ありふれた勇者の物語 【完結】   作:灰色の空

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ひっそり投稿します
そろそろストックがなくなり始めてきました
戦闘模写が難しいです。手を抜くわけにはいかないし
長すぎると矛盾行動が出そうだし…


抑えられない気持ちを抱いて

 

 遂にハジメたちはライセン迷宮の最深部へ到達した。そこは超強大な球状の空間だった。直径二キロメートル以上ありそうである。そんな空間には、様々な形、大きさの鉱石で出来たブロックが浮遊してスィーと不規則に移動をしているのだ。完全に重力を無視した空間である。だが、不思議なことにハジメ達はしっかりと重力を感じている。おそらく、この部屋の特定の物質だけが重力の制限を受けないのだろう。

 

 そんな空間をゴーレム騎士達が縦横無尽に飛び回っていた。やはり、落下方向を調節しているのか、方向転換が急激である。生物なら凄まじいGで死んでいてもおかしくないだろう。この空間に近づくにつれて細やかな動きが可能になっていった事を考えると、おそらく……

 

「ここに、ゴーレムを操っているヤツがいるってことかな?」

 

 ハジメの推測にユエとシアも賛同するように表情を引き締めた。ゴーレム騎士達は何故か、ハジメ達の周囲を旋回するだけで襲っては来ない。ハジメは“遠見”で、この巨大な球状空間を調べようと目を凝らした。と、次の瞬間、シアの焦燥に満ちた声が響く。

 

「逃げてぇ!」

「「!?」」

「ハッハア!」

 

ハジメとユエは、何が? と問い返すこともなくコウスケは本能が命じるまま、シアの警告に瞬時に反応し弾かれた様に飛び退いた。運良く、ちょうど数メートル先に他のブロックが通りかかったので、それを目指して現在立っているブロックを離脱する。

 

 直後、

 

ズゥガガガン!!

 

 隕石が落下してきたのかと錯覚するような衝撃が今の今までハジメ達がいたブロックを直撃し木っ端微塵に爆砕した。隕石というのはあながち間違った表現ではないだろう。赤熱化する巨大な何かが落下してきて、ブロックを破壊すると勢いそのままに通り過ぎていったのだ。

 ハジメの頬に冷や汗が流れる。シアが警告を発してくれなければ確実に直撃を受けていた。“金剛”が使えない今、もしかしたら即死していたかもしれない。感知出来なかったわけではなかった。シアが警告をした直後、確かに気配を感じた。だが、落下速度が早すぎて感知してからの回避が間に合ったとは思えなかったのである。

 

「シア、助かった。ありがとう」

「……ん、お手柄」

「えへへ、“未来視”が発動して良かったです。代わりに魔力をごっそり持って行かれましたけど……」

 

 どうやら、ハジメの感知より早く気がついたのはシアの固有魔法“未来視”が発動したからのようだ。“未来視”は、シア自身が任意に発動する場合、シアが仮定した選択の結果としての未来が見えるというものだが、もう一つ、自動発動する場合がある。今回のように死を伴うような大きな危険に対しては直接・間接を問わず見えるのだ。

 

 つまり、直撃を受けていれば少なくともシアは死んでいた可能性があるということだ。改めて戦慄を感じながら、ハジメは通過していった隕石モドキの方を見やった。ブロックの淵から下を覗く。と、下の方で何かが動いたかと思うと猛烈な勢いで上昇してきた。それは瞬く間にハジメ達の頭上に出ると、その場に留まりギンッと光る眼光をもってハジメ達を睥睨した。

 

「おいおい、マジかよ」

「……すごく……大きい」

「お、親玉って感じですね」

 

 三者三様の感想を呟くハジメ達。若干、ユエの発言が危ない気がするが、ギリギリ許容範囲……のはずだ。

 

 ハジメ達の目の前に現れたのは、宙に浮く超巨大なゴーレム騎士だった。全身甲冑はそのままだが、全長が二十メートル弱はある。右手はヒートナックルとでも言うのか赤熱化しており、先ほどブロックを爆砕したのはこれが原因かもしれない。左手には鎖がジャラジャラと巻きついていて、フレイル型のモーニングスターを装備している。

 

コウスケはその姿を見て心…魂が狂喜しているのを感じていた。理由は分からないがまるで待ちに待ったものに出会ったかのようだ。あふれでる喜びを無理矢理押さえつける。そうしなければ今にも突撃しそうだからだ。

 

