どうやったらインスピレーションが出てくるんでしょうかね?
ついに旅立ちの時が近づいてきた。3人の装備も充実してある。ハジメは錬成の力をいかんなく発揮し新たな兵器を開発していた。ドンナーと対になるリボルバー式電磁加速銃シュラーク、強化した対物ライフルシュラーゲン、対軍用電磁加速式機関砲:メツェライ、ロケット&ミサイルランチャー:オルカンなどなど。
また、ハジメの技能と技術も進化している。コウスケと一緒に特訓した結果ガンカタを習得したのだ。これでもしもの時、接近戦もできるようになる。
また右目が魔眼にもなった。これはコウスケと一緒にオスカーの工房を漁っているときに誤って棚にあった薬品の液体が右目に入ってしまったのである。目がー目がーとゴロゴロ転がるハジメに慌てて神水を飲ませようとするコウスケ。だが目を開けると薄ぼんやりと青白く光っている。どうやら任意で発光するとわかったのだが…このおかげで魔法の核などが分かる魔眼を手に入れたのだ。コウスケは「…主人公パネェ」と呟いていた。
また、ユエとコウスケとの合同特訓で”瞬光”という自分の知覚を引き上げる技能も身に着けた。最もコウスケの煽りを食らってプッツンしたせいでできたのだが…
次に、ハジメは“魔力駆動二輪と四輪”を製造した。これで旅も快適になると3人で喜ぶ。バイクの方はサイドカーが付いており平時はハジメが運転しコウスケがサイドカーユエがハジメの前に座るという形になった。
「ところで南雲。運転免許は持っているのか?」
「持っているわけないでしょ…」
(当たり前だけど無免許運転か…)
宝物庫という空間に道具を収納できる便利アーティファクトも見つかった。これで、いろいろできるとハジメとコウスケは目を輝かせていた。早速素材や錬成した道具もぶち込む。ハジメとコウスケ。ユエはそんな二人を微笑ましく見ていた。
「これがあってよかったよ。流石に大量の荷物は持ち運べないからね」
「取りあえず半分ぐらいになるまで詰め込もう。後々町に付いたら、いろいろ買わないとな」
ユエも念のため装備品が増えた。神結晶が試験管型保管容器三〇本分でついに枯渇したのでハジメは、神結晶の膨大な魔力を内包するという特性を利用し、一部を錬成でネックレスやイヤリング、指輪などのアクセサリーに加工した。そして、それをユエに贈ったのだ。ユエは強力な魔法を行使できるが、最上級魔法等は魔力消費が激しく、一発で魔力枯渇に追い込まれる。しかし、電池のように外部に魔力をストックしておけば、最上級魔法でも連発出来るし、魔力枯渇で動けなくなるということもなくなる。贈られたユエは嬉しそうにほころんで礼を言い、ハジメとコウスケを撃沈させた。
最後にコウスケも待望の武器が追加と強化された。地卿はより頑丈により素早く振れるように強化を施してある。地属性の魔法を生成魔法で付与したので、地面にたたきつければ岩が飛び出したり衝撃波を出すなどある程度のことはできるようになってる。
ハジメに預けた鉈は練磨された。銘は「風伯」と名付けられた。風魔法を付与されており剣の刃から風の魔法が飛ばせるようになっている。ハジメと一緒に技名を連発してユエに変な目で見られたのは…ご愛嬌というやつだ。普段はこれを持ち、地卿は形がデカいのでハジメの宝物庫に預けてある。
必要な時にハジメから渡されるという戦法だ。訓練もばっちりだ。
また衣装も変わっている。ハジメは黒に赤のラインが入ったコートと下に同じように黒と赤で構成された衣服を纏っている魔物の素材を組み合わせているので防御力も中々だ。ユエは前面にフリルのあしらわれた純白のドレスシャツに、これまたフリル付きの黒色ミニスカート、その上から純白に青のラインが入ったロングコートを羽織っている。足元はショートブーツにニーソだ。どれも、オスカーの衣服に魔物の素材を合わせて、ユエ自身が仕立て直した逸品だ。高い耐久力を有する防具としても役立つ衣服である。最後にコウスケは、全体的に灰色のマントを着ている。下には青と黒で構成された衣服をまとっている。手甲と足甲も付けており胸当ても完備してある。腹には魔物の革を利用したサラシも付けてある。防具はハジメの会心の作であり、動きを妨げることもない優れものである。
それから十日後、遂に三人は地上へ出る。
三階の魔法陣を起動させながら、ハジメは2人に静かな声で告げる。
「今から僕達は地上に出る…地上では僕たちの力や武器は異端だ。きっといろんな敵が出てくるだろう」
「ああ」
「…ん」
「でも僕は、2人がいる。だから、僕が2人を守って2人が僕を守る。それで僕たちは誰にも負けない。敵は全部なぎ倒して、世界を超えよう」
その言葉にコウスケとユエはしっかりと頷く。
「…ん、私は…ここから出て…自分の居場所を探す…そして…ハジメの家に行く…それで…幸せ…」
「困難があっても2人がいるなら俺は何とかなる。そう信じている。だからここから始めよう。俺たちの旅を」
三人はそれぞれ顔を見合わせ頷くと魔法陣の中に入っていった。途中で出てきたぺらぺらとしゃべり続ける幻影のオスカーに一言だけコウスケは礼を言った。
「試練を乗り越えよくたどり着いた。私の名はオスカー・オルクス。この迷宮を創った者だ。反逆者と言えばわかるかな?」
「ありがとよオー君!世話になったな!」
そのまま消える三人。後に残されたのは喋り続ける幻影のオスカーだけだった。
「……礼なんていらないよ……君の旅路が…どうか…自由の意思のもとに…あらんことを……」
いつも誤字脱字報告ありがとうございます
次の話で第1章が終わりになります