビオラはかばんに体を寄せた。かばんの内なる何かがくすぐられる。

 「私はサーバル! この子はビオラちゃんだよ!」

 「ところで、2人はどうしてここに?」

 スペースゴジラがこちらをにらみ、何かを考えているようだ。その時、突然彼女が苦しみだした。

 「うっ……! こうしてはいられない。早く行かなくては……」

 「うーん、3人とも、ちょっと手伝ってくれると嬉しいんだけど」

 バランの頼みは何だかわからないが、3人とも当然のように了承する。「危機はみんなで解決する」、パークの常識だ。

 

 「なるほど……つまり、その『結晶』を探せばいいんですね?」

 「そう。さっきもそうだけど、スペースが苦しんでる、ってことは、結晶にも何かあった、ってこと。スペースの力のほとんどが結晶に集まってるからね」

 この島に来てから探しものばかりしている気がするが、気にすることではない。おびえていたビオラも、バランのまっすぐな瞳に動かされ、大きくうなずいた。

 「……私、この森のことならわかる。力になれるか、わからないけど……」

 「ビオラちゃん……よし、早めに見つかるようにしましょう。なくしたのはどのあたりですか?」

 なくした本人が地面に突っ伏し、しゃべれそうにないので、代わりにバランが状況を説明してくれる。おしゃべりな彼女の話には、ちょくちょく関係ない話題が紛れ込んでいるが、突っ込んでいる場合ではない。

 「確かね、スペースのおでこにある結晶? あれが光るの、近くにあると。一応目印にはなると思うけど……そういえば、登山道の入り口辺りで落とした、って言ってたなー。そこからうちらは一直線に来てた、ってわけ。改めて、そっちの方探してみるかな」

 「分かりました。じゃあ、行きましょう」

 スペースゴジラも、よろめきながら立ち上がる。バランが肩を貸してやると、向かう準備が整った。

 

 少し歩くと、道のようなものが見えてきた。

 道中、スペースゴジラの身には何度も異変が起き、一刻を争う状況だ。道のりは短かったはずなのに、明らかにこれまでより頻繁に苦しむようになっている。

 すると、スペースゴジラのおでこにある結晶が、まばゆく光り始めた。探している結晶が近くにあるのだろう。

 「よし、この辺りを探してみよう。セルリアンの可能性があるから、みんな気をつけて……」

 言い終わる前に、5人の前に何かが現れた。何色、とは形容しがたい、混じり合った色をしている。セルリアンだ。体内に、とげとげしい結晶が確認できる。

 「あれだ、あれだよ、あのセルリアンが取り込んだのかぁ……」

 結晶に力が集まっている、ということは、彼女の持つサンドスターが結晶に集約されている、ということだ。その量の多さゆえに、セルリアンは変色、未だに取り込みきれていないのだろう。

 スペースゴジラが立ち上がった。結晶のような背びれから、わずかだが「キラキラ」が出ている。野生開放だ。

 「ダメだよスペース! 危険すぎるって!」

 「分かっている。だが、こうしなければいけない。やるしか、ない……!」

 オレンジ色の稲妻が、セルリアンを貫いた。よくよく見ると、光線が曲がり、石を直接狙い撃っていたようだ。

 力を出し切ったスペースゴジラが倒れるのと同時に、セルリアンは粉砕された。フルパワーならば、ゴジラの熱線同様、セルリアンは燃え尽きていたに違いない。

 バランが結晶を取り、スペースゴジラの額に押しつけた。しばらくすると、結晶が小さくなり、スペースゴジラの結晶が光る。

 彼女は立ち上がり、結晶を手に取った。

 「さて、サンドスターを補給しなければ」

 「ねえ、お礼しなきゃったら! あ、ありがとね! おかげで助かったよ、じゃ!」

 「待って下さい! あの、デスさん見ませんでしたか?」

 バランは立ち止まった。スペースゴジラを追う方が大切だろうが、彼女は3人のためにわざわざ戻ってきて、言う。

 「さっきその辺で見たけど? ほら、あっちの方。ごきげんに昼寝してたよ」

 「ありがとうございます! また……」

 有力な情報だ。ついに、ついにこの時が来た。デストロイアと会える。

 ビオラの正体も分かるかもしれない。「けものプラズム」の資料も手に入るだろう。

 3人は、自然に微笑んでいた。喜びを隠しきれない。

 自信に満ちた足取りで、3人はバランの指さした方へと歩き出した。




《登場怪獣》
・スペースゴジラ
外見がゴジラに似ているフレンズ。
背びれや肩、尻尾など、結晶がモチーフになっている部分が多い。
原典の飛行形態に似た結晶を持っており、蓄積された大量のサンドスターにより、いくつもの強力な能力を使える。
・バラン
腕と体との間に飛膜を備えたフレンズ。これを用いて滑空することが出来る。
おしゃべりだが、友人思いの良いフレンズだと思う。
《予告》
次回は、ついに彼女が登場。
次回、「かざん」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。