 ハジメ達が、巨体ゴーレムに身構えていると、周囲のゴーレム騎士達がヒュンヒュンと音を立てながら飛来し、ハジメ達の周囲を囲むように並びだした。整列したゴーレム騎士達は胸の前で大剣を立てて構える。まるで王を前にして敬礼しているようだ。

 

 すっかり包囲されハジメ達の間にも緊張感が高まる。辺りに静寂が満ち、まさに一触即発の状況。動いた瞬間、命をベットしてゲーム殺し合いが始まる。そんな予感をさせるほど張り詰めた空気を破ったのは……

 

 ……巨体ゴーレムのふざけた挨拶だった。

 

「やほ~、はじめまして~、みんな大好きミレディ・ライセンだよぉ~」

「「「……は?」」」

 

「っ!?」

 

 凶悪な装備と全身甲冑に身を固めた眼光鋭い巨体ゴーレムから、やたらと軽い挨拶をされた。何を言っているか分からないだろうが、ハジメにもわからない。頭がどうにかなる前に現実逃避しそうだった。ユエとシアも、包囲されているということも忘れてポカンと口を開けている。

しかしコウスケだけは違った。巨体ゴーレムの声…正確には巨体ゴーレムを操っている解放者ミレディ・ライセンの声を聞いたときに言いようのない興奮を覚えた。

 

(なんだろう…なんか凄く…抱きしめたい!)

 

あの巨体ゴーレムと可愛らしいミレディ・ライセンの声を聞くと突撃をかまし今すぐにでも巨体ゴーレムにへばりつきたい衝動がコウスケの胸の奥からあふれるのだ。しかし今は一触即発の戦闘前、残る理性で何とか自らの本能を抑える。コウスケが一人ムンムンとミレディ・ゴーレムを視姦しているとどうやらその間に混乱から回復したハジメとミレディ・ゴーレムとの会話は終わりを迎えそうになっていた。

 

「目的は何? 何のために神代魔法を求める?」

 

嘘偽りは許さないという意思が込められた声音で、ふざけた雰囲気など微塵もなく問いかけるミレディ。どうやら、ハジメの目的である神代魔法を求める目的を聞き出そうとしているのだろう。そろそろ会話に参加してもいいかとコウスケは口を開く。

 

「目的は日本に故郷に帰るため。ただそれだけなんだけど?」

 

「そういう事。僕たちはお前等のいう狂った神とやらに無理やりこの世界に連れてこられたからね。世界を超えて転移できる神代魔法を探している……お前等の代わりに神の討伐を目的としているわけじゃない。この世界のために命を賭けるつもりは毛頭ない」

 

肩をすくめるコウスケ。自分がなぜ召喚されてこのような状況になっているか皆目見当もつかないがこの世界に染まってしまう前に日本に帰りたいのは本心だ。その言葉に同調するようにハジメが言葉を付け足す。

 

「………ーーーー」

 

(…?)

 

ミレディ・ゴーレムは微動だにせず、ただコウスケをじっと見つめて直立している。その事に疑問を浮かべるコウスケ。自分は何かまずい発言でもしてだろうか。思い返すがそこまで変なことを言った覚えはない。もしや先ほどまで舐めるように視姦しているのがばれてしまったのだろうか。

 

そこまで考えたときだった。微動だにしていなかったミレディ・ゴーレムが流れるような動作で左腕に装着しているフレイル型モーニングスターをコウスケに向かって射出したのだ。投げつけたのではない。予備動作なくいきなりモーニングスターが猛烈な勢いで飛び出したのだ。おそらく、ゴーレム達と同じく重力方向を調整して“落下”させたのだろう。

 

余りにも違和感なく流れるような動作だったためコウスケの意識は一瞬遅れるが体の方はすぐさま反応し前方に”守護”を展開する。ドゴンッ!!と凄まじい衝撃が腕に伝わるが無理やり力技ではじき返す。モーニングスターはそのまま宙を泳ぐように旋回しつつ、ミレディ・ゴーレムの手元に戻った。

 

「いきなりずいぶんなご挨拶じゃないか。ミレディちゃん」

 

日ごろの訓練の成果に内心安堵の息をつきながら悪態を放つコウスケ。ロクな会話もせずにいきなりの攻撃はないだろうとミレディ・ゴーレムを睨みつける。そのコウスケの視線にミレディ・ゴーレムはやれやれと肩をすくめる仕草をする。

 

「………いやぁ~君のその変態的で女の子を泣かせることしかできない顔を見たら途方もない怒りがわいてさ~ついついやっちゃった。ゴメンねぇ~」

 

