先読まないと一気に物事が飛んだようになってしまうかも…
文法やら言葉やらおかしいかもしれません。
もっと文章力や表現力がうまくなりたいですね…
コウスケが魔物を殺戮している間ハジメたちは、フェアベルゲンの警備部隊の虎の亜人たちに囲まれてしまった。虎の亜人たちはシアを見て裏切者のハウリア族と判断し攻撃をしようとしたがハジメの威圧により攻撃は中断された。その後、交渉により本国の長老に判断を仰ぎたいとの事でその場にとどまる一行。
その後、やってきた長老のうちの一人…森人族のアルフレリックに案内されフェアベルンへと行くことになった。本来大樹へ行きたかったハジメとユエだがどうやらこれから霧が濃くなり亜人たちでも方角を見失うようだ。亜人ならだれでも知っていることらしいが…ハウリア族の族長カムはすっかり忘れていたようだ。そのことで責任を擦り付け合うハウリア族にユエがお仕置きをしながらもフェアベルゲンにつく一行。
そこでハジメは長老たちとの交渉…またの名を恐喝によりハウリア族はハジメの奴隷になり、またハジメは亜人に敵対されず、フェアベルゲンへの立ち入り禁止となった。
そんなこんなで、大樹の近くに拠点を作り…フェアベルゲンにある結界を作る事の出来るフェアドレン水晶を使って結界を張っただけのものだ…一息ついたところでこの後どうするべきか考えていた。亜人たちの話によると十日間すぎるまでは、大樹への霧は晴れない。
ならその間にハウリア族を鍛えることにしたのだ。今のままではハジメたちが離れたらハウリア族は全滅は必定である、そのため、ハウリア族を焚き付け訓練をすることにした。
これからのハウリア族のことを考えてさて戦闘の訓練をどうするべきか考えていると突如、影が何の前触れもなく視界に入り込んできた。
魔物かっとドンナーを向けるとそこにいたのはコウスケだった。
「っ!?…ってコウスケ!?…何、その姿は…」
「よう南雲、ん?この姿って、ああ、さっきまで暴れていたからな~ちょいと待ってくれ。すぐに洗うから」
コウスケは体中魔物の体液まみれだった。拭うこともよけることもせず切りまくっていたのだろう。明らかに不快なにおいがしている。そのことに特に気にもせず魔法を使って体中を洗い落とし濡れ鼠になった体を温風を使って乾かす。こういう無駄なことにかけては魔法の扱い方が日々うまくなっているコウスケだ。
「で、どう言う状況?」
ハジメに状況を聞くコウスケの顔に特におかしなところはない。親友のあまりにもマイペースな性格に溜息を吐きながら、今までのこととこれから行うことを説明する。
「ふむふむ、なるほどなるほど…つまりハジメはうさ耳一族をまるまるゲットしたというわけか…羨ましい、後でカムさんをモフモフしようかな?」
「そういうわけじゃないっての…というかなんでカムなの?」
「そりゃあ温厚な男のうさ耳だぞ、今まであった美少女うさ耳は廃れこれからは中年男のうさ耳がはやる、つまり時代の先取りだ」
「そんな時代は来ないでほしいよ…」
「まぁそのうち南雲にもわかる日が来る、美少女より温厚なおっさんに癒されるその時が…話がそれたな、訓練方法は軍隊式が一番かな?戦い方より精神を鍛えた方がいいかな?今の温厚種族では訓練以前の問題だからなー。武器は…隠密がうまい兎人の特性とロマンを考えて…ナイフのようなものがいいな、首狩り兎の誕生だ!それに連携を高めるものとしてボウガンもいいかも」
阿保なことを言ったかと思えばすぐにまじめなことを言うコウスケその言葉になんだかなぁーとは思いつつも親友のせいで増えつつある溜息を吐くのだった。
その後、コウスケとハジメはハウリア族の訓練方法を話し合い、取りあえず、武器を持たせ基本的な動きを覚えさせることにした。まずハウリア族の基本的な運動能力を知るためだ。教えるのは奈落の底で覚えたあまたの魔物と戦い培った、”合理的な動き”と”命の奪い合い”を教え込ませることにする。ある程度戦闘になれたら、奇襲と連携に特化した集団戦法を教え込むつもりだ。
ちなみに、シアに関してはユエが張り切って専属で魔法の訓練をしている。どうやら同じ異端として何か思うものがあるらしく、自分から志願した。コウスケとしては、これで仲良くなってほしいところであるが…亜人でありながら魔力があり、その直接操作も可能なシアは、知識さえあれば魔法陣を構築して無詠唱の魔法が使えるはずだ。時折、霧の向こうからシアの悲鳴が聞こえるので特訓は順調のようだ。
そして訓練を開始して数時間後、ハジメは額に青筋を浮かべながらイライラした様に、コウスケは爆笑しながらハウリア族の訓練風景を見ていた。確かに、ハウリア族達は、自分達の性質に逆らいながら、言われた通り真面目に訓練に励んでいる。コウスケの”誘光”によって寄せ集められた魔物をいくつもの傷を負いながらもなんとか倒している。
しかし…
グサッ!
