あやしけものフレンズ~ようこそ怪獣ランドへ~   作:家郎

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ヒトって、怪獣にとって美味しいものなのかな。


#08 かざん

 しばらく歩くと、開けたところに着いた。ここもまた、登山道の入り口なのだろう。看板が立っている。

 看板の下で、気持ち良さそうに眠るフレンズがいた。かばんは、意を決して声をかける。

 「すいません」

 起こされた彼女は、んん、と背伸びをした。派手な髪型だが、寝ぐせだろうか、はたまたもともとか。

 「デスさん、ですか?」

 彼女はひょいと起き上がり、3人を見つめる。

 「そう、あたしがデス。ほんとはデストロイア、ってんだけどね。で、見ない顔だけど、何か用?」

 ついに、ついに会うことが出来た。やっとだ。3人、特にかばんとサーバルは、喜びを隠しきれなかった。よかった、と小声で呟き、かばんが本題に入る。

 「えっと、2つ、お願いできますか?」

 

 「まず、この子が何のフレンズか、教えてほしいんです。この前の噴火の後に生まれたらしくって」

 デストロイアがビオラの方を見た。少し震えているが、彼女の目は力強い。

 「うーん……この見た目、この髪型、この性格……どこで、かばんは見つけた?」

 「え? あ、はい。ビオランテの本体がある、とか噂があったところです」

 彼女はしばらく考え込む。あの日以降ビオランテがいなくなったこと、見つかった場所……。

 「うん、分かった。この子は多分ビオランテのフレンズだろうね」

 「よかったね、ビオラちゃん!」

 ビオラが小さくうなずく。すると、デストロイアがこっちを見ている。

 「え、ビオラ……? 分かってた、の?」

 「いえ。なんとなくそうかな、って。『ビオラ』っていう名前は僕が……」

 「何だ……君、なかなか賢そうだね。『彼』以来かな……」

 彼女は感慨深そうに空を見上げる。ガイガンもそうだが、デストロイアもまた、ヒトと何かがあったフレンズなのだろうか。

 3人がその様子を見ているのに気付くと、デストロイアは頬を真っ赤に染め、何事もなかったかのように話題を変えようとした。

 「あ、あぁ、何でもない、何でもないから! さてと、つ、次のお願い、ってのは?」

 

 「ふーん……『けものプラズム』ねぇ……」

 「この山のてっぺんにある研究所にあるんじゃないか、って、皆さんが。あなたに許可を取れば行ける、って聞いたので」

 デストロイアが驚いたような顔をする。何でそこまで知っているのだろう、とでも言いたげだ。

 「そこまで知ってるなんて、やっぱ君すごいよ。あたしがあそこの鍵は預かってる。今から行こっか」

 「ありがとうございます! やった……」

 喜ぶかばんを、デストロイアは心配そうに見つめていた。

 

 今までいた登山道は、邪魔なものが多いため、通れないらしい。さっきまでいたところに戻ることになった。

 一息ついて、デストロイアが先頭で登り始める。それを3人が追いかける形となった。

 彼女はハイヒールを履いているにもかかわらず、すたすたと登って行く。一体どこから、それほどの力が出ているというのだろう。

 道中、大きな輪のようなものが目に入った。ヒトの残した遺物だろうが、かばんには、それが何に使われるものか、皆目見当がつかない。聞こうと思ったが、今は資料を手に入れることが最優先だ。後で調べることにした。

 岩の壁が高くそびえている。ビオラと会ったところで見た山肌と同じだ。

 その壁にひびが入る。中から怪しげな音。デストロイアは動じない。

 その途端、岩壁から顔が飛び出してきた。落ちそうになったかばんを、サーバルがつかむ。

 「……ふぅ」

 「こらバラゴン! 驚かせるのやめて、って言ってるでしょ?」

 バラゴン、と呼ばれたそのフレンズが壁から全身を出した。腰にはつるはし。大きな耳が頭で揺れる。

 「おっ、デス! どこ行くの? 頂上?」

 「そう。この子たちは、こっちからかばん、サーバル、ビオラ。一緒に行くことになってね」

 どうも、とかばんが頭を下げた。それに2人が続く。

 「かばん、だっけ? 君、ヒトでしょ? ヒトか~……君、ひとくち、いい? いいよね? 大丈夫大丈夫、痛くないから、ね……」

 バラゴンはかばんを食べようとしているのか。逃げるかばん。

 「あんたねぇ……そういうのやめてって、いつも言ってなかったっけ?」

 「でもさ、何だかね、この子とっても美味しそうでさぁ……ねえ、ほんとにダメ?」

 バラゴンの口からよだれが垂れている。間違いない、彼女は本気だ。

 「悪いけど、あたしたち急いでるの! 来るなら来てもいいけど」

 「はいはい……面白くないなぁ」

 こうして、頂上の研究所に向かう集団は、5人になった。

 

 かなり登った。ゴジラが熱線で焼き払った森がはっきりとわかる。ヘドラのいた池も、自分たちが乗ってきた船も。

 みんな、かなり息が上がっている。キョウシュウで登った山よりも高いくらいの山だ。無理もない。

 「さてと、着いた……ここが研究所」

 白い屋根の簡素な建物が建っている。ここが研究所とは思えないほどに狭い。

 「ねーねー、早く早く!」

 うん、とかばんは答え、研究所の入り口に向かう。デストロイアが、かばんの後ろ姿を見つめて、ため息をついた。

 「あの子が『あれ』を見つけたら……心配だなぁ」




《登場怪獣》
・デストロイア
研究所の鍵を持っているフレンズ。ヒトと何かあったらしい。
なぜか翼がない。ハイヒールに派手な髪型と、まるでモデルのような見た目をしている。
・バラゴン
地中にいるフレンズ。つるはしを持っているが、手で掘った方が早いらしい。
なぜか、ヒトの味を知っているかのような発言をする。
《予告》
次回、かばんを現実が襲う。
次回、「しんじつ」
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