「あぁん!?」

 

溜息を吐きながら器用にぶりっ子のポーズをとるミレディ・ゴーレムに青筋を浮かべるコウスケ。何故だか物凄く反論したくなった。

 

「テメェ…この俺のハンサム顔が変態的だと?何処をどう見たらそうなるんだ!これでも女性に対しては紳士的で通っているコウスケさんだぞ!」

 

「「「えっ!?」」」

 

あくまで自分は紳士的で常識的な行動をしていると思っていたがどうやら後ろにいる3人はそう思っていないようである。後で3人にお仕置きをするべきかと思いながらもミレディに対する悪態は止まらない。

 

「と言うよりなんださっきからそのふざけた言動は!!」

 

「おやおや~怒っちゃった~?ゴメンねゴメンね~だってミレディちゃん可愛「滅茶苦茶可愛いじゃあねえか!」…えぇー」

 

ミレディの言葉をさえぎるコウスケ。もう自分が止められなかった。寧ろ止まる気がなかった。後ろの3人がドン引きしているにもかかわらず溢れる思いが口から次から次へと出てくる。

 

「前っから思っていたんだけど何その煽るような言葉!すっごく良いじゃねえか!これが男がやっていたんなら即殺なんだがミレディちゃんは可愛いから凄く似合うんだよ!!美少女に煽り発言を受けるなんて興奮しない男なんてこの世にはいない!断言しよう!最高じゃねえか!ウッヒョー―――!!今すぐその薄っすい胸に飛び込んでprprしたい!」

 

おかしなことを言っているような気がしたがまったくもって気にしなかった。心の奥底にたまっていたものを全部言い終えたようなそんな開放感と爽快感がコウスケの全身を包む。反対に後ろの女性陣2名からは底冷えするような視線を受け、親友からは呆れたような溜息を吐かれるがコウスケは華麗にスルーする。

 

「……ふふふ」

 

コウスケの変態チックな言葉を受けたミレディ・ゴーレムはプルプルと震えたかと思うと指先をコウスケに向ける。それを合図にしたかのようにゴーレム騎士たちはいっせいにコウスケに剣を向ける。さながら犯罪者を今から処刑するかのようであった。

 

「悪いけどそこの変態の相手はしたくないから騎士たちに任せるとするよ」

 

一切の感情の込められていない声で宣言するミレディ・ゴーレム。その言葉が合図となったのかコウスケに群がり始めるゴーレム騎士たち。しかしこれはコウスケにとってもチャンスだった。ミレディと一緒に取り巻きのゴーレムたちを相手するよりも自分が雑魚を引き付けその間にハジメ達がミレディの相手をした方が危険が少ないと感じたのだ。群がり始めるゴーレム騎士たちから逃げるように跳躍しながらすぐに念話をする。

 

”南雲!周りの雑魚は俺が全部引き付けるからミレディ・ライセンを頼んでいいか!?”

 

”し、正気ですか!、雑魚と言っても50体…もしくはそれ以上はいるんです!圧殺されますよ!”

 

シアの叫び声が聞こえる。どうやら何十体のゴーレムを相手するのはきついのではないかと心配してくれているようだ。

 

”そこら辺は気合で何とかする。それよりもだ、周りの雑魚なしでミレディとお前ら3人で戦った方が速いと思うんだ。…どうだ南雲、頼めるか?”

 

”確かにその方が手っ取り早いけど…”

 

”…コウスケ本当に平気?”

 

ハジメの言葉に続くようにユエが話してくる。その声は信頼と心配が混ざったような声だ。その気遣いにありがたく思いながらハジメ達と距離を取り続け浮遊するブロックを次々と移動するコウスケ。その後ろ姿を追うゴーレム騎士たち。

 

”問題ない!というよりさっきからミレディに突撃をしたくてしょうがないんだよ。流石にそれは不味いしな…だからこの雑魚の相手は任せろ!”