魔物の一体に、ハジメ特製の小太刀が突き刺さり絶命させる。
「ああ、どうか罪深い私を許してくれぇ~」
それをなしたハウリア族の男が魔物に縋り付く。まるで互いに譲れぬ信念の果て親友を殺した男のようだ。
ブシュ!
また一体魔物が切り裂かれて倒れ伏す。
「ごめんなさいっ! ごめんなさいっ! それでも私はやるしかないのぉ!」
首を裂いた小太刀を両手で握り、わなわな震えるハウリア族の女。まるで狂愛の果て、愛した人をその手で殺めた女のようだ。
バキッ!
瀕死の魔物が、最後の力で己を殺した相手に一矢報いる。体当たりによって吹き飛ばされたカムが、倒れながら自嘲気味に呟く。
「ふっ、これが刃を向けた私への罰というわけか……当然の結果だな……」
その言葉に周囲のハウリア族が瞳に涙を浮かべ、悲痛な表情でカムへと叫ぶ。
「族長! そんなこと言わないで下さい! 罪深いのは皆一緒です!」
「そうです! いつか裁かれるとき来るとしても、それは今じゃない! 立って下さい! 族長!」
「僕達は、もう戻れぬ道に踏み込んでしまったんだ。族長、行けるところまで一緒に逝きましょうよ」
「お、お前達……そうだな。こんな所で立ち止まっている訳にはいかない。死んでしまった彼(小さなネズミっぽい魔物)のためにも、この死を乗り越えて私達は進もう!」
「「「「「「「「族長!」」」」」」」」
いい雰囲気のカム達。そして我慢できずに突っ込むハジメ。
「だぁーーー! やかましいわ、ボケッ! 魔物一体殺すたびに、なんで、いちいち大げさになるんだよ!なんなの? ホント何なんですか? その三文芝居! 何でドラマチックな感じになってんの? 黙って殺せよ!即殺しろよ!魔物に向かって“彼”とか言うな! キモイわ!」
「だっははは!あっはははは!!おもしれ―!なにこれ凄い面白いんですけど!なんというドラマチックな人たちだ!役者の人たちは見習った方がイイかもな!」
「笑ってないでどうにかしてよコウスケ!突っ込むのは大変なんだよ!」
そう、ハウリア族達が頑張っているのは分かるのだが、その性質故か、魔物を殺すたびに訳のわからないドラマが生まれるのだ。この数時間、何度も見られた光景であり、ハジメもまた何度も指摘しているのだが一向に治らない。おまけにコウスケは笑って手伝ってくれない。いい加減、堪忍袋の緒が切れそうなのである。
ハジメの怒りを多分に含んだ声にビクッと体を震わせながらも、「そうは言っても……」とか「だっていくら魔物でも可哀想で……」とかブツブツと呟くハウリア族達。
更にハジメの額に青筋が量産される。
見かねたハウリア族の少年が、ハジメを宥めようと近づく。この少年、ライセン大峡谷でハイベリアに喰われそうになっていたところを間一髪ハジメに助けられ、特に懐いている子だ。しかし、進み出た少年はハジメに何か言おうとして、突如、その場を飛び退いた。
訝しそうなハジメが少年に尋ねる。
「? どうした?」
少年は、そっと足元のそれに手を這わせながらハジメに答えた。
「あ、うん。このお花さんを踏みそうになって……よかった。気がつかなかったら、潰しちゃうところだったよ。こんなに綺麗なのに、踏んじゃったら可哀想だもんね」
ハジメの頬が引き攣る。
「お、お花さん?」
「うん! ハジメ兄ちゃん! 僕、お花さんが大好きなんだ! この辺は、綺麗なお花さんが多いから訓練中も潰さないようにするのが大変なんだ~」