 

”…分かったよ、親玉の方は任せて”

 

言葉と同時にミレディにシェラ―ゲンをぶっぱなすハジメ。どうやら自分たち3人でミレディを倒した方が早いと判断したようだ。自分のおおざっぱな作戦に快諾してくれた親友に感謝しながら念のため”誘光”を使いゴーレム騎士全てを自分に引き付ける。たとえ操られてる無機物といえども自分にわらわらとまとわりつく姿は愉快なものだ。自然と笑い声が出てくる。

 

「あっはははは!おいおい、こんなに来るとはよぉ‼まさか今がモテ期ってやつか‼ヒュー――!コウスケさん、そんなにラブラブアタックされると困っちゃいます!」

 

ふざけながらも、ゴーレム騎士の攻撃をひらひらと躱し、よけられないのは守護を使いはじき飛ばす。倒す必要はない、ただハジメたちがミレディを倒すまで時間を稼げばいい。

 

「さーてコイツはどうかな?」

 

自分の周りを覆うように光を展開する。その光を壊そうとゴーレム騎士たちが群がり始める。どうやら自分の守護の力はかなり強力となっており並大抵の攻撃では壊れそうになさそうだ。

 

(さて…あとは南雲達が頑張ってくれれば良いんだけど…)

 

一息つきながら騎士たちの隙間からハジメたちの様子をうかがう。その時叫び声の様な念話が届いた。

 

”コウスケさん!避けて!”

 

「わかった!」

 

その言葉と同時に感じた強い悪寒に従い守護を解き群がるゴ―レム騎士を吹き飛ばしながら大きくジャンプし別の浮遊ブロックの方へ着地する。その瞬間先ほどまで自分がいたところに巨大なブロックがゴーレム騎士を巻き込みながら吹き飛んできた。

 

「おいおいマジかよ‼ブロックにまで求愛されるとは!ハッハァー!見ているか南雲!ついに無機物からルパンダイブされたぞ!これが!俺と!お前の差だ!羨ましいだろ!」

 

「誰が!羨ましいだって!」

 

「…コウスケは無機物に欲情する変態」

 

「え?ええ?ブロックは君たちにぶつけようとしたんだよ何であっちの変態に飛んでいくの?おかしくない?」

 

何やら外野が騒いでいるが構わなかった。楽しくなってきたのだ。相手は強大、しかし今の自分たちなら勝てる。ハジメが、ユエが、シアがいるなら全く問題ない。ゴーレムをはじき、飛んでくるブロックを避けコウスケの精神は絶好調だった。

 

 

 

 

 

ドォガン!!!

 

周りに浮遊するゴーレム騎士をあらかた切り倒した時だった。突如、爆音が響きハジメたちを見る。何をしたかはわからないが。ミレディ・ゴーレムは両腕が飛ばされ、おまけに胸の部分が大きくえぐれている。なぜかそのことに、強い不安を覚えハジメたちの方へ移動する

 

「3人ともうまくいったか!」

 

「ふふん、やりましたよコウスケさん!」

 

「どうかな、まだ何か手を残してそうだ」

 

「…油断禁物」

 

シアは嬉しそうだが、ハジメとユエは油断なく構えているコウスケとしても喜びはしたいのだが、満身創痍なはずのミレディ・ゴーレム

は天井を見上げている。そのことに嫌な予感が付きまとう。それを裏付けるようにシアの表情が青ざめる。

 

「ハジメさん、コウスケさん、ユエさん! 避けてぇ! 降ってきます!」

 

その言葉を言われて気付くミレディ・ゴーレムは騎士や浮遊ブロックだけを動かせるのではない天井に敷き詰められた数多のブロックが全て落下させることだってできるのだ。

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!! ゴバッ!!

 

その言葉道理 天井からブロックが外れ、地響きがなり止む代わりに轟音を立てながら自由落下する巨石郡。しかもご丁寧に、ある程度軌道を調整するくらいは出来るのか、ハジメ達のいる場所に特に密集して落ちてくる。

 

(うわわわ!えっと確か、この攻撃は南雲の“瞬光”と“限界突破”を合わせて回避したんだっけ!?あ、俺できねぇ。死んだ?死んだのコレ?)

 

自分の未来に一瞬悲観するも生き残るため腕を天井に向け”守護”を展開する。そして気付く。今なら回避できるはずなのになぜかシアとユエが自分に密着しハジメがオルカンを天井に向けるのを。

 

「…どうして?」

 

自分は間に合わなくても3人なら今からでも退避すれば死なずに済むのに不思議だった。その呟きに答えるように3人がはっきりという。

 

「そんなの!コウスケさんを信じているからですぅ!!」

 

シアが怖いのかに震えてしがみつきながらも言い放つ。先ほど未来視でかなりの数の巨大なブロックが振ってくるのを見たというのに

蒼穹の瞳は震えながらもしっかりとコウスケを見ている。

 

その言葉に視線に全身の血が騒ぐ。

 

「…ん、コウスケなら、あれぐらい問題ない」

 

こちらに体を預けいつもと変わらず静かに話すユエ。全身からコウスケのそばにいれば問題ないと語っている。

 