ニコニコと微笑むウサミミ少年。周囲のハウリア族達も微笑ましそうに少年を見つめている。
ハジメは、ゆっくり顔を俯かせた。黒髪が垂れ下がりハジメの表情を隠す。そして、ポツリと囁くような声で質問をする。
「……時々、お前等が妙なタイミングで跳ねたり移動したりするのは……その“お花さん”とやらが原因か?」
ハジメの言う通り、訓練中、ハウリア族は妙なタイミングで歩幅を変えたり、移動したりするのだ。気にはなっていたのだが、次の動作に繋がっていたので、それが殺りやすい位置取りなのかと様子を見ていたのだが。
「いえいえ、まさか。そんな事ありませんよ」
「はは、そうだよな?」
苦笑いしながらそう言うカムに少し頬が緩むハジメ。しかし……
「ええ、花だけでなく、虫達にも気を遣いますな。突然出てきたときは焦りますよ。何とか踏まないように避けますがね」
カムのその言葉にハジメの表情が抜け落ちる。幽鬼のようにゆら~りゆら~りと揺れ始めるハジメに、何か悪いことを言ったかとハウリア族達がオロオロと顔を見合わせた。ハジメは、そのままゆっくり少年のもとに歩み寄ると、一転してにっこりと笑顔を見せる。少年もにっこりと微笑む。
そしてハジメは……笑顔のまま眼前の花を踏み潰した。ご丁寧に、踏んだ後、グリグリと踏みにじる。
呆然とした表情で手元見る少年。漸くハジメの足が退けられた後には、無残にも原型すら留めていない“お花さん”の残骸が横たわっていた。
「お、お花さぁーん!」
少年の悲痛な声が樹海に木霊する。「一体何を!」と驚愕の表情でハジメを見やるハウリア族達に、ハジメは額に青筋を浮かべたままにっこりと微笑みを向ける。
「うん、よくわかったよ。よ~くわかりましたともさ。僕が甘かった。僕の責任だ。お前等という種族を見誤った僕の落ち度だ。ハハ、まさか生死がかかった瀬戸際で“お花さん”だの“虫達”だのに気を遣うとは……てめぇらは戦闘技術とか実戦経験とかそれ以前の問題だ。コウスケの言った通りだった。もっと早くに気がつくべきだったよ。自分の未熟に腹が立つ……フフフ」
「ハ、ハジメ殿?」
不気味に笑い始めたハジメに、ドン引きしながら恐る恐る話かけるカム。その返答は……
ドパンッ!
ドンナーによる銃撃だった。カムが仰け反るように後ろに吹き飛び、少し宙を舞った後ドサッと地面に落ちる。次いで、カムの額を撃ち抜いた非致死性のゴム弾がポテッと地面に落ちた。
辺りをヒューと風が吹き、静寂が支配する。ハジメは、気絶したのか白目を向いて倒れるカムに近寄り、今度はその腹を目掛けてゴム弾を撃ち込んだ。
「はうぅ!」
悲鳴を上げ咳き込みながら目を覚ましたカムは、涙目でハジメを見る。ウサミミ生やしたおっさんが女座りで涙目という何ともコウスケが喜びそうな光景…実際グッジョブ南雲!と言ってたので同じように額を撃って、ハジメは宣言した。
「貴様らは薄汚い“ピッー”共だ。この先、“ピッー”されたくなかったら死に物狂いで魔物を殺せ!今後、花だの虫だのに僅かでも気を逸らしてみろ! 貴様ら全員“ピッー”してやる!わかったら、さっさと魔物を狩りに行け! この“ピッー”共が!」
ハジメのあまりに汚い暴言に硬直するハウリア族。そんな彼等にハジメは容赦なく発砲した。
ドパンッ!ドパンッ!ドパンッ!ドパンッ!ドパンッ!ドパンッ!ドパンッ!ドパンッ!ドパンッ!ドパンッ!ドパンッ!ドパンッ!ドパンッ!ドパンッ!