その言葉に、無言の絶対の信頼に異様に魔力が湧き上がってくる。

 

そして…

 

ハジメがオルカンを構えながらコウスケをチラリと見て一言。

 

「任せたよ、()()

 

瞬間、魂が震え、頭がはじけたようにスパークした。

 

「………は」

 

胸の鼓動が収まらない、歓喜に震え、蒼い魔力が体からあふれ全身を覆う。

 

「はははははははっあっははははは‼まったく!まったく‼お前らってやつは‼ユエもシアもミレディちゃんも‼さらに()()()も‼

どうして!そんなに!俺を昂ぶらせるのが上手いのかな‼」

 

 

展開した守護が蒼く強く自分たちを覆うように輝く。感情の高ぶりが答えるように蒼い光がさらにコウスケを包むように発光する。“限界突破”だ。それも本来なら魔力分解作用によってここではすぐに消滅するのに、消えることなくコウスケの体を覆う。嬉しかった、ヒュドラの時と同じようにここぞというときはしっかりと出てきて自分に応じてくれるこの力にコウスケは深く感謝した。と同時にさらに大きくなる“守護”。

 

(これじゃあ、守護というより結界かな…)

 

ハジメが横でオルカンを撃ち天井のブロックを砕いた。それでも依然として降ってくる大量の巨石をドンナーとシュラークで連射し巨石の軌道を変える。それでも足りないと思ったのか限界突破をしようとするハジメ。それに待ったをかける。

 

「ハジメ!それは後で俺の代わりにアイツにぶち込んでくれ!」

 

「…ああ分かったよ、コウスケ」

 

と話した所で同時に腕から伝わる凄まじい衝撃に歯を食いしばる。腕からは嫌な音が響くが問題ない。自分のことを信頼してくれる3人のことを考えると痛みが吹き飛ぶのだ。

 

「うぉぉおおおおおおおおおおお!!!!」

 

数十トンの巨石が降ってきているのに守護はひび割れるどころかさらに光り輝き青色が濃くなる。そのままあふれ出る歓喜を全て魔力に乗せさらに”守護”改め”守護結界”を硬くする。

 

 

 

 

 そんなハジメ達の様子を壁際で観察していたミレディの目には、ハジメ達が蒼い光を纏いながら一瞬で巨石郡に飲み込まれたように見えた。悪あがきをしていたようだが、流石にあの大質量は凌ぎきれなかったかと、僅かな落胆と共に巨石郡にかけていた“落下”を解いた。

 

「う~ん、平気だと思ったんだけど無理だったかなぁ~。でもここで終わるような変態じゃないし、こんな所でてこずっていたらあのクソ野郎共には勝てないし絶対に帰れないしねぇ~」

 

と、その時ハジメ達のところに降り積もっていた巨石が蒼い光と共にが一気にはじけ飛んだ。飛んできた巨石を受け止めながら驚愕と歓喜の目でその場所を見る。そこには魔力の出しすぎでふらつきながらも男が一人立っていた。

 

「…あーこういう時なんて言うんだっけ…ああ、思い出した、ねぇ今どんな気持ち!死んだと思っていたやつが無傷でどんな気持ち!ねぇ応えてよ、無駄なことをしたミレディちゃーんプギャー!!…いいなこれ、あの煽り方今度から真似しようかな…」

 

「…ふふ、そうだよそんな簡単にやられるような男じゃないもんね」

 

「何独り言喋ってんだ。まだ終わってないぞ」

 

コウスケはふらつきながら戦闘を再開するハジメ達を見た。その姿に満足し座り込んでしまう。

 

(あー駄目だ、力が入らねぇー。やりすぎたか?まぁいいか“快活”もなんか地味にパワーアップしたからかハジメ達もやたらと青く光ってた様な気がするし…ダメだー眠い…すまん…後…任せた)

 

そのままドサリと倒れ込む。巨石を弾き飛ばした瞬間。“守護結界”を解いて“快活”をハジメたちにかけ特攻を頼んだのだ。知らぬ間に強化されていた“快活”にハジメ達の傷がふさがり魔力、気力共に回復しているのを横目でチラリと確認して、後の戦闘はハジメたちに任せそのまま戦場のど真ん中でコウスケは満足げに気絶をしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




この頃感想クレクレ厨と化してしまった自分に気が付きました。
という訳で気が向いたら感想お願いします。…ネタバレを恐れてあんまり気の向いた返信はできませんですけど…
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