わっーと蜘蛛の子を散らすように樹海へと散っていくハウリア族。足元で震える少年がハジメに必死で縋り付く。
「ハジメ兄ちゃん! 一体どうしたの!? 何でこんなことするの!?」
ハジメはギラリッと眼を光らせて少年を睨むと、周囲を見渡し、あちこちに咲いている花を確認する。そして無言で再度発砲した。
次々と散っていく花々。少年が悲鳴を上げる。
「何だよぉ~、何すんだよぉ~、止めろよぉハジメ兄ちゃん!」
「黙れ、クソガキ。いいか? お前が無駄口を叩く度に周囲の花を散らしていく。花に気を遣っても、花を愛でても散らしてく。何もしなくても散らしていく。嫌なら、一体でも多くの魔物を殺してこい!」
そう言いつつ、再び花を撃ち抜いてくハジメ。少年はうわ~んと泣きながら樹海へと消えていった。それ以降、樹海の中に“ピッー”を入れないといけない用語とハウリア達の悲鳴と怒号が飛び交い続けた。
種族の性質的にどうしても戦闘が苦手な兎人族達を変えるために取った訓練方法。戦闘技術よりも、その精神性を変えるために行われたこの方法を、地球ではハー○マン式と言うとか言わないとか…
「………はぁ」
深夜、コウスケは憂鬱な気分になり目が覚めた。周りを見渡しここが大樹近くの樹海の中だと思い出した。隣では精神的な疲れがあるのか眉間にしわを寄せて眠りこけているハジメの姿があった。夢を見ているのかたまに変なことを呟いている。
「……ハー…軍…曹……フル…パニ…」
(どんな夢だよ…)
ハジメを起こさないように細心の注意をして起き上がり、夜の散歩をしようと樹海の中を歩きだすコウスケ。結界の中である以上魔物の奇襲の心配もなく夜の森を散策する。夜の森は静かで何かの虫の声しか聞こえない。歩いていると丁度腰を掛けるのに適した木の幹が倒れていたので座り込むコウスケ。そのままボーっと空を見上げる。
「そこにいるのは…コウスケ殿?」
どれだけ時間が過ぎただろうか。ふいに声が聞こえ視線を向ける。そこにいたのはカムだった。昼間散々ハジメにシゴキを受けたのにまだ動く元気があるとは…内心感心するコウスケ。
「こんばんはカムさん。まだ寝ていないと明日に響きますよ?」
「ははっ確かにそうですな。しかし何分初めての訓練ですので妙に目が覚めてしまって…コウスケ殿はどうしてこちらに?」
「俺ですか?…ちょっと考え事をしていたんです」
「そうでしたか。…隣に座ってもよろしいですか?」
カムの質問に体をずらすコウスケ。その動作に気分を害した様子もなくコウスケの隣に座るカム。男2人夜の森の中でただ無言で座っていた。
「そういえばコウスケ殿にはお礼を言ってませんでしたな」
「礼ですか?」
「…帝国兵のことです。魔物の時もそうでしたが貴方達が居なければ我々ハウリア一族は全滅しておりました。私の家族を救っていただきありがとうございます」
そういうとコウスケに向かって深々と頭を下げるカム。カムの誠実な言葉にコウスケは強い困惑の表情を浮かべた。実はさっきまで帝国兵を皆殺しにしていた時のことを考えていたのだ。あの時心の底から人を殺すことを楽しんでいたことがコウスケの顔を曇らせる。
「あ~どういたしましてって言いたいんですが…」
「?どうしましたか」
「……実はあの時、初めて人を殺したんです。」
その言葉にカムは驚いた。あれほど圧倒的な強さを持ち、何のためらいもなく帝国兵を切り刻んでいたコウスケは実は初めて人を殺したというのが信じられなかった。言葉が出ないカムをよそに苦々しい顔をしたコウスケは先ほどまで考えていたことを独り言のようにつぶやく。
「最初は間違いなくあなたたちハウリア族を助けたいって思っていたんです。そのためなら人殺しも仕方ないって…いや、南雲を助けるって決めた時点でどこかで人殺しを…ともかく守りたいって思ていたはずなんですけどね…ユエが犯されると思った瞬間プッツンしてしまって…」
そこで大きく息を吐くコウスケ。苦々しい顔から自虐の笑みを浮かべる。どうしてかカムにはその顔が泣いているように感じる。
「切った瞬間何とも言えない気持ちになりました。今まで自分のことを見下していたやつが驚き死んでいく。アイツらの傲慢を打ち砕き、嬲るのは楽しくって…貴方達を護るとかユエのことで怒るとか大切なことをすぐに忘れて、只々自分が楽しむために殺戮をしたんです。」
自分の手を見て溜まっていたものを吐き出すようなコウスケにカムは何も言えなくなる。と言うより何を言ってもこの少年は悩むのをやめないだろう。そんな確信がした。だから抱えている物を最後まで聞こうと黙っていることにした。
「本当に自分に嫌気がさしますよ。まさか人を殺して恐怖心に捕らわれるんじゃなくて楽しくなるなんて…おまけに、物足りなくなって魔物を殺して回るなんて…俺はそんな風になりたくなんてなかったのに、あの帝国兵たちと何も変わらない、いやそれ以上の糞野郎になっちまった…」
「そんな事はありませんよ」
そのまま項垂れるコウスケにカムはきっぱりと言い放つことにした。顔をあげ不思議そうにカムを見るコウスケに諭すように言葉をかける。
「…カムさん何を言っているんですか。先も言ったように俺は人を殺して楽しんでいて…」
「確かにそのことは事実かもしれません。しかし貴方はずっと後悔をしているではありませんか。コレはいけない、どうにかしないとしなければと。自らの過ちを後悔し反省することができるのであればあなたは大丈夫です。決して外道になんてなりませんよ」
カムの言葉にぽかんとした顔をするコウスケ。何言ってるんだと思いはすれどカムはいたって真剣だ。
「…根拠もないのに随分と言い切りますね」
「ええ言い切りますとも。短い付き合いですがあなたは優しい人という事を
カムの優しさに満ちた言葉にコウスケの心が軽くなる。確かにその通りかもしれないと、何処かカムの言葉を無責任にも信じようとしている自分がいる。
「そういうものですかね?」
「ええ、そういうものです」
「そっか…すみませんカムさん。かなりカッコ悪い所を見せてしまって」
「ふふっ構いませんよ」
優しく微笑むにカムに感謝し、別れを告げ自分の寝床へ戻るコウスケ。先ほどまでの憂鬱な気分はだいぶ軽くなった。やはりカムの様な温厚な人には弱いなと頭をかきながら座り込む。そのままぼんやりと先ほどまでのカムの言葉を思い出す。
(大丈夫か…そうかな?でも信じてみないといけないよな)
この先のことを考えると不安はある。しかしカムの言葉を信じたいし、何よりも自分が変わりたい。この暴力的な力を振り回されないように心が強くなりたいと思うのだ。
「…ぅ……微笑みデブ…」
(…ったく人がシリアスになっているときにさっきから何の夢を見ているんだ。このヤローは…まったく
隣で意味の分からない寝言を言うハジメに苦笑しながらゆっくりと横になるコウスケ。明日からまたいろいろ忙しくなるかもしれないと考え込みながら瞼を閉じる。次第にやってくる睡魔に身を任せコウスケは眠りにつくのだった。
コウスケが去った後カムは一人静かに考え込んでいた。自分の一族の事、これからの事、そして何より自分たちを助けたせいで心に傷を負ってしまった少年の事。
(強くなるという事は我らが生き抜くために必要なことだ、だが同時に強さという力におぼれる可能性もあるという事だ…我々は…)
考え込むカムの周辺に微かな物音と多くの気配がする。しかしカムは身動きはしない。近くにいるのは誰で何をしていたかなど、カムは知っているのだ。
「…カムや、儂らは物事を甘く見ていたのかもしれんのう」
「…翁」
カムの横に音もなく出てきたのはハウリア族の中で一番の高齢である老人だ。その横には悲しそうにする老人の妻もいる。その2人が出てきたことを皮切りに続々とカムと同世代以上のハウリア族達が悲痛な表情を浮かべながら出てくる。実はカムとコウスケが会話をしていたので起きてしまったのだ。訓練で疲れていることもあり寝ようとしていたが会話の内容を聞きうさ耳を立てて盗み聞きをしていたのだ。
「若い者はどうしています?」
「皆寝ておる…儂らは助かったが、あのような未来のある若者が心を痛めてしまうとは…弱いというのは力がないというのは辛いのぅ」
「ええ…本当に我々が不甲斐ないばかりに…」
「…なら強くなりましょう。心も体も」
項垂れるカムと老人にさっきまで泣きそうになっていた老人の妻が震える声で呟いた。その声を聞きカムは真剣にうなずく。
「ああ、我らは変わらなければいけない。このまま弱いままでいいわけがない。強くなろう。無論、力におぼれないように心もだ。…きっとそれが我らを助けるために動いてくれたハジメ殿…いやボスやコウスケ殿の恩返しとなる」
カムの力強い決意の言葉に今一度ハウリア族たちは皆、覚悟を宿した表情で頷いた。
ハウリア族の所は非常に難しいです
でも今後のためには書かないと…
それにしても無理矢理感